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日記に…なるかしらん

わかるのに4年かかりました ~小説『ゴジラ シンギュラポイント』いまさら感想~

2025年07月12日 23時03分43秒 | 特撮あたり
 え~、どもどもこんばんは、そうだいでございます。毎日毎日、あっちぃっすね……
 もういい加減、私の住む東北地方南部も梅雨明けしていいでしょっつうか、もう明けてんじゃなかろうかという疑惑も濃厚なのですが、夏が始まったとしか思えない猛暑がすでに始まっております。日差しが実にキツイ!

 「夏」と言えば、辻村深月先生原作の映画『この夏の星を見る』(監督・山元環)が今月の4日からついに公開……されてるはずなのですが、なんと私の住む山形県では公開予定日が1ヶ月後の8月16日からということになっとりまして……もう夏も後半じゃねぇかァ!
 しかも、私の経験では県庁所在地の山形市(映画館は3館)で公開されてなくても、お隣の天童市のイオンシネマではやってるというフォローがあったのですが、今回は私の家から100km くらい遠くにある鶴岡市の映画館でしかやる予定がないというていたらく。なんじゃ、このひどい扱いは!? ダメだずねぇ~!
 まぁ、しょうがないので来月のお盆明けに1泊で温泉かどっかに泊まりつつ映画を観るというステキな旅行の口実にさせていただきました。やったぜ~。今年のお盆はあんまり休めなさそうな気配がしてるんで、ちょうどよかったっすよ。鶴岡市の「まちなかキネマ」っていう映画館も、いつか行きたいと思ってたんで好都合!
 映画そのものを観るのはしばらくお預けなのですが、楽しみにしつつ7月を乗り切っていこうと思うとります。ま、暑い暑い言ってるうちにあっという間に8月も過ぎるでしょ。


 そんでもって今回は、そういった2025年のつれづれとはまっっっったく関係のない『ゴジラ シンギュラポイント』の小説版を最近やっと読み終わったよ、という話のまとめでございます。予想通り、前回は設定資料とおまけを並べるだけで終わっちゃったし……ちゃっちゃといこう!

 2021年の春から夏にかけて TVアニメシリーズとして放送されていた『ゴジラ シンギュラポイント』でしたが、「シリーズ構成・円城塔」という大看板にたがわず、その内容はなんとあの、「昭和ゴジラシリーズ最大の鬼子」ともいえる「正義の巨大ロボット・ジェットジャガー」を科学的に説明のつく存在に仕立て上げて、さらにはゴジラによる世界崩壊を止める最期の希望にするという、とんでもないチャレンジに挑む大野心作だったのです!
 いや~、これには放送当時の私も、毎週毎週固唾をのんで見守っておりました。まさか、よりによってゴジラシリーズの中でも最も触れ方の難しい「禁忌きっず」ジェットジャガーを真正面からフィーチャーするとは……その心意気や、最高なり!

 リアルタイムで視聴していた頃は、正直言ってお話について行くのが精いっぱいで、紅塵とかオーソゴナル・ダイアゴナライザーとか謎のインド民謡『 ALAPU UPALA』とかの聞きなれない要素に翻弄されまくりだったのですが、実はそういったディープな SF&ミステリー的な流れとバランスを取るかのように、往年のゴジラシリーズのスター怪獣のゲスト出演も散りばめられていて、少なくとも定石ハズしばっかりで終わってしまった感のあるアニメ映画版『ゴジラ』3部作とは比較にならない満足度がありました。さすがに、私が最も愛する三つ首のあのお方までは出られませんでしたが(小説版では……?)、メカゴジラを出すようで全く出さなかったアニゴジへの当てつけのように、最終話の最後の最後で起動メンテ中のロボゴジラを見せたサービス精神は素晴らしかったと思います。エンディングアニメもお遊び感いっぱいでしたよね!

 正直申しまして、このシンギュラポイント版のゴジラのデザインは非常に個性の際立ったもので、私も今もって「好き」とは言えないクチなのですが、それはもうムッキムキの外国人力士にしか見えないアニゴジ版やハリウッド版のゴジラも同じことなので(異様に小顔なマイゴジも好きじゃないです)、そこはもう何も申しますまい。それ以外の幼体ゴジラたちとかアンギラスとかのリデザインは素晴らしかったですよね。ムビモンのソフビ、ゴジラ・ウルティマとサルンガ以外は全部買いましたよ~。マンダはちょっと深海魚っぽくなって気持ち悪かったけど。ラドンはなんか平成以降のギャオスみたいなポジションになってましたね……数はいいから、強いのを1頭ドンっと出してほしかった! ちっちゃいのがひと山いくらっていう出演の仕方って、やらされたラドンさんやギャオスさんはどんな気分なんですかね……ラドンさんなんて、来年で芸歴70年なんだぜ。

 とにもかくにも、本作は物語の芯の部分を、あの日本を代表する前衛 SF小説家の円城塔さんが手がけているということで、ちょっとするとインターネット上の AIが意志を持ち始める過程や、日本の房総半島と東京を舞台にした怪獣災害と、そこから遥か遠く離れたインドの地下秘密基地での動向が同時進行で語られる多角的視点、そして何よりも主人公のメイとユンの2人が全く直接には出逢わずにネット上で連絡を取りながら各自で解決策を模索していくという徹底したリモート展開がかなり複雑に交錯しているので、放送しているエピソードを1回でも、いや、1分でも見逃すとついていけなくなる可能性のある、TVシリーズとしては非常にハードルの高いクオリティの作品、それこそが、この『ゴジラ シンギュラポイント』だったのです。今振り返っても、よく最終回までやりきって完結させたな、というギリギリな構成だったと思います。
 これはやっぱり、一見かなり面食らいがちな円城塔先生の世界観を、ゴジラをはじめとした非常に認知度の高い東宝怪獣たちのリニューアル復活や、加藤和恵さんと石野聡さんによるかなり見やすいポップなキャラクターデザインで、用意周到に何重にもくるんで娯楽作品に仕上げたという作戦が成功したのではないでしょうか。まさにこの作品は、円城塔ワールドの骨格と東宝ゴジラシリーズの血肉、そのどちらが欠けても面白くならない理想的なコラボレーションだったのです。なんと言っても、まず骨組みに円城塔を招聘するというギャンブラーな姿勢が最高ですよね! 安易なお祭り作品にはしないぞという。

 作品の内容について考えてみますと、本作は、物語のパターンでいえば典型的な「歴代怪獣総登場もの」と言えると思います。

 1954年の初代『ゴジラ』いらい70年以上続いているゴジラシリーズ、というか日本の特撮作品の歴史なのですが、非常にざっくりと内容で分類しますと、以下の5種類に分けることができるのではないでしょうか。もちろん、2つ以上の分類がミックスされている作品もいっぱいあるので、人によっては違う解釈になる作品もあるのでしょうが、わかりやすい作品を例に挙げますと、


A、単体怪獣の災害もの …… 『ゴジラ』(1954年)、『ゴジラ』(1984年)、『シン・ゴジラ』(2016年)、『ゴジラ -1.0』(2023年)など

B、2大怪獣の対決もの …… 『ゴジラの逆襲』(1955年)、『キングコング対ゴジラ』(1962年)、『ゴジラ VS キングギドラ』(1991年)、『ゴジラ×メカゴジラ』(2002年)など

C、地球怪獣 VS 侵略者もの …… 『怪獣大戦争』(1965年)、『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(1972年)、『大怪獣総攻撃』(2001年)、『キング・オブ・モンスターズ』(2019年)など

D、歴代怪獣総登場もの …… 『怪獣総進撃』(1968年)、『ゴジラ ファイナルウォーズ』(2004年)、小説『ゴジラ 怪獣黙示録』(2017年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)など

E、主人公の成長ファンタジーもの …… 『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年)、『オール怪獣大進撃』(1969年)、『小さき勇者たち ガメラ』(2006年)など


 どうですか? これに沿って好きな特撮作品を考えてみると面白いですよね? 意外と数種類のハイブリッドになってる作品がほとんどですが。

 今回の『シンギュラポイント』も、私は Dタイプだと言いましたが、よくよく考えてみると主人公チームおよびジェットジャガーの成長物語ということでE ともとれるし、他の怪獣たちに比べて明らかにゴジラだけが別格に恐ろしい脅威になっているので、ゴジラ一強という意味ではA ともいえるわけなんですよね。最終話でのゴジラ VS ジェットジャガーの決戦の構図はB の醍醐味だし……結局ほぼ全部じゃねぇかァ!!

 まぁまぁ、かくのごとく、この『ゴジラ シンギュラポイント』という作品は、おなじみの東宝スター怪獣たちが新たなスタイルでアップデートされるお祭りタイトルでありながらも、様々な面で前代未聞な挑戦をしている、ものすごい野心作なのでございます。まずジェットジャガーをゴジラの相手にしているという時点でとんでもないことですし! これ、言うまでもなく『フェス・ゴジラ4 オペレーション・ジェットジャガー』(2023年)の前の作品ですからね。

 本作が、ただの歴代怪獣総登場ものの更新にとどまらないことは、作中で明に暗に示されたさまざまな設定を見てもあきらかなのですが、パッと思い出せるものを挙げるだけでも、

1、出現する怪獣たちに明らかなフェイズと棲み分けが存在する。
2、ゴジラが成長に合わせて形態変化する。
3、怪獣たちが常識外なスピードで巨大化する理屈が「紅塵」で説明される(そしてジェットジャガーも!)。
4、怪獣たちの出現で世界の秩序が崩壊する過程が克明に描かれている。
5、「1954年に回収された巨大生物の骨」という謎が通底している。

 というおもしろ要素があるのです。お話が特撮でもあり SFでもあり、ミステリーでもあるんですよね。
 これらの一つ一つを見てみると、全てが過去のゴジラシリーズ作品へのオマージュだったり、あまり詳細に触れられなかったモヤっとした部分にあえてスポットライトを当てるような、過去に残された宿題への回答だったりしていることがよくわかります。単に円城塔先生がゴジラシリーズという食材の調理に挑みましたという話じゃなくて、先生、そうとう前から食材がどの土地でどう生まれ、どう育ち実ったのかを綿密に調べ上げた上でキッチンに立ってるなという気迫がひしひしと伝わってくる陣容になっているんですね。ただ仕事を受けたから、自分のやりたいようにやってるんじゃねぇんだぞと!

 上のポイントの2、は明らかに『シン・ゴジラ』でのゴジラの「蒲田くん」や「品川くん」形態を意識した設定であると思われるのですが、それだけに留まらず、「水生(魚類)」→「半陸生(両生類)」→「陸生(爬虫類)」→「完全ゴジラ」というふうに、地球上の生物の進化過程を超高速で追ったものになっているのが興味深いですね。鳥類はラドン、節足動物はクモンガに任せてんのかな……本来は陸海空オールオッケーな究極怪獣だったはずのバラダギ様が、なんかカエルみたいなぺたぺた四足歩行をしていたのはおいたわしくもありましたが、まぁこういう作品にゲスト出演できただけでも儲けものでしたよね。本来は護国聖獣にもなるはずだったのに……

 ポイントの4、に関しては、これはもう「そこを映画でやれや」という全特撮ファンからの総ツッコミを受けていた、アニゴジの前日譚的小説『怪獣黙示録』(2017年)をあらためてちゃんと映像化したという、ファンの留飲を大いに下げる粋なはからいだったと思います。当然ながら、『怪獣黙示録』のほうは「人類がゴジラによって地球から追い出される」という最悪の結果を招いてしまったわけなのですが、メイやユン、そしてジェットジャガーの大活躍によって、そこまでいかずにおよそ2ヶ月間ほどの世界的大混乱で済んだのは、非常に幸運だったと思います。ほんと、本作のゴジラ・ウルティマもほっといたらアニゴジのゴジラ・アースみたいになってたんでしょうね……そういえば、本作の最終話でサプライズ出演していたロボゴジラも、その昭和メカゴジラを彷彿とさせる正統派的なデザインからして、アニゴジが不必要に生んでしまったメカゴジラファンの方々の怨念に配慮したサービスだったのではないでしょうか。メカゴジラを怪獣型でなくするという発想自体はぶっ飛んでて好きなんですけど、ね……

 ポイント1、もけっこう面白い設定なんですよね。これは、『怪獣総進撃』やハリウッド版ゴジラのモンスター・ヴァースの世界観を大いに意識したアイデアなのではないでしょうか。
 ここは小説版でかなり明確に強調されている部分なのですが、本作に出現する怪獣たちは、全てがゆるやかな「連携」をとって地球に進出しているという特徴があります。要するに、それまでの過去の同じ分類の諸作は、たまたま同じ時期に全く性質も出現した理由も違う怪獣が世界各地に並び立って(中には X星人のような侵略者の意志で動いているものも混じっていますが)、会ったらなんとなく縄張り争い的なノリで闘うといった設定どまりにしていたように見えていました。ところがこの『シンギュラポイント』に登場する怪獣たちは、まるで全員が「紅塵」という全く新たなエネルギー体の先兵もしくは触手であるかのように、地球の陸海空にそれまであった古いエネルギー(生き物)を破壊するという同じ目的で動いているように見えるのです。そして、そこを小説版はさらに明確にし、「怪獣たちが会話しないまでも、意志のレベルで通じ合いながら各自で成長・活動している」とみられる描写も明らかにしているのでした。これは要するに、あの怪獣たちが『エヴァンゲリオン』シリーズ(旧もシンも)における使徒のような関係にある、ということなのではないでしょうか。新しいですね!

 とは言いましても、作中でもマンダとゴジラ・アクアティリス、ラドンとゴジラ・ウルティマあたりが闘っている描写もあったにはあったのですが、これはどっちかというと「喰うものと喰われるもの」の関係がはっきりした、肉食動物と草食動物のからみのような絶対的な論理(ゴジラが勝つに決まってる)の上で行われている日常の風景のようなもので、『キング・オブ・モンスターズ』のラドンのように「あわよくばオレが怪獣王に!」などという面白すぎる個性があるものでないことは明白でしょう。
 つまり、そういった小競り合いはあったとしても、怪獣たちが構成する「新たなる生態系」自体が一つの脅威となって旧世界を侵略しているという状況に変わりはないわけで、「勝った方が我々の敵です」じゃなくて、「闘っている場そのもの」が地球の敵なのです。よそでやっとくれ!!




≪完成マダヨ≫
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わかるのに4年かかりました ~小説『ゴジラ シンギュラポイント』いまさら資料編~

2025年07月10日 20時46分12秒 | 特撮あたり
『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年4~6月放送 全13話 TOKYO MX ほか)
 『ゴジラ シンギュラポイント』は、ボンズおよびオレンジの共同制作による SF特撮 TVアニメシリーズ。TOKYO MX、BS11、Netflix にて放送・配信された。
 「ゴジラシリーズ」としては2017~18年に公開されたアニメ映画『 GODZILLA』三部作以来となるアニメ作品であり、日本で制作されたゴジラ作品では初の TVアニメシリーズである。
 本作は、第53回星雲賞(メディア部門)を受賞した。

 監督を担当した高橋敦史は、映画『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』(2017年)での、原作マンガに基づきつつ物語を一から作る点や、SF要素を盛り込みつつエンターテインメントとしても成立させたアプローチから抜擢された。
 シリーズ構成を手がけた円城塔は、SF要素を組み込みつつ設定のリアリティを重視できることと、SFアニメシリーズ『スペース☆ダンディ』(2014年)で高橋と製作した経験があることから声がかかった。円城は当初、SF考証の監修としての参加であったが、設定と考証の繰り返しの末に別の脚本家への依頼が難しくなったため、ストーリー全体の構成と全話の脚本執筆を兼ねることとなった。この他、高橋とはスタジオジブリ作品、『青の祓魔師』、『ドラえもん』などで面識のあった山森英司、加藤和恵、沢田完がそれぞれ主要スタッフとして参加している。

 本作は、アニメ映画『 GODZILLA』3部作(2017~18年)との差別化や、完全な SFに振るかファンタジーに寄せるかで議論が重ねられたが、最終的には円城のアイデアを元にして、2030年の日本という現実の延長線上にある世界観を舞台に、天才的な才能をもった一般人の主人公2人が周囲の人間と協力してゴジラの脅威に立ち向かう本格的 SF作品となった。

 本作の主人公たちは頭脳でゴジラに対抗する設定だが、これは過去のゴジラシリーズの主人公の多くが非戦闘的なタイプであったことや、作品に謎解きの要素を加えようとした高橋の提案による。また、本作のゴジラはシリーズ初となる核エネルギーとは無縁の存在となっている。
 当初、円城の提示した脚本は映像化するには情報量が多く難解な部分もあったため、アクションやロボット、過去の東宝作品の表現といった要素を加えることで、受け手に配慮した作品作りが行われている。


おもなスタッフ
監督 …… 高橋 敦史(48歳)
シリーズ構成・SF考証・脚本 …… 円城 塔(48歳)
キャラクターデザイン原案  …… 加藤 和恵(40歳)
キャラクターデザイン・総作画監督 …… 石野 聡(50歳)
怪獣デザイン …… 山森 英司(53歳)
音響監督   …… 若林 和弘(56歳)
音楽     …… 沢田 完(53歳)
制作     …… ボンズ、オレンジ
主題歌『 in case...』(歌・BiSH)
エンディングテーマ『青い』(歌・ポルカドットスティングレイ)


小説『ゴジラ シンギュラポイント』(2022年7月刊 集英社)
 TVアニメシリーズ『ゴジラ シンギュラポイント』の構成・SF考証・脚本を担当した円城塔による小説。物語はジェットジャガーユング&ペロ2のナラタケ側と怪獣側の視点から語られ、本作におけるゴジラの目的や「ミサキオク」の地下に保管されていた骨の秘密などの詳細をうかがい知ることができる。なお、本作の時間設定は「2030年7月」となっており、作中では逃尾市の伝承の中に、ゴジラやラドンの他にヘドラらしき緑色の怪獣もいる言及がある。


おもな登場人物、キャラクター、怪獣、専門用語(キャスティングは TVアニメシリーズのもの)
神野 銘(カミノ メイ)…… 宮本 侑芽(24歳)
 本作の主人公のひとり。存在しない物質で構成された存在しない幻想生物を考える学問「ビオロギア・ファンタスティカ」を研究する大学院生。明るく朗らかな性格だが、物忘れが多いなど天才らしからぬ抜けた側面も持つメガネ女子。
 国際会議で不在だった笹本教授の代理として、旧嗣野地区管理局「ミサキオク」で突如鳴り始めたアラームの原因を調査依頼されたことが契機となり、ゴジラら怪獣たちとの戦いに関わる。

ペロ2(ペロツー)…… 久野 美咲(28歳)
 銘が、オオタキファクトリーのホームページからパソコンにダウンロードしたユン開発のコミュニケーション支援AI「ナラタケ」から生まれた犬型人工知能。銘のパソコンに住み着き彼女をサポートするが、メイの研究ノートを勝手に共著『幻想生物学序説』としてアップしたり明らかに独自の自我が芽生えているかのような動きを見せる。オオタキファクトリーの作業用ロボットにハッキングしてボディを操り、ラドンに襲われていた銘たちを助ける。

有川 ユン …… 石毛 翔弥(30歳)
 本作の主人公のひとり。何でも屋の側面も持つ町工場「オオタキファクトリー」に勤務するエンジニア兼プログラマー。24歳。プログラミングやロボット製造など多くのことに精通し、「ナラタケ」に代表される高度支援AI を開発する。常に冷静だが人との接し方に難のある性格である一方、危機の際には自ら立ち向かう勇気を持っている。
 幽霊屋敷と噂される、とある無人の洋館の調査を行ったことがきっかけで電波を発する怪獣の存在を知り、銘と同様に怪獣と関わることになる。

ジェットジャガー(ユング)…… 釘宮 理恵(41歳)
 ペロ2と同様に「ナラタケ」から生まれた人工知能。ユンのスマートフォンにインストールされたことで個性化し、冷静な性格と優れた情報整理能力を活用してユンをサポートする。ジェットジャガーに移植されてからは、青空を見上げながらボディを得たことに思いをはせたり子どもの遊びに付き合ったりと、独自の感情や人格に近いものが形成され始めているかのような動きを見せている。

加藤 侍(カトウ ハベル)…… 木内 太郎(27歳)
 オオタキファクトリーの社員でユンの相棒。銘の高校時代の同級生であり、銘たちから「バーベル」とあだ名されるほど筋トレが趣味。
 ジェットジャガーを製作し整備・修理を行うほか、ラドンを誘き寄せるためにジャイロを改造した電波発信機をジェットジャガーに取り付けた。

大滝 吾郎 …… 高木 渉(54歳)
 「おやっさん」の愛称で呼ばれるオオタキファクトリーの社長。特許や資格、納品実績を多数保有する世界的科学者である一方、UFO や未確認生命体に目が無く、若いころから宇宙人襲来を予見して裁判沙汰を起こしてきた変人。ひらめきや勘に優れ、昔気質だが積極的に最先端技術を受け入れるところもあり、私財を投じてジェットジャガーを製造する。多くの怪しげな未確認生物を記録した古史料やゴシップ記事を収集している。

佐藤 隼也(サトウ シュンヤ)…… 阿座上 洋平(29歳)
 外務省から「ミサキオク」内偵の主任職員として出向してきた官僚。ミサキオクの地下に安置されていた巨大生物の骨の存在を知ったことをきっかけに、日本や世界各地で頻発する怪獣出現の原因を独自に探り始め、その過程で葦原道幸の過去を探ることになる。

鹿子 行江(カノコ ユキエ)…… 小岩井 ことり(31歳)
 外務省国際情報統括官組織第零担当情報分析員で佐藤の上司。陸上自衛隊の松原一佐とは旧知の仲。スティーヴンから持ち掛けられたアーキタイプ開発事業への出資を検討するために、葦原道幸を調査する。国家機密情報に詳しい。

海 建宏(カイ タケヒロ)…… 鈴村 健一(46歳)
 「独立自営ジャーナリスト」を自称し、SNS 上で動画チャンネル『極東怪獣チャンネル』を運営している素性不明の男。銘に接触して李からの招待状とアーキタイプを渡し、李のいるドバイへ行くよう勧めた。ラドンとアンギラスの調査を行いユンや侍と出会う。

李 桂英(リー ケイエイ)…… 幸田 夏穂(53歳)
 国際的合弁会社「シヴァ共同事業体」に出向している、計算化学を専門とする顧問研究員。葦原道幸の研究資料を基にアーキタイプ研究を行っている。ペロ2がネットにアップした銘の論文を見たことがきっかけで彼女を短期滞在型研究員としてドバイへ招聘し、彼女と共に葦原が残した「特異点」と「破局」についての謎を解こうとする。

松原 美保(マツバラ ヨシヤス)…… 志村 知幸(57歳)
 陸上自衛隊一佐。陸海空自衛隊の統合運用部隊である「怪獣対処統合任務部隊」に陸上自衛隊の代表として所属し、ゴジラ上陸後は駆除作戦の指揮を執る。妻との間に2人の息子がいる。物静かだが気さくな性格の男性で、外国語の習得能力が高い。

ティルダ=ミラー …… 磯辺 万沙子(63歳)
 シヴァ共同事業体の代表。李たちを利用して「オーソゴナル・ダイアゴナライザー」を開発する。人命よりも研究の完成を優先する非情な性格。

マイケル=スティーヴン …… 三宅 健太(43歳)
 ティルダに協力するイギリス保守第一党の政治家。何事も卒なくこなすエリート。自身はティルダと仲が悪く、海と協力関係にある。

葦原 道幸(アシハラ ミチユキ)…… 井上 和彦(67歳)
 ミサキオクの創設者。旧嗣野地区(現・逃尾市内)の漁村に生まれ、20歳代だった頃の1954年に巨大な生物が赤い海から出現し上陸する様子を目撃し、探し出した巨大生物の骨を研究、監視するためにミサキオクを設立した。50年前に紅塵やアーキタイプの研究を行っており、その際に「特異点(シンギュラポイント)」や「破局」と呼ばれるものを発見していたが、計算爆発を起こして現在は行方不明。

怪獣
 2030年に謎の音声電波が受信されたことを皮切りに確認されるようになった、既存の生態系を逸脱した巨大生物。円城塔の小説版では、すべての怪獣は個体や種に関係なく共通の記憶情報を共有しながらも互いに競合する関係であることが明かされる。太平洋マリアナ海溝と大西洋バミューダ海域から大量に発生した紅塵とともに出現し、海ではマンダ、沿岸部ではラドン、内陸ではアンギラスが群れを形成して世界全域の人類を襲った。それらの怪獣が定着した地域には、クモンガの群れも発生するようになる。

ゴジラ・アクアティリス
 本作におけるゴジラの第0形態。名前のアクアティリスはラテン語で「水生」の意味。
 深度900メートルの深海を速力50ノット(時速92.6km )で泳ぐ姿が潜水艦によって確認された。2030年7月29日に、東京湾内に侵入しようとしたマンダの群れを捕食しながら速力80ノットで東京湾に侵入し、8月9日に上陸する。モササウルスのような体型で四肢はヒレ状に、長い尾は先端に水かきの付いた尾ビレになっており水棲に適化している。ワニのように口吻が長く、触覚のように細いツノが頭部にある。表皮は赤く、通過すると付近の海は紅塵で赤く染まる。
 形態が『メカゴジラの逆襲』(1975年)に登場した水棲恐竜チタノザウルスに似ている。

ゴジラ・アンフィビア
 身長20m、全長50m。東京・築地に上陸したゴジラ・アクアティリスが陸生に適応した形態に変態した、ゴジラの第1形態。名前の「アンフィビア」はラテン語で「両生類」の意味。
 イグアナのような顔つきになり、四肢は爬虫類に似た形の脚となり四足歩行で進む。2030年8月10日に自衛隊の総攻撃を受けるが、口から -20℃以下の可燃性ガスを吐き、自衛隊の砲撃に引火して直径500m 範囲を焼き尽くし、爆風は直径4km に及んだ。さらに自分自身も爆炎に包まれ、炭化層の外殻に覆われたサナギのような状態になり活動停止する。体色は茶褐色で頭のツノの形状もアクアティリスから変化している。
 形態、特に頭部が『大怪獣バラン』(1958年)に登場したむささび怪獣バランに似ている。

ゴジラ・テレストリス
 身長30m。2030年8月20日に、サナギの状態となり活動停止していたゴジラ・アンフィビアが外殻を剥がして変態した、ゴジラの第2形態。名前のテレストリスは、ラテン語で「陸生」の意味。
 前脚は小さくなり後脚だけで立ち上がり二足歩行形態となっている。軟質の触手を体表から伸ばして自衛隊の砲弾を包み、爆発させて本体への衝撃を和らげるリアクティブアーマーのような防御能力を持ち、背ビレを青白く発光させながら口元に光の高熱リングを形成して吐き出す能力も見られる。角や尾ビレがなくなり頭部が小さくなっている。表皮は青い鱗状だが眉間から背ビレに沿って赤いラインがある。
 青みがかった体色と恐竜のような体型が、『キングコングの逆襲』(1967年)に登場した恐竜ゴロザウルスに似ている。光輪を口から吐く特徴は、ゴジラの幼体であるミニラへのオマージュである。

最強怪獣ゴジラ・ウルティマ
 身長50~100m 以上。2030年8月21日の自衛隊の総攻撃を受けたゴジラ・テレストリスが、翌22日に変態して究極の姿となったゴジラの第3形態。名前のウルティマは、ラテン語で「終わり」を意味する。
 千葉県逃尾市(にがしおし)で古くからその伝承が残っており、同市に太平洋戦争以前から存在する旧嗣野地区管理局電波観測所「ミサキオク」の地下には、ゴジラ・ウルティマの全身骨格が保管されていた。円城塔の小説版では、ゴジラ・ウルティマは当初このミサキオクにある同族の骨を完全破壊するために東京に上陸していたことが明らかにされた。
 自衛隊との交戦中にゴジラ・テレストリスから変態し、分厚い鎧が蛇腹状に重なったような強固な外皮で自衛隊の砲撃を寄せ付けず、背ビレと口内を青白く光らせ、口の前方に7つの光輪を放射して重力レンズで空間を1ヶ所に収縮させ、光輪の中央を貫くように熱線を発射し、東京を一瞬で火の海に変えた。紅塵をともなう生物共通の特徴である何重にも生えた歯が口腔内にあり、上アゴより下アゴの方が横幅が大きく張り出している。
 変態した直後はビルほどの大きさだったが、紅塵を吸収し続けて最終的に100m を超える巨体となった。人間ほどの大きさの巨大昆虫メガヌロンが背ビレ付近に寄生している。

電波怪獣ラドン
 体高5m、翼長10m。白亜紀後期の翼竜ケツァルコアトルスに似た飛行する怪獣。千葉県逃尾市で古来から残る伝承の中では、ゴジラと共にその存在が認識されていた。デンキウナギなどに見られる発電器官に類似した層状組織が細胞内にあり、胃に対応する器官がない。細胞組織から放射性物質ラドンが検出されたことが報道される中で、いつの間にか「ラドン」と呼ばれるようになった。鳴き声を使って高周波の電磁波を発信し、自身も特定の波長に反応する。獰猛な性質で動物や人間を襲い、電波に反応して電柱のトランスなどの電波の流れるものや電磁波を出すものを襲撃する習性があり、高音にも反応する。
 クチバシにはエラのような器官が発達しており、多数の歯が口腔内に密生している。後頭部のトサカは翼竜プテラノドンと同様に1本で、頭部や背ビレ、翼竜ランフォリンクスのような尻尾には半透明の被膜がある。
 2030年7月6日以降に数頭が千葉県逃尾市周辺で確認され、20日に2万頭を超える群れが赤く染まった房総半島南部沖の海中から出現し、身体から紅塵をまき散らしながら房総半島を襲撃した。その後、マリアナ海溝から出現した群れが環太平洋全域の沿岸を襲撃し、30日には大西洋バミューダ海域から出現した別の群れがアメリカ西海岸のニューヨーク、ワシントンDC、シカゴ、中米、南米大陸東岸を襲撃した。出現する時期によって個体の大きさや頭部の形状、体内器官の構造などが違う。

ジェットジャガー
 全高5.4m~。オオタキファクトリーが製造した搭乗型ロボット。オオタキファクトリーの社長である大滝吾郎が、「地球を守る活動」のために開発した。
 当初は千葉県逃尾市の逃尾商店街の七夕祭りの出し物として、胸部のコクピットで操縦するアトラクション仕様であったが、ラドン戦においてタブレットからの遠隔操縦ができるようにユンによってプログラムが再設定された。
 ラドン戦後に、損傷した下半身を作業用ロボットの三脚ホイールに接続し、バックパックには電波発信装置を取り付けた「ジェットジャガータンク」に改装された。アンギラス戦では捕鯨砲を武器として戦った。
 その後、さらなる修理改良によって大型の脚部に換装して全高7m に大型化し、制御AI としてユングを移植して戦闘に特化した無人機ロボットにバージョンアップされた。ユングとして会話することもできる。

未来予知怪獣アンギラス
 体高6m。ラドンの死体を求めて千葉県逃尾市に出現したと思われる、陸棲四足歩行の怪獣。背面部に大きな硬いトゲを無数に持ち、現実世界の生物の神経伝導速度では不可能な反応速度で動くことができる。前足は蹠行、後足は趾行と歩行形態が異なる独特な四肢を持ち、背中の装甲は尻尾の根元でツバメの尾羽根のように二股に分かれている。短時間で体長がさらに巨大化していた。最大の武器は、攻撃を受ける際に未来の危機を察知して体色が虹色に変化し、細かく背中のトゲを高速振動させることで敵の攻撃を跳ね返す能力と、高い跳躍力。
 2030年8月にはアメリカのニューメキシコ州でも群れが確認された。ラドンと同様に、群れによってトゲの数や形状、皮膚などの形態が大きく違っている。

マンダ
 全長210m。最高速力70ノット(時速約120km)で海中を泳ぎ、東京湾の浦賀水道沖で漁船を転覆させた、巨大なウミヘビのような海棲怪獣。東洋の龍に酷似した姿をしており、四肢と4本のツノ、2本の長いヒゲを持つ。全体的に爬虫類よりも魚類を彷彿とさせる形態だが、頭部付近についた短い前脚や赤いエラのような形状のヒレなどは、両生類のアホロートルを連想させるものとなっている。
 2030年7月27日に複数の個体が房総半島沖とドーバー海峡に出現し、群れを成して周囲を紅塵に染めながら隅田川やテムズ川を遡上していった。長い尾を武器とし、浦賀水道沖では13頭の群れが出現して漁船や海上保安庁のヘリコプターなどを襲った。8月にはアメリカ西海岸にも群れが出現した。

再生怪獣クモンガ
 全長2.8 m。2030年8月初めに東京湾沿岸の造船所に2体現れた虫型の怪獣。胴体部分が硬い甲殻に覆われて盛り上がり、クモというよりもヤシガニのような形態をしている。8本の脚のうち、特に巨大な2本の前脚は返しがついたトゲのような形状になっている。肉体を切断されても再生して活動を継続できる強い生命力を持ち、破壊された肉体を断面から溢れ出た体液で元の姿を形成させることもできる。その際に、ヘドラのような形状の新たな頭部と瞳が体液から形成されていた。群生して口から糸状の粘液を吐いて巣を作り、そこで捕らえた人間を繭のように糸で包み、体液を失ってミイラ化した状態の食料としてまとめて備蓄する。紅塵をまとわず、本作の中で唯一、人間を捕食する描写のあった怪獣。
 怪獣の中で最も現実世界に適化した種であり、現実世界の物質(人間など)を摂取して生命活動ができる反面、現実世界の法則性に縛られている。
 前脚がカマキリのように巨大な鋭い鎌状になった「カマンガ」形態、背中にトンボのような2対の羽を持ち飛行できる「ハネンガ」形態、クモンガ・カマンガ・ハネンガすべての性質を備える最強形態「ゼンブンガ」に変態できる。

モスラ
 ゴジラウルティマが出現した時に、翼長15cm ほどの大量の小さな個体が、紅塵に染まった空を舞っていた。小説版には登場しない。

メガヌロン
 ゴジラ・ウルティマの背ビレ付近に群生している、大人の人間ほどの大きさの巨大昆虫。
 小説版には明確には登場しないが、「ゴジラの体表にはまた新たな怪獣の幼体たちの姿が見え」という描写が存在する。

サルンガ
 体高7m、全長21m。シヴァ共同事業体が管理しているインド北方ウパラの研究施設の地下深くにあるアーキタイプ粒子の地底湖から出現した。
 丸いイボに覆われた緑色の皮膚を持ち、ヒヒとトカゲをかけ合わせたような姿をした四足歩行の怪獣で、猿のように長い四肢を持ち、四足歩行やナックルウォーク、鉄骨を飛び移ってよじ登るなど極めて高い運動能力を示す。性格は獰猛で攻撃的。サルンガの出現に合わせて紅塵も上昇し、さらに紅塵を煙幕のように使って身を守る様子から、紅塵をコントロールする能力も推測される。紅塵のエネルギーを吸収して巨大化し、最終的には体高10m を超えていた。
 名前の由来は、額の青い模様がヒンドゥー教の女神ヴィシュヌが使う天の弓「シャランガ」のように見えることから。

ブロブ / グレイグー
 ゴジラと共に出現した、紅塵を吸収して成長する植物怪獣。これらが自生する空間では時空間に歪みが生じる。小説版には登場しない。

ロボゴジラ( ROBOGODZILLA)
 対怪獣用決戦兵器。ミサキオクで発掘されたゴジラの骨格をベースに人工兵器で武装し、電子頭脳で制御されている。その製造にはスティーヴン、海、葦原が関係している。最終話のラストシーンにのみ、まだ起動していない状態で登場した。
 小説版には登場しないが、その代わりにエピローグで「三つの頭があってヒレが翼のように広がった金色の怪魚」が釣れたことを報じるスポーツ新聞の記事と、江戸時代末期の慶応二(1866)年に全身を固いウロコでおおわれたカメとイタチを合わせたような怪生物「豊年魚」が大坂の淀川に出現したことを報じる瓦版についての言及がある。

オーソゴナル・ダイアゴナライザー
 シヴァ共同事業体が開発した、アーキタイプの「フェイズ13」の段階にある存在。触媒のような働きを持ち、他のアーキタイプを結晶に変質させて分解・消滅させる性質がある。怪獣に対する唯一の対抗策として考えられているが、完成形でなければ完全な結晶化はできない。
 1954年版『ゴジラ』などに登場した超兵器オキシジェン・デストロイヤーに酷似した容器に入っており、略称も同じ「 OD」である。小説版では、オキシジェン・デストロイヤーとオーソゴナル・ダイアゴナライザーの関係が明らかにされている。

紅塵
 複雑な構造を持つ分子が集合してできた赤い砂のような物体。活性状態と非活性状態を持ち、通常の生物種の代謝系との反応が確認されない。
 後に、アーキタイプの13のフェイズのうち「フェイズ1」の段階のものであることが判明するが、サルンガがコントロールしたり、ラドンの生命活動を安定させるなど、ゴジラなどの怪獣がその巨大化した体躯と生態を維持するために必要なエネルギー源となっている。
 日本では、ラドンが出現した逃尾市のある房総半島南部沖の海域を赤く染め、漁業や農業に深刻な被害を与えた。

アーキタイプ
 紅塵を原料とする、従来の物理法則を超越した合成方法不明な新素材。強靭性や軽量性、優れた属性や剛性を備え、時には自己再生もすると言われ、エネルギー保存の法則を破るメカニズムを有する。時間逆行現象すら可能とする媒質で、過去へ送り込んだ光子を媒質に再度入射することでさらにエネルギーを増幅させることが可能とされており、李たちはこれを「葦原カスケード」と呼んでいる。

特異点(シンギュラポイント)
 ラドンをはじめとする未知の怪獣や紅塵が出現する、地球上の物理法則の破綻した正体不明の地点。60年前にインド・ウパラにあるシヴァ共同事業体の地下洞窟で発見されたが封印されていた。


 ……ヒエ~あいかわらず長くなってしまい大変に申し訳ございません!!
 あの、ごくごく簡単な私的感想文みたいなもんは、また次回に、ほんとにさらっと。
 やっと小説読めた……やっぱり円城塔はオモチロイなぁ!!


≪特別ふろく 更新しました!2025年度版・東宝怪獣の作品登場回数ランキング!!≫
※2024年3月公開のハリウッド映画『ゴジラ×コング 新たなる帝国』までの歴代東宝特撮映画と東宝怪獣の登場する特撮作品( TVアニメシリーズ『ゴジラ シンギュラポイント』も含む)と、小説『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年10月刊)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年4月刊)に複数回登場した怪獣をまとめ、その回数をランキング付けしています。
※登場した作品によって性質が全く異なる怪獣であったとしても、同じ名前の場合は同じ怪獣として加算しています(例:宇宙超怪獣と超ドラゴン怪獣、護国聖獣み~んないっしょ)。
※同じ作品内に複数個体登場した場合は「1回」とカウントしています(例:メガヌロンやカマキラスの群体、モスラの幼虫と成虫など)。
※同じ「ゴジラの幼体」として登場するミニラとベビーゴジラは、性質の違いから別の怪獣として区別しています。
※『ゴジラ シンギュラポイント』に登場したゴジラ幼体の各形態は、そのモデルとなった東宝怪獣のリブート出演とみなしカウントします(チタノザウルス、バラン、ゴロザウルスとする)
※『ゴジラ VS スペースゴジラ』(1994年)に登場したフェアリーモスラと、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)に登場したモンスターX / カイザーギドラは、それぞれモスラとキングギドラの形態の一つと解釈して合算しています。
※アニメ『 GODZILLA 』三部作に登場した異星人エクシフは X星人、ビルサルドはブラックホール第3惑星人として合算しています。
※2019年以降に展開している上西琢也監督の『 G vs.G』シリーズおよび中川和博監督の『フェス・ゴジラ』シリーズへの出演はカウントしません。面白いですけど!
※円谷プロのウルトラシリーズで有名な「東宝怪獣の着ぐるみの改造」によって造形された怪獣はカウントしませんが、『ウルトラQ 』第23話『南海の怒り』に登場した「大ダコ スダール」だけは、改造もへったくれもなくまんま同じ形態なので、例外としてカウントに入れました。まぁ、ハレのピン仕事だし、いいじゃないの……
※怪獣の名前の前につく肩書は、最初に登場した時のものを使用しています。
※2018年までの時点で1作品にしか登場していない怪獣は省略しています(例:ショッキラス、サルンガなど)
※過去作の映像の流用のみで新規撮影がない作品はカウントしていません。市販の玩具を利用して撮影された TVドラマ『ゴジラアイランド』(1997~98年放送)もカウントしていません。
※アメリカ映画が発祥となっている怪獣キングコングは、東宝特撮映画もしくはゴジラと共演した作品のみをカウントしています。また、ゴジラが登場していないモンスター・ヴァース作品『キングコング 髑髏島の巨神』(2017年)出身の怪獣(スカルクローラーなど)は東宝怪獣とみなさずカウントしません。

第1位 水爆大怪獣ゴジラ(41作)
 注意:ハリウッド映画『 GODZILLA』(1998年)に登場した怪獣は、強足怪獣ジラのほうに加算しています。あしからず……

第2位 巨大蛾怪獣モスラ(19作)
 『モスラ』(1961年)、『モスラ対ゴジラ』(1964年)、『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『ゴジラ VS モスラ』(1992年)、『ゴジラ VS スペースゴジラ』(1994年)、『モスラ』(1996年)、『モスラ2 海底の大決戦』(1997年)、『モスラ3 キングギドラ来襲』(1998年)『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001年)、『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(2003年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)、『 GODZILLA 星を喰う者』(2018年)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)、『ゴジラ×コング 新たなる帝国』(2024年)

第3位 宇宙超怪獣キングギドラ(11作)
 『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)、『怪獣大戦争』(1965年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(1972年)、『流星人間ゾーン』(1973年)、『ゴジラ VS キングギドラ』(1991年)、『モスラ3 キングギドラ来襲』(1998年)、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 星を喰う者』(2018年)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)

同 スーパーロボット怪獣メカゴジラ(11作)
 『ゴジラ対メカゴジラ』(1974年)、『メカゴジラの逆襲』(1975年)、『ゴジラ VS メカゴジラ』(1993年)、『ゴジラ×メカゴジラ』(2002年)、『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS 』(2003年)、『GODZILLA 怪獣惑星』(2017年)、『レディ・プレイヤー1』(2018年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)、『GODZILLA 決戦機動増殖都市』(2018年)、『ゴジラ VS コング』(2021年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

第5位 空の大怪獣ラドン(10作)
 『空の大怪獣ラドン』(1956年)、『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)、『怪獣大戦争』(1965年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『ゴジラ VS メカゴジラ』(1993年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

第6位 暴竜アンギラス(8作)
 『ゴジラの逆襲』(1955年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(1972年)、『ゴジラ対メガロ』(1973年)、『ゴジラ対メカゴジラ』(1974年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

第7位 知的宇宙人 X星人(7作)
 『怪獣大戦争』(1965年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、アニメ『 GODZILLA 』三部作(2017~18年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

同 大宇宙ブラックホール第3惑星人(7作)
 『ゴジラ対メカゴジラ』(1974年)、『メカゴジラの逆襲』(1975年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、アニメ『 GODZILLA 』三部作(2017~18年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

第9位 海魔 大ダコ(6作)
 『キングコング対ゴジラ』(1962年)、『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965年)、『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(1966年)、『ウルトラQ 』(1966年)、『戦え!マイティジャック』(1968年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 守護龍マンダ(6作)
 『海底軍艦』(1963年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

同 大グモ怪獣クモンガ(6作)
 『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

同 原始怪獣ゴロザウルス(6作)
 『キングコングの逆襲』(1967年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『行け!ゴッドマン』(1972~73年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

第13位 妖虫メガヌロン、古代昆虫メガニューラ、超翔竜メガギラス(5作)
 『空の大怪獣ラドン』(1956年)、『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』(2000年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

同 地底怪獣バラゴン(5作)
 『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

同 かまきり怪獣カマキラス(5作)
 『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年)、『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』(1969年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

同 ちびっこ怪獣ミニラ(5作)
 『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』(1969年)、『行け!グリーンマン』(1973~74年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)

同 サイボーグ怪獣ガイガン(5作)
 『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(1972年)、『ゴジラ対メガロ』(1973年)、『流星人間ゾーン』(1973年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

第18位 むささび怪獣バラン(4作)
 『大怪獣バラン』(1958年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

同 大怪力怪獣キングコング(4作)
 『キングコング対ゴジラ』(1962年)、『キングコングの逆襲』(1967年)、『ゴジラ VS コング』(2021年)、『ゴジラ×コング 新たなる帝国』(2024年)

同 人造人間フランケンシュタイン、サンダ、ガイラ(4作)
 『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965年)、『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(1966年)、『行け!ゴッドマン』(1972~73年)、『行け!グリーンマン』(1973~74年)

同 凶悪怪獣ガバラ(4作)
 『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』(1969年)、『行け!ゴッドマン』(1972~73年)、『行け!グリーンマン』(1973~74年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 大亀怪獣カメーバ(4作)
 『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』(1970年)、『行け!ゴッドマン』(1972~73年)、『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS 』(2003年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 強足怪獣ジラ(4作)
 『 GODZILLA』(1998年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

第24位 ロボット怪獣モゲラ(3作)
 『地球防衛軍』(1957年)、『ゴジラ VS スペースゴジラ』(1994年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 巨大エビ怪獣エビラ(3作)
 『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 公害怪獣ヘドラ(3作)
 『ゴジラ対ヘドラ』(1971年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 昆虫怪獣メガロ(3作)
 『ゴジラ対メガロ』(1973年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

同 電子ロボット ジェットジャガー(3作)
 『ゴジラ対メガロ』(1973年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

同 伝説怪獣 キングシーサー(3作)
 『ゴジラ対メカゴジラ』(1974年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

同 恐竜怪獣 チタノザウルス(3作)
 『メカゴジラの逆襲』(1975年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

同 ベビーゴジラ、リトルゴジラ、ゴジラジュニア(3作)
 『ゴジラ VS メカゴジラ』(1993年)、『ゴジラ VS スペースゴジラ』(1994年)、『ゴジラ VS デストロイア』(1995年)

同 ゴジラ細胞生物セルヴァム(3作)
 アニメ『 GODZILLA 』三部作(2017~18年)

第33位 南極怪獣マグマ(2作)
 『妖星ゴラス』(1962年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 宇宙大怪獣ドゴラ(2作)
 『宇宙大怪獣ドゴラ』(1964年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 怪鳥 大コンドル(2作)
 『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

同 合成怪獣グリホン(2作)
 『緯度0大作戦』(1969年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 大いか怪獣ゲゾラ(2作)
 『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』(1970年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 大蟹怪獣ガニメ(2作)
 『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』(1970年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 バイオ怪獣ビオランテ(2作)
 『ゴジラ VS ビオランテ』(1989年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 魔獣バトラ(2作)
 『ゴジラ VS モスラ』(1992年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

同 完全生命体デストロイア(2作)
 『ゴジラ VS デストロイア』(1995年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

同 魔海獣ダガーラ(2作)
 『モスラ2 海底の大決戦』(1997年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 宇宙怪獣オルガ(2作)
 『ゴジラ2000 ミレニアム』(1999年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)
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祝・ガラシャープ地上波初登場!?企画 便利屋怪獣ギャオス 令和もやっぱり傷だらけ!!

2025年06月23日 20時33分11秒 | 特撮あたり
 ヘイヘイ、どもども、そうだいでございます~。みなさま、今日も一日お疲れさまでございました!
 連日、私の住む山形も35℃に届かんとする勢いの猛暑が続いているのですが、梅雨、まだ明けてないのよね……ど~なっとるのかねコリャ!?
 とは言いましても、実は今日の山形はそうとう久しぶりに一日中の雨で、人間も田んぼの稲も畑の野菜・果物もほっと一息つける貴重な日となりました。天気予報だと、なんか4~5日はこういう天気が続くみたいなので、その後の梅雨明けからの猛暑に備えるためにも、ゆっくり体調を整えたいと思います。まぁ、湿度が高いのは我慢ですよね!


 え~、おとといの21日土曜日に、4月から NHK総合で深夜に放送していた CGアニメ『ガメラ・リバース』がついに最終回を迎えました。

 言うまでもなく、このアニメシリーズはすでにおととしに配信されていた作品でして、私もその時点でお話にざざっと目を通しておりまして、登場した怪獣たちの中でも特にグッと来たリバースギャオスとリバースギロンのムビモンを購入したりもしていたのですが、今回はいよいよ地上波放送、しかも6エピソードを12話に分割して1週ずつ放送するというじっくり形式でしたので、あらためて今回、毎週毎週録画して見直すたのしみにしておりました。

 まず、この作品の基本情報をおさらいしてみましょう。


『 GAMERA -Rebirth-』(2023年9月配信 全6話 Netflix)
 『GAMERA -Rebirth-』(ガメラ・リバース)は、ENGIが制作を担当し、Netflixで配信された特撮SF アニメシリーズ作品。2025年4月から NHK総合で地上波放送された。NHK 放送版では全12話形式に再構成されている。
 「ガメラシリーズ」としては初のアニメ作品であり、1989年の夏を舞台に、ガメラと怪獣たちとの戦いを目撃する4人の少年たちを描く。
 ガメラとギャオスのデザインは、2015年に公開されたシリーズ50周年記念映像を基にしており、第1話でのガメラと小型ギャオスの群れとの戦闘シーンも50周年記念映像での描写を踏襲している。
 本作における怪獣の能力や描写、人間のキャラクター、ストーリー面や戦闘シーンの細部などは、未制作を含む過去のシリーズ作品へのオマージュが重視されており、ガメラと子どもたちが助け合う関係性も含めて、昭和シリーズを中核として全作品のガメラの要素を込めている。

 本作には、『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)の最初期の原案に参加した脚本家の小中千昭・小中和哉兄弟の構想との類似性が見られ(子どもたちの冒険、超古代文明の遺跡から発見された怪獣の卵、ガメラと子どもたちとの超古代文明の記憶の共有、青白い攻撃を口から発射するガメラ、卵と幼体状態が登場するガメラとギャオス、熱に関する特性を持つギャオスなど)、その一部は後に『小さき勇者たち ガメラ』(2006年)ですでに映像化されていた。その他にも『小さき勇者たち』と本作には世界観上の類似点が散見され、たとえばガメラの能力(複数の攻撃を口から放つ、火球攻撃の際に腹部が発光する、身体から高熱を発して敵にダメージを与える手段を持つ、周囲全体を攻撃する能力を持つ、ビーム状の攻撃能力を持つ、肉体が分解される攻撃の跡に卵が残されるなど)や、登場する敵怪獣たちが共通の出自や性質や能力を持っているが見られる。


おもなスタッフ(年齢は Netflix配信当時のもの)
監督 …… 瀬下 寛之(56歳)
シリーズ構成 …… 猪原 健太(41歳)、瀬古 浩司(42歳)、瀬下 寛之
脚本 …… 山田 哲弥(38歳)、猪原 健太、瀬古 浩司、瀬下 寛之
造形・光画監督 …… 片塰 満則(59歳)
音楽 …… 片山 修志(?歳)
制作 …… ENGI、unend、スタジオKADAN
主題歌『夏暁』&エンディングテーマ『 FLY & DIVE』(歌・WANIMA )


登場怪獣
 本作に登場する怪獣は、すべて10万年前まで存在した「エリシタニア」などの超古代文明が戦闘用兵器および過剰増加した人口の調整装置として生み出した生物とされている。怪獣たちはそれぞれが複数の系統から派生した近縁関係にあり、各々が高い知能を持って戦略的な行動を行い、遠方から近づく危険要素を感知して判断したり、プラズマや電磁波や電波シールドを発生させたり、人類とくに怪獣との接触経験のある子どもを遠方から感知したり、対象の人間に何らかの精神干渉を行う、赤い眼をして紫色の血液が流れているなどの類似した身体構造や能力を持つのも、このためである。
 本作の前日譚にあたるあるマンガ『 GAMERA -Rebirth- コードテルソス』(角川書店)によれば、超古代文明の時代にガメラは24種類の怪獣と戦っていたことが示唆されている。その中には本編未登場の冷凍怪獣バルゴンの存在も確認されており、ガメラとギロン、ギャオスとジグラ、バルゴンとジャイガー、バイラスと詳細不明の複数の未登場怪獣が、それぞれ同系統から派生したとされている。
 ガメラ以外の怪獣たちの特徴として、同種を含む怪獣同士の共食いや人間を捕食することで急速成長・巨大化する傾向があり、場合によっては巨大化を加速させるために戦略的に共食いや人間の捕食も行う。また、場合によっては獲物(人類)に意図的に恐怖を与えて逃げ惑う様を楽しむような行動を取り、特に人間の子どもの捕食に非常に強い執着を見せる。


ギャオス
 体高20~25m、翼長100m、体重200t。飛行速度マッハ3以上。出身地・太平洋南部ニューギニア島。
 平成ガメラ3部作と2015年のシリーズ50周年記念映像でのデザインと設定を踏襲しており、従来のようなコウモリや鳥、ドラゴンのデザインだけでなく、ヘビの特徴も取り入れている。目の周りに炎のような模様がある。

 超古代文明が品種改良して生成した、戦闘兵器および人口調節装置。本作でのギャオスとジグラは同系統から派生しているために骨格などに類似性が強く、胸に主力武器の生成器官を持ち、足の裏にダイオウホウズキイカの吸盤のような「牙のある吸盤」を持つ点も共通している。
 数百個以上の卵がニューギニア島奥地の大空洞の石柱群に保存されており、現代人類の採掘工事によって発見された。孵化後は人類の捕食や共食いを経て生き残った40頭ほどが群れを成して日本列島に飛来した。ちなみに、ニューギニア島は昭和ガメラシリーズの冷凍怪獣バルゴンの出身地でもある。

 孵化時には体高が3~5cm ほどであるが、1週間で体高5~10m、最大で体高20~25m にまで成長するとされている。人間を捕食する度に巨大化し、特に人間の子どもに対して強い食欲を示す。
 知能が高く極めて残忍であり、各個体が共食いの危険性を回避するために戦略的な行動を取ろうとするほか、獲物にした人間を意図的に逃がして恐怖を与えてから捕食しようとするなどの面も持つ。また、初めて見るガメラやミサイルなどの危険を瞬時に察知して一時的に連携し集団戦術を執ったり、ガメラの接近を予知する描写も存在する。死ぬと有毒性のガスを噴出しながら急速に融解する。

 口から発する超音波メスで切り刻む攻撃を得意とする。超音波メスは過去の歴代ギャオスとは異なり赤い。本作での超音波メスは非常に高温で、人体を瞬時に破砕させる。超音波メスは攻撃だけでなく、獲物の肉を食べやすい大きさに切り分けたり障害物を排除したりする用途にも使われる。長大なヘビのような舌を持っており、これを槍のように瞬時に伸ばして人間を串刺しにして、ヘビのようにアゴの関節を外して獲物を吞み込む。足の裏にある吸盤によって垂直の壁にも吸着したり、相手に掴みかかったりする。翼の先端や脚にある猛禽類に近い形状の鉤爪は、ガメラの皮膚にもダメージを与えることができる。体表面に不可視の電波シールドを発生させて物理攻撃を防ぐことができるが、ガメラの火焔攻撃は特定波長のパルス放電を使用してこれらのシールドを無効化・貫通できるため、ガメラに対しては有効でない。


エスギャオス
 体長340m、翼長不明、体重3,600t。
 ユースタス財団の上層部「評議会」によって、幼生ギャオスに遺伝子変異を促す特殊な RNAガスを投与して生み出された突然変異の個体。さらに人間を捕食し他怪獣バイラスの死体を摂取したことによって増殖細胞が暴走し、通常のギャオスとは比較にならない大きさと攻撃力と防御力を得たが、その一方で飛行能力は失っており、与那国島近海から石垣島の枝先半島まで泳いで移動した。名前の「S」は「 Special Mutation」を意味する。

 幼生時には左右3個ずつ計6個の目を持っており、成長すると4個に減少した。成長すると頭部に可動できる反射膜の付いた4つの角を持つようになり超音波メスの発射時にはこの反射膜が帯電する。舌から相手の遺伝子コードを書き換える特殊な RNAウイルスを投与する能力を持つ。超音波メスの威力も上昇しており、軍艦や戦車を容易く破断したり海水を吹き飛ばす威力を持ち、着弾点の砂地も焼け焦げていたが、ガメラの甲羅を貫通することはできていなかった。ガメラの火焔弾の連続攻撃にも耐えることができる。

 映画『小さき勇者たち ガメラ』に登場した凶悪怪獣ジーダスと、昭和ガメラシリーズの幻の怪獣「大邪獣ガラシャープ」の設定を受け継いでいる。


 ……え~、こういうわけでありまして、今回の「ガメラ VS 6大怪獣」という非常に魅力的な設定をババンと提示してくれた『ガメラ・リバース』の中で、なんと「先鋒と大将どっちも」という、おいしいにも程のあるポジションを横取りしてしまったのが、かつて我が『長岡京エイリアン』においても、なみいるガメラ怪獣の中で特に私が大好きな名怪獣としてピックアップしたこともある凶悪怪獣ギャオスだったのでありました。
 いや~、やっぱガメラシリーズにおける時代・シリーズを超えた貢献度の高さをかんがみれば、ギャオスさんが最初と最後を飾るのは当然の理ですよねぇ! ま、「予想通りすぎる」という声もあるかも知れませんが、最大公約数のガメラファンの方々が納得する怪獣選だったのではないでしょうか。

 ですので今回は、ちょっと『ガメラ・リバース』全エピソードについて語るまでの余裕はないものの、令和最初のギャオスさんの TV初登場でもありますし、本作に登場したリバースギャオスとエスギャオス(以下、スペシャルギャオスと呼称します)の活躍について感じたことをくっちゃべっていきたいと思います。とは言っても、やっぱりシリーズ全体についての話になってしまいますか。


 まず、エピソード1『東京上空』(TV版1・2話)に登場したリバースギャオスについてなのですが、う~ん……まぁ、押しなべて「ギャオスが CGで活躍するとしたら、こんな感じよね。」という感想でした。いかん、言い方がキツいぞ!

 リバースギャオスの、過去の歴代ギャオスと比較してのオリジナルポイントといえば、やはり「身体がまっ赤」という点と「ワイバーンみが増してる」というところだと思います。やはり CGで活躍できるという利点を大いに活かして、まさに東京上空を大群で跳梁するその紅蓮の姿は空の悪竜そのもの。羽ばたく躍動や一瞬で身をひるがえすアクションの軽やかさは、実写特撮ではなかなか実現不可能なスピード感を持っていたと思います。また、ゲームセンター内で主人公たちを追い回す様子は、巨大怪獣とはまた違った、まさしくあの映画『ジュラシック・パーク』(1993年)での「厨房室でのヴェロキラプトルの追撃」シーンを彷彿とさせるリアルな恐怖感たっぷりな活躍を見せてくれたと思います。

 そうそう、こういうところでギャオスさんの芸の幅がきいてくるんですよね。つまり、人間を喜んで喰らい尽くす憎々しい悪役としての表情演技もお手の物だし(特に今回はベロを多めに出していて下っ端チンピラ感がすごい)、その一方で多少ケガをしてピョコピョコ歩くような、どこかまぬけでユーモラスな味わいも出せるのが、ギャオスさんのすごいところなんですよ。これはもう、1967年の初代以来ずっと変わっていない専売特許ですよね!

 このギャオスさんくらいに恐怖も笑いもどっちもいける万能怪獣って、そんなにいますかね? 飛行怪獣の大先輩であらせられる東宝のラドン師匠(1956年生)も、近年のハリウッド版でけっこう面白いキャラクターになってはいましたが、自分の身のこなしで笑いを取るまでの身の切り方はしてませんでしたしね。あれはギドラに負けたらギドラに従い、ギドラが死んだらゴジラへ乗り換えるという腰の軽さが面白いのであってね。
 円谷プロのウルトラシリーズでいうと、レッドキングとか、代によっては面白い言動をする(5、6代目)バルタン星人とかが、面白い面もある悪役怪獣・宇宙人として連想されるかと思うのですが、ウルトラ怪獣は総じて新幹線やビルから人をつまんでボリボリ喰うみたいなダーティワークはしませんからね。

 やっぱりね、「人を喰う」という外道一直線な所業をしときながら、それでいてどこかユーモラスというギャオスさんの「最低だけど最高」なポジションは、特撮キャラ界の中でもそうとうに稀有な存在だと思うんですよ。それはもう、令和でも揺らいでいないんですね。

 とまぁ、そういう感じでギャオスさんのキャラの代替不可能な稀少性をあらためて証明してくれた『ガメラ・リバース』ではあったのですが、その一方であえて厳しい物言いをさせていただけるのであれば、リバースギャオスにそれ以上の、諸先輩ギャオスをあっと言わせるようなオリジナリティがあったのかというと……あんまりなかったような気もします。

 だって、超音波メスは初代ギャオスから、大群属性は平成ギャオスから、執拗に人をつけ狙う残酷性は50周年ギャオスからといった感じで、だいたいの特徴が歴代からの拝借&ミックスなので、ほんとに新しいのは、先ほど挙げた外見上の変化しかないのです。
 そして、基本情報にもあったように、今作でのリバースギャオスに、その物語上の役割において最も似ているのは『小さき勇者たち ガメラ』の冒頭に登場したオリジナルギャオスだと思うのです。共通している点は2つあって、1つは「お話の最初であっさり殲滅させられる点」、もう1つは「お話のラスボスの素体になっている点」です。ここでいうラスボスというのは、スペシャルギャオスとジーダスのことですね。
 いちおう、オリジナルギャオスはアヴァンガメラの自爆を誘発したので「あっさりと」の表現に語弊はあるのですが、まぁ冒頭でとっとと退場させられていることに間違いはありません。
 つまり、本作のリバースギャオスと『小さき勇者たち』のオリジナルギャオスはともに、「お話の最初でガメラにやられて退場」という、まさに先鋒、まさにかませ犬な役割を粛々と演じざるを得なかった、哀しき脇役ポジションを甘んじて受けていたわけだったのでした。

 なんということでしょう、これがギャオスさんの令和最初の活躍だったとは……非常に無念! 誠に遺憾であります!!

 でも、こういう前座がいないと、『小さき勇者たち』も本作も盛り上がらないわけなんで、ね。適度にガメラを奮い立たせて、序盤の敵として潔く散ってくれるキャラとしても、ギャオスさんは非常に使い勝手のいい存在だったのですね。令和も、こんな感じでいくのかな……あら、涙が。

 しょっちゅう再登場してくれるのは本当に嬉しいのですが、ギャオスさん、忘れないでください。あなたは1967年に初登場した時は、胸から黄色の「消化毒液」を噴出して、ガメラの得意技である火炎攻撃をいっさい無効化させ、たった1頭で1本の映画をもたせられてた「強豪敵怪獣」だったんですからね!? 何頭も群れをなしてガメラにたかって、挙句に火炎攻撃で一掃されるようなやっすいキャラじゃなかったんですよ~!?

 思い出せ、1967年を!! 次に再登場する時は、ぜひっとも1頭でガメラを苦戦させる大怪獣に原点回帰してくださいませい!!

 あ、ちなみに、今回のリバースギャオスに全くかぶっていない唯一の先輩ギャオスとして、全身銀色の「宇宙ギャオス」がいるのですが、この先輩のマネだけは絶対にせんといてくださいね。若干、今作のリバースジグラにその面影があったような気もしたのですが、リバースギロンに惨殺されるようなくだりはさすがに無かったので、ほっといたしました……

 余談ですが、ぬいぐるみ特撮の昔と全く同じように、昨今の CG特撮の世界でも、制作費節約のために既製怪獣の姿にあれこれ手を加えて別怪獣に仕立て上げるという伝統が残っていたのにはビックラこきました。なるほどねぇ~。


 さて、『ガメラ・リバース』の序盤に登場したリバースギャオスの話はここまでにいたしまして、いよいよ本作のラスボスと言って良いポジションについた、スペシャルギャオスのほうに触れていきたいと思います。
 まぁ、視聴された方ならばわかるように、本来この作品においてラスボスの位置にいたのは、その1コ手前のリバースバイラスだったのですが、その殲滅後に突然変異的に飛び入り出場したのが、このスペシャルギャオスだったわけなのでした。

 ところで、とにかく私として無視できなかったのは、このスペシャルギャオスの基本情報において、上記のように「ジーダスと幻の怪獣ガラシャープの設定を受け継いでいる」という記述があったことだったのです。

 おぉ、ガラシャープとな!? まさか、令和の御世にガメラと歴代敵怪獣が復活するという今回の企画において、バルゴンやらレギオンやらイリスをさしおいてこの怪獣にスポットライトが当てられるとは! 長生きはするもんじゃのう。
 ここでちょっと、ガラシャープについての基本情報をば。


大邪獣ガラシャープとは!!
 大邪獣ガラシャープは、昭和ガメラシリーズの没映画に登場する予定だった、ガラガラヘビとキングコブラをモチーフとした蛇の怪獣。
 昭和ガメラシリーズの制作会社であった大映の1971年12月の倒産によって、『ガメラ対深海怪獣ジグラ』(1971年7月公開)に続くシリーズ第8作として企画されていた『ガメラ対双頭怪獣 W』の制作はお蔵入りとなった。しかし、1991年発売の昭和ガメラシリーズの LD-BOXの映像特典として、この企画は『ガメラ対大邪獣ガラシャープ』と題して、ハイライトシーンのみがイラストとミニチュアによって映像化された。原案は高橋二三、イラスト・怪獣デザインは井上章、監修は湯浅憲明。登場する怪獣は大邪獣ガラシャープと怪獣マルコブカラッパ。ただし、マルコブカラッパは物語にはからんでこない。

 昭和ガメラシリーズの敵怪獣の中でも最大級の大きさであるとされ、目が赤く光り、頭頂部も発光する。炎などの熱エネルギーが好物で、舌を使って吸引するため、ガメラの火炎噴射が効かない。ミサイルとして発射できる角は、通常はアンテナにもなる。口から昭和ギャオスと同様の消火性の毒ガスを吐く。尻尾の先端には回転式ドリルが付いており、尻尾全体を震わせて超音波を発する。とぐろを巻いてホバークラフトの様に飛行することができる。2頭の子ども(幼体)がいるが、クライマックスでガメラに命を救われている。
 1991年の特別映像版ではガメラシリーズ初の人類が開発した架空兵器が登場し、ガメラがそれを利用してガラシャープを倒すという展開になっていた。


 ……いやはや、まさかこのガラシャープの要素を継承した怪獣が、6大怪獣のトリを務めようとは! ガラシャープさんそのものが念願の初出演を果たしたわけでもないのですが、それにしたって大いに言祝ぐべきことじゃないっすかぁ。

 ただし、ここで注意しておかねばならないのは、昭和ガメラシリーズにおいてジグラの次に映画化されるはずだった幻の「双頭怪獣W 」が、そのままイコールでガラシャープではないというところなのです。そもそもガラシャープは頭1コだし!


双頭怪獣W とは
 双頭怪獣W は、幻となった企画『ガメラ対双頭怪獣W 』に登場する予定だった怪獣。その設定が活かされて1991年に特別映像『ガメラ対大邪獣ガラシャープ』が制作された。
 湯浅・高橋・八木正夫・徳間康快などが執筆協力した書籍『強いぞ!ガメラ』(1995年 徳間書店)に、『ガメラ対双頭怪獣 W』の原案を再利用したプロットが掲載されており、ここでは「 W」こと銀色の双頭怪獣ワイバーン(『ガメラ対大邪獣ガラシャープ』のガラシャープにあたる)が登場する。
 プロットの設定では、ワイバーンはバイラス星人とジグラ人が、太陽系第10惑星テラにて生成した生物兵器で、かつてガメラと戦った怪獣たちの戦闘データが組み込まれている。
 深海怪獣ジグラから受け継いだ「細胞活動停止光線」を額から発射し、双頭のそれぞれの口から火炎放射と冷凍光線を吐く。


 はいはい、お蔵入り企画あるあるの展開で、話がややこしくなってきましたね~。
 要するに、おそらくは1972年に映画化される予定だった昭和ガメラ第8作(『宇宙怪獣ガメラ』ではない)の敵怪獣「双頭怪獣W 」は、正確に言うと1991年にミニチュア人形で映像化されたガラシャープとは100% 同一の怪獣ではなく、かといって、1995年にプロットの形で世に出た双頭怪獣ワイバーンについても、上記のようにお話自体は「大映版怪獣総進撃」的なお祭り企画となっているので、決して純粋に幻の企画を復元させたものとは言えそうにないのです。や、ややこしい。
 無理やり解釈すれば、1991年特別映像版のストーリーラインで1995年の双頭怪獣ワイバーンが暴れる物語が、1972年の幻の映画であったんじゃないかと思えるのですが……つまり、頭が1つしかない怪獣ガラシャープは、1991年の企画の予算都合の問題で生まれたのではないでしょうか。こやつもこやつで、哀しき出生の事情が~!

 とまぁ、こういうごたごたがあった末に、2023年にやっと世に出ることができたガラシャープ(の要素を持ったスペシャルギャオス)だったわけなのでした。良かったね~!! やっぱり『フレディ VS ジェイソン』で殺人鬼フレディが語っていた至言ではないですが、「名前を忘れられない限り、そのキャラクターは永遠に死なない」んですね~。これは、ジャンルこそ違いますが『機動戦士ガンダム ジークアクス』でまさかの大注目を浴びた「キケロガ」もそうですよね。実質はだいたいブラウ・ブロながらも。

 そんでもって、肝心なのは『ガメラ・リバース』の最終エピソード『幼年期の終わり』(TV版11・12話)でのスペシャルギャオスの活躍のほどなのでありますが、う~ん……決して「ラスボス」らしい華々しさがあるとは言えない、ちょっと寂しいものだったと思います。

 先ほども申したように、今作におけるスペシャルギャオスは「たまたま最後に出てきたから」という感じで最終エピソードの対戦怪獣になっているので、例えていえば『ウルトラマン』の宇宙恐竜ゼットンではなく『ウルトラセブン』の双頭怪獣パンドンのような味わい深い立ち位置のラスト敵になっているのです。パンドンなんか、そもそもセブンが元気だったら簡単に倒せる怪獣だったはずで、今作のスペシャルギャオスもまた、本気を出したガメラのフル回転攻撃になすすべもなく敗れ去ってしまいました。

 これは、結局『ガメラ・リバース』全体に対する感想になってしまうのですが、制作スタッフがかつて手がけたアニメ映画版『ゴジラ』三部作と同様に、やはりこのスタッフ陣は「怪獣特撮」の要諦をはずしているというか、大事な「そこは押さえとかないと」な部分を理解できていない所があると思います。でも、これは決して批判ではなくて、そういう異質な才能が伝統とお約束で凝り固まった業界に参入するのは、あるジャンルの新陳代謝として健康的な動きではあると思うのですが。

 本作は昭和ガメラシリーズに代表されるような「怪獣プロレス」のアップデートを謳っているようなのですが、それは1エピソード1ゲスト怪獣という形式をなぞっていただけであって、最後の最後までガメラが他怪獣と一線を画してケタ違いに強い優位は揺るぎませんでした。怪獣プロレスにしては、ガメラが強すぎて勝負の展開にドキドキできないし、したがって応援する気にもなれないんですよね。けっこう苦戦しときながら、本気を出した瞬間にギロンをさくっと瞬殺するという流れはメリハリがあって良かったのですが、その後のバイラスもスペシャルギャオスもおんなじ流れとなってしまうと、誰でも飽きてしまいますよね。「てめーはおれを怒らせた」は、最終戦1回だけしか通用しない禁じ手ですよ!

 だいたい、「レギオンくるか? まさかのイリスか!?」とさんざん期待させておきながら、最後に出てきた怪獣が復活怪獣でも完全オリジナル怪獣でもない、「すでに出した怪獣のマイナーチェンジ個体」という、中途半端にもほどのある選択になってしまったのは、いろいろ厳しい台所事情はあったにしても、作品全体の期待値と評価をガクガクッと下げる判断だったと思います。こんなん、特撮ファンの神経を逆なでするだけでしょ……それでめっちゃ強いわけでもないし! ギャオスファンも嬉しくないですよね。

 なので、『ガメラ・リバース』もまた、アニゴジ三部作からだいぶ特撮ファン向けに見やすく譲歩したようでありながらも、本質的には同じように特撮ファンの期待する定石をことごとくはずしている、記憶に残りづらい異端作になってしまったと思います。
 ほんと、ギロン戦までは面白かったと思うんだけどなぁ……全体的に、「わざとツボをはずしてるんですよ」じゃなくて単純にわかってないだけにしか見えないのは非常に痛いですね。はずすにしても、そこまでの王道の歴史を理解しなきゃあ。「役作りの邪魔になるから過去作は見ない」ってのたまって自分の能力不足をさらしてる三流役者とおんなじですよね。いま思い出しても、メカゴジラを出すって見せかけといて(怪獣型のは)出さなかったあの演出は、詐欺すれすれの神をも恐れぬ大魔球でしたよ……

 話を戻しますが、スペシャルギャオスにおけるガラシャープ要素というのも、「首らへんがヘビっぽい」というのと「舌が武器になる」というところくらいという、ファンタの果汁成分なみの薄さだったので、ガラシャープ自体の待望の正式登場とは口が裂けても言えない話でしたね。やっぱり、完全復活は今回もおあずけか……
 そもそも、本気で今回のような「シリーズ内の過去怪獣のリブート」を標榜するんだったら、「ガラシャープ要素をひとつまみでギャオスを焼き直し……」みたいなケチくさいことを言わずに、それこそ双頭怪獣ワイバーンを設定までまるっとガチで映像化するような全力投球を見せて欲しかったですよね。最後は全部のせのお祭りでドカーン!!とね。そうしたら、少なくとも現状よりはワクワクする最終回になっていたことでしょう。無理だったんでしょうけれど!


 いろいろくだくだと申しましたが、まずは『ガメラ・リバース』が世に出たことを大いに喜びながらも、ことギャオスに関しては「平成イメージの追認」という意義しかない令和デビューであった、と評価するしかないうらみは残ったかと思いました。ま、それでもギャオスが非常に使い勝手のいい名怪獣であることはわかりましたし、令和も始まったばっかですから! 今度は是非とも、実写映像での「火炎攻撃をキャンセルできる強豪怪獣としての単体ギャオスの復活」を、大いに期待したいと思います。群体はもういいです! 1体でガメラと渡り合っていただきたい、人間たちをむんずとつかみ取りガツガツ喰いまくってトラウマメイカーになっていただきたい!! タクシーを真っ二つに切断(補助タイヤは残して)も忘れずにネ。

 あ~、また『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』(1967年)、観よう。あれと『カリオストロの城』が、1980年代生まれの私にとっての「王道どストライクの娯楽映画とは」の産湯&教科書です。めがまわる~! そして、夜が明ける。
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「自伝的映画」を言い訳にしてはいけませんね ~映画『カミノフデ』~

2024年08月31日 23時12分32秒 | 特撮あたり
 みなさま、どうもこんばんは! そうだいでございまする~。
 いや~、ついに8月もおしまいでございます。でも、それで明日からガラッと涼しくなるでもなく、やっぱり暑い日はまだまだ続くんでしょうが、さすがに私の住む山形市は、朝夕が確実に過ごしやすくなっております。その時間帯だけ切り取れば確かに、秋がもうすぐそこまで来ているといったあんばいですね。
 今年の夏も、汗かいたね~……もうちょっとラクに働けたらな~、なんて思うのですが、まぁそれが私の働き方なんだもんなぁと、なかば諦めながらあくせく動き回っておりました。ありがたいことに大病にも熱中症にもギックリ腰にもならずに生き延びているのですが、私も若くはないのでねぇ。身体は大切にしないと。

 まぁそんなわけで、元気なうちにバタバタ働いて、そのぶん週末のお休みには好きなことをということで、本日はず~っと気になっていた、この映画がつい最近に山形県内でも公開のはこびとなりましたので、観てまいりました。


映画『カミノフデ 怪獣たちのいる島』(2024年7月26日公開 74分 ツエニー)
 映画『カミノフデ 怪獣たちのいる島』は、日本の特撮ファンタジー映画。
 日本の怪獣文化の根幹をなす特殊美術造形に多大な貢献を果たした造形家・村瀬継蔵が総監督を務める。村瀬が、その造形人生の総決算としてクラウドファンディングで資金を集め、村瀬が会長を務める造形美術会社「ツエニー」が主体となって制作した特撮映画である。
 本作の登場人物・時宮健三の遺した造形物や生前のエピソード、劇中に登場する空想の怪獣などには、村瀬の実際の特殊造形体験が数多く投影されており、10代の男女を主人公としたジュブナイル的物語に加えて、村瀬の自伝的要素も本作の見どころとなっている。

 本作制作の原点は、村瀬が1975~77年に香港の映画会社ショウ・ブラザース社に招かれて特撮映画を撮影していた時期にさかのぼる。映画『北京原人の逆襲』(1977年)の撮影中に村瀬は、プロデューサーの蔡瀾(チャイ・ラン 1941年~)から次回作の構想を依頼され、中国の昔話『ふしぎな筆(マーリャンと魔法の筆)』を元にした子ども向け冒険怪獣映画のプロットを執筆した。しかし蔡がゴールデン・ハーベスト社に移籍したために計画は立ち消えとなり、香港映画としての制作を想定した物語だったことから日本へのアレンジも難しいと判断された本作は長らく凍結したままとなっていた。
 しかし、2017年に本作のプロットに興味を示した TVディレクターが、村瀬に作家・脚本家の中沢健を紹介したことがきっかけで映像化の計画が再び動き出す。当初はクラウドファンディングの形で15~30分間ほどのパイロット的短編作品を想定していたが、物語の現代日本への置き換え、日本神話の魔獣ヤマタノオロチの登場、TVドキュメンタリー番組による制作現場の密着取材企画なども交えて作品の規模は拡大していき、最終的に独立した長編映画として2020年7月に制作発表されることとなった。

 撮影は2022年2月~翌23年5月に行われた(俳優によるドラマパートの撮影は2022年6~7月)。


あらすじ
 長年、特撮界における特殊美術の造形家として活躍し、多くの特撮作品を手がけた時宮健三がこの世を去った。
 祖父である健三との間にあまり良い思い出がなかった孫娘の朱莉は、母・優子とともに、複雑な心境で健三のファンに向けたお別れ会の会場を訪れ、そこで大の特撮ファンである同級生の卓也と出会う。さらに、健三の古い知り合いだというホヅミという男から、祖父が『神の筆』というタイトルの映画を監督しようとしていたことを聞かされる。
 ホヅミはおもむろに『神の筆』で小道具として使われる予定だったという筆を取り出し、「世界の消滅を防いでください。」と言い放つ。ホヅミの言葉とともに朱莉と卓也は強烈な光に包み込まれ、気がつくと周囲はお別れ会の会場ではなく、『神の筆』のプロットにあった孤島に変わっていた。
 その島で、伝説の魔獣ヤマタノオロチが世界の全てを破壊しようとする光景を目の当たりにした朱莉と卓也は、元の現実世界に戻るために、健三が創り上げようとしていた『神の筆』の秘密に迫る冒険の旅に出るのだった。

おもなキャスティング(年齢は映画公開時のもの)
時宮 朱莉 …… 鈴木 梨央(19歳)
城戸 卓也 …… 楢原 嵩琉(たける 18歳)
ホヅミ   …… 斎藤 工(42歳)
時宮 優子 …… 釈 由美子(46歳)
スーザン  …… 吉田 羽花(わか 17歳)
時宮 健三 …… 佐野 史郎(69歳)

おもなスタッフ(年齢は映画公開時のもの)
原作・総監督 …… 村瀬 継蔵(88歳)
脚本     …… 中沢 健(42歳)
特撮監督・プロデュース …… 佐藤 大介(43歳)
音楽     …… 小鷲 翔太(?歳)
オリジナル・コンセプトデザイン …… 高橋 章(2023年死去)
怪獣デザイン …… 西川 伸司(59歳)、松本 智明(28歳)
特殊造形   …… 村瀬 文継(56歳)、若狭 新一(64歳)、松本 朋大(49歳)
背景美術   …… 島倉 二千六(ふちむ 83歳)
エグゼクティブプロデューサー …… 村瀬 直人(59歳)
メインロケ地 …… 東京都瑞穂町・瑞穂ビューパーク、スカイホール、北海道池田町・池田ワイン城


日本特撮界の生き仏さま!! 村瀬継蔵とは
 村瀬継蔵(むらせ けいぞう 1935年~)は、特撮映画における怪獣などの着ぐるみ、造形物製作者。造形美術会社「有限会社ツエニー」会長。北海道池田町(道東地方)出身。現在は東京都瑞穂町(多摩地域)を拠点に活動している。

 23歳で上京し、1957年にアルバイトとして東宝の特殊美術に参加する。アルバイトを務めたきっかけは、東宝で特殊美術を手掛けていた八木康栄・勘寿兄弟と継蔵の兄・継雄が知り合いであり、前任のアルバイトであった鈴木儀雄が学業により参加できなくなったため、八木兄弟から相談を受けた継雄が継蔵を紹介したことからであった。
 1958年に正式入社すると、同年の『大怪獣バラン』や、1963年の『マタンゴ』などの着ぐるみ造形を助手として手がけた。東宝時代は八木兄弟に師事し、特に弟の勘寿には世話になったという。ある時、継蔵が生活の辛さから特撮の仕事を辞めようと思っていることを勘寿に告げたところ、勘寿から「この仕事は子どもたちに夢と幸せを売る商売だ」と諭され、一生の仕事として続けることを決心したという。
 1965年には、知人の劇団へ移籍するという形で当時の五社協定を乗り越え、大映初の怪獣映画となる『大怪獣ガメラ』も手がけた。この仕事をきっかけに継蔵は東宝から独立して、八木勘寿の息子である八木正夫とともにエキスプロダクションを設立し、特撮TV ドラマ『快獣ブースカ』や『キャプテンウルトラ』などを担当した後、1967年には韓国初の怪獣映画『大怪獣ヨンガリ』、1969年には台湾映画『乾坤三決斗』の造形も手がけた。

 1972年にはエキスプロから独立し造形美術会社「ツエニー」を設立。折からの変身怪獣ブームに伴い特撮TV ドラマ『仮面ライダー』、『超人バロム・1』、『ウルトラマンA』、『人造人間キカイダー』などを手がけ、1975年には香港のショウ・ブラザーズ社に招かれて映画『蛇王子』の造形を担当。1977年には『北京原人の逆襲』の造形だけでなく、火だるまとなった北京原人が高層ビルから落下するシーンのスタントも自ら演じている。その後は映画『帝都大戦』(1989年)や『ゴジラ VS キングギドラ』(1991年)などのセットや造形を手がけた。

 子の村瀬文継も村瀬直人も造形スタッフとしてツエニーで活動し、文継は後に独立して自身の造形会社「株式会社フリース」を設立して活動している。2019年、継蔵がツエニー会長に就任し、直人は代表取締役として活動している。

主な参加作品、担当造形物
1958年
映画『美女と液体人間』
映画『大怪獣バラン』バランの造形
1959年
映画『日本誕生』ヤマタノオロチの造形
1961年
映画『モスラ』モスラ幼虫とモスラ成虫、小美人パペットの造形
1962年
映画『キングコング対ゴジラ』ゴジラ、キングコング、大ダコの造形
映画『妖星ゴラス』マグマの造形
1963年
映画『マタンゴ』マタンゴの造形
1964年
映画『宇宙大怪獣ドゴラ』ドゴラの造形
映画『モスラ対ゴジラ』モスラ幼虫とモスラ成虫の造形
映画『三大怪獣 地球最大の決戦』ゴジラの尾とキングギドラの造形
1965年
映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』フランケンシュタインとバラゴンの造形
映画『大怪獣ガメラ』ガメラの造形
1966年
映画『大魔神怒る』、『大魔神逆襲』大魔神の造形
映画『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』エビラの造形
1967年
韓国映画『大怪獣ヨンガリ』ヨンガリの造形
1971年
TVドラマ『仮面ライダー』仮面ライダー1号とサイクロン号の造形
1972年
TVドラマ『超人バロム・1』バロムワンやドルゲ魔人の造形
TVドラマ『ウルトラマンA』ベロクロン、バキシム、ギロン人の造形
1973年
TVドラマ『行け!グリーンマン』グリーンマンの造形
1975年
映画『メカゴジラの逆襲』チタノザウルスの造形
1977年
香港映画『北京原人の逆襲』北京原人の造形
1991年
映画『ゴジラ VS キングギドラ』キングギドラとメカキングギドラの造形
1992年
映画『ゴジラ VS モスラ』モスラ幼虫とモスラ成虫の造形



 東京公開がまる1ヶ月前なので、感想を言うのはだいぶ遅きに失しているのですが、それでもスクリーンで観ることができたのは幸いでした。
 それにしてもさぁ、この作品、山形県の県都たる山形市では公開されてないんですよ! 車で30分くらいかかるお隣の天童市にあるイオンシネマでの公開なの。山形市にイオンシネマねぇんだず~! イオンは2つくらいあるのに。
 でも、実はこの手間のかかる隣町への映画鑑賞行、私はけっこう好きでして、車で30分くらいかけて知らない街に行くドライブが小旅行感たっぷりでいいんですよね。しかも夜の最終回を観に行くと、あの野球場何個分なんだという、だだっ広い地方イオンモールの駐車場がほぼ無人なので、どこか日常とは空気の違う異世界のゴーストタウンをさまよっている感がハンパなく、観終わった後に外に出ると、ほんとに元の世界に帰ってこれたのか判然としない浮遊感を味わうことができるのです。さらにそこに、ミルクのように濃密な夜霧でもたちこめようものなら……おかーさーん!!

 それにしても、やっぱり新作映画が東京に比べて月遅れになるというのは歯がゆい思いですけどね。まぁそれはしょうがないよ、本だって雑誌だって発売日に本屋さんには並ばない地域なんだもんなぁ。
 あ~っ、そういえば! 私、本作の公開よりも、先週の23日に公開となる映画『箱男』のほうを楽しみにしてたんですよ! 白本彩奈さ~ん!!
 それがあんた、蓋を開けてみれば山形での公開は来月の9月20日なんですって! こちらはさすがに山形市で観られるんですが、やっぱ1ヶ月遅れなのよぉ~。そんなん、同じ白本さん出演のドラマ『黒蜥蜴』の放送とか、辻村深月先生原作の映画『傲慢と善良』の公開とほぼいっしょのタイミングじゃねぇかよう!
 まぁ、待ちますけどね……別にネタバレ情報バレがどうこういうジャンルの作品でもないと思うのでかまわないのですが、忸怩たるものはあるということで。

 情報バレではないのですが、今回取り上げるこの『カミノフデ』も、東京公開からすでに1ヶ月が経っているということで、ネット上でちょっと調べると、映画を観たお客さんのレビューのような文章がたくさん出てきます。

 え~、なになに、レビュー星5つ中、「星3つ」……3つ!? 100点満点中60点ってこと!?
 あ、あの、日本特撮界のレジェンドである村瀬継蔵さんが満を持してメガホンを執った作品が60点とは……

 具体的にレビューを見てみますと、そこには「俳優の演技がひどい」、「テンポが悪くて寝そうになった」、「予算なさすぎ」、「ストーリーが弱い」という言葉が目立ちます。ただ、全レビューが「特撮造形はすばらしい」という部分だけは声を合わせているのが、さすが村瀬さんです。
 ちょっと、映画館に観に行く前にこういう情報に触れてしまうと若干、足が重くなってしまうのですが、なんてったって日本全国あまねく特撮ファンの誰一人として足を向けて寝ることができないと申しても過言ではない村瀬さんの監督作品なのですから、「やっぱ観るのや~めた!」などという選択肢など存在しえません。これはもう、観る気とかおサイフ事情とかいうものでは揺らぎようのない、信仰心の問題なのです!
 なんてったって私は、出演者の演技力なんかお子様ランチのパセリ程にも期待していない、あの「ガールズ×戦士シリーズ」の劇場版にも堂々とおっさん一人で鑑賞におもむき、親子連れの女児のみなさまの怪訝そうな視線の包囲斉射にも耐え抜いた経験がある! あの過酷さに比べれば、こんな「評判が芳しくない」だけの映画など、北海道・富良野ラベンダー畑を吹きわたるそよ風の如し!! そういえば、「ガールズ×戦士シリーズ」の劇場版もイオンシネマグループでしたね……

 そんなわけで、異様なテンションを胸中にたぎらせ乗り込んだ『カミノフデ』鑑賞だったのですが、その感想や、いかに!?


良い映画には「野望」が必要だ! そしてこの作品には、「野望」がまるでない!!


 こういうことになりますでしょうか。わかりにくい? でも多分、こういうことのような気がするんです。

 映画は総合芸術、という言葉は使い古されたものですが、それはもちろん、監督だけでなく企画プロデュース、脚本、俳優、カメラマン、照明、舞台美術、編集、衣装、宣伝、配給会社……さまざまな才能が集まり、お互いに協力し合い時には衝突しながら創り上げた精華が、ひとつの映画になるからだと思います。一人の才能ではできないという点では、他の舞台演劇やアニメ、マンガ、小説、テレビ番組、音楽、絵画……およそ世にある娯楽というものならば何でもそうだと思うのですが、やはり映画が、それに関わる業種、人間の多さで言ったら一番なのではないでしょうか。

 そして、それだけ多くの人間が集まる以上、たとえば監督がいくら剛腕で天才的才能を持っていようが、たった一人のワンマン運転で完成させることは不可能でしょう。つまりそこには、「この一大プロジェクトに便乗して己の才能を世に問おう」とか、なんだったら「監督や他の俳優を喰っちゃう勢いで名を売ってやろう!」とまで張り詰めたテンションを胸に秘めた野心家たちが集まって当然のような気がするのです。そりゃそうです、全員その道のプロなんだから。
 だからこそ、次代を超えて残るクラスの名作映画には、必ずと言っていいほど「プロデューサー VS 監督」とか「原作者 VS 監督」とか「監督 VS 俳優」とか「主人公役 VS 脇役」といった対立項で、かなりガチンコな衝突が展開される逸話が残っているものなのですが、そういったスパークが生み出す化学反応こそが、単に台本を三次元化したものにとどまらない映画ならではの輝きを放つのではないかと思うのです。
 プロとプロとの真剣勝負が、真の傑作を生みだす……言うのは簡単なのですが、私だって実生活の中では誰ともケンカなんかしたくもないし、できればチーム全員がニコニコ、和気あいあいと仕事をする現場にいたいものです。でも、全員仲良くなあなあではとうてい超えられない境地があることも、厳然たる芸術の真理だと思うのよね……それは、監督がガミガミ怒って俳優を追い詰めればいいとかいう低レベルな話ではありません。互いに丸裸になって魂に火をつけ合うような、ハイレベルな命のやりとりですよね。

 そこで私が言いたいのが、この『カミノフデ』で、それこそ神の領域に達している村瀬さんの特殊造形技術に、真正面きって戦いを挑む気概を持った他セクションの才能が、たったひとつでもあったのか?ということなのです。それはもう、「総監督・村瀬継蔵」も含めて。
 少なくとも、本作を1回だけしか観ていない私には……残念ながら、そんな才能や仕事はどこにも見えなかったですね。

 つまりこの作品を、単に村瀬継蔵という稀代の芸術家の卒寿を記念したメモリアル映像とみるのならば、まるで文句などつけようのない立派な出来になっているかと思います。本作の目玉怪獣となっているヤマタノオロチの市街地破壊シーンは、最近あまり見られなくなった実物の操演怪獣と本物の火薬を使った爆破炎上演出を全面に押し出していて、本当にスクリーンのサイズに充分に耐えうる大迫力だったと思います。ヤマタノオロチだけでなく、村瀬さんがそのキャリアの中で携わってきた大魔神、巨大北京原人、モスラ、マタンゴといった往年の大スターたちを彷彿とさせる怪獣たちの活躍もオマージュたっぷりでいい味付けになっていたと思います。冒頭でちらっと出てきた大怪獣バランの背中の表皮なんか、まんま本物でしたよね? 私も持ってる『大怪獣バラン』の DVDの特典映像でも、村瀬さん嬉々として造形の裏話を語ってらしたもんねぇ。

 でも、これは映画ですよね。順次公開という形であるにしても、単独プログラムとして全国公開されている特撮映画なのです。
 そういう形式で、千ウン百円払って観てしまうと……特撮以外の全てにおいて、ビックリするくらいに前に出てこずに、お互いに中腰になって「村瀬さん、どうぞ、どうぞ……」と気持ちの悪い譲り合戦をしている、作り笑いを浮かべたオトナの顔しか見えてこないのです、この作品。

 そして、そうやって譲られた村瀬さんが本作の総監督という立場にいるのですが、この映画、「監督」を務めてる人がほんとにいたのか?と疑ってしまうくらいに、カメラワークもセリフをしゃべってる俳優のバストショットの切り返しばっかりだし、セリフとセリフの間にある1秒くらいのしろうと感まるだしな沈黙もそのまんま OKにしてるしで、俳優の演技に演出家としての注文を付けている形跡がまるで見当たらない、ノーカット粗削りなドラマパートが延々と続くのです。この作品はもともと「上映時間74分」という、21世紀では珍しく良心的な、観客の膀胱にやさしい時間設定の映画なのですが、いやホント、ちゃんとした監督が編集したらこんなん45分くらいまでには縮められるんじゃないですか!? セリフをひとつもカットしなくても!! そのくらいに異様な「無の時間」が、そこかしこでほったらかしになっている作品なのです。

 先ほど挙げたネット上の鑑賞レビューの中では「俳優の演技がひどい」という声が多いのですが、私としては、ひどいのは俳優さんではなくて、やはりその演技に的確な修正指示、もしくは演技をもっとましに見せる映像編集をまるで施さなかったスタッフ不在の状況だと思います。10代の若者の演技がぎこちないのは当たり前のことで、大切なのは、彼らをあえてメインキャストに起用した周りの大人たちが、彼らの未来のためにどれだけ一肌も二肌も脱げるかってところなのです。ていうか、私からすれば、10代の若者たちを今回の「演技力ひどい」の戦犯に仕立て上げるのもいかがなものかと思いますよ。むしろもっとひどいのは、さらに年上で経験も豊富なはずの何人かの出演者のほう!
 あの~、今回、私がひどいと思った出演者の名前は、上のキャスト表からは意図的に消しております。個人ブログならではの裁量でそうさせていただきましたので、したがって、上にお名前のある俳優の皆様には、当『長岡京エイリアン』はなんの悪感情も抱いておりません。でも、名前の無い人には……あっ、笠井アナはいいですよ。

 いや~、特に、「お前」! お前だけは、ほんっとに……またしょうこりもなく俳優みたいな顔して出てきやがって……ほんと、性格的に断れないタチのいい人なのかどうか知らんが、こういう仕事は心を鬼にして断ってくれよ~!! あんたが出てくると、特撮界の内輪うけネタみたいな空気が一瞬で蔓延して、作品全体の品位がガタ落ちになっちゃうんだよ!! でも、覚悟してたよりも出番は少なかったので、内心ほっとしました。

 ところで今回、かなり重要な役としてがっつり主演している斎藤工さんが、エンドロール上ででかでかと「友情出演」とクレジットされているのですが、これも私、どうかと思うんです。
 いや、友情出演って、もっと軽いチョイ役じゃないんですか……たとえ本作と同じ「村瀬継蔵の代理」的な立ち位置だったのだとしても、せめて出番はあんなに多くしなくてもよかったはずですよ、友情出演なんだったら。
 それが、あんなに重要なセリフもバンバン工さんに任せきりにしちゃって……もう、主演2人の次に出ずっぱりだったじゃんか!
 下世話な話ですが、友情出演って、出演料に適正な相場とは違う何らかの変更があるんでしょ? いやダメ! あんなに頑張ってる俳優さんには正規のギャラを払わないと絶対ダメでしょ!! 工さんのお人柄にあぐらかいちゃいけませんよ。「斎藤工さんの出演料(急募)」っていうクラウドファンディングしてでも、一人のプロとして正式にオファーしなきゃあ、村瀬継蔵の名が泣くってもんよぉ。


 役者についていろいろ言ってしまいましたが、結局、この作品の何がいけなかったのかってつらつら考えてみまするに、やっぱこれ、上の情報にある通り、もともと「15~30分間ほどの短編」として構想されていたお話を長編映画にしちゃおうという、イナバの物置を10階建てのコンクリートマンションにしちゃうくらいの違法増改築な経緯に無理があったのではないでしょうか。いや、そんなんムリムリ!! そんな素体おもい切って捨てなきゃ、絶対に早晩、無理した接合部からヒビが入って全部が崩れちゃうって。

 だいたい、あのヤマタノオロチのご登場自体がもとの構想に無かったっていう段階からしてとんでもない話なんですが、そういえば確かに、本作は序盤の『神の筆』の再現世界で繰り広げられる小規模なファンタジー冒険はそれなりに構造がしっかりしているのですが、ヤマタノオロチが出てきて、死んだはずの時宮健三のイマジネーション世界を喰い荒らす役割を担うあたりから、物語は渾沌としてくるのです。

 ん? 時宮が命を与えたヤマタノオロチが暴走して時宮の世界自体を壊しちゃうってこと? 時宮の世界が壊れるっていうのは、現実世界の人々が時宮健三の偉業を忘れ去るってこと? 中盤以降は朱莉と卓也のイマジネーション世界にヤマタノオロチが出てきて大暴れしたけど、これって、現実世界の朱莉と卓也にはなんの影響があるの?

 結局、ヤマタノオロチや怪魔神も含めたいっさいの登場怪獣たちは、現実世界の朱莉と卓也に「おじいちゃんはスゴかったんだぞ」ということを伝えるためだけに用意された「劇団時宮健三」みたいな幻影でしかなかったんだろうか……それはそれで、特撮を愛する村瀬さんらしいほっこりした物語ではあるのですが、だとしたらあのヤマタノオロチの大熱演も、結局最後は怪魔神にやっつけられちゃう台本通りのアトラクショーでした~みたいな話になっちゃうし、やっぱりそこはかとなく『世にも奇妙な物語』の1エピソードみたいなこぢんまりした印象になっちゃうんですよね。う~ん、みみっちぃ!

 そうそう、そういや今作のヤマタノオロチって、「8本中現役の首は5本」なんですよ。ええ~、ゴマタノオロチ!? それって、体力フルチャージ状態の「約62~3%」のコンディションで出演してますってこと!? せっかくの、『ヤマトタケル』(1994年)以来ちょうど30年ぶりの復活だっていうのによぉ~!! ちなみに、『ヤマトタケル』版ヤマタノオロチの造形を担当したのは村瀬さんではなく、小林知己さんと東宝映像美術です。
 もうアニメ版『風の谷のナウシカ』の巨神兵みたいなもんじゃねぇか! そっか、だからガソリン呑まなきゃ火ィ吐けなかったのか……こんなんだったら、こっちも「ヤマタノオロチの首3本ぶん(超急募!!)」でクラファンすればよかったのに!!


 いろいろ言いましたが、やっぱりこの作品は、本来映画になるべきでなかったものをムリヤリ映画にしてしまったという事態が、当然の結果をもたらしてしまった、としか言えないのではないでしょうか。
 やっぱりね、「俺がこの映画をなんとかする!」とか「あたしがこの映画で一番目立ってやる!!」という野望がしのぎを削る現場でないと、いい映画なんてとうていできないと思うんですよ。もはや現代日本は、「村瀬さんのお祝いをみんなでしよ~♪」みたいなお花畑パーティを、チケット料金徴収してやれる世界ではないんですよね、哀しいけど。

 あと、最後にこれも行ってはおきたいのですが、本作を「時宮健三の遺した世界」という部分だけに照準を当てた作品にした判断は、それはそれとしていいとは思うのですが、だったら主人公になっている10代の2人の立場はどうなっちゃうんだという大問題があると思います。
 要するに、あの2人の現実世界での鬱屈というか、特に朱莉のほうがド冒頭の下校シーンであんなにつらそうな苦悶の表情を浮かべていた理由とかが一切語られないのが、非常にもったいないと思うんですね。朱莉がかなり毛嫌いしているらしい卓也の学校での特撮オタクっぷりとか、それゆえに周囲から浮きまくっている卓也なりの苦悩とか、ドラマにしたら何十分にでもふくらませられるおいしい要素はゴロゴロ転がっているはずなのに、そこにいっさい行かない脚本に疑問を持ってしまうのです。いや、長編映画にしたいんだったら、普通そこ拾うでしょ!?

 そこはまぁ、特撮映画として余計な人間パートはいらないという考えもあったのかも知れませんけどね。最近はハリウッド版『ゴジラ』シリーズみたいに、人間側のあれこれが刺身のツマくらいの重要度になってる作品も珍しくはないし。
 でも……鈴木梨央さんにあれだけ真剣に学校でうまくいってなさそうな演技させといて、そこの伏線をまるで回収しない結末はどうかと思うし、本作の「自伝的要素」を重視してそれ以外の要素を切り捨てたというお題目よりは、「脚本としてうまくまとめられそうにないから逃げた」という意図しか感じられないんだよなぁ。
 だから、最後に朱莉と卓也が「大人になったら……」と将来の夢を伝え合うやり取りも、脚本の持っていきようによっては本当に最高なシーンになるはずなのに、そこまでの経緯がいっさい語られないから、なんだか唐突にいいこと言わせましたみたいな、とってつけた感しかしないんですよね! もったいないにも程があるよ!! 10代のみそらで主人公の大看板を背負った鈴木さんにおあやまり!!

 よくよく見てみると、脚本を担当した方も作家ではあるものの、決して長編映画のスケールを得意とする脚本家のようには見受けられないし……ここでもやっぱり、「特撮界隈ですぐに連絡がついて仕事を断らなそうな人にお願いしました。」なかほりが漂ってくるんですよね。う~ん……そこに手間を惜しんじゃダメなんじゃない!?


 とにもかくにも、いろいろと村瀬継蔵さんという偉大なる才能の、「ちょっぴり正直すぎるまでにピュアな心」を、素材そのまんま無加熱無加工でドスンッと提供したような『カミノフデ』なのでありました! もうちょっと、商品にすることを念頭において見栄を張ってもいいのでは……と思っちゃうんですが、そこがわたくしめのような俗人の欲目なんでしょうかねぇ。

 せめて、ヤマタノオロチの首がちゃんと8本そろうまで待ってもよかったのでは……どうせ村瀬さん、まだまだお元気でしょ!?

 やっぱり、ワイン飲んでるようなのはダメだな!! 日本の魔獣はポン酒でいかにゃあ!!
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てかこれ、神木くん版『帝都大戦』じゃ~ん!? ~映画『ゴジラ -1.0』~

2023年11月05日 10時37分18秒 | 特撮あたり
 どもども、みなさんこんにちは! そうだいでございます~。
 みなさん、2023年の文化の日は3連休となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。私は幸いお仕事も休みでまるまるの連休となりまして、ありがたい限りでございますよ。もう思いっきり、家にたまった積ん読本の消化にまわさせていただいております。って言っても、じぇんじぇん平積みの本が減らない……でも、これは飛ばし読みすればいいってもんでもないんでね。少しずつ、少しず~つ味わって進めていきたいと思います。
 でも今年は多少、働き方を変えさせていただいたおかげで、ここ数年とんと思い出すことのなかった「読書のたのしみ」を再び感じることができているような気がします。歳もとってきたし、この頃は家に帰ってきた時点でヘトヘトの日々で、本のページを開いたらもうすぐ睡魔が襲ってきて読書がまるで進まない状態が続いていたんですよ。でも、最近はやっと最後まで読み切る体力と余裕が戻ってきたかな~と。そうそう、私の原点というか、脳みその大半は本からいただいた栄養でできているんだよな、としみじみ実感しております。

 そんなこんなでなんとな~く日々是好日なわたくしなのですが、読書以外の楽しみに関しましても、今年2023年は『シン・仮面ライダー』にキッチン戦隊クックルン10周年にプリキュア20周年記念に『ガメラ・リバース』にドラキュラ復活とねぇ、1980年代生まれで特撮やアニメ、ホラーにまみれて育った私としましてはうれしいイベントが目白押しでございました。去年も『シン・ウルトラマン』とガイガン生誕50周年祭があったし。『仮面ライダー BLACK SUN』は、まだ観てないんだよなぁ。なんか重たそうで。
 我が『長岡京エイリアン』といたしましては、このムーブメントの中に、どうしても「ゴジラさん抜きの単独の仕事でぬいぐるみ復活したおギドラさま」というトピックも入れたいのですが、いかんせん TVコマーシャルだし、第一復活されたのがよりにもよって「護国聖獣」のおギドラさまなんでねぇ。手ばなしにバンザイ三唱できないひねくれ信者がここにいます。えっ、おギドラさま、ゴジフェスのアレにも出られてんの!? でも……こっちもやっぱり忠犬みたいにかわいらしい顔のおギドラさまなのよねぇ。20年以上も前の着ぐるみなのに、よくぞ良好に保存されてたと感心しますけどね。
 そんでこれからは、水木しげる生誕100年記念ということで『ゲゲゲの鬼太郎』の単独新作映画も公開されますからね! たのすみだ。

 こんな、奇跡のような一連のイベントラッシュの中でも、話題性において特に最大規模と言ってよろしい大作映画が、ついに先日11月3日に公開されました! いや~、もうネット上では話題沸騰と言いますか、観た方々の感想レビューでもちきりですよ。そんなお祭りに泡沫ブログのうちも加わろうという算段でございます。空気に触れた瞬間にパチンと消えてしまいそうな泡沫記事ではございますが、泡も集まれば……?


映画『ゴジラ -1.0』(2023年11月3日公開 125分 東宝)


 公開日からもう少し日が経ったころに落ち着いてじっくり観たかったのですが、我慢できずにこの連休内に観てしまいました。だって、ネットで見る動画見る動画、ピー音がかかってたりネタバレ御免だったりで、気になってしょうがないんだもん……

 言わずと知れた、日本特撮界を代表し牽引する超老舗作品『ゴジラ』シリーズの通算37作目の最新作にして「ゴジラ生誕70周年記念作品」という大看板を背負った、全特撮ファン待望の一作であります。
 そうか、『ゴジラ 怪獣惑星』3部作(2017~18年)とか『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)とかハリウッド版モンスターバース2作(2019、21年)があったから、そんなに空いてる印象は無いのですが、『シン・ゴジラ』(2016年)から実に7年ぶりの本家新作になるんですねぇ。でも、あらためてこう観てみると昨今のゴジラファンはほんとに果報者ですよ。『メカゴジラの逆襲』(1975年)から1984年版『ゴジラ』までの9年間とか、『ゴジラ ファイナルウォーズ』(2004年)から2014年ハリウッド版『ゴジラ』までの10年間の完全空白がウソのような豊穣っぷり! ゴジラさん、老いてなお盛んなり、ですねぇ。

 そいでま、なにしろ直系の前作があの大ヒット作『シン・ゴジラ』になりますので、世間でも何かと比較されることの多い今作でございます。興行収入80億円超えの作品と比較されちゃうんですから、ハードルが高いなんてもんじゃありませんよ! ハードルのバーが雲の上にあるから見えない、みたいなレベル。
 我が『長岡京エイリアン』における『シン・ゴジラ』の感想記事は、こちらこちらでございます。え! 私、記事2つも作ってたっけ!? 長いよ~!! いや、今回もおんなじくらいになる、かな……でも前後編にはならないから、だいじょうぶ! たぶん……

 いつもだったら、ここで Wikipediaさまから拝借した『ゴジラ -1.0』についての基本情報をのっけるところなのですが、今回は省略してちゃっちゃと感想本文に入りたいと思います。ストレートに、すっぱりと。
 なんでかっていうと、私、山崎貴監督の作品を一本たりとて、ちゃんと最初から最後まで観たものがなかったんですね。なので、知らない監督の情報を羅列しても意味はないかと思うので。
 そうなんです。確か『3丁目の夕日』シリーズの何かと、くだんのゴジラ特別出演シーンを TVで観たくらいで、今まで全然観たことなかったんですよね、山崎作品。佐藤嗣麻子監督の作品のほうはよく観てるつもりですし、大好きなんですが。
 これはまぁ、単に縁が無かったということもあるんですが、監督作品が公開されてもなんだか悪評を聞く機会が多いような気がして、まず観る気が無くなってしまうというパターンが多かったのです。
 そういう悪評も、ほとんどが素人さんの声なので信用するに足るかどうかはわからないのですが、「キムタクヤマト」だの「ドラ泣き」だのと、やたらと印象に残っちゃうのが始末に負えないんですよね。実際に面白いのかどうかはわかんないのですが、怪しいものにはお金は払えないな、ということで、食わず嫌いになっていたのです。
 でも、今回ばかりは世間の評判がどうとかなんて関係なく、スルーは絶対に許されないゴジラシリーズですから! やっとこのチャンスが来たということで喜び勇んで観に行ったわけなんですが……さぁ、初山崎監督の、感想やいかに!?


おもしろかったが、怪獣映画ではない!! ゴジラ映画でもないかな!?


 一言であらわすと、こんな感じでございました、私は。
 あの、以下は可能な限りネタバレを避けるように文章をつづるつもりなんですが、いかんせんそこはエンタメ映画ですので、面白さが作品の核心に直結していることは当然ですので、できればこの記事をお読みになる奇特なあなたさまも、是非とも『ゴジラ -1.0』をお近くの劇場で楽しまれてから読んでいただきたいと請い願います! 映画館で観る価値はありますよ! ゴジラシリーズは観た後のコストパフォーマンスも怪獣級ですからね。想像力が羽ばたきます!

 わかりやすく、先ほど申した文章を3つの要素に分けて、感想をくっちゃべっていきましょう。


〇おもしろかった点

 これはもうやっぱり、タイトルの「-」に全く偽りのない、あらゆる方面での人類、というか日本人側のマイナス感、物量不足感、アウェー感ですよね。物語の舞台となる1947年の日本にまとまった戦力などあるはずもなく、駐留している GHQの軍事力にも期待できないという、歴代ゴジラ作品史上最も力のない苦境にあって、一体どうやってあの水爆大怪獣ゴジラを倒すのか!? この難題に敢然と立ち向かう戦後東京の一般市民の姿を追い、クライマックスの乾坤一擲の「わだつみ作戦」を圧倒的ビジュアルで描く、本作の中盤からラストにかけての勢いは、とってもハイテンポでストレスが少なかったかと思います。そして、まさに決死の意志を持ってわだつみ作戦に参加する、神木隆之介さん演じる主人公・敷島! 敷島のゴジラへの深い思いや、敷島の搭乗する「秘密兵器」の復活にまつわるエピソードもからんで、群像劇と主人公の復讐劇とがゴジラに一気に集中していく流れは、『シン・ゴジラ』の「ヤシオリ作戦」の例を挙げるまでもなく、「人類 VS ゴジラ」の歴史に新たなる1ページを刻む名勝負になっていたと思います。

 兵器を駆る敷島とゴジラのタイマンという、古くは『ゴジラの逆襲』(1955年)、最近はアニゴジを思い起こさせる展開は実にアツく、最先端の撮影技術を駆使して、まるで観客が搭乗席の敷島になったかのような感覚になれるドッグファイトシーンは、まさに手に汗握る本作ならではの見せ場だったのではないでしょうか。さすがは、『ゴジラ ザ・ライド』の山崎監督ですよね!
 でも、あそこで私が真っ先に連想したのは、ゴジラシリーズじゃなくて『帰ってきたウルトラマン』第18話『ウルトラセブン参上!』(1971年8月放送 脚本・市川森一)における、地球防衛チーム MATの加藤勝一郎隊長が搭乗するマットアロー2号単騎と宇宙大怪獣ベムスターとの対決でした。あれも超名シーンよ~!!
 あのエピソードでの加藤隊長も、親友だった宇宙 MATステーションの梶隊長(演・南広)をベムスターに殺されているため多分に私怨のこもった因縁があったわけですが、あのベムスターを相手に戦闘機1つでなんて……ゴジラをはじめとする東宝怪獣と円谷プロのウルトラ怪獣を比較するのは古来ご法度とされていますが、それでもあえて言わせていただきますと、今回のゴジラよりも、ベムスターと戦い続ける方が難しくね!? だってベムスターは頭の角からけっこう頻繁にビーム弾を撃つし、自分も飛べるんだぜ!? 今回のゴジラの放射熱戦は、威力は確かにすごいんですが連射はできませんもんね。ついでに言うと、敷島はいちおう確固たる作戦の一環としてゴジラを一人であおっていたわけですが、加藤隊長は特に何の公算もないままベムスターに挑んでますからね。おそらく被弾するか燃料が尽きかけたらベムスターに特攻して果てるつもりだったのでしょう。その勇気やよしなのですが……組織のリーダーとしては、どうかなぁ!? 敷島よりも加藤隊長の方がよっぽど日本軍人っぽいですよね、いい意味でも悪い意味でも。
 ちなみに、放送本編中で加藤隊長はえんえん6分もの間ベムスターとタイマンをはっていたのですが、そのあいだに帰ってきたウルトラマンが地球~太陽間を往復しているので、実際には絶対それ以上の長時間にわたってファイトを繰り広げていたと思われます。正気じゃない……

 話がみごとに脱線しましたが、ともかく、主人公・敷島の物語を強く観客に訴えかけ、恨み骨髄のゴジラへの復讐、というか自分自身へのけじめをつける成長の路程を克明に描いた今回の『ゴジラ -1.0』は、当然ながら神木さんの入魂の名演もあいまって「見せたいところがはっきりしている」大作映画にふさわしい内容になっていたと思います。ひとつの作品としてのまとまり、カラーが明確なんですよね。


●怪獣映画じゃない

 これは、どこからどう見ても戦争映画ですよね。
 こういう言い方をすると「何言ってんだ、反戦映画だろ!」と思われるかもしれないのですが、もともと戦争映画と反戦映画は白か黒かみたいな正反対の意味のジャンルじゃなくて、「反戦の意図を持っている戦争映画」っていうのが、戦後日本で制作される戦争映画のほぼ全部じゃないですか。戦争を肯定する戦争映画なんて、プロパガンダ映画ですもんね。そんなもん、民主主義国家の日本で作られるわけない……と、信じたい。
 それで、太平洋戦争で活躍して奇跡的に生還した軍艦や兵器の数々が生き生きと現役復帰してゴジラ対策に投入されちゃうと、あ、これは戦争が終わってる時期のお話なんだけど、戦争兵器のロマンを駆り立てるねらいはあるな、と思わずにはいられません。実際に、主人公の敷島も「自分の戦争は終わってない。」と言っていたし。
 今作を観てしみじみ感じたのですが、昭和ゴジラシリーズの多くを手がけた円谷英二特技監督や本多猪四郎監督は、本当の戦争を知っておられたからこそ、自身の特撮映画に出す戦車や戦闘機といった通常兵器の数々を、あえてちゃっちい作り物感まるだしで撮影していたのではないでしょうか。そこには多分、人を簡単に殺せる道具の呪われた「美」みたいなものを新しい世代の子ども達に見せたくないという、プロとしての判断があったのではないかと思われるのです。だからこそ、彼らが創案したメーサー殺獣光線車やマーカライトファープは、他の既存兵器とは一線を画す、むしろ退治しているはずの東宝怪獣たちに近い体温と生命を宿しているのではないでしょうか。それは平成 VSシリーズのスーパーX シリーズとかにも受け継がれているんでしょうけど。

 そう思うので、実在した重巡洋艦や駆逐艦がリアルに活躍するのを見て、私はなんだか複雑な気持ちになってしまうのでした。まぁ、そういう物のカッコよさを語る作品もホビーの世界にあっていいとは思うのですが、ゴジラシリーズでやるのはどうなんだろうなぁ、と。ちょ~っと、軽率なんじゃない? なんたって時系列的に、本多監督の『ゴジラ』(1954年)の直前を標榜する作品なんですから。

 あとこの映画、明らかにゴジラが「ぱたっ。」と出てこなくなる時間が中盤に2ヶ所あり(銀座襲撃の前後)、そこで展開される敷島と「巨大生物対策本部」のストーリーが長く感じちゃうんだよなぁ! そして、そこに濃厚にただよう戦後混乱期日本のひもじさ、寒さ、飢餓感、焦燥感、徒労感……
 重い、暗い! この映画は、この画面は、あまりにも重苦しすぎる!!
 いや、待てよ。私はこの荒廃した東京の重苦しさを知っている。なぜ? 1980年代に生まれ、せいぜい千葉に15年くらい住んでいたのが関の山だった純山形県民の私が、なぜにこの空気を、この土ぼこりのけむたさを、病院の薬臭さと血なまぐささを知っているのか……

 そうだ……『帝都大戦』だ!! この『ゴジラ -1.0』は、あの呪われた超怪作トラウマ SF映画『帝都大戦』(1989年)に、異様に似通った点が多いのです!! スクリーミング・マッド・ジョージ!!

 映画館で観ている最中にこの真理に思い至ったとき、私は脳天に焼け火箸を突き立てられたような衝撃を受けました(©横溝正史神先生)!
 そうだ、敷島を演じる神木さんは、かつて名子役の神木くんだった時に、かの平成版『妖怪大戦争』(2005年)において、伝説の魔人・加藤保憲と一度あいまみえていたのです! カァアトォオオ!! げろげろげろ。
 加藤が帰ってきた……しかも今度は、「キリン一番搾り糖質ゼロ」をひっかけたくらいでやにさがって中条あやみさんとアハハウフフしているような惰弱な依り代ではなくて、身長 50m、体重 2万t の水爆大怪獣に憑依してきたのだ!! そりゃ大人になった神木さんもガタガタ震えますよね。助けて麒麟送子!!

 いやほんと、『帝都大戦』と『ゴジラ -1.0』、構図と雰囲気がよく似てるんですよ。
 『帝都大戦』のヒロイン……というか真の主人公・辰宮雪子(演・南果歩)は、かつて少女時代の前作『帝都物語』(1988年)において魔人・加藤保憲に拉致され東京壊滅のための大怨霊・平将門復活の依り代にされかけたという超絶トラウマをかかえた娘さんで、太平洋戦争末期の東京で夜ごとの空襲におびえながら、さらに「加藤が帰ってくる」という幻影にとり憑かれ苦悩し続ける日々を送っているのです。
 これ……戦争体験ではないけど、完全に敷島の PTSDにオーバーラップする深い心の傷ですよね。そして、最終的に自分自身が悪夢の根源にいる加藤と対峙して滅ぼすことでしか、「自分の戦争を終わらせて」新しい復興の朝を迎えられないという窮状も、実に敷島と似ているものがあるのです。
 あと1947年と45年ということで、場所もおんなじ東京だし、あらゆるロケーションが似てるんですよ。この2作はほんと瓜二つ! 男女の一卵性双生児!?
 でも、だからといって私は、この記事を読んでいるあなたに『帝都大戦』の視聴を薦めているわけでは決してありません。やめとき……全年齢で観られる『ゴジラ -1.0』の印象が、それこそこの作品のゴジラのはなつ放射熱戦レベルで吹き飛ぶくらいの衝撃 SFX残酷グロテスク描写のオンパレードですから。あと、上野耕路さんの劇伴音楽がむ~っちゃくちゃ怖いよ!! 我が『長岡京エイリアン』でも『帝都大戦』についての記事はありますが、ほんと、視聴の精神的ダメージは自己負担でね! とんでもない映画よ、まじで。
 そういえば、かわいいはかわいいんだけど、おかっぱ頭の子役の女の子がどっちも顔色が悪くてかわいそうというのも、2作に共通するポイントですね。ほんと、明子ちゃんを何度も一人にする敷島の所業だけは許せん!! もっと、女の子の心臓とおしりを安定させて抱け! 腕から落ちそうだから怖がるだろ!!

 そうそう、劇伴音楽というのならば、今作は音楽面ではほぼ0点なのではないのでしょうか。いかなプリキュアシリーズで大恩のある佐藤直紀先生とは言え、これだけは言わせていただきますぞ! 繊細な音楽なんでど~でもいいから、佐藤先生なりのゴジラマーチを出さんかい!!
 大事なところはぜんぶ伊福部先生に丸投げにしやがって……しかも、作品の大看板になっている銀座蹂躙シーンで2回も「モスラの動機」を流してやがるよ!! わだつみ作戦で勇壮な「キングコングの動機」が流れるのは100歩ゆずって受け入れますが、なんで絶望の破壊シーンで「♪ま~は~ら~」みたいな癒しの旋律が流れるんだよ~う!! これは監督の選曲センスの問題か? ちゃんと完成映像を観ながら演奏録音していた伊福部先生に謝れェい!!

 まぁ、にしてもあの魔人・加藤と戦った経験のある神木さんを今作の主人公にキャスティングしたという点は、ポイント高いですね。
 でも、だったらだったで、『帝都大戦』における斎藤洋介さんや野沢直子さんのように、虫けらのように命を散らす印象的なキャラクターがいてもいいとは思うのですが、そこらへんが今回の『ゴジラ -1.0』はいかにも手ぬるいといいますか、きれいごとになっちゃってますよね。最初はかなり陰険でいい感じだった安藤サクラさん演じる澄子も、なしくずし的に「ふつうの善人」になって生き残っちゃうし。

 ラストのラストに控えているあの展開も……ねぇ。
 「フィクションなんだから、そのくらいの奇跡あってもいいじゃん!」という判断があったのだとは思います。思うのですが……
 あなた、もし東日本大震災をテーマにした映画があったとして、あの漆黒の大津波にがっつり吞み込まれて消えた登場人物が、あとで「助かってました~。」みたいな感じで出てきたら、それ、許せる? 私はちょっと……

 山崎監督って、ゴジラシリーズ第25作の『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001年 以下 GMK)が大好きなんですよね。
 だって、具体的には言えませんがアレもコレも『 GMK』まんまじゃないですか。もう、リスペクトやオマージュを超えて「いいネタが思いつかないからもらっちゃいました」みたいな域にいってる気もするのですが……
 そこまで好きなんだったら、せめて『 GMK』に出てきた篠原ともえさんくらいに観客に凄惨なインパクトを与える、『帝都大戦』でいう「だいじょうぶ、病院は撃たないからっ☆」からのズダダダ!!みたいなトラウマシーンのひとつやふたつくらいは作っててほしいですよね。あれだって、大した SFXも特殊メイクも使ってないのに、人間の演技とカット割りだけであれだけの恐怖と戦争のむなしさを演出してるんですから。

 最先端の CG技術でその場にいるかのように描かれたゴジラが素足で人をどんどん踏みつぶして来るから怖いでしょ? じゃないんですよ。もっと頭を使って、カメラワークと役者さんの演技で観客の感情を揺さぶる映像を創出するのが、映画監督なのではないのでしょうか。


●ゴジラ映画じゃない

 これは、もう設定が「初代ゴジラ以前の物語」となっているので、しょうがないっちゃしょうがないのですが、「実在の危険生物」と「アニマルパニック映画の巨大モンスター」と「日本的な怪獣」をその生命力や強さでむりやり横一線に並べてしまうと、今回のゴジラは明らかに東宝や円谷プロの作品に出てくる怪獣らしくないというか、むしろ『ジョーズ』のホホジロザメ・ブルースくんとか『トレマーズ』シリーズのグラボイズのほうに近いような気がします。っていうか、1998年のハリウッド版『ゴジラ』? いや、放射熱戦が吐けるし再生能力も尋常じゃないしで、強さは段違いなのでしょうが、ちゃんと弱点のある存在なんですよね。
 これはこれで、そうしないと映画がきれいに終わらないので仕方ないのは百も承知なのですが、う~ん……オキシジェン・デストロイヤーみたいな空想兵器の出る幕も無く、人間のアイデアで殺せるゴジラ? う~ん……
 せっかく向こうのハリウッドでも日本の怪獣っぽいゴジラが定着しつつあるというのに、おおもとの日本で、な~んか今さら海外におもねるモンスター的なゴジラになっちゃうのって、海外のゴジラファンのみなさまにしてみたら、どんなもんなのでしょうか。これも時の流れなんですかね。

 あと、これだけは声を大にして申したいのですが、今回のゴジラって、そんなに怖いか?

 私はなんですが、別にそんなに怖くないんだよなぁ、あのゴジラ。いや、目の前にいたら確実にぶっ殺されるからいてほしくはないんですけど、そんなもん、昭和ゴジラシリーズのミニラだって、念入りに踏みつぶされたら私、死にますからね。
 迫力は、確かにある。迫力はあるんですが、特に肝心かなめの銀座蹂躙シーンで、怖く見えなかったんですよ。なんか世間でつとに喧伝されているほど、人間を襲っている感じがしなかったのです。
 これ、映画を観ながらなんでなのかな~って考えてみたんだけど、私なりにわかりました。

 あれ、歩いてる時のゴジラの姿勢が良すぎて、足元の人間を追ってるように見えないんですよ。大胸筋がムッキムキに発達しすぎて背筋がのびちゃってるから、顔と目線が必要以上に上がって何キロも先の向こうしか見てないようになっちゃってんのね! だから全然怖くないんだ。こっち見てないんだもん。
 プロローグの大戸島シーンも掃海艇の追撃シーンも、確かに目は人間を狙ってるから怖いんです。でも、その怖さはゴジラ的な怖さじゃなくて、やっぱ『ジュラシック・パーク』や『ジョーズ』の怖さのたぐいなんですよね。そして、巨大な怪獣ゴジラの怖さを満を持して披露するはずの銀座シーンで、ゴジラの視線がどっかいっちゃってるという。それは……ゴジラ映画である必要、あるか?

 過去歴代シリーズにおける「怖いゴジラ」をひもといてみますと、初代ゴジラとシン・ゴジラは、どんなに身体が大きくても眼球の黒目だけは下を見ているから怖かった。1984年版ゴジラは、常になんにもない頭上を睨みつけている「目がイッちゃってる感」が怖かった(着ぐるみのほう)。そして『 GMK』ゴジラは、瞳が無い白目が生む「どこを見ているかわからないからこそ、常にどこも見ている」効果というコペルニクス的発想転換が怖かったのです。
 中でも、私が最も怖いと記憶しているゴジラは、シリーズ第2作『ゴジラの逆襲』のハンドパペットのほうのゴジラなのですが、曳光弾に誘導されて沖へ離れて行き、もうちょっとで大阪湾から出ていくぞというすんでのところで、運悪く大阪沿岸の工業地帯にあがってしまった爆発の火の手に気づき「ぬ~っ」と陸地を振り返る、あのスローモーな動きの怖さと言ったら! 怖いって言うのは、こういうこと!! 絶対的な死の象徴が、自分たちを見る、ロックオンするからこそ、その時に恐怖が生まれるのです。

 だから、今回のゴジラはまるで怖くないのです。パンプアップしてマッチョになりすぎるのも考えもんですね。逆ゴジさんを見習って減量でもしてみたら?
 マッチョもそうなんですが、あたしゃ昨今の、「やたら小顔」なゴジラも、ほんっっっっとに大っ嫌いでねぇ! あのくだらないブーム、思えば『ゴジラ×メカゴジラ』(2002年)くらいから洋の東西を問わずず~っと続いてるんですけど、いつになったら終わんの!?

 なんで怪獣もイケメン目指さなきゃいけねぇんだよ~! いい加減にしてくれよォ。
 どこの自然界に「小顔がイイ」なんていうルールがあるんだよ! 顔はでっかくてナンボでしょうが!! いや、1954年ひな形バージョンの「きのこ雲ゴジラ」さんほど大きくなれとは言いませんが。
 『ゴジラ VS コング』のゴジラなんか、よくあの片手のグーサイズの超小顔でコングにぶん殴られても平気でいられるなと心配になってしまうほどなんですが、ミョ~に男前で胸板の厚いイケメンゴジラ、ほんとに今作でおしまいにしてほしい。見飽きた!
 もちろん、1980年代生まれの私ですから、おそらくは山崎ゴジラがリスペクトしていると思われる平成「 VSシリーズ」ゴジラのイケメンっぷりも好きではあるのですが、やっぱ怪獣は異形じゃなきゃね! 21世紀も無数のバージョンのゴジラさんが生まれていますが、近年で異形なゴジラなんて、『 GMK』の白目ゴジラとシン・ゴジラと『シンギュラポイント』の毒蝮三太夫さんみたいに下あごがガッチリしたゴジラくらいなもんなんじゃないですか? 求む、キンゴジくらいに面白い顔の新人さん!!

 そうだそうだ、そういえば、ゴジラに限らず人間の俳優さんでも『ゴジラ -1.0』って、面白い顔の俳優さんがほぼ絶滅に近かったですよね。み~んな、おんなじようなふつうのお顔か、美男美女。強いてあげれば序盤の序盤のダークサイド安藤サクラさんぐらいかな? ものすごい顔だった人。
 顔見てても、おもしろくねぇんだよな……その点『シン・ゴジラ』は良かったよ~!? 元祖・加藤の嶋田久作さんでしょ、大杉漣さんでしょ、渡辺哲さんでしょ、塚本晋也さんでしょ。他にもピエールさんに松尾さんに柄本さん(父)に手塚さんに……市川実日子さんも、実はいい顔してるんですよね。
 たぶん、庵野監督はそういうことも考えてキャスティングしてるんだと思うんです。セリフなんかどうでもいいから、顔と表情だけで観客を引き付けられる画面を作れる俳優さんをと。
 それに比べて今作はというと、なんか、基本的にセリフ、大声でがなるでしょ? がなるのに、顔ふつうでしょ? 見たくなくなっちゃうんですよね、興奮してるふつうの人なんて。 
 よくわかんないけど、山崎監督の作品がアニメ的というのならば、そういうところに画面の平板さの原因があるんじゃなかろうか。

 BSプレミアムの金田一耕助シリーズでもさんざん言いましたが、吉岡秀隆さんはそうとうに業の深いお顔をされた方なんですよ……それをまるで活かそうとしないもんね、あれだけ出しておきながら! その無駄遣いは、映画監督としていかがなものなのでしょうか。


 ……とまぁ、言いたいことのほんの一部を羅列しただけで、いつものお字数になってまいりましたのでおしまいにしたいのですが、とにもかくにも、この『ゴジラ -1.0』は、絶対に映画館の大スクリーンで観ることをお勧めいたします。迫力は歴代シリーズでもピカイチだと思いますんで!

 にしても、ベクトルはまるで違うと思うんですが、怪獣映画でもゴジラ映画でもなく、山崎監督の作品をほぼ観たことのない私のような人間までもが「手癖だらけなんだろうなぁ、これ……」と容易に推察してしまうほどの「山崎映画」になっちゃってたという、この強引のっとり感。どうしても、あの『ゴジラ ファイナルウォーズ』の「フタを開けたら純度100%の北村龍平映画でした。」の惨劇を思い起こさずにはいられません。いや、あれがいいというファンの方が多いのもわかりますし、ファイナルウォーズ版ゴジラは、今年のゴジフェスでも大活躍ですから、もういい思い出なんですけどね。

 個性があるのはいいじゃないですか。長い長い歴史のあるゴジラシリーズなんですから、たまにはこういう作品があっても全然問題ないと思いますよ! なんてったって、私たちは『オール怪獣大進撃』や『ゴジラ対メガロ』、ミニラもジェットジャガーも歴史の1ページと受け入れているゴジラファンなんですからね。

 海のように広い寛容さを胸に、明日からもがんばってまいりましょう! ♪ま~は~ら~!!
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