長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

在りし日の名曲アルバム  鬼束ちひろ『 This Armor 』

2015年02月28日 23時28分41秒 | すきなひとたち
鬼束ちひろ『 This Armor 』(2002年3月6日リリース 東芝EMI )

時間 51分00秒
プロデュース 土屋望・羽毛田丈史
チャート最高順位
週間3位(オリコン)

 『 This Armor(ディス・アーマー)』は、鬼束ちひろ(当時21歳)の2ndアルバム。
 ミリオンヒットを記録した前作『インソムニア』(2001年)に続く2ndアルバム。本人は、「前作の延長線上」、「インソムニア2」と語っている。タイトルの「 Armor 」については、前作のタイトルと同様に「響きが良いから。」という理由で採られた他、「 Armor や鎧という言葉に引っかかりを感じていた。」とのことで、『インソムニア』がリリースされた時期には、すでに次回作のタイトルに決めていたという。また、「鎧というのは普段の服飾やメイクであり、そういった鎧を脱ごうとか装着しようということを言いたいのではなく、そういう鎧が存在するということを言いたい。」と語っている。収録曲『 LITTLE BEAT RIFLE 』における「剣」や「弓」、『 Arrow of Pain 』の「矢」、『 infection 』の「仮面」、『 CROW 』の「盾」や「鎧」などというような、「Armor」に関連するような歌詞のフレーズが一貫したコンセプトになっていると解釈されることも多いが、鬼束本人は「いたって偶然。」と雑誌のインタビューで回答している。アルバムのジャケット写真は沖縄県宮古島で撮影された。
 すでにリリースされたシングル曲をのぞくタイアップ起用曲のうち、『 Our Song 』以外は、前作同様にアルバムのリリース後に起用が決定している。
 もともと、本作には楽曲『 A Horse and Queen 』が収録される予定だったが、アルバム全体のイメージに合わないことから収録を見送られた。その代わりに、2ndシングル『月光』(2000年)カップリング曲の『 Arrow of Pain 』が初めてアルバム収録されることとなった。この『 A Horse and Queen 』は、後に『 A Horse and A Queen 』とタイトルを変えて4thアルバム『 LAS VEGAS 』(2007年)に初収録されることとなる。
 オリコンウィークリーチャートは最高3位を記録した。


収録曲
全作詞・全作曲 …… 鬼束 ちひろ
プロデュース  …… 羽毛田 丈史

1、『 ROLLIN'』
 タイトルは本人によれば、「ロールプレイングゲームの現在進行形」であり、本人の造語である(「ロール」のスペルは「 ROLE 」であり、「転がる」という意味の「 ROLL 」とは違う)。歌詞の内容もロールプレイングゲームを意識した内容となっている。プロモーションビデオはスタジオで演奏・歌唱する模様を撮影している。

2、『茨の海』
・映画『群青の夜の羽毛布』(2002年公開 監督・磯村一路)主題歌
 アイリッシュホイッスルを使用してケルティックさを漂わせながらも和風な雰囲気になっており、洋楽志向の鬼束本人にとってもスタッフにとっても、この楽曲が出来上がったことは異例のことだったようで、この曲を気に入ったプロデューサーの羽毛田丈史が、自身が音楽を担当した映画『群青の夜の羽毛布』の制作スタッフにこの曲を推薦して、同映画の主題歌に起用されることが決定したという。本人はラジオ番組などで、「四方八方茨だから痛そう。」と語りながらも、「感情って物は言葉にできないけれど、自分なりに解釈して言葉にした結果」、「和をもって切なさを越えた安堵感を表現した。」とコメントしている。

3、『シャドウ』
 本人曰く「地下の歌」。デビュー前に作られた楽曲のうちのひとつを改めて作品化したものであるが、本人はタイムラグを感じず、当時の気持ちのままですんなりと収録できたという。チェロ演奏に溝口肇を迎えている。

4、『 everything, in my hands 』
 本人曰く「鬼束最速の曲」で、これまでの楽曲の中で最もテンポの速かった『 Cage 』よりも速くなっている(だが、後に『育つ雑草』がこれを超える)。もともとはミディアムナンバーであったが、『 Cage 』同様にプロデューサーの提案によってテンポアップされ、非常に速い曲になったという。鬼束が少女時代に感じた、「こんな大人にはなりたくない。」という気持ちを思い出して制作したという。

5、『 Our Song 』
・ネスレ「ブライト」CMソング
 鬼束が初めて公式に発表した(高校生時代は歌詞を英語で書いていたため、初めて英語詞で書いたわけではない)英語詞の楽曲。もともとは CM用に書き下ろされた楽曲で音源化の予定は当初なかったが、視聴者からの問い合わせが殺到したことからアルバム収録が決定したという。「これは完全に世界観を創って生み出した。」と本人が語るように、CM の映像からヒントを得て制作された。なお、本作の歌詞は鬼束自身と、mayuという人物が共同で作詞したとされている。

6、『流星群』

7、『 LITTLE BEAT RIFLE アルバムバージョン』
 シングルバージョンとは異なり、キーを半音下げてピアノのみのバラード調にアレンジされている。

8、『 Arrow of Pain 』

9、『 infection 』

10、『 CROW 』
 アルバムの核となるとされる作品。鬼束はカラスに対して憧れを持っているようで、「嫌われ者だけどとても頭が良く、誰の目にも左右されない凛とした性質が個人的にはとても好き。」と語っている。


 わたくしごとですが、私が最初に買った鬼束さんの CDなので、特に思い入れのある作品です。大学の生協で買ったんだよなぁ。私も若かった~!
 つらつら思いまするにアーティストのアルバム作品って、第1作がいちばん有名な場合がほとんどだと思うんですよ。やっぱりデビューのインパクトは大きいですし、世間も「だいたいそんな感じだよね。」というイメージを固定化させて馴れていきますから。
 でも、そのアーティストの実力は当然ながら、キャリアを重ねていくにつれて、その頂点に達するまでは高まっていくわけなんでありまして、第2作以降のほうがあらゆる意味で上手になっていくんじゃないかと思うんですよ。もちろん、1stアルバムをうめるまでに頂点に達しちゃう人もいるのでしょうが、無論のこと、鬼束さんはそうではなかったのだと思います。波乱万丈の道行きは、まだ始まったばかり!

 さて、アルバムとしての前作『インソムニア』は、まさしく神がかった名曲『月光』を堂々とコンセプトの中心にすえ、過去作を羽毛田プロデュース体制で一新することによって、統一感の高い長編作品の様相を呈したわけだったのですが、作品同士でも強力なつながりがありました。キーワードとしてパッと思いつくのは3つ、「あなた」、「ひたすら受け身のわたし」、そして「いるのかどうかわからない GOD」です。これぞ、初期鬼束三身一体の構図なり!!
 『インソムニア』の楽曲は、『This Armor』と同じく10曲なのですが(プラス『月光』の別バージョン)、その中で「あなた」が歌詞に出てくるのは半分の5曲(『月光』や『眩暈』など)、はっきりとした二人称に向かって語りかけている形式の楽曲は2曲(『イノセンス』と『 call』)。これは、そ~と~に濃厚なふたりの関係ですよね。でも、ここで押さえておきたいのは、んまぁ~ものすごい勢いで一人称が語りかけ訴えかけているのにもかかわらず、それに対する「あなた」の具体的なリアクションが一切ないということなんです。わたしがこんなに血を吐くほどあなたを欲しているのに、あなたはなんにも答えてくれな~い! 遠藤周作の『沈黙』かチキショウメーイ!!
 そうなんです、「わたし」は、自分の思い通りの返事をしてくれない「あなた」を通して、「 I am GOD`S CHILD!」と自分に言い聞かせ信じても信じても、どこかでわずかに、そんなもんいないんじゃないかと疑ってしまう「 GOD」を重ねてしまっているんですね。この懊悩が、気分の浮き沈みこそあれ、ほぼ全曲に一貫していると。
 そしてまた、悩み苦しむがゆえに、

「あなたなら救い出して 私を」(『月光』)
「足りないなら 求めて」(『イノセンス』)
「行かないで 消えないで」(『 edge』)
「ねぇ 何か言って」(『 call』)
「 It pressed me It blamed me again and again」(『シャイン』)
「神様 あなたがいるなら わたしを遠くへ逃がして下さい」(『 Cage』)

 と、その場にとどまって「あなた」やら「 GOD」の助けを待ち続けている受け身のわたしが、やたらめったら出てくるのです。ただしそんな状態の中でも絶妙に気持ちだけは、

「 We can go to the place Where we`re forgiven」(『 We can go』)
「椅子を蹴り倒し席を立てる日を 願ってた」(『シャイン』)

 と希望を見出そうとすることもあったと。
 ただしそれも、「あなたを忘れる事で天にまで届く」(『螺旋』)という、かんなり無理ゲーな条件つきであり、結局は「今はあなたのひざにもたれ 悪魔が来ない事を祈ってる」(『眩暈』)という、「なんにも進まんのかーい!!」状態に落着するのでありました。

 なんなんだ、この鋼鉄のように貫徹された無限ループ感は……はたから見れば呆れてものも言えないウジウジ感なわけですが、それこそが、人間なんだなぁ!!
 それだけ自分の心を、血がにじむまでひたすら凝視し続けている……あの醒めた二重まぶたで!!
 その作品をもってアーティストの人間を語ることは厳禁なのを承知の上で言いますが、あの時の鬼束さんはまさしく、平成を代表する私小説家と言ってもよかったのではないのでしょうか。
 うむむ~、時あたかも21世紀になるかならないかという時代にあそこまで自分を見つめ、GODを追い求める。宮崎県出身の鬼束さんには、隠れキリシタンの血でも流れているのか!? 江戸時代ならしょっぴかれてお白州行きよ!!

 話が『インソムニア』にいきすぎてしまいましたが、ここまで完成度の高かった前作を受けて、そのほぼきっかり1年後に、きっかり10曲を収録して世に出た待望の第2アルバムこそが、この『 This Armor』だったというわけなのです。あの『月光』に匹敵する名曲『 infection』を擁して堂々の船出だったわけですが、そのプレッシャーもかなりのものだったでしょう。そのお味や、いかに!?

 アルバム『 This Armor』を聞いて浮かび上がってくるキーワードはすなはち、「ついに歩き始めたわたし」!

 前作『インソムニア』において、願うだけでなく具体的に実行に移せたわたしの最大の前進は、「足跡だらけの道など走るのはやめて 切らした息を元に戻すの」(『 BACK DOOR』)、つまりは「立ち止まる」にとどまるという徹底ぶりでした。しかもその後に目指す突破口を「 BACK DOOR(裏口)」って表現しちゃうんですから、後ろ向きにもほどがあるよ!!

 それがなんとまぁ、『 This Armor』ではどうだいあんた、

「ひとりきりでわたしは人魚へ この脚であなたなど褪せる程の楽園へ 必ずいけるから
 信じなくたって いい」(『 ROLLIN`』)
「あなたの放り投げた祈りで わたしは茨の海さえ歩いていける
 正しくなど 無くても」(『茨の海』)
「あなたのようには 決してならない」、
「『わたしならどうにでもなる』と 手あたり次第放り投げてみる
 この身体が血を噴き出す程 ぶつかれる壁があればいい」(『 everything,in my hands」)

 といった感じで、明らかにポジティヴな意思をもって、あんなに巨大な存在だった「あなた」の助けを拒むことだって辞さない覚悟で自立を始めようとするのです。これはものすんごい前進ですわ! このさい、「人魚なんだから尾びれじゃない?」という指摘は黙殺!! ほら、上半身が魚のタイプかもしんないし。
 ただ、さすがに『 This Armor』すべてがそうなわけでもなく、やはり鬼束ワールド特有の「ぶれ」でもってがっつりテンションを下げ、

「誰かの何かがトドメを刺すのを待ってるわたし」(『シャドウ』)
「あなたが触れないわたしなら 無いのと同じだから」(『流星群』)
「わたしの放った矢はあなたには刺さらなかったのに
 どうしてわたしの方が痛くて泣いてしまったのだろう」(『 Arrow of Pain』)

 と受け身だったり、あなたのノーリアクションに大きく心を揺さぶられるところも残ってはいるのですが、『シャドウ』も『 Arrow of Pain』も『インソムニア』時代かそれ以前の楽曲であるということですし、『流星群』もかなりおだやかな唄い方になっているので、むしろ『 This Armor』期の鬼束さんの変化を際立たせる効果にさえなっているのではないでしょうか。
 さらに新しいのは、

「 I wish you have peace of mind」(『 Our Song』)
「ただあなたができること かろうじて愛せること」(『 LITTLE BEAT RIFLE』)
「もう誰もあなたを攻めたりしない そんなの早く脱ぎな」(『 CROW』)

 と、ついにわたしの側からあなたに対して「こうして!」と行動をうながすメッセージを送っているということなのです。積極的ィイ。

 ご本人が語っておられる通り、鬼束さんは今回に限らずデビュー当初から、自分の肉体にまとわりつく重圧を表現する際に「鎖」(『月光』)、「両足につけた鉛」(『 BACK DOOR』)、「身体から零れ落ちたトゲ」(『 Cage』)、「サビついた怒り」(『螺旋』)と、やたらに金属的だったりとげとげしい物にたとえる手法を取っていたので、この『 This Armor』で出てくる鎧っぽい表現の数々も、特に目新しいことではありません。そういうとこがジャンヌダルクっぽいのかなぁ。でもマリア様じゃないんだよな、鬼束さんは。時代劇で細川ガラシャやったら、ハマったろうなぁ!! 家来の槍くらいでは死にそうにないけど。

 そして、鬼束さん本人は肯定も否定もしていないわけですが、アルバムの最後の『 CROW』で「脱ぎな」と言っている以上、心の鎧は、かの映画『ベルリン天使の詩』の天使のように、脱ぎ捨てるべきものだというメッセージを与えるんじゃなかろうかと。非常におだやか~な締めくくり方ですよね。『インソムニア』からの大いなる成長を感じさせる、日なたの温かさ、心地良さを思わせる余裕があることが、『 This Armor』の魅力の一面なんですよね。

 だが、しかし。
 『 This Armor』ぜんたいを聞き通すと、な、ぜ、か! 「ついに歩き始めたわたし」というワンテーマだけでは終わらない、何とも言えない「すわりの悪さ」が、このアルバムに通底していることも事実なのです。さっき言ったように初期の作品が紛れ込んでいることもそうではあるんですが、それ以上に、今までつづったようなリズムを決定的に狂わせてしまうような「異端の曲」がドスーンと入っちゃってるんですよ……

 そう、それこそが『 infection』なんです! それがなんてったって、このアルバム最大の名曲なんだもん、そりゃパワーバランス、ガッタガタですよ!!

 『 infection』はもう、わたし、わたし、わたし!! 救ってくれるあなたも GODもいない無明の深夜の世界。そして心の大爆発! はーへんがぁああ~!!

 鬼束さんよ……やっぱり、あなたはとんでもない天才なのだ、切れば熱い血潮が流れる、生身の人間でありながらも!!
 私には見える……体裁のいい、ケルトだかなんだかわかんない、ミョ~に耳ざわりのよろしい編曲にのせておだやかな表情で唄おうが、人の心の弱さを繊細に語る歌手と世間にちやほやされようが、そんなあれこれでは絶対に満たされない、グツグツとしたマグマがせり上がってくる業をおさえられない、桜島もビックリの活火山を、その身長150cm そこそこの肉体の内にかかえる、ひとりの女性の姿が!! ニコニコ笑いながらも、しだいに青筋がビキ、ビキ……とおったっていく、その阿修羅のごとき、鬼子母神のごとき、カーリー神のごとき、二律背反性!!

 矛盾こそが人間、矛盾こそが鬼束ちひろ!!

 結局、こんな鬼束さんがキリスト教にこだわっている時点で、遠からぬ先の破綻は間違いないわけなのでありまして。信じるものが唯一絶対神であろうが、少なくとも鬼束さんの中にいるのは、豊穣と災厄のどっちも気分次第でブチこんでくる「多神教的な神」、なのよねぇ。

 というわけでありまして、歴史的名曲『 infection』がありながらも……というか、それがあるがゆえに異様にムラのある異形のアルバムとなった『 This Armor』なのでありましたが、商業的な安心感を与えようとする羽毛田プロデュース体制と、それでも隠し切れない情念を間欠泉のように噴出させる鬼束さんとの、ちょっぴり危険な対立の萌芽も感じさせる1枚なのでした。これから一体、どうなるというのか!?

 さぁ、盛りあがってまいりました!!
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ごった煮! 裏プリキュアオールスターズ!!  《2007~2013年のあゆみ》

2015年02月25日 22時45分00秒 | アニメらへん
●「ダークプリキュア5」(シリーズで初めて登場した、プリキュアのゲスト敵キャラクター)
※映画『 Yes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険!』(2007年11月公開)より

 「プリキュア5」を元に、「鏡の国」の支配者シャドウが、鏡の国の「クリスタル」を利用して創りだした闇の戦士たち。シャドウの命に従い、プリキュア5を倒そうとする。
 シャドウから与えられた力をもち、疲労を感じることなく戦闘を続けることができる。自分たちの力に絶対的な自信をもち、それぞれ高い戦闘能力を有する。それゆえに友情を「弱い心」として否定する。黒を基調としたレザー系の衣装を着用している。

ダークドリーム …… 西村 ちなみ(37歳)
 キュアドリーム(夢原のぞみ)のコピーで、ピンク色のクリスタルと、のぞみのデータから誕生した存在。
 物語の序盤ではキュアルージュ、キュアレモネード、キュアミント、キュアアクアのデータを取るため、のぞみたちを観察する。その後はキュアドリームと対戦した。
 ダークプリキュア5の中で唯一、変身前の姿から誕生しているため、のぞみたちの笑顔に興味をもつ一面も見せる。感情的なタイプで、攻撃的な性格。オーソドックスな格闘術と、エネルギー弾を駆使して戦う。
 物語中盤では友情、仲間、笑顔という概念を理解できない苛立ちから、いつも笑顔でいるキュアドリームに憎しみをぶつけるが、仲間を信じ続けるキュアドリームの姿を見て、心に迷いが生じてゆく。結果としてキュアドリームの優しさに触れたことで和解し、ともにシャドウと対決する。
 クライマックスでは、シャドウの攻撃からキュアドリームをかばい、腹や胸を殴られたことでクリスタルが砕かれる。それまではどうすれば笑うことができるかを知らなかったが、最期はキュアドリームの腕の中で笑いながら消滅した。
 声を演じた西村ちなみは、後年のシリーズ第9作『スマイルプリキュア!』で、キュアビューティ(青木れいか)と、その偽物である「バッドエンドビューティ」を演じている。

ダークルージュ …… 長沢 美樹(37歳)
 キュアルージュのコピーで、オレンジ色のクリスタルから誕生した存在。
 傲慢な激情家で、「仲間や友人なんて面倒」、「一人なら我慢せず自由」と考え、仲間のために戦うキュアルージュを「世迷いごと」と切り捨てるも、キュアドリームの声で奮起したキュアルージュに追い込まれる。
 ホーミング弾や楕円型の大型弾といった多彩な能力を有し、遠距離の戦闘スタイルをとるが、最期はキュアルージュの「プリキュア・ルージュバーニング」をうけて消滅した。
 必殺技は、射程が広く連射性の高い炎のエネルギー弾を放つ「ダークネスファイヤー」。

ダークレモネード …… 釘宮 理恵(28歳)
 キュアレモネードのコピーで、イエローのクリスタルから誕生した存在。
 逃げ惑うキュアレモネードを追いまわし、容赦なく攻撃を加える残忍な性格の持ち主。「他人を喜ばせるのは得にならない」として、うららの夢を嘲笑する。
 蹴り技を軸にした近接戦闘と、脚から発する光線で中距離戦をこなす。また、クリスタルの力を使用して「歌」による攻撃もできる。
 クライマックスで、キュアレモネードに腹を攻撃された隙をつかれ、最期は彼女の「プリキュア・レモネードシャイニング」を受けて消滅した。
 必殺技は、三日月型のエネルギー波を脚から蹴りだす「ダークネスフラッシュ」。
 声を演じた釘宮理恵は、後年のシリーズ第10作『ドキドキ!プリキュア』で、キュアエース(円亜久里)を演じた。

ダークミント …… 皆口 裕子(41歳)
 キュアミントのコピーで、グリーンのクリスタルから誕生した存在。
 温厚なキュアミントとは正反対に冷酷で、好戦的な性格。「自分が大事」、「人を守る力は役にたたない」と考えているが、敵である自分さえも守るというキュアミントの優しさに、その冷たい心は大きく揺らぐ。
 防御能力に長けたミントとは対照的に、戦法は攻撃技の一辺倒。クリスタルの力を使用して、球体型のエネルギー波を放つ。
 最期はキュアミントの「プリキュア・ミントシールド」に敗れ、彼女に抱かれながら、「あなたのことも守りたかった。」という言葉に涙を流して消滅した。
 必殺技は、緑色の連発破壊エネルギー弾「ダークネススプレッド」で、キュアミントの「プリキュア・ミント・プロテクション」を軽々と蜂の巣にしていた。

ダークアクア …… 木内 レイコ(39歳)
 キュアアクア(水無月かれん)のコピーで、ブルーのクリスタルから誕生した存在。額を露出したロングのポニーテールをしている。
 キュアアクアの力を認めつつも、常に仲間と行動を共にするキュアアクアを侮蔑し、「弱い者ほど群れる」と罵倒する。排他的な一面以外は、性格はかれん自身に近い。
 ダークプリキュア5の中で唯一人武器を使用しており、ロッドや剣などを用いた荒々しい戦い方でキュアアクアをねじ伏せようとする。
 クライマックスで、キュアアクアに腹を蹴られた隙をつかれ、最期は彼女の「プリキュア・アクアトルネード」を受けて消滅した。


●ダークプリキュア(シリーズで初めて登場した、プリキュアのレギュラー敵キャラクター)…… 高山 みなみ(45歳)
※シリーズ第7作『ハートキャッチプリキュア!』(2010年2月~11年1月放送)より

 世界征服を企む謎の組織「砂漠の使徒」の総指揮官・サバーク博士の側近である、漆黒のプリキュア。グリーンのおかっぱの髪が特徴。一人称は「わたし」。
 頭部の左側に赤い花飾りをつけている。コスチュームはブラックのゴシックロリータ風で、胸元には力の源であるブルーのブローチをつけており、左手だけに黒い手袋をはめて、ロングブーツを履いている。
 冷静沈着な性格であり、任務も完璧にこなしている。そのため、砂漠の使徒の三幹部(サソリーナ、クモジャキー、コブラージャ)よりも地位は格上だが、三幹部からは快くは思われていない。サバーク博士を心の支えとし、彼への強い想いから「キュアムーンライト(月影ゆり)を倒し、自分が真のムーンライトになる」とする。
 右の瞳がゴールド、左の瞳がブルーのオッドアイであり、ふだん閉じている右の目を開くと衝撃波を放ち、技の威力が増強される。また、背中の左側だけに、飛行能力と防御能力を備えた黒い翼を生やしている。
 当初はキュアムーンライトを圧倒するほどの高い戦闘能力をもち、彼女を倒した際に手に入れた「プリキュアの種」のかけらを所持している。また、戦闘の際には専用の武器「ダークタクト」を使用する。
 主な攻撃技は、赤黒い花の形をしたエネルギー弾「ダークフォルテウェイブ」、フォルテッシモ記号のような形をした赤色のエネルギーで突撃する「プリキュア・ダークパワー・フォルティシモ」。
 放送第34話で復活したキュアムーンライトとの激闘に敗れて戦闘不能になるが、その後、培養カプセルによって目が両方ゴールドとなった完全体として復活し、さらに強大な力を手に入れた。
 その正体は、月影ゆりの肉体の一部とサバーク博士の研究技術によって創り出された人造生命体。ゆりの妹ともいえる存在だが、サバーク博士には「キュアムーンライトを倒すためだけに存在する、こころのない人形」と評されている。
 放送第47話でキュアムーンライトと再び死闘を展開するが、結果的に敗北する。続く第48話でも立ち上がって戦おうとしたが、洗脳が解けたサバーク博士(月影ゆりの父・月影博士)に抱きしめられながら「自分の娘だ」という言葉に笑顔をみせ、最期は光の粒となって消滅した。


●「ミラージュプリキュア」(TVシリーズで初めて登場した、プリキュアの分身)
※シリーズ第7作『ハートキャッチプリキュア!』(2010年2月~11年1月放送)より

 第37・38話(2010年10月放送)の、天空の城「プリキュアパレス」でプリキュアたちに与えられた試練において、キュアブロッサム・キュアマリン・キュアサンシャイン・キュアムーンライトの4名の前に現れた、それぞれの鏡像。

ミラージュブロッサム …… 水樹 奈々(30歳 キュアブロッサムと二役)
 花咲つぼみ(キュアブロッサム)自身の心の迷いを指摘する。髪は腰まで伸びた濃いマゼンタのロングヘアー。

ミラージュマリン …… 水沢 史絵(30歳 キュアマリンと二役)
 来海えりか(キュアマリン)の姉に対するコンプレックスを指摘する。髪は変身前のえりかに近いブルーのロングヘアー。

ミラージュサンシャイン …… 桑島 法子(34歳 キュアサンシャインと二役)
 明堂院いつき(キュアサンシャイン)が抑えていた自身の本心を指摘する。髪は腰まで伸びたイエローのロングヘアー。

ミラージュムーンライト …… 久川 綾(41歳 キュアムーンライトと二役)
 月影ゆりがパートナーだった妖精コロンを失った悲しみを指摘する。髪はキュアムーンライトと同様だが頭の花飾りがなく、色が暗くなっている。


○キュアフラワー / 花咲 薫子(シリーズで初めて登場した、元プリキュア)…… 坂本 千夏(51歳)
※シリーズ第7作『ハートキャッチプリキュア!』(2010年2月~11年1月放送)より

 変身する花咲薫子は、花咲つぼみ(キュアブロッサム)の父方の祖母にして、著名な植物学者。ソバージュの髪型が特徴。67歳。旧姓は五代(ごだい)。
 つぼみが通っている植物園の園長を務めている。また、最年少で「全日本空手大会」で優勝した経験をもつ。つぼみが幼いころ、両親が忙しい間は彼女がつぼみの世話をしており、つぼみの性格に少なからず影響を与えている。死別した夫との思い出がつまったラベンダーが好き。
 かつて若い頃にプリキュアであった、花咲薫子(はなさき かおるこ)が変身した姿。変身時の名乗りは「聖なる光に輝く一輪の花、キュアフラワー!」。
 ピンクのロングソバージュが特徴で、左右には花の髪飾りが施されている。エンブレムはキュアブロッサムたちと同様に胸の中央についているが、リボンではなくピンクのバラがあしらわれており、全身が薄いピンクの燐光に包まれている。飛行能力を持っており、自由自在に空中移動できる。その他、花びらによるバリアや光の網による拘束技など、様々な特殊能力を持つ。
 キュアムーンライトの前代にして、かつて「歴代最強」と謳われた伝説のプリキュアであり、シプレとコフレは今も薫子をそう呼んでいる。50年前に単独で、世界征服を狙う謎の組織「砂漠の使徒」と戦い、ハートキャッチミラージュの力で辛うじて、砂漠の使徒の王「デューン」を退けることに成功したが、その代償としてココロパフュームが壊れてしまい、その後は変身能力を失った。第44話『クリスマスの奇跡!キュアフラワーに会えました!』(2010年12月19日放送)において、クリスマスの夜だけに再び変身して若返った姿となり砂漠の使徒を圧倒したが、全盛期の力はすでに失われており、「フォルテウェイブ」などの浄化技を使う力は残されていない。現在は砂漠の使徒との戦いからは一線を退き、歴代のプリキュアたちが守ってきた、妖精たちを生み出す樹木「こころの大樹」の研究をしている。プリキュアでいることの辛さなどを理解できる、残された唯一人の存在として、つぼみたちを見守っている。
 1回のみながらも劇中で変身を披露したプリキュアであるが、「プリキュアオールスターズ」扱いはされていない。変身披露後に唯一出演したオールスターズ映画『 DX3』(2011年3月公開)でも変身せず、プリキュアたちの動向を見守り、応援しているだけであった。
 復活変身時に使用していた主な技は、敵の足下に円状のフィールドを展開し、フィールド内の花冠を高速回転させて敵を攻撃する「プリキュア・フラワーキャンドル」や、敵を包囲するように4枚の花冠を放ち、そこから自身の分身を出現させて攻撃する「プリキュア・フラワーカーニバル」。


○キュアアンジェ(シリーズで始めて登場した、故人のプリキュア)…… 声優なし
※映画『ハートキャッチプリキュア! 花の都でファッションショー…ですか!?』(2010年10月公開)より

 『ハートキャッチプリキュア!』の世界観において「初代プリキュア」とされている、片目を金髪のロングヘアーで隠した女性。ステッキと仮面を装備している。西洋甲冑風のコスチュームを身にまとっており、左肩に赤いバラがあしらわれている。また、天使の翼のような装飾が施されているティアラをつけている。
 400年前(17世紀初頭)に、砂漠の使徒の最初の大幹部「サラマンダー男爵」の出現に危機を感じた「こころの大樹」が、初めて生みだした存在。激闘の結果、サラマンダー男爵をフランスのモンサンミシェル寺院に封印することに成功している。
 変身者の本名や国籍および持ち技などはいっさい不明。「アンジェ」はフランス語で「天使」の意味。
 過去のイメージシーンと、サラマンダー男爵のセリフの中にのみに登場している。


○キュアエコー / 坂上 あゆみ(シリーズで初めて登場した、劇場版限定の公式プリキュア)…… 能登 麻美子(32歳)
映画『プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち』(2012年3月公開)より

 横浜に在住する女子中学生・坂上あゆみがキュアハッピーをかばって復活した悪意の塊「フュージョン」に飲み込まれた時、「フーちゃん(フュージョンのかけらのひとつ)に自分の本当の思いを伝えたい」というあゆみの心に呼応して、突如として誕生したプリキュア。
 変身前に比べて、髪のサイドポニーテールが大幅に長くなり、それを結っていた赤いヘアゴムが淡いピンクのリボンに変わっているほか、髪色と瞳もダークブラウンからゴールドに変化している。イメージカラーはホワイトで、アクセントとして若草色が入るほか、腰周りのリボンと肩周りは淡いピンクになっている。胸には「スマイルプリキュア」と同じブローチをつけているが色はプラチナであり、中の「P」はグリーンになっている。また、スマイルプリキュアとほぼ同形状の白のロングブーツを履いている。歴代公式プリキュアのように作中で明確な変身シーンや技を放つシーンは描かれていなかったが、変身解除後にキュアデコルに似た白いアイテム「エコーキュアデコル」があゆみの足元に落ちており、あゆみは後年の映画『 NewStage3』まで、これを所持していた。変身時のセリフは、「思いよ届け! キュアエコー!」。
 映画『 NewStage 』で「29人目のプリキュア」としてデビューしたが、次作『 NewStage2』では、プリキュアの総数はそれまでの TVシリーズの28名と、新参入の『ドキドキ!プリキュア』の4名を加えた「32名」と紹介されており、あゆみもワンシーンにセリフなしで登場するという扱いに留まっていた。
 次々作『 NewStage3』では再登場し、『 NewStage2』の主人公だった妖精グレルとエンエンの力でキュアエコーに変身したほか、必殺技「プリキュア・ハートフル・エコー」を新たに披露している。また、エピローグでは妖精界の「プリキュア教科書」にキュアエコーの項目が追加され、同時にグレルとエンエンがキュアエコーのパートナー妖精となった。しかし、その後のプリキュアオールスターズ関連の公式資料でも、キュアエコーはオールスターズにカウントされていない状況が続いている。


●「バッドエンドプリキュア」(TVシリーズで初めて登場した、プリキュアのゲスト敵キャラクター)
シリーズ第9作『スマイルプリキュア!』(2012年2月~13年1月放送)より

 放送第45・46話(2013年1月放送)に登場。バッドエンド王国の最高幹部・ジョーカーが、メルヘンランドの女王ロイヤルクイーンから盗んだ力の源「キュアデコル」と、部下の三幹部(ウルフルン、アカオーニ、マジョリーナ)から抜け出た「醜い心」を混ぜ合わせて創造した悪のプリキュア。
 自分だけの幸福を望み、他人の不幸を望む性格。なにもかもがプリキュアと正反対で、ジョーカーからは「戦闘マシーン」と呼ばれている。コスチュームや必殺技などは、暗い色に統一されている。

バッドエンドハッピー …… 福圓 美里(30歳 キュアハッピーと二役)
 キュアハッピーのコピー戦士。大量の岩石が空中を舞う空間を戦闘フィールドとしている。
 自身だけが幸福であればいいという思考を持ち、他人の不幸を喜び、世界中を不幸で満たすことに快感を感じている。必殺技は、キュアハッピーと同じようなエネルギーを放つ「バッドエンドシャワー」。指をハート型にして放つ破壊ビームも連射できる。
 キュアハッピーを不幸と絶望に陥れて倒そうとするが、未来を信じて前に進むキュアハッピーの「ハッピーシャワー・シャイニング」のパワーに圧倒されて消滅した。

バッドエンドサニー …… 田野 アサミ(25歳 キュアサニーと二役)
 キュアサニーのコピー戦士。炎が地平線に揺らめく空間を戦闘フィールドとしている。
 「すべてを焼き尽くす太陽」と自称し、「太陽はひとつでいい」という思考のもとにキュアサニーを襲う。また、友だちを必要のないものと考えている。キュアサニーと同じく関西弁で話す。必殺技は炎で突撃する「バッドエンドファイヤー」。また、足先から炎を噴射させて高速移動する能力も持つ。
 最期は「太陽はみんなを照らすもの」と語るキュアサニーの反撃をうけ、「サニーファイヤー・バーニング」で消滅した。

バッドエンドピース …… 金元 寿子(24歳 キュアピースと二役)
 キュアピースのコピー戦士。ラフレシアを中心に無数の不気味な花が咲く空間を戦闘フィールドとしている。
 ウソ泣きやだまし討ちを平然と行う卑劣な性格で、キュアピースの優しさを「キレイごと」と蔑む。必殺技はエネルギーを相手に落とす「バッドエンドサンダー」。また、雷撃の連射も得意とする。
 キュアピースを追いつめるが、平和を願うキュアピースの「ピースサンダー・ハリケーン」に敗れて消滅した。

バッドエンドマーチ …… 井上 麻里奈(27歳 キュアマーチと二役)
 キュアマーチのコピー戦士。雲の上に巨大な植物が弧を描く空間を戦闘フィールドとしている。
 邪魔者は踏みにじり、強い者が弱い者を痛めつけることを「直球勝負」だと豪語する凶悪な性格。また、戦いの最中によそ見すら許さない戦闘狂。必殺技は、巨大な球体エネルギーを相手にぶつける「バッドエンドシュート」。また、キュアマーチを上まわるスピードと脚技を得意とする。
 キュアマーチに負けを認めることを強要するが、絶対に諦めない覚悟を決めたキュアマーチに自身の「バッドエンドシュート」を「マーチシュート・インパクト」で蹴り返されて消滅した。

バッドエンドビューティ …… 西村 ちなみ(41歳 キュアビューティと二役)
 キュアビューティのコピー戦士。鋭い氷の柱が並びたつ月下の空間を戦闘フィールドとしている。
 美しさを正義とし、醜い者や見苦しい者は存在する価値すらないと断じる冷酷な性格。キュアビューティに対して「ビューティ」を名乗る資格はないと言い放ち、攻撃する。必殺技は、無数の結晶を空中に発生させて攻撃する「バッドエンドブリザード」。また、氷の剣を武器にして戦う。
 最期は本当の「美しき心」を持つキュアビューティに敵わず、「ビューティーブリザード・アロー」で射抜かれて消滅した。


○キュアセバスチャン / セバスチャン(シリーズで初めて登場した、男性の人工プリキュア)…… 及川 いぞう(53歳)
※シリーズ第10作『ドキドキ!プリキュア』(2013年2月~14年1月放送)より

 大企業グループ「四葉財閥」を経営する四葉家の筆頭執事であり、四葉財閥総帥・四葉星児の一人娘・四葉ありす(キュアロゼッタ)の右腕。右目に片眼鏡をかけており、白髪のオールバックに長いカイゼル髭と、左右に伸びる長いあご髭が特徴の老人。いつもありすの傍について、その指示を忠実にこなす。ありすを幼少の頃から支えており、それゆえに彼女からの信頼も厚く、プリキュアたちの正体も聞かされている。
 その仕事は四葉財閥だけでなくプリキュアたちのサポートにも渡り、ジコチューからの避難誘導やプリキュアの秘密を守る役目も担うほか、第25話『華麗な変身!ニューヒロイン登場!?』(2013年7月21日放送)では、戦いが激化していくありすの身を案じ、独自に人工のプリキュア変身ツール「ラブリーコミューン」を製造して、自身が人工のプリキュア「キュアセバスチャン」に変身して、プリキュアたちに加勢しようとした。男性がプリキュアに変身したのはシリーズで初めてだが、あくまで妖精の力を借りない人工の技術であるため、正式なプリキュアになったわけではない。
 全身がブラックのプロテクターとマントで覆われ、かろうじてセバスチャンの口元と目だけが露出しているその格好にプリキュアの要素は無く、むしろアメコミのバットマンのコスチュームによく似ている。胸にイエローのマークがついている。
 開発者でもあるセバスチャン自らが「上々」と満足するほどの俊脚と、身体の各所に違和感を感じさせない完成度の高い設計、直径数メートルの巨大なクレーターを地面に作るほどの攻撃技「プリキュア・セバスチャンアタック」を披露するなど、人工コミューンの開発は見事に成功していたが、セバスチャンの老体には厳しいのか、体力消耗が激しかった。
 しかし、性能テストが成功に終わったその直後に、人工コミューンがジコチューの大幹部マーモの手に渡ったため、キュアセバスチャンに変身した時間はごくわずかとなってしまった。


●キューティマダム / マーモ(シリーズで初めて、敵幹部が一時的に変身した悪の人工プリキュア)…… 田中 敦子(50歳)
※シリーズ第10作『ドキドキ!プリキュア』(2013年2月~14年1月放送)より

 地球征服を企む謎の組織「ジコチュー」の大幹部「ジコチュートリオ」のひとりで、グラマラスな美女。基本的にロシア帽をかぶり(夏にはつばの広い帽子をかぶることもある)、右半分がダウンジャケットで左半分がノースリーブになっている上着を着ている。一人称は「わたし」。
 目的のためなら卑怯な手段を使ったり、仲間をだし抜くことも辞さず、同じジコチュートリオのイーラからは悪態をつかれている。常に余裕のある態度を崩さないが、ジコチューの王女・レジーナに「オバサン」呼ばわりされると憤慨して冷静さを失うこともある。名前のモチーフは、七つの大罪の「強欲」を司る悪魔マモンからとられている。
 普段はジコチューのアジトでジュースや菓子を食べている。得意料理は野菜炒め。美容に気をつかっており、顔にひとつ吹きでものができただけでショックをうけるほどである。
 戦闘の際にはムチを武器としており、強風を発生させる攻撃も駆使する。
 放送第25話で、四葉家筆頭執事セバスチャンが開発した人工コミューンを手に入れて自ら「キューティーマダム」に変身する。変身時の決めゼリフは、「みなぎる美しさ!キューティーマダム!」。
 ジコチューを誕生させる通常通りの活動のほかに、困っている人を助けてテレビに出演したりヒーローショーに乱入したりと、自己顕示欲を満たすために謎のヒーローとして好き放題に活躍していたが、結局、彼女が解決したトラブルのすべてが、影で彼女自身が引き起こしていた自作自演であったことが暴かれる。しかし、一時は新聞に掲載されるほどの大きな注目を浴びていた。
 基本的に中身の性格は全く変化しておらず、偽ヒーローとしての活動中に同輩である大幹部グーラの生み出したジコチューを攻撃するなど、ジコチュートリオとして仲間割れしやすい関係はそのままだった。その後、本物のプリキュアたちと戦った末に人工コミューンが破壊されてしまい、元のマーモの姿に戻った。
 変身後も、顔は赤い仮面で目の周辺を隠しているだけであるため、明らかにマーモであることがわかる。コスチュームは、ピンクの大きなスカートとブラックのロングタイツ、エナメルの赤いグローブ。胸には、キュアセバスチャンと同様にイエローのマークがついている。
 なお、キューティマダムのコスチュームの配色や形状、黒タイツの着用などは、同じく前身が悪の組織の大幹部だった『フレッシュプリキュア!』の「キュアパッション」にかなり共通するものがある。


○1万年前のプリキュアたち(TVシリーズで初めて登場した、故人のプリキュア)
※シリーズ第10作『ドキドキ!プリキュア』(2013年2月~14年1月放送)より

キュアエンプレス …… 飯塚 雅弓(36歳)
 第30話『最後の試練!伝説のプリキュア!』(2013年9月1日放送)で、妖精メランによって存在が語られた、1万年前の地球で活躍したプリキュアの1人。
 ピンクの瞳とグリーンの髪が特徴で、コスチュームは白地にピンクの装飾という組み合わせ。変身前の姿や本名は不明である。三種の神器のひとつ「水晶の鏡(マジカルラブリーパッド)」を武器としていた。
 1万年前に宇宙を支配していた闇の権化「プロトジコチュー」と戦った。どんなに絶望的な状況でも決して諦めず、何度でも立ち上がる性格であったという。また、1万年前のプロトジコチューに勝利する高い戦闘能力も併せ持っていた。
 名前の由来はタロットカードの「女帝」からきている。

メラン …… 松岡 洋子(58歳)
 第30話に登場。1万年前の地球でキュアエンプレスのパートナーをしていた妖精。
 1万年前のプリキュアたちが使用していた「三種の神器」のひとつである「水晶の鏡」を、孤島の洞窟で守り続けていた。
 普段は亀の老婆のような姿をしているが、変身するとドラゴンになり、戦闘力もプリキュアたちを圧倒するほど強力になる。キュアハートらプリキュア4名の合体必殺技「プリキュア・ラブリーフォースアロー」と、キュアエースの「エースショット」の同時攻撃でも破れないバリアを展開することができる。
 気難しい性格で、当初はまだ未熟だったマナたちを信頼していなかったが、プリキュアたちとの戦いを通じて、キュアハートにかつてのキュアエンプレスの面影を感じたことで、次第に彼女たちを認め、結果として水晶の鏡を託した。
 マナに協力を頼まれるが、「あたらしい時代は、おまえたちで切り開いてこそ価値がある。」と語り、現代のプリキュアたちとの共闘は断った。

キュアマジシャン …… 声優なし
 三種の神器のひとつ「光の槍(ミラクルドラゴングレイブ)」を武器とする、赤いプリキュア。本編ではシルエットのみでの登場で、詳しい情報は語られていない。
 名前の由来はタロットカードの「魔術師」からきている。

キュアプリーステス …… 声優なし
 三種の神器のひとつ「黄金の冠(エターナルゴールデンクラウン)」を武器とする、水色のプリキュア。本編ではシルエットのみでの登場で、詳しい情報は語られていない。
 名前の由来はタロットカードの「女教皇」からきている。



 ということで、後半……というか、『ハピネスチャージプリキュア!』のみなさん編に続く~。
 シリーズ第3作目のあのお2人は、よくよく考えた上で割愛させていただきました……う~む、難しいもんだのう!!
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吹雪の真冬に、なぜ!?  ~今さら、つのだじろう『学園七不思議』を読む~

2015年02月19日 23時05分00秒 | マンガとか
つのだ じろう(1936年7月3日生まれ)とは


 つのだじろうは、日本のマンガ家、心霊研究家。東京府東京市下谷区豊住町(現・東京都台東区下谷)出身。血液型は O型。四弟のつのだたかしはリュート奏者、末弟のつのだ☆ひろはミュージシャンである。

 東京の下町に育つが、小学2年生の時に家族で福島県に疎開。戦後の中学2年生のおり東京に戻り、新宿区立淀橋中学校、東京都立青山高等学校卒業。
 高校在学中にマンガ家の島田啓三(1900~73年 代表作『冒険ダン吉』)に師事し、1955年、月刊マンガ雑誌『漫画少年』に『新桃太郎』が掲載されマンガ家デビュー。この作品はわずか3ページの短編であるが、師である島田から何度も書き直しを命じられ、苦心の末に投稿を許されたものだという。
 やがて「新漫画党」(寺田ヒロオ、藤子不二雄ら)に入党。豊島区のトキワ荘に通うこととなる。当時は生真面目な青年で、トキワ荘仲間の活動方針の違いに激怒し抗議文を書いて飛び出すが、藤子不二雄(藤本弘)から返書をもらい、心機一転。彼らのマンガに対する情熱を目の当たりにし、それからはトキワ荘の「道楽派」になったという。
 デビューから3年後に UFOを目撃し、趣味でオカルトを研究し、日本の心霊研究の第一人者となる。
 月刊少女マンガ雑誌『りぼん』(集英社)に連載された『ルミちゃん教室』(1958年)の初ヒット以後、初期は主としてギャグマンガを執筆していた。『忍者あわて丸』(1965~68年 TVアニメ『ピュンピュン丸』の原作)、『空手バカ一代』(1971~73年)などのヒットを飛ばす。その後は『うしろの百太郎』(1973~76年『週刊少年マガジン』連載)や『恐怖新聞』(1973~76年『週刊少年チャンピオン』連載)などのオカルトホラーマンガで一大ブームを巻き起こした。
 オカルト、恐怖怪談系の作品の他にも、極真空手の世界を描いた『空手バカ一代』や、本格将棋マンガの草分けとなった『5五の龍』(1978~80年)、様々な女性たちの運命をリアルに描いた『女たちの詩』シリーズ(1971~73年)などがある。ギャグからシビアな作風、少年・少女向けから大人向けまでと、オールラウンドで活躍するマンガ家である。
 作品に対しては「恐怖マンガとしての表現」の範囲でエンターテインメント性を重視するが、心霊研究に関しては、単なる興味本位での「心霊スポット巡り」や「こっくりさん」といった、霊を弄ぶような行為に警鐘を鳴らし続けた。「先祖を大切にすること」や「守護霊の存在」といったテーマを、マンガや著作、出演する TV番組や講演などで常に訴え続けている。また「超能力・霊能力」の実証研究や分析も行っている。
 将棋アマ4段、スキー1級、書道三段、催眠術、空手、剣道、浮世絵春画収集など多趣味で知られている。


ホラーマンガ『学園七不思議』

 『学園七不思議』は、つのだじろうが1986~1989年に、少女向けホラーマンガ雑誌『月刊サスペリア』(秋田書店、2012年休刊)で連載したホラーマンガ。全28話。
 連載開始当初は、舞台となる中学校や高等学校が毎回変わり、体験者(主人公となる生徒)の告白によって物語が展開されていく、一話完結形式の実録投稿怪談ふうの連作となっていたが、のちに第8~14話が「青嵐学園編」(主人公・一条みずき)、第15~21話が「赤尾学園編」(主人公・二条みずほ)、第22~28話が「黄泉学園編」(主人公・三条みずえ)となり、舞台となる学校と語り手が固定され、それぞれの学校で発生した七不思議が各話で語られていくという形式になった。
 なお、第8話以降は架空の高等学校を舞台にしたフィクション形式となっているが、第20話『書道室』や第25話『霊媒体質』では、作者に投稿された体験談を元にしていると明言されている。

第1話『君の名は……』    舞台・K市北浦女子高等学校、主人公・長尾しのぶ(1年C組)
第2話『給食の栄養』     舞台・ある公立中学校、主人公・浜田美和(2年B組)
第3話『黒板になにかが!?』 舞台・私立日塔学園中学部、主人公・増尾美鈴(2年 A組)
第4話『花ことばの怪』    舞台・私立東都女子中学校、主人公・花輪みどり(園芸クラブ部員)
第5話『地底からの声』    舞台・東堂学園、主人公・小池由貴(3年C組)
第6話『一番奥の扉』     舞台・青蓮学園、主人公・本間美也子
第7話『狐火』        舞台・言及されず、主人公・中村ミドリ


TV アニメシリーズ『ハイスクールミステリー 学園七不思議』

 『ハイスクールミステリー 学園七不思議』は、つのだじろう原作のホラーマンガ『学園七不思議』をアニメ化した TVシリーズであり、学校や日常生活にまつわる心霊現象を扱ったホラーアニメ作品である。全41話。1991年4月~92年3月にフジテレビ系列で毎週金曜日16時~16時30分に放送された。
 第1~21話は1話完結形式のエピソードだが、第22~24話は3話完結構成となっている。原作マンガ全28話中23話がアニメ化されており、アニメオリジナルのエピソードも18話制作されている。
 物語の主人公は、全話で一貫して原作マンガの「青嵐学園編」の主人公・一条みずきに統一されているが、「青嵐学園編」以外の原作エピソードも数多くアニメ化されており、学校も「黄泉学園」に変更されている。
 原作マンガでは、舞台となる学校を変えてそれぞれの「七不思議」を語っているが、アニメ版では舞台が一貫して黄泉学園のみになっているため、「七不思議」どころではない数の怪奇現象が学園で発生しているという事態におちいっている(逆に、黄泉学園に直接の関係のない舞台で発生した怪奇現象をテーマとするエピソードも少なくない)。

 なお、つのだじろうのマンガ作品がアニメ化されたのは、『空手バカ一代』(1973~74年)以来17年ぶりのことであった。


あらすじ
 黄泉(こうせん)学園に通う女子高生・一条みずきが、学園内で起こるさまざまな心霊・怪奇現象を経験していく。学園内の伝説や噂、事故、自殺、いじめ、恨み、悩み、恋愛など各話のテーマは多様で、自殺や事故が非常に多い学園で悲惨な結末に終わるエピソードが多い。
 エピソードの中には、展開が原作マンガから大きく変わっているものがある。


主な登場人物
一条 みずき …… 富沢 美智恵(29歳)
 物語の主人公。黄泉学園に通う元気で明るい女子高生。興味本位で心霊現象に関わろうとすることが多く、それが引き金となって大事件を起こしてしまい、よく南郷に咎められる。
 非常に霊感が強く、幽霊に取り憑かれやすい体質の持ち主。レンタルビデオ店でアルバイトをしている。
※原作マンガにおける一条みずきは、「私立青嵐学園2年 A組の生徒」という設定になっている。
※原作マンガでみずきや月影明子が通学する私立青嵐学園は、校舎から歩いて10分ほどの距離に外房線が通っている、太平洋と切り立った崖のような山「金槌山」に挟まれた町にあると描写されていることから、「千葉県南部の房総半島東沿岸」に存在すると推測される。

月影 明子(つきかげ めいこ)…… 本多 知恵子(28歳 2013年没)
 黄泉学園の3年生で一条みずきの先輩。お寺の娘で幼いころ霊能力に目覚める。非常に冷静沈着で、周りから信用されている。「月影先輩」と呼ばれている。バイクを乗りこなす。
 ※原作マンガにおける月影明子は、「私立青嵐学園1年C組の生徒」という設定であり、先輩であるみずきに対しては敬語を使っている。

南郷 涙子(なんごう るいこ)…… 川島 千代子(36歳)
 霊に関する相談から退治までこなす霊能者。みずきや月影が困難に陥ったとき最も頼りになる人である。未婚でマンションに一人暮らし。かつて婚約者がいたが強盗に殺害された。
 婚約者の形見であるオープンカーを乗り回す。落ち着いた性格だが、霊魂の存在を否定したり軽視する者がいると激昂する。
※原作マンガにおける南郷涙子は、「黄泉学園編」の後半エピソードに登場するため、みずきや明子との共演はない。
※原作マンガにおいて、婚約者などの南郷の周辺に関する詳しい情報は語られていない。
※原作マンガでみずきと明子が活躍する「青嵐学園編」に南郷涙子は登場しないが、明子とマンションで同居している元霊媒師の祖母が南郷の役割を果たしている。

石沢 まきえ …… 青羽 美代子(29歳)
 みずきの親友。学園内の噂に詳しく、情報通。まきえの持ち出した情報からみずきがトラブルに巻き込まれることが多い。
※原作マンガに石沢まきえは登場しないが、同じようにみずきの親友である、ツインテールにリボンをつけた同級生が登場する(名前は不明)。

後藤 のりこ …… 金丸 日向子(24歳)
 みずきの親友。ギャル口調でお茶目な女子高生。
※原作マンガに後藤のりこという名前の人物は登場しないが、同じようにボブカットをしたみずきの親友が登場する(名前は不明)。

河合 ゆかり …… 三石 琴乃(23歳)
 みずきの親友。メガネっ娘。一番の怖がり。食べ物の話題がすき。
※原作マンガに河合ゆかりという名前の人物は登場しないが、同じようにメガネをかけたみずきの親友「マッチョン」(本名不明)が登場する。


主なスタッフ
監督   …… 三沢 伸(29歳)
作画監督 …… 金沢 比呂司
音楽   …… りゅう てつし(エンディングテーマのみ見岳章)
音響監督 …… 三間 雅文(28歳)
制作   …… フジテレビ、スタジオコメット
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最近の悪いもんは、どうなっとるのかねぇ~チミ!  ~オール仮面ライダーシリーズ復習、6時間目~

2015年02月11日 22時51分39秒 | 特撮あたり
映画『仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z 』(2013年4月 92分 東映)


 映画『仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z 』は、特撮 TVドラマシリーズ『仮面ライダー』シリーズ、『スーパー戦隊シリーズ』、『メタルヒーローシリーズ』の劇場版作品。

 前作『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』(2012年)に続く、仮面ライダーシリーズ・スーパー戦隊シリーズの両シリーズが共演するクロスオーバー作品『スーパーヒーロー大戦シリーズ』の第2弾。
 本作では、上映当時の最新作である『仮面ライダーウィザード』と『獣電戦隊キョウリュウジャー』に加え、『宇宙刑事シリーズ』を中心とした『メタルヒーローシリーズ』のヒーローも登場する。また『仮面ライダーフォーゼ』の劇場版シリーズ2作でリファインされた、東映ヒーローの「宇宙鉄人キョーダイン」と「イナズマン」も再登場する。全ての仮面ライダーとスーパー戦隊が登場することを強調していた前作とは異なり、本作では「野獣系ヒーロー」や「宇宙系ヒーロー」といった、モチーフや装備が共通している一部のメンバーの登場に留まっており、本作に登場していないシリーズ作品も多い。
 物語の中心を担うのは十文字撃(宇宙刑事ギャバン typeG )、『海賊戦隊ゴーカイジャー』の伊狩鎧(ゴーカイシルバー)、『特命戦隊ゴーバスターズ』の宇佐見ヨーコ(イエローバスター)、操真晴人(仮面ライダーウィザード)の4名であり、そこに仁藤攻介(仮面ライダービースト)や日向快(宇宙刑事シャリバン)、それにキョウリュウジャーの5名も交える形で、それぞれの視点から物語が描かれている。また、本作は『ゴーバスターズ』の最終回以降の後日談にもなっている。
 全国289スクリーンで公開され、2013年4月27・28日の初日2日間で興行収入約2億3千万円・動員約20万人を記録し、映画観客動員ランキングで初登場第3位を獲得した。最終興行収入は約9億4千万円。


あらすじ
 かつて仮面ライダーたちと戦ったショッカーが、魔法の力を得た宇宙規模の組織「スペースショッカー」として復活した。スペースショッカーは全宇宙を征服するため、まずは地球に狙いを定める。
 一方、地球では操真晴人(仮面ライダーウィザード)が、白銀のコンバットスーツ戦士・十文字撃(宇宙刑事ギャバン type-G)から攻撃を受けていた。戦闘の中でギャバンはウィザードに対する誤解を解くが、その後邂逅した伊狩鎧(ゴーカイシルバー)と共に、晴人は撃から衝撃の事実を教えられる。それによれば、宇宙各地では魔法の力が同時多発的に暴走しており、地球はもちろん宇宙全体も破滅の危機にあると言うのだ。終末のカウントダウンが刻一刻と迫りつつある中、晴人と撃たちは事件の解決にあたることとなった。
 そのころ、エネルギー管理局・特命部の特命戦隊ゴーバスターズの宇佐見ヨーコ(イエローバスター)が見つけた小型ロボット・サイコロンは事件に何か関係があるのか、スペースショッカーの大首領はどこにいるのか。背後に見え隠れする、宇宙刑事シャリバンによって滅んだはずの宇宙犯罪組織マドーの影もちらつく中、仮面ライダー・スーパー戦隊・宇宙刑事たちは力を合わせ、全宇宙の平和を乱す真の巨悪に挑んでいく。


主な登場キャラクター・用語
十文字 撃 / 宇宙刑事ギャバン type-G …… 石垣 佑磨(30歳)
 映画『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE 』(2012年)で初登場。地球人であり、元サイドカーレーサーで宇宙飛行士。日本製スペースシャトル「かなた」の事故で一条寺烈に助けられ、その後、銀河連邦警察で1年に及ぶ訓練をへた末、正式任命ではないもののコードネーム「ギャバン」の名を継ぐ。「光を超えるぜ。」を口癖としている。
 本作では主人公格のひとりとして登場。一条寺烈から、「魔法使い」である晴人たちを攻撃するように命令されるが、戦闘中に誤解を解き変身を解除、晴人に重要な事実を伝える。このことが原因で、一時宇宙刑事の身分を剥奪され「蒸着(変身)」ができなくなる。

シェリー …… 森田 涼花(20歳)
 銀河連邦警察の最高責任者であるコム長官の姪。当初は一条寺烈のパートナーだったが、のちに十文字撃のパートナーとなる。
 性格は勝ち気で、行動派。潜入捜査も積極的にこなす。従姉(コム長官の娘)のミミー同様に、胸のペンダントに仕込まれた「レーザービジョン」の能力で、インコの姿に変身できる。また、その目には敵の幻惑術を見抜く能力がある。
 シェリーを演じる森田涼花は、本作では「花織ことは(シンケンイエロー)」と2役を演じている。

一条寺 烈 …… 大葉 健二(58歳)
 元・宇宙刑事ギャバン。本作ではギャバンの名を十文字撃に譲り、銀河連邦警察の隊長となっている。宇宙を救うため、撃(宇宙刑事ギャバン type-G)に、「魔法使い」である晴人たちを攻撃するように命令する。物語の中で、地球を超次元砲で消滅させる決断を迫られる。

日向 快 / 宇宙刑事シャリバン(2代目)…… 三浦 力(29歳)
 映画『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE 』で初登場。かつて宇宙刑事アランが担当していたビーズ星を担当していた。赴任地のビーズ星から帰還すると、いったんは宇宙刑事シャイダーと共に地球担当を命じられるが、その後、撃の任務継続が決定したため白紙となった。
 本作では、撃の代わりに魔法使い討伐の命令を受け、終盤でシャイダーと共闘する。

宇宙刑事シャイダー(2代目)…… 岩永 洋昭(声の出演 33歳)
 映画『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE 』で初登場。日向と組んでビーズ星を担当していた宇宙刑事。日向と行動することが多く、いったんは撃に代わって日向と共に地球担当を命じられるが、彼の任務が継続されることになったため白紙となった。「年齢32歳」と、3名の中では最も先輩にあたる。
 本作では「赤射蒸着(変身)」したコンバットスーツ姿のみで登場し、終盤でシャリバンと共闘する。

サイコロン …… 水樹 奈々(声の出演 33歳)
 スペースショッカーとマドーから逃げ、ヨーコに助けられた球体状のロボット。語尾に「コロン」をつける。当初は記憶喪失で、徐々に記憶を取り戻すが、その正体は魔王サイコの頭脳の一部だった。デザインは篠原保。

宇宙犯罪組織マドー
 かつて宇宙刑事シャリバン(伊賀電)が壊滅させた、巨大な宇宙犯罪組織。本作品における魔法暴走の元凶であり、首領である魔王サイコを甦らせ、「幻夢界」と呼ばれる異次元空間に浮かぶ幻夢城を拠点に、全銀河の征服を再び目論む。
 組織名は原典に準じているが、構成員の大半はスーパー戦隊と戦った悪の組織が占めている。

魔王サイコ …… 飯塚 昭三(声の出演 79歳)
 マドーの首領。金色の甲冑で全身を覆い、幻夢城の広間中央の玉座に仏像のごとく座っているが、城と一体化しているらしく、玉座から離れて動くことはない。
 抑揚のないかすれた声で指令を出し、普段は一切の感情を見せず冷徹な無表情の顔をしているが、時おり目を光らせて牙をむき出しながら「カオーッ!」という奇怪なうなり声を発する。恐るべき強大な念動力を持ち、巨大な電子頭脳を用いて幻影や高圧電流を発生させることもできる。目からは強力な破壊光線を出す。
 電子頭脳が唯一の弱点で、原典の『宇宙刑事シャリバン』(1983~84年)時に、一度は軍師レイダーの謀反によって機能停止に追い込まれるも、分身サイコラーの力によって復活し、逆にレイダーを返り討ちにした。最終話でサイコラーと共に宇宙刑事シャリバンとギャバンと対決するが、魔王サイコはシャリバン・クラッシュ、サイコラーはギャバン・ダイナミックを受けて絶命。幻夢城も爆発してマドーは壊滅した。
 本作では、超次元砲の爆破エネルギーを利用して復活し、以前よりも巨大な姿となった。下半身が幻夢城そのものと一体化している。数々の超能力を駆使して、キョウリュウジンを追いつめる。デザインは篠原保。

軍師レイダー …… 本田 博太郎(62歳)
 死霊界から来たと名乗る軍師。原典『宇宙刑事シャリバン』では、突如として幻夢城に出現し、マドーに協力を申し出、魔王サイコに実力を認められてマドーの指揮官となった。
 強力な超能力を持ち、エクトプラズムや幻影を発生させることができシャリバンを徹底的に苦しめた。首は分離することが可能で、相手に乗り移ることができる。
 しかし、その真の目的は魔王サイコを抹殺してマドーを乗っ取ることであり、そのために邪魔な存在であった大幹部ガイラー将軍を前線から外れるように仕向けるなど、陰で暗躍していた。そして魔王サイコと対決し、電子頭脳を機能停止に追い込んでサイコを活動不能にさせたが、その直後に現れたサイコの分身サイコラーによってサイコが復活し、サイコラーにも全ての攻撃を跳ね返された末にあえなく絶命した。シャリバンが一度も勝てなかった敵であるが、レイダー自身は、シャリバンと直接対決させられ相討ちになる可能性を危惧して意図的に避けていた。
 本作では、再びマドーの軍師にして物語の黒幕として登場。幻夢城に来る者は誰であろうと「ウェルカム!」と出迎える。大鎌を武器としており、念力で操って敵を攻撃するほか、大鎌から光線を放って敵を宙づりにすることや、大鎌を回転させて巨大な竜巻を発生させることもできる。原典からは衣装や鎌の形状にアレンジが加えられており、英語を交えたテンションの高い喋り方をする。

スペースレイダー
 軍師レイダーが獣電戦隊キョウリュウジャーと仮面ライダーウィザードに一度倒された後に、超次元砲の爆破エネルギーを利用して復活した怪人態。軍師レイダーの時にも持っていた大鎌を武器とする。デザインは篠原保。

スペースショッカー
 歴代仮面ライダーが戦った悪の秘密結社ショッカーが、マドーによって魔法の力を得て、再構成した組織。
 初代ショッカーからゾディアーツまでの歴代組織の怪人で構成されており、初代ショッカー出身の改造人間が主だった行動隊長の役割を持つ。また、キョーダインを除く幹部たちは配下の怪人を従えている。
 本作のスペースショッカーは宇宙犯罪組織マドーの下部組織という立場にあまんじており、少なくとも本作の時点では独立性はない。また、「大首領シャドームーン、大幹部イカデビル」という体制から、本作のスペースショッカーは、前作『スーパーヒーロー大戦』(2012年)での大ショッカーよりも、むしろ『仮面ライダーディケイド』シリーズ(2009年)での大ショッカーが復活したもの、と解釈したほうが自然のような構成になっている。

シャドームーン …… てらそま まさき(声の出演 50歳)
 本作では、スペースショッカーの実質的な大首領として登場。宇宙犯罪組織マドーの軍師レイダーと結託して、魔王サイコの片割れであるサイコロンを探すために暗躍している。また、レイダーによって悪の魔力を注入されてさらにパワーアップしている。
 幻夢城での決戦では、サイコロンを連れてきた特命戦隊ゴーバスターズを相手に、3対1ながらも圧倒的な戦闘力を発揮する。最終決戦では集結したスーパーヒーローたちの動きを「シャドービーム」で止めたり、獣電戦隊キョウリュウジャー5名に対しても猛威に振るうが、キョウリュウジャーの「獣電ブレイブフィニッシュ」と「シャドービーム」の撃ち合いに敗北して爆死した。劇中では、主にスーパー戦隊と戦っている。
 本作ではアークオルフェノク、バットファンガイア、サジタリウス・ゾディアーツといった、歴代平成ライダーシリーズでの最強クラス怪人を配下にしていた。

キョーダイン
 アリシア連邦で開発された宇宙鉄人の兄妹。自らの意思に目覚め、人類への反逆を企てる。映画『仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!』(2012年)で初登場し、仮面ライダーフォーゼに敗れた。 
 本作では、スペースショッカーが引き起こした魔法の暴走現象によって復活を果たし、2体ともにスペースショッカー幹部となる。
 原典は『宇宙鉄人キョーダイン』(1976~77年)のグランゼル・スカイゼル兄弟だが、本作では兄妹という設定になっており、原典との直接の関係もない。

グランダイン …… 岡田 浩暉(声の出演 47歳)
 コズミックエナジーを利用して開発した宇宙鉄人の1体。
 自分たち以外の存在を見下し、排除しようとする冷酷極まりない性格であるが、妹であるスカイダインにだけは愛情を寄せている。剛力で敵を攻めるパワーファイターで、腕部にビーム発生器「グランブラスターX」を内蔵している。

スカイダイン …… 木下 あゆ美(声の出演 30歳)
 兄・グランダインと同様に開発された宇宙鉄人の1体。
 グランダインと共に自らの意思に目覚め、人類への反逆を企てる。スピードとテクニックに優れており、両腕には折り畳み式のカッター「スカイカッター」を内蔵している。

スペースイカデビル …… 関 智一(声の出演 40歳)
 スペースショッカー大幹部。初代ショッカー大幹部・死神博士の正体であるイカデビルが魔法の力を得て復活しパワーアップした姿。
 原典と同様に、両腕の触手を伸ばして敵を締めつけたり、ムチのように打ちのめすことができる他、魔法の力で空間を瞬間移動することもできる。両腕の触手で2人の敵を締め上げ、お互いを叩きつける「ゲソクラッシャー」が得意技。
 配下の怪人はギリザメスやゴースターなど。デザインは丸山浩。

スペース蜘蛛男 …… 酒井 敬幸(声の出演)
 スペースショッカー幹部。初代ショッカーが仮面ライダー1号に差し向けた最初の怪人だった蜘蛛男が復活し、パワーアップした姿。
 大まかな外見は原典と変わらないが、複眼や触手の色が鮮やかなオレンジになり、マジョーラのように宇宙の星雲を想わせる独自の光沢を持つマントをまとっている。
 また、蜘蛛の腹部分が出ていたり蜘蛛の巣にいる際は閉まっている脚を展開するなど、より蜘蛛らしい面も見せている。
 配下の怪人は、サボテグロンやさそり男など。デザインは麻宮騎亜。

その他の精鋭怪人
 ザンジオー、ジャガーマン、怪魔ロボット・シュバリアン、グロンギ族、ミラーモンスター、オルフェノク、アンデッド、ワーム、イマジン、ファンガイア、ドーパント、ヤミー

スペースショッカー戦闘員
 スペースショッカーの戦闘員。初代ショッカーと同じ姿をしており、スペースイカデビルの配下は骨戦闘員、スペース蜘蛛男の配下は黒戦闘員と赤戦闘員の2種類で編成されている。その他にも、戦闘員チャップがスペースショッカーに所属している。


登場する仮面ライダー
 仮面ライダー1号(声・稲田徹)、仮面ライダー2号(声・穴井勇輝)、仮面ライダーV3(セリフなし)、仮面ライダーアマゾン(声・関智一)、仮面ライダースーパー1(セリフなし)、仮面ライダーBLACK RX(セリフなし)、仮面ライダークウガ(セリフなし)、仮面ライダー響鬼(声・石川英郎)、仮面ライダーカブト(セリフなし)、仮面ライダーW(セリフなし)、仮面ライダーオーズ(セリフなし)、仮面ライダーフォーゼ(声・福士蒼汰)、仮面ライダーメテオ(声・池田純矢)、仮面ライダーウィザード(演・白石隼也)、仮面ライダービースト(演・永瀬匡)
 ……以上、昭和ライダー6名、平成ライダー7名、平成サブライダー2名の、合計15名


主なスタッフ
監督         …… 金田 治(63歳)
脚本         …… 米村 正二(49歳)
音楽         …… 中川 幸太郎(44歳)、山下 康介(39歳)
クリーチャーデザイン …… 篠原 保(47歳)、麻宮 騎亜(50歳)、丸山 浩(51歳)、K-SuKe(39歳)
キャラクターデザイン …… 阿部 統(38歳)
アクション監督    …… おぐら としひろ(41歳)
特撮監督       …… 佛田 洋(51歳)

主題歌『蒸着 We are Brothers 』(歌唱・HERO MUSIC ALL STARS Z(鎌田章吾、仮面ライダーGIRLS、串田アキラ、高取ヒデアキ、高橋秀幸、野村義男、松原剛志、Ricky)
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最近の悪いもんは、どうなっとるのかねぇ~チミ!  ~オール仮面ライダーシリーズ復習、5時間目~

2015年02月05日 23時28分57秒 | 特撮あたり
映画『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』(2012年4月公開 89分 東映)


 映画『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』は、特撮 TVドラマシリーズ『仮面ライダー』シリーズと『スーパー戦隊シリーズ』の劇場版作品。
 キャッチコピーは「全ライダー VS 全戦隊 ついに大激突!」、「ヒーロー新世紀 史上最大のヒーローバトル!」。

 仮面ライダーシリーズ・スーパー戦隊シリーズのクロスオーバー作品『スーパーヒーロー大戦シリーズ』の第1弾。
 本作最大の特徴として、昭和から平成までの仮面ライダーたち50名(平成サブライダーの一部は出演せず)とスーパー戦隊戦士たち173名、そして双方の代表的な敵怪人97人名と戦闘員165人名が一堂に会して戦うという、文字通りの「大戦」を実現したところにある。その総勢は485名に及び、これに伴い参加したスーツアクターの人数も、2011年に公開された映画『ゴーカイジャー・ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』の2倍以上となっている。
 本作はシリーズ記念作品・クロスオーバー作品であり、「過去の歴代戦士に二段変身する」という共通点を持つ、平成仮面ライダー10周年記念作品の『仮面ライダーディケイド』と、スーパー戦隊35作記念作品の『海賊戦隊ゴーカイジャー』を中心に、上映当時の最新作である『仮面ライダーフォーゼ』と『特命戦隊ゴーバスターズ』、『ゴーカイジャー』と同時期の作品で、すでに『フォーゼ』と数度共演していた『仮面ライダーオーズ』や、春の映画に定期的に登場する『仮面ライダー電王』の登場キャラクターが活躍し、仮面ライダー・スーパー戦隊両作品ならではのクロスオーバー要素が展開される。仮面ライダーとスーパー戦隊のクロスオーバー作品ではあるものの、制作スタッフは仮面ライダー関係が中心である。
 敵側では、『仮面ライダーディケイド』に登場した「大ショッカー」に加え、歴代スーパー戦隊の敵が結託した「大ザンギャック」が登場。『仮面ライダー V3』のドクトルG、『超電子バイオマン』のシルバを中心に、両シリーズで登場した怪人たちも多数再登場している。

 全国292スクリーンで公開され、2012年4月21・22日の初日2日間で興行収入約4億1千万円・動員約35万6千人を記録し、映画観客動員ランキングで初登場第1位を獲得した。最終興行収入は15億6千万円を記録し、2013年の時点で仮面ライダー劇場版シリーズ・スーパー戦隊劇場版シリーズを通して最終興行収入第3位を記録した。


あらすじ
 地球の平和、そして人々の自由と笑顔を守るために日夜戦い続けるスーパーヒーロー、それが仮面ライダーとスーパー戦隊である。
 西暦2012年4月、そんな彼らに突如として大事件が襲いかかる。門矢士(仮面ライダーディケイド)が歴代ライダーの悪の組織を束ねた「大ショッカー」の大首領として全てのスーパー戦隊たちを倒し始め、また時を同じくしてキャプテン・マーベラス(ゴーカイレッド)もまた、歴代戦隊の悪の組織が結集した「大ザンギャック」の大帝王を名乗り、全てのライダーたちに攻撃を仕掛けたのだ。
 この事件は、新たなスーパーヒーロー・如月弦太朗(仮面ライダーフォーゼ)が属する仮面ライダー部、桜田ヒロム(レッドバスター)を始めとする特命戦隊ゴーバスターズにまで波及。辛くも難を逃れたジョー・ギブケン(ゴーカイブルー)とドン・ドッゴイヤー(ゴーカイグリーン)、海東大樹(仮面ライダーディエンド)と泉比奈はデンライナーと合流し、この事件の謎を解くべく過去へと向かう。
 双方の大組織の幹部が口にする「ビッグマシン計画」とは。果たして2大ヒーローは地球を救うことができるのか。


主な登場キャラクター・用語
門矢 士 / 仮面ライダーディケイド …… 井上 正大(23歳)
 本シリーズの主人公。仮面ライダーディケイドに変身する青年。20歳。一人称は「俺」。写真家を自称し、ピンク色の二眼レフのトイカメラを常に身につけている。クールかつ自信家で、誰に対しても尊大な態度で接し、傲岸不遜な態度を取ることが多い。
 物語の序盤で、自分が全ての仮面ライダーを破壊する存在であること、そして世界の消滅を防ぐために旅をしなければならないことを告げられる。旅する世界のどこかで自分の本来いた世界が見つかるかもしれないと考え、旅を続ける。
 本作では、歴代ライダーやスーパー戦隊が戦っていた歴代の悪の組織が何らかの行動をとることを知り、その調査のために再び大ショッカー大首領として君臨する。

海東 大樹 / 仮面ライダーディエンド …… 戸谷 公人(21歳)
 仮面ライダーディエンドに変身する青年。一人称は「僕」。本来は他に仮面ライダーのいなかった「仮面ライダーディエンドの世界」の出身。様々な世界を単独で往来し、「僕の旅の行き先は、僕が決める。」という信念のもとに、価値のある「お宝」と判断した物を収集している、孤高のトレジャーハンターである。
 ディエンドライバーを入手して士たちよりも先に異世界を渡り歩いていた様子で、異世界の事象にも詳しい。本人は、士とは古い知り合いだと語る。鳴滝とも面識がある。口の悪さは天下一品で、他人から誤解を招きやすい。
 本作では、歴代スーパー戦隊を潰そうとする士と、歴代ライダーを倒そうとするキャプテン・マーベラスの目的を探るべく、泉比奈やジョー・ギブケン(ゴーカイブルー)たちと行動を共にする。
 終盤で、作戦のためとはいえ友情を踏みにじり、ジョーと自分の心を傷つけた士とマーベラスに憤慨し、2人が阻止しようとしたビッグマシンの完成を果たしてしまう。最終的にビッグマシンは破壊され、重症を負いながらもなんとか生還し、士からディケイドのカードを盗んで姿を消した。

敵組織
 本作では、歴代の仮面ライダーとスーパー戦隊が戦った敵組織が、それぞれ手を組んで大組織を結成しているという設定となっている。
 当初は両組織が互いにライダーと戦隊の全滅を目的に共闘していたが、実際は両組織がそれぞれの潰し合いを狙い、門矢士とキャプテン・マーベラスを組織の頂点として君臨させることで、それぞれの要塞を合体させる「ビッグマシン計画」の完成を目論んでいた。
 もっとも、士とマーベラスにはその目論見は最初から見抜かれており、2人が組織の頂点の座に就いたのも、両組織の企てを暴くための演技に過ぎなかった。両組織が本性を表した後は「ショッカー・ザンギャック連合」としてライダーと戦隊との決戦に臨んだ。

大ショッカー
 歴代仮面ライダーが戦った悪の組織が集結した大組織。過去にもライダーたちと何度か戦い敗退したが、門矢士(仮面ライダーディケイド)を再び大首領とし、クライス要塞を拠点としてスーパー戦隊の全滅を狙う。
 組織自体の幹部や構成はあまり変わらないが、新たにドクトルG、ジェネラル・シャドウ、グリードとヤミー、ドーパントなど新規加入者が加わっている。組織のシンボルマークは『ディケイド』登場時(2009年)の「DCD の文字を刻んだ双頭の鷲」から、初代ショッカー(1971~73年)と同様に「地球を鷲掴みする鷲」となっている。
 過去の作品『オールライダー対大ショッカー』(2009年)で大首領の座を追われた士がどうして復位できたのか、大首領になったシャドームーンと本作のシャドームーンは別人なのか、『 MOVIE大戦2010』(2009年)に登場した残党勢力「スーパーショッカー」とはどういった関係にあるのか、という点については明言されていない。

ドクトルG(ゲー)…… 奥田 達士(43歳)
 大ショッカー副首領。原典の『仮面ライダーV3』(1973~74年)と同様に、仮面ライダーを「仮面ラーイダ」と独特のイントネーションで呼ぶ。一方で鎧のデザインはリメイクされており、サソリの意匠を取り入れた黒い鎧になっている。
 その正体は、ディケイドを敵視する謎の男・鳴滝。

カニレーザー
 ドクトルG の怪人態。ドクトルG の時から持っている斧の他、左腕のハサミ・頭部から放つレーザー光線が武器。特にレーザー光線は最大の武器であり、その威力は仮面ライダーたちを寄せつけない。最終決戦ではその力でライダーたちを圧倒するも、ディケイド、龍騎、ブレイドの「トリプルライダーキック」を受けて敗北し、鳴滝の姿に戻り次元の壁の彼方へ消えた。こちらもデザインがリメイクされており、原典のサソリとカニを合わせた姿とは異なり、名前の通りカニを全面的に用いた姿になっている。

アポロガイスト …… 戸谷 公人(21歳)
 大ショッカー大幹部。『ディケイド』に登場した時と同様に、パーフェクターを装備した「スーパーアポロガイスト」の状態になっている。最終決戦ではフォーゼと戦った。

十面鬼ユム・キミル(セリフなし)
 大ショッカー大幹部。特命戦隊ゴーバスターズやマーベラスのいない海賊戦隊ゴーカイジャーを圧倒するジェネラル・シャドウを軽い拍手で賞賛し、中盤では天装戦隊ゴセイジャーと戦った。

ジェネラル・シャドウ …… 柴田 秀勝(75歳)
 本作で初めて大ショッカー大幹部として登場。同じ大幹部の剣士であるシャドームーンと「ダブルシャドウ」というタッグを結成している。最終決戦では巨大なトランプに変身して、ゴーカイレッドのいない海賊戦隊ゴーカイジャーを苦戦させるが、ゴーカイレッドと仮面ライダーディケイドに敗れて爆死した。

シャドームーン …… てらそま まさき(49歳)
 大ショッカー大幹部。最終決戦ではジャーク将軍と共に、仮面ライダーBLACK や光戦隊マスクマンと戦いを繰り広げた。
 本作で、平成劇場版シリーズにおいて初めて BLACKと対決した。劇中で「ノブヒコ」と呼ばれたが、これが「月影ノブヒコ」をさすのか「秋月信彦」を指すのかは不明。同じ剣の達人であるジェネラル・シャドウと「ダブルシャドウ」というタッグで組んでいる。
 なお、大ショッカー大首領となった士の配下にあまんじている状況から、過去作『オールライダー対大ショッカー』で月影ノブヒコが変身したシャドームーンとは別人のようである。

ジャーク将軍 …… 藤本 たかひろ(38歳)
 大ショッカー大幹部。最終決戦では、シャドームーンと共に仮面ライダーBLACK や光戦隊マスクマンと戦いを繰り広げている。

ドラス …… 石川 英郎(42歳)
 大ショッカー大幹部。

 その他、平成シリーズからはン・ダグバ・ゼバ(グロンギ族)、地のエル(アンノウン)、アークオルフェノク(オルフェノク)、ジョーカー(アンデッド)、ヌリカベの武者童子(魔化魍)、グリラスワーム(ワーム)、バットファンガイア(ファンガイア)、アリゲーターイマジン(イマジン)、ウェザー・ドーパント(ドーパント)、メズール完全体(グリード)が大幹部クラスとして登場している。

登場する怪人
 さそり男、ゴースター、イソギンジャガー、コマサンダー、タイガーロイドと、グロンギ族、アンノウン、ミラーモンスター、オルフェノク、アンデッド、魔化魍、ワーム、イマジン、ファンガイア、ドーパント、ヤミーからの怪人軍団
※さそり男、ゴースター、イソギンジャガー、コマサンダー、タイガーロイドは幹部クラス怪人という設定になっている

登場する戦闘員
 ショッカー骨戦闘員、デストロン戦闘員、ドグマファイター、戦闘員チャップ、魔化魍忍者、NEWモールイマジン

大ザンギャック
 海賊戦隊ゴーカイジャーが倒した宇宙帝国ザンギャックを中心に、復活した歴代スーパー戦隊の敵勢力が集結し構成された大軍団。
 かつてのザンギャック第2次地球侵略艦隊の旗艦「ギガントホース」を拠点に、大帝王を名乗るキャプテン・マーベラス(ゴーカイレッド)のもと、仮面ライダーの全滅ならびに「大いなる力」の奪取を狙う。

ビッグマシン
 大ショッカーのクライス要塞と、大ザンギャックの旗艦ギガントホースが合体した超巨大戦闘ロボ。コックピットを含む上半身がクライス要塞、下半身がギカントホースによって構成されており、その巨大さはゴーバスターオーを遥かに上回る。頭部の口に当たる部分から凄まじい破壊力を誇る光線を発射し、背面から放つ多数のワイヤーや、その巨体そのものも強力な武器になり、宇宙空間でも活動可能。
 合体には、両組織が持つショッカーとザンギャックのシンボルを象った割り符を合わせる必要があり、ディケイドとゴーカイレッドの相討ちによって、自分たちに立ち向かう者がいなくなったことを確信したドクトルG とシルバが合体を発動しようとしたが、組織の動きを探っていた士とマーベラスが本性を現したことで阻止されてしまう。だが、割り符は最終決戦の中で大樹によって密かに回収されており、最終的には士とマーベラスのやり方に憤慨した彼の手によって合体を果たし、第三勢力としてライダーや戦隊の前に立ちはだかり、大ショッカーと大ザンギャックにも多大な被害を与えたが、最終的にはロケットドリルゴーバスターオーの「戦隊ライダー宇宙キック」を受けて爆発四散した。搭乗していた大樹は重傷を負ったものの、辛うじて生存している。
 名前は、石ノ森章太郎のマンガ版『仮面ライダー』(1971年)に登場した同名のショッカー大幹部に由来する。


登場する仮面ライダー
 仮面ライダー1号(声・稲田徹)、仮面ライダー2号(声・藤本たかひろ)、仮面ライダーV3(声・田中大文)、ライダーマン(声・林一夫)、仮面ライダーX(セリフなし)、仮面ライダーアマゾン(声・関智一)、仮面ライダーストロンガー(声・関智一)、スカイライダー(セリフなし)、仮面ライダースーパー1(セリフなし)、仮面ライダーZX(セリフなし)、仮面ライダーBLACK & BLACK RX(声・田中大文)、仮面ライダーシン(セリフなし)、仮面ライダーZO(セリフなし)、仮面ライダーJ(セリフなし)、仮面ライダークウガ(声・今村直樹)、仮面ライダーアギト(セリフなし)、仮面ライダー龍騎(セリフなし)、仮面ライダーファイズ(声・渡部秀)、仮面ライダーブレイド(セリフなし)、仮面ライダー響鬼(声・石川英郎)、仮面ライダーカブト(声・勇吹輝)、仮面ライダー電王(声・関俊彦ほか)、仮面ライダーキバ(セリフなし)、仮面ライダーディケイド、仮面ライダーディエンド、仮面ライダーW(声・鈴村健一)、仮面ライダーアクセル(声・遊佐浩二)、仮面ライダーオーズ(演・渡部秀)、仮面ライダーバース(声・君嶋麻耶)、仮面ライダープロトバース(声・岩永洋昭)、仮面ライダーフォーゼ(演・福士蒼汰)、仮面ライダーメテオ(演・吉沢亮)ほか
 ……以上、昭和ライダー15名、平成ライダー13名、平成サブライダー22名の、合計50名


主なスタッフ
※本作の制作チームは平成仮面ライダーシリーズを手掛けるスタッフが中心で、ライダーと戦隊のそれぞれに初参加・あるいは久々に関わった人物も多い。

監督         …… 金田 治(62歳)
脚本         …… 米村 正二(48歳)
音楽         …… 中川 幸太郎(43歳)、山下 康介(38歳)
撮影         …… いのくま まさお(72歳)
キャラクターデザイン …… 早瀬 マサト(47歳)、阿部 統(37歳)
クリーチャーデザイン …… 篠原 保(46歳)
特撮監督       …… 佛田 洋(50歳)
アクション監督    …… 竹田 道弘(50歳)

主題歌『情熱 We are Brothers 』(歌唱・Hero Music All Stars )
※過去に仮面ライダーシリーズ・スーパー戦隊シリーズの主題歌や挿入歌を歌った歴代アーティストたち総勢27名によるコラボレーション曲。
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