長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

人と人とのつながりは大切だコロン!の巻

2011年01月31日 18時27分45秒 | 日記
 どうもこんばんは! そうだいです。今日も寒かったですねぇ~。
 なんと、2011年幕開けの1月もいよいよおしまいとなりました。みなさんにとっては、どんな月になったでしょうか?
 私はもう、長かったような短かったような……
 前半は劇団の公演が、後半はもっぱら仕事が中心になるという流れだったのですが、あいまにいろんなことを楽しんだりもしたし。私としては、充実した始まりの月になったんじゃないかと! ただ、いまだに今年がどんな年になりそうなのか予想がつかないというていたらく……フォーウ! どきどきだぜ~。

 今日はお休みだったので、のんびりとパソコンでいろんな世界をのぞき見しておりました。お金がないんで、映画にも行けない状態なんです、今!

 ボ~ンヤリと電脳散策を楽しんでいたわけなんですが、ふと思い出したことがあったので、タレントの佐藤江梨子さんのブログを読んでみることにしました。
 私は現在、TVがないということでもっぱらNHKFMかTBSラジオのヘヴィリスナーになっているのですが、おとといにTBSラジオの番組で紹介されていた映画『その街の子ども』(監督・井上剛)が、思いのほかおもしろいらしいんですね。それに主演しているのが佐藤さんなんです。
 佐藤さんといえば、私の中のイメージでは「ぽろろ~ん、おっぴょろろ~ん。」といった感じの発言(音声、内容ともにこんな印象)の目立つ奇特な方、というイメージが強かったので、好きではあるものの、なんとなく女優さんとして活躍されている作品は敬遠していたのですが、『その街の子ども』での佐藤さんと共演の森山未来の2人がつむぎだす空気が素晴らしいんだそうです。
 う~ん、観たい! 現在、私が観に行ける範囲では東京の池袋の映画館と、恵比寿の東京写真美術館で公開しているのだとか。
 1995年のあの阪神大震災で被災した経験のある、2人の男女の現在をめぐる物語。『その街の子ども』は、去年2010年の1月にNHKで放送された特別ドラマを劇場版に再編集したものなのだそうです。
 なんといっても、佐藤江梨子と森山未来という、ティラミスとわらびもちみたいな意外すぎる取り合わせがいいですよね。何が起きるのか、どんな空気ができるのかがわからない。でもおもしろそう。

 そこで、佐藤さんは私にとってほぼ同年代だし、おなじAB型だし、周囲のみなさんが当惑するような発言の多いところも、なんとなく他人の気がしない存在だったので、ちょっと彼女のブログをのぞいてみることにしたんですが……
 ブログの内容にちょっと驚いてしまったんですね、私。

 内容は、いつものようにていねいな文体でつづられていたのですが、明らかに佐藤さんに大きな影響を与えたどなたかが亡くなられた、というものでした。しかも、かなり突然に。
 最初、ブログの中で佐藤さんが思い起こしていたエピソードが、「数年前に自分が主演した映画を観て父親がいたく感動した」というものだったので、てっきり佐藤さんのお父上になにかがあったのかと勘違いしてしまったのですが、よくよく読み返してみると、亡くなられたのは、その佐藤さんが主演した映画の監督をされていた方なのでした。

 その映画は、2008年に公開された『秋深き』。監督は、池田敏春という方でした。
 えっ、池田敏春!? 私、つい最近にこの人のこと調べたよ! まだ作品は1本も観たことがないんだけど……

 私はつい最近まで「池田敏春」という名前を、1990年代後半に大爆発することになった日本ホラー映画ブームの元祖中の元祖といわれるスプラッタ・ホラー『死霊の罠』(1988年 主演・小野みゆき)の監督としてだけ認知していました。
 しかし、去年の暮れに観た映画『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』をきっかけに、伝説の劇画家・石井隆のライフワークとなる「村木と名美」サーガをちょこっと調べてみたところ、池田監督もまた、その物語に深く関わっていたいうことを遅まきながら知ることになったのです。
 「村木と名美」とは、石井隆の描く劇画に登場する男女によくつけられる名前で、必ずしもすべての作品の「村木」と「名美」が同じ人物なのではないのだそうです。
 まぁとにかく業の深い関係のようで、2人はさまざまな作品で時には愛し合ったり、時には殺し合ったり……永遠にわかりあうことのできない部分を持ち続ける男女を象徴する存在なのだとか。
 そこで、石井作品やそれをもとにした物語を池田監督も何作か手がけていたということだったので(『死霊の罠』もそう)、DVDが観られるようになったあかつきには、さっそく観てみようと思っていたのですが……

 そうか。亡くなったんだ。
 しかも、どうもみずから死を選ばれたのだそうで。59歳だったそうです。池田監督のことは一切知らないので無責任なことしか言えないのですが、なんで死んじゃうのかなぁ!?
 佐藤さんのブログからもお人柄はにじみ出ているのですが、プロフィール写真の顔がまた、いい人そうなんだよなぁ~。目に温かみがあって、赤ら顔で。
 「どっかで観たことのあるなぁ~、こういう顔。」と思って調べてみたら、池田監督って、私と同郷なのね! あぁ~、あるある、地元で農家やってる人にこういうお顔。

 なんか、しんみりしちゃいましたね……
 ウィキペディアの池田監督の記事の最後の行に、たった1ヶ月前までにはなかった死亡記事が追加されている。
 ついでに、2006年に監督した『ハサミ男』に関した公開記念インタヴュー記事(eonet「eo映画」より)を読んでみたら、その作品の中に「自殺」をあつかうシーンがあったことについてのやりとりがありました。


Q.主人公がありとあらゆる手で自殺しようとするシーンは実にコミカルで笑えますね。

池田監督「う~ん、こんな時代だから。わりかし薄めにはしたけど、どこまでやって良いのかというのが。怖いのが真似しようとする人。『人魚伝説』や『死霊の罠』を発表した時(1980年代)はお客が大人だったので映画の中の出来事として観てくれたんだけど、今のお客はちょっと怖い。」


 ……
 このインタヴューから5年もたっていないんですけどね。
 哀しいなぁ。監督の遺作となってしまった『秋深き』に主演した佐藤さんもそうなのでしょうけれど、おそらく周囲の方々は、監督の力になれなかったことを深く悔やんでいるのではないでしょうか。
 自殺っていうのは、人と人とのつながりをいちばん残酷なやり方で断ち切ってしまう仕打ちだと思います。残された側には後悔しか残されません。ひどいですよ、この一方的すぎる断絶は! その人のことを強く想っている人ほど、悲しみは深いものになっちゃうんですから。
 ダメ、ゼッタイ!! ホントにダメよ。


 人と人とのつながりは、ホントに大事だ。
 世界は広い! 人が1人で生きていくには、世界はあまりにも広すぎてあまりにも過酷です。

 幸運にも、池田監督関連の記事を読んだ直後に、まったく関係ないながらも「人と人とのつながりの大切さ」と「世界の広さ」を痛感するやりとりを垣間見ることができたので、最後にそのいくつかをここに紹介させていただくことにします。


コスプレイヤーズ・ソーシャルネットワーク内 「コスプレ知恵袋」より

質問1 マンガ『銀魂』の登場人物「猿飛あやめ」のコスプレをするにあたり、納豆の小道具を作ろうと思っています。
 近々、猿飛あやめ(通称さっちゃん)のコスプレをする事になりました。
 「さっちゃん=納豆」の印象が強いので、手裏剣・クナイの小道具の他に納豆の小道具を取り入れようと思っています。
 しかし納豆を持って行くと臭い等で皆様のご迷惑になってしまうので持って行けません。
 以前、さっちゃんのコスをしている方のお写真を拝見したところ、その方は納豆の小道具を作っているようでした。(その方に限らず、何人もの方が納豆の小道具を作っていました。)
 上手く説明できませんが、納豆のネバネバの糸のところが透明の糸で再現されていました。そしてその透明の糸に、豆のような丸い形のを何個もくっつけていました。
 「これだ!」と思い、作ろうと思っているのですが、お写真を見るだけではわかりませんでした……
 ですので、「納豆の小道具を作ったことがある!」又は、「作り方を知っている!」という方がおられましたら是非教えていただきたいです。
 長々とまとまっていない文章で大変わかりにくいかと思いますが、回答いただけたらさいわいです。宜しくお願いします。

ベストアンサーに選ばれた回答
 回答失礼します。
 私がさっちゃんの納豆を製作した時に使用した主な材料は、紙粘土とテグスと納豆の空容器です。
 紙粘土に絵の具で着色し、マニキュアのトップコートを塗る。
 そしてゴム製のテグス(手芸屋で売ってます)にとおし、空容器に入れましたよ。
 納豆製作頑張って下さいm(_ _)m

質問者からのコメント
 回答ありがとうございました!
 早速、紙粘土、テグスを買ってきたので作ってみようと思います。



質問2 『銀魂』に登場するゴニンジャーのニンジャーイエローの「桂小太郎」のコスプレをするのですが、小道具としてのカレーの作り方を教えてください……
 食品サンプル通販などでもしっくりくるカレーライスが見つからず、見つけたとしても高額で手がつけられません。
 なので手作りで作れることなら作ってみたいのですが、材料の作り方がわかりません。
 自宅で出来る範囲、手短な材料で作ったことのある方、または知っている方いらっしゃいましたら宜しくお願いいたします。

ベストアンサーに選ばれた回答
 回答失礼致します。
 ゴニンジャーの「神楽」コスをしたことがありますが、その時は紙ねんどなどで作成しました。
 ライス:良く揉んでからお皿に紙ねんどをちょうど良い形に盛り付けます。紙ねんどは袋から出したらすぐに乾燥していきますので手早くやりましょう!
  具が欲しい場合は同様に紙ねんどで小さい四角形を作ってお皿に並べます。
  私は作成当時そこまで頭が回らなかったのですが、ご飯のつぶつぶ感を出すために表面を歯ブラシやスポンジで叩いたりこすったりすると良いそうです。
 カレー:木工用ボンドに茶色の水彩絵の具を良く混ぜてルウを作ります。ご飯の上にかけて十分乾いたら完成です。乾くとボンドが透明になり、ツヤが出てそれっぽく見えます^^
 材料は全て簡単に手に入りますので、参考にして頂ければ幸いです。
 桂コス頑張って下さいませ!^^
 乱文失礼致しました。

質問者からのコメント
 回答ありがとうございました!!
 おかげさまで無事作成することができました。
 時間と材料の手間ひまがあまりかけられなかったので、ルウの部分は紙粘土になってしまいました。
 リベンジするときは回答を参考させてもらいます。
 ありがとうございました!



 おらぁもう、涙がでちゃったよ。
 見よ、この人と人とのつながりの美しさを。
 世界は広い。世の中には、納豆やカレーライスの形をした物体の作り方で悩んだり、それをやさしくアドバイスしてくれる人たちがいるんだなぁ。
 勝手に感動してしまいました。
 人間って、ほんとにおもしろいねぇ。明日からもがんばろーうっと。
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ヒト型兵器はなぜ踊る ~第7使徒イスラフェル~ グレーのほうが乙です

2011年01月30日 22時30分21秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
《前回までのあらすじ》
第5使徒ラミエル以来、1ヶ月ぶりに日本に上陸した新たなる刺客・第7使徒イスラフェル。なんとヤツは、「分体」するという大技を持っていた。ビックリ!


 エヴァンゲリオン2号機のソニック・ブレードによって真っ二つにされたイスラフェルは、短時間のうちにオレンジとグレーの2体に増えて再生してしまいました。
 仕方なく初号機と2号機はバラバラになって使徒と戦う流れになったのですが、なんとイスラフェルには、さらに恐るべき性質が!
 その名も、「二身一体バックアップ再生機能」! なんかデジタル。

 この性質の具体的なズルッコさは、初戦での分体後の経過が丸ごとカットされてしまったアニメ版ではわかりづらいのですが、貞本義行によるマンガ版(単行本4巻)で詳細に描写されています。
 たとえば、2号機がイスラフェルの片方をもう一回ソニック・グレイブで斬り裂いたとしても、すぐに斬った部分がつながって再生してしまい、「使徒の弱点」であるはずのコア(核)をかち割っても、それもまたすぐに復元してしまうのです!
 「人間型」の使徒に共通している特徴なのか、サキエルとシャムシエル同様、イスラフェルもおなかのど真ん中に弱点であるはずのコアを誇らしげにつけています。弱点でてる! でてるよ!
 しかし、今回の場合はちと勝手がちがうんです。いくらコアを集中攻撃しても、イスラフェルは平気のへいざ! ピンピンして応戦してきます。な、なぜ?

甲「はい! 説明いたしますと、わたくしどもの身体は2体に分裂していながら、身体の情報をおたがいに共有しているのでございます。」
乙「したがいまして、それが弱点であるコアだったとしても、ダメージを受けた瞬間に、もう片方の無傷なバックアップ情報を受信して再生させてしまうというスグレものなのでございますよっ。」

 なんということだ……ということは、さしものエヴァンゲリオンが2体で闘っても、その攻撃法がバラバラになっている限り、イスラフェルには傷ひとつつけることができないということなのか!? ネルフ、ピンチ!

 結局、ネルフはそんなイスラフェルの秘密を解明することができず、戦闘開始後30分もたたない午前11時。2体のイスラフェルによって初号機と2号機が駿河湾からはるか遠くの地点に投げ飛ばされて機能停止におちいってしまい、ネルフは作戦指揮権を国連軍にゆずって撤退してしまいます。
「おっしゃあ、俺たちの出番がまわってきたぞ! 今度こそ、やったんでぇ!」
 と言ったか言わずか、第3使徒サキエル戦以来およそ2ヶ月ぶりに作戦のメインをしきることになった国連軍。間髪入れずに最新兵器「N2航空爆雷」の投下を決行します。

 「N2航空爆雷」とは? これは、サキエル戦のなかで山ひとつ吹き飛ばす勢いで炸裂し、サキエルを半日動けない状態にしたという国連軍の最終兵器「N2地雷」を、上空から大型戦闘機で地上に投下できる形にアレンジした最新兵器である。はっきり言って、国連軍の持っている兵器の中で使徒に通用するものは、これだけなのだ!!

 ズズ、ズドドォ~ン……

 盛大なキノコ雲をあげるN2航空爆雷。数分後、爆心地には炭のように真っ黒焦げになった2体のイスラフェルが。

甲「ゲホッゲホッ……な、なかなかの火加減でございましたわね。」
乙「今日のところはヤケドの治療に専念することにいたしますが……今に見ておれでございますよ。」

 N2兵器は、今回も使徒に通用した! またしても殲滅することはかなわなかったのですが、ネルフの分析によるとイスラフェルは全身の約28%を損傷、回復して動き出すまでには6日間かかるという予測が報告されました。
 やったぜ国連軍。前回のサキエルは半日だったのに、今回は6日間の足止めに成功だ! まぁ、代償として駿河湾がなくなっちゃったけど……
 サキエルにくらべてイスラフェルの回復速度が遅すぎるという点が気にかかるのですが、それはまぁ、N2航空爆雷がN2地雷にくらべて格段に強力なものになっていたからなのかもしれないし、2体に分裂したことでイスラフェルの回復能力が多少おちていたからなのかもしれない。
 いずれにしろ、イスラフェルは先ほどにあげた特異な再生能力を持っているわけなので、回復速度の差をもって「サキエルよりもイスラフェルの方が弱い」と判断してはいけないと思います。

 さて、イスラフェルの再侵攻までに6日の猶予ができたネルフ側。しかし、イスラフェルに投げ飛ばされて機能停止になった初号機と2号機も、修理完了までに6日かかるというギリギリスケジュール。
 ならば、他にこの貴重な6日間を使ってネルフにできることは?
 むろん、回復したイスラフェルは当然のように第3新東京市に侵攻してくるでしょうから、急ピッチでラミエルの遺骸をかたづけて市街地の迎撃体制を復旧させる必要があります。
 そしてもう一つ。映像などによる解析によってイスラフェルの「二身一体バックアップ再生機能」を理解したネルフ作戦本部は、2体に分裂したイスラフェルに対しては、2体のエヴァンゲリオンによるまったく同じタイミングで同じ部位を攻撃する共同作戦が有効であり、最終的には2つのコアに同時に致命的なダメージを与える「二点同時荷重攻撃」しか通用しないという結論に達します。

 そこで採用されたのが! 「62秒の楽曲にあわせて2体のエヴァンゲリオンが寸分たがわない振り付けで踊りながらイスラフェルを殲滅する」という作戦。正気か!?
 うーん……しかし、パイロットが1週間前に会ったばかりの、しかも性格の合いそうにない2人である以上、手っとり早く同じ振り付けをおぼえるという作戦がいちばんマシなのではあるのでしょうが。
 人類の命運が、華麗にステップを合わせながら舞い踊る2体の身長40メートルの巨人にかかっているとは! 頭がクラックラするようなステキな展開です。

 そんな流れから生まれるのが、「明るいロボットヒーローアニメ(ロボットじゃないけど)」の大傑作として記憶されるべき中期『新世紀エヴァンゲリオン』を象徴する名場面、初号機パイロットとドイツ娘の汗ひかるダンスレッスンなんですなぁ!
 今現在、『エヴァンゲリヲン新劇場版』3部作のうち『序』と『破』が公開されている時点では、TVアニメ版でのドイツ娘こと「惣流=アスカ=ラングレー」が大活躍するこの「エヴァンゲリオン中期」の明るくむちゃくちゃなノリは、なんとなくなかったことにされているような気がします。具体的には、TV版の第6~11使徒戦あたりがその「中期」にあたるんでしょうが、私はそれが哀しくてしょうがありません!
 もちろん『新劇場版』はおもしろいです。はっきり言って作品のクオリティは全ての面においてTV版とは比較にならないほどアップしているし、謎のばらまきがとっちらかり過ぎて収拾がつかなくなった(ように見えた)TV版に対して、見間違えるほどスマートな展開になった新劇場版は格段に観やすくなっています。

 でもさぁ、1990年代のフワフワした熱っぽさをそのまんま作品に投影している中期の雰囲気もいいんだよなぁ。あのまま、ドイツ娘が元気なままで進んでいたら、いったいどんな物語になっていたのだろうと時々夢想してしまいます。
 『新劇場版』で、どこからどう見ても「惣流さん」な彼女が「式波大尉」になっていたのは、まことに慧眼だと思います。別人だものねぇ、あの2人。惣流さんはあんなにオトナじゃないからねぇ!

 初号機パイロットとドイツ娘の涙ぐましい努力の日々は、ぜひともアニメでごらんになっていただきたいと思います。様々な表情を見せる『新世紀エヴァンゲリオン』の中でも、とびっきりハイで楽しい一面を目の当たりにすることができるはずです。
 ちなみ、のちに中期エピソードのほとんどをカットしてしまうという哀しい展開におよんでしまった貞本義行のマンガ版『新世紀エヴァンゲリオン』も、この「対イスラフェル戦」だけはアニメ版以上に力を入れて描写しており、特にこのダンスレッスンのくだりは、その並はずれた画力もあいまって、さまざまなレギュラーキャラが表情豊かに生き生きと活躍する素晴らしい物語になっています。マンガ版は、とにかく初号機パイロットの中学生男子が人が違ったようにしっかりした「自分」のある子になってるから、初号機パイロットとドイツ娘がしだいにその精神的距離を近づけていくあたりはもう感動的でねぇ……はずすことができない名場面です。

 さて! 無惨な敗戦を喫してしまってから6日後。ネルフの予測通りに回復したイスラフェルは侵攻を再開し、やはり予測通りに芦ノ湖の南を東に回ってから強羅温泉を通って北上し、第3新東京市にその姿をあらわします。

 イスラフェルが市街地に侵入したタイミングを見はからって、ネルフ本部から射出口をつうじて文字通り地上へとおどり出る初号機と2号機。前回は敗れた2体でしたが、今回は気合いの入り方がちがっていた!
「62秒で決着をつける!」
 62秒の曲に合わせて見事に息のあったアクションを展開する2体のエヴァンゲリオン。
 第3新東京市の迎撃体制もある程度は復活したようで、ミサイル攻撃や装甲シールドなどで2体を援護します。

甲「あらっ、見間違えるような的確な攻撃! やりますわね。」
乙「これはいけません。わたくしたちも本気を出さなければならないようですね!」

 対するイスラフェルも、目(らしい部分)からのビーム、手の先の鋭利なツメ、ちょっとだけ空を飛ぶなどの手段を駆使して反撃します。
 どことなくサキエルに似た攻撃をくり出してくるイスラフェルなのですが、やはりサキエル同様、N2兵器によるダメージからの回復後に攻撃力などの面で進化しているような様子がうかがえます。

 しかし、ピッタリと完璧な一心同体攻撃を続ける初号機と2号機にはついに勝てなかった。
 たまらず、甲乙の2体が合体して1体にもどってしまうイスラフェル。
「今だっ。てやぁーっ、」
 一瞬のスキをついて中空に跳び上がる初号機と2号機!

「ダブル・エヴァンゲリオン・キーィッック!!」
 ドゴぉ~ン!!
 きまった! イスラフェルのコアに同時にヒットする2体のキック。あまりの勢いに、イスラフェルは蹴られたまま市街地から近隣の山まで吹き飛ばされてしまいます。どんだけ~!?

「ぐバハぁア~ッ!! や、やられましたわ……ムラサキと赤のおふたり、これからも、そのコンビネーションを忘れずにお幸せに……」
 コアにヒビがはいった! ドッカ~ン。
 こうして、第7使徒イスラフェルは山ひとつを消すほどの大爆発とともに華々しく散っていったのでした。もうちょっとでネルフ本部に行けたのになぁ~。でも、グッジョブ!

 グッジョブと言うのならば、蹴りながらイスラフェルを、市街地に爆発の影響のない山あいまでもっていったエヴァンゲリオンパイロット両名もグッジョブです。
 というか、登場人物たちのセリフによると、どうやらイスラフェルが姿をあらわした翌日にその対策法を考案して、それにぴったりの楽曲と振り付けを用意したらしいネルフ本部がいちばんグッジョブですよ! だって、イスラフェルがビームをはなったりちょっと空を飛ぶってことも予測できてたってことでしょ? これは使徒側にとっては恐るべき脅威ですよ。
 ネルフ本部の頭脳ともいうべき、すべての作戦の案出とシミュレーションを一手に引き受けるスーパーコンピュータシステム「MAGI(マギ)」は、2010年に赤木ナオコ博士(物語に登場するリツコ博士の実母)が完成させたものなんですが……ナオコさん、天才すぎ。もしかしたら、あの楽曲を作曲したのも、MAGI? やりかねません。さすがは特務機関ネルフ。総司令の外見のあやしさはダテじゃありません。

 さきほどあげたように、マンガ版でも重要なエピソードとして取り上げられていた対イスラフェル戦だったのですが、残念ながら『新劇場版 破』ではみごとにカットされてしまっております……
 ま、「惣流さん」の登場しない『新劇場版』である以上、しかたのない処置なのでしょうが、要するに、『新世紀エヴァンゲリオン』の中期は惣流さんのあの性格とその成長がなくては成立し得ない物語になっていたんですなぁ。
 しみじみと、惣流さんと惣流さんのいた1990年代に想いをはせる「対イスラフェル戦」なのでした……いや、惣流さんがいたのは2015年だけどさ。


《ほんとに蛇足ながら》
 本来、イスラフェルはイスラム教で音楽をつかさどる天使の名前なので、アラブ語読みにしたがって「イスラフィール」と表記したいところだったのですが、一般的な呼称のとおりとしました。ひとりだけちがう語感なのもかわいそうですし。
 でも興味深いことなんですが、キリスト教の天使もイスラム教の天使も、上司はいっしょなのね! 天使にもカブッてる方がいて、ガブリエルがジブリールだったり。宗教はホントに深いわ。
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ヒト型兵器はなぜ踊る ~第7使徒イスラフェル~ オレンジのほうが甲です

2011年01月28日 15時34分30秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
 こっんにっちは~。そうだいですぜ。なんか最近、鳥インフルエンザだヒトインフルエンザだ、カゼだ火山だとなにかと物騒な話題が広がっているんですが、みなさんはお元気ですか? 私のいる町は平和そのもの。天気も良かったやね。

 さてさてぇ! 今回はタイトルを見ておわかりのとおり。あいかわらずエッチラオッチラと進めている恒例の『新世紀エヴァンゲリオン』歴代使徒検証シリーズの第5弾をお送りしたいと思います。
 このシリーズをやっていて、ふと「これを続けていてよろこぶ人って、いるのかな?」とわれにかえってしまう時があります。エヴァンゲリオンネタなんて、それこそもっと詳しくて読みやすくてプロフェッショナルな記事なんか、くっさるほどあるでしょうしね。
 しかぁし! そんなことを気にかけているだけ時間のムダだっ。人がよろこんでいなくても、使徒はきっとよろこんでくれるはず!
 だいたいねぇ、これは個人ブログなんですよ。もともと、わたくしが楽しいからやってることなんだもの。それを読んでくださるみなさまがいらっしゃることは非常にうれしいし、パワーになる。しかし、そういった方々のことを「私の読者だ」なんて勘違いしてしまってはいけない。
 まずは、「やりたいことをやる」。それがわが『長岡京エイリアン』の本分であり、「使徒検証シリーズ」に限定して言えば、その私のバカさ加減こそが、死んでいった使徒のみなさんへのささやかなたむけになるはずなのですから。
 ということで、今回もがんばんぞー!


 ドイツのネルフ支部からやってきた、エヴァンゲリオン2号機とその専属パイロット・謎のドイツ娘(14歳 4分の1日本人)。
 移動中に旧伊東沖で第6使徒の奇襲にあいますが、初号機パイロットとのダブルシンクロの甲斐もあって見事に初戦を勝利で飾りました。
 さっそく翌日から、初号機パイロットや0号機パイロットの通う第3新東京私立第一中学校に転校し、当たり前のように2人のクラスメイトとなります。もうドイツで大学を卒業してるらしいんですげど。

 ところで、今回の主役となる第7使徒イスラフェルはいつ日本にやってきたのか? 例によってドイツ娘来日からどのくらいの日数がたっているのかは明らかにされていません。

 その日。いつもどおり朝の登校時間に第一中学校に集まってくる生徒たち。どうやら学校は「パツキンのすっげぇかわいい女の子が外国から来たゼ!」という話題でもちきりのようで、校舎裏ではドイツ娘の盗撮写真が男子間で売り買いされるというごく健康的な事態まで発生していました。まぁ、彼女の本性を知っている初号機パイロットとその友だちのジャージとメガネは冷めきった態度なんですが……
 いっぽう、朝から無数の男女のせん望のまなざしをバッシバシ全身にあびて現れたドイツ娘は、登校中になぜか街のベンチで『分子生物学』の専門書(英語で書かれているらしい……おそろしい中学生です)を熟読していた0号機パイロットに「仲良くしましょ!」と文字通りの上から目線で声をかけますが、0号機パイロットは目も合わせずに
「命令ならばそうするわ。」
 とかえします。
「へんな子ねぇ?」
 とけげんな顔をするドイツ娘。いや、それは変なんじゃなくて、明確に拒絶されてるってことなんじゃ……

 だいたい、こういったドイツ娘のちやほやされ方、そして盗撮された体育などの授業をすでにいくつか受けている感じ、クラスメイトであるはずの0号機パイロットに初めてらしい名乗りをあげているという感じから見て、私は、第7使徒がやってきた日は第6使徒がエヴァンゲリオン2号機を襲った日から経過1週間以内くらいかと思うんですけど、いかがでしょ。

 そんなやりとりがなされていた午前中。アニメ本編が中学生の登校シーンから大きな時間の跳躍もなく自然に流れていたとしたら9時前ということになりますが、ネルフ本部に重大な報告が入電されます。
 報告したのは警戒中の巡洋艦「はるな」。紀伊半島沖に謎の潜行物体を発見したという情報で、ネルフは即座に分析。問題の物体は第7の使徒であると断定しました。

 脱線しますが、この時登場した「はるな」がどこに所属している巡洋艦なのかが、ちょっと気になります。ネルフの直轄じゃないですよね。海上自衛隊か、はたまた国連軍か……これ以降は物語に登場しない名前なので答えは出ないのですが、2011年現在、海上自衛隊は「巡洋艦」クラスの軍艦を保有していません。
 さらに脱線すると「巡洋艦」とは、「戦艦」よりもひとまわり小さい排水量1万トン以下の軍艦のことです。さらにさらに脱線すると、海上自衛隊は巡洋艦よりもさらに小さい「護衛艦」で「はるな」という名前のものを実際に所有していたのですが、おしくも2009年に退役してしまいました。いろんな意味でほんとにおしい!

 話を本題にもどしまして、せっかく登校したのにさっそくネルフ本部に召集されてしまった初号機パイロットとドイツ娘は、エヴァンゲリオン初号機と2号機に乗り込んで駿河湾岸に待機し第7使徒を迎撃することとなります。
 今回、ネルフ本部がいつもどおりの第3新東京市での決戦を行わずに太平洋側までくり出したのは、その時点で第3新東京市の機能がまだ使徒を迎撃できるまでに回復していなかったためです。
 第5使徒ラミエルとのドンパチはやはりすさまじかったようで、あれから1ヶ月ほどたっているはずなのですが、迎撃システムの回復率は26%。街のど真ん中に横たわったラミエルの遺骸もまだ撤去されていないという惨状でした。しかも、その時にラミエルの加粒子砲攻撃を初号機よりも多めにくらってしまったエヴァンゲリオン0号機は修理中というていたらく。こりゃいかんわ……


 ということで、海岸で第7使徒の出現を待ち受ける初号機と2号機。特に2号機のパイロットであるドイツ娘のほうは、前回の第6使徒戦が初号機パイロットのシンクロヘルプをもらった上での勝利だったことに不満を持っているらしく、「今度こそ単独でブッ倒して日本のネルフにガツンといわしたる!」と鼻息も荒いです。
 そして、ネルフ側の準備もととのった午前10時半すぎ、ついにハデな水しぶきをあげて第7使徒が出現!

 えっ、10時半すぎ!?

 だって、「はるな」ちゃんが紀伊半島沖で使徒を見つけたのが、少なくとも第一中の生徒がエッチラオッチラ登校してた時間の8時半~9時ごろなんでしょ?
 ということは、第7使徒は紀伊半島沖から駿河湾までを約2時間で泳いできたことになります……紀伊半島から駿河湾ったら、距離にして350~400キロありますよ。
 
 第7使徒の泳ぐ移動速度、ざっとみつもって時速200キロ!
 これはすごい……前回の第6使徒ガギエルもそうとうなスピードで泳いでいたんですが、今回の第7使徒もなかなかのものです。最初に現れた第3使徒サキエルが時速40キロで泳いできたことを考えると、素晴らしい進歩だ!
 さぁ、そんなハンパないジェットでやってきた第7使徒。いったいどんなナリをしたヤツなんだ?

 ザバーッと現れたその姿は、またしても奇々怪々なフォルム。

「ブハーッ!! 日本のみなさま、おはようございまーす! 黒潮にのってやってまいりましたーっつ!」

 おおざっぱに言うと人間型なんですが、サキエルに共通した首のない「ジャミラ型」で、胸に赤と青の「陰陽マーク」のような顔(?)がついています。身長はエヴァンゲリオンやサキエルと同じ40メートルほど。
 全体的に体色はグレーで、鋭い包丁のようなエッジのついた腕を持っています。人間型という意味ではサキエルに近いのですが、やせて骨っぽい印象のあったサキエルとはまったく違うずんぐりした体型をしています。
 うーん、これが時速200キロで海を泳いできたとは。なんか、まるまって弾丸みたいな形に変形してたのかな。

 ともあれ、海面から現れた第7使徒にすかさずパレットガンを連射する初号機。第4使徒シャムシエルの時と同様にやっぱり全然きかないのですが、それをATフィールドで防御する使徒の足止めにはなりました。
「いまだっ!」
 大きく跳躍して死角から使徒に接近する2号機。その手にはエヴァンゲリオン手持ちの武器ソニック・グレイブ(でっかいなぎなた)が!
「でやぁ~っ!!」

 バッサ~! ぱっかり。

 2号機による、大上段からのソニック・グレイブ唐竹割り。スキをつかれた使徒は脳天からの一撃を受けて見事、真っ二つに斬り裂かれてしまいました。
「決まった……!」

 ええぇ~、やられてしまったのか、第7使徒? せっかく朝イチで泳いできたのに。

 ところがギッチョン、使徒はまだ死んではいなかった! 当たり前よね。
 一拍おいてブルッと身震いする使徒。次の瞬間、2つにわかれた使徒の身体はズルッと脱皮し、それぞれ1コずつの完全体に復元してしまった!!

 オレンジ(甲)とグレー(乙)、それぞれの体色をしたおんなじ姿形の使徒。ありゃりゃ、使徒が2体にふえちゃった!

甲「ふふふっ、まんまとはまりやがりましたね?」
乙「これがわたくしどもの得意技、分裂なのでございますよっ!」

「なんてインチキ!?」
 作戦司令室で思わず絶叫してしまう作戦指揮官。おまえはプラナリアか!? ポ~ケット~の~なァかァにぃは~ビスケット~が~ふったっつ~。
 思わぬ展開に戸惑うネルフとエヴァンゲリオン2体でしたが、しょうがないからマンツーマンで戦うことに。

 しっかぁし、第7使徒イスラフェルには、分裂する以上の強烈な秘密が隠されていたのだった~!

 っつうことで、このあとの怒涛の展開は次回に続きま~っす。
 よ~し、相手はびっくりしてるぞ。ツカミはオッケーだ、イスラフェル!!
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ちょっぴりさみしくなりました

2011年01月27日 19時00分53秒 | 日記
 どっも~、そうだいでございます。なんか、今日は九州で火山が噴火したらしいですね。大丈夫かしら?

 先日、鍋パーティにお邪魔してきました。私がいちばん年下だったので「友だち」と呼ぶのは遠慮させていただきますが、いっつも親しくさせてもらっているみなさんです。ホントにありがたいばっかりヨ。ミルク鍋おいしかったなぁ~!

 その場で話題になったトピックに、現在公開中のある映画がヒドすぎる!というものがありました。
 残念ながら、その映画を観たのが話を始めたその人だけだったので議論にはならなかったのですが、その方の眼力が確かなものであることは間違いなかったので、どうやらその超有名な映画は、ほんっとにヒドいみたいなんですね……
 あの~、まぁ、言わずと知れたあの邦画ね。観たかどうかは別としても、さんざん宣伝されていたので、公開されていることを知らない方はあまりいないんじゃないでしょうか。

 私ね、まず、タイトルが英語訳されているのが納得いかなくて、その時点で映画館に行く気が根こそぎなくなっちゃってたんですよ。すみませんね、映画のタイトルをふせる意味がぜんぜんなくて!!
 リメイクの方法は自由でいいと思うんですよ。旧作のファンにおもねることだけを考えたリメイクなんて作る必要がないし、ひとつの映画としておもしろいのであれば、どんなぶっ飛んだ内容になっていてもそれは大歓迎で受け入れるべきだと思います。
 しかし!! そのタイトルのモデルになった実在の「それ」は、英語を話す人たちと戦って轟沈して、今もなお無数の搭乗員とともに海底に眠っているんですよ。あの戦争の悪者が誰だったのか、というか戦争に善悪の立ち位置なんかあるのか?という問題を持ち出すつもりはありませんが、亡くなってから60年以上たっても満足なとむらわれかたをされていない方々と一緒に眠っている「それ」をそういう形で復活させるのはどうなの?とまず感じてしまったわけなんですよ。死んだ人を冒涜しちゃいけないでしょう。
 とまぁ、内容とはいっさい関係のないところがひっかかって行かなかったその映画だったんですが、その鍋パーティで聞いたダメさが本当に興味深いものだったので、公開終了も近づいてきた今ごろになって逆に観たくなってきちゃったんですね。ほら、観てない映画を聞いた情報だけで「つまんない」なんて言っちゃいけないし、第一、タイトルが英訳されているのも、私の浅い勘ぐりを超えたなんらかの重要なメッセージがこめられているからなのかもしんない。いずれにしろ、ちゃんとこの眼で観てみなきゃあ始まんないわけですよ。

 と思って、インターネットで近所にある映画館をいくつか検索したんですね。
 それで、「あぁ、もう1日1回しかやってないのか、ヤ××。」とかつぶやいていたんですが、そのうちに『×マ×』どころじゃない衝撃的な事実に気づいてしまいました。

「あ、あれ……よく行ってた、あの映画館のホームページが閉鎖されてる?」

 ネットでいくつかの映画館のタイムスケジュールを調べていたんですが、いつもならすぐに行けていたページがひらけないんです。
 その映画館は、小さいながらもシネコン形式の映画チェーンの1館だったんですが、そのグループのホームページには、ある報告が。

「シネマックス千葉 閉鎖のお知らせ
 シネマックス千葉は、2011年1月14日をもって閉館いたしました。
 オープン以来のお客様のご愛顧、心より御礼申し上げます。」

 えぇ~!! なくなっちゃってたんだ! それもつい最近に。
 ちょっとショックでした……調べてみると、その映画館は1997年にオープンしたんだそうです。だとすると、私がこの街に田舎モンまるだしのツラをひっさげてやってきた時とほぼ同じころに生まれていたんですね。
 でもなぁ。思いおこせば確かに最近、「あっ、もしかして、この映画館、ヤバい?」と思わせる空気は何回か感じたことがあったような。
 もちろん、夢を見せてなんぼのお仕事なわけですから、館内の内装はいつもどおりきれいなままだったのですが、なんか、お客さんもスタッフさんも少なくなってたんだよな……
 お客さんが少なくなるにしたがって、スタッフさんも削減されていく……かなしい前兆はすでに始まっていたんだなぁ。

 まぁねぇ。そこよりももっとアクセスのいい駅前にあった別の映画館が、2002年にドデカいシネコンにリニューアルしちゃってね。10スクリーンあって最大320席っていう鬼のような商売がたきでしたから。8年間もよく辛抱してきたと声をかけてあげるべきなんでしょうか。

 でも現金な話ですけど、そうとわかってたらなにか観に行ってたのになぁ、今年に入ってからも。
 私は去年は、そこの映画館で5~6本くらい観たでしょうか。『武士道シックスティーン』とか『アカシア』とか。
 最後に観たのは秋あたりの『アウトレイジ』でした……『アウトレイジ』かよ! もっと後味のいいものを観たかったなぁ、どうせなら。
 6階建てくらいのビルで5スクリーン、最大255席という映画館だったんですけど、私がそこに観に行っていた映画はもっぱら100席前後の小さなスクリーンで上映される規模のものでした。

 そういえば、去年の夏にリメイク版の『エルム街の悪夢』を観たのも、あそこだったなぁ。
 映画の内容は、ジョニー=デップの出ていた旧作版の足元にもおよばない駄作だったんですが(殺人鬼フレディに覇気がなさすぎ)、雨の降る夜に観に行ったらいつにも増してひとけがなくてねぇ。
 その日はもう、いろんな状況がほんとにそれ自体ホラー映画かっていうくらいの絶妙なシチュエーションで!
 雨に濡れながら、予告編が始まってるタイミングでチケットを買って、「遅れちゃった!」という感じでスクリーンの扉を開けたんですよ。

 そしたら、誰もいねぇ!!

 誰もいない状況で、予告編だけがたんたんと流れているスクリーン。
 真っ暗ななか、客はわたくし1人だけ……
 それで、これから観ようとしてるのがホラー映画なんですから。しかも、「夢と現実の境目がぼんやりしてくる系」の!! 

 もう3D映画なんて目じゃありません。これ以上ないくらいに臨場感あふれる『エルム街の悪夢』でした。
 いやぁ、あの時ほど映画のつまんなさに感謝したことはありませんでしたね。ちょっとでも恐かったら速攻で逃げ出してました。
 1人で映画を観たっていう経験も、あの映画館だからできたことだったのかな。不謹慎ながら、あのさびれ具合は好きでした。

 何年か前に韓国映画の『グエムル 漢江の怪物』をあそこで観た時も、客が私と韓国人の家族連れ4人組しかいなくて、上映中もノリのいい4人が韓国語で会話をしていたので、私がいったいどの国のどこにいるのかわからなくなるという眩暈にさいなまれたこともありました。

 私も、お客さんがあんまりいない感じが良くて行ってたからなぁ、あの映画館。でも経営する側はたまったもんじゃないよねぇ。

 うーん。先月のマンガ屋さんもそうでしたが、やっぱり昔から慣れ親しんでいたものがなくなっていくのはさみしいやね。

「なぁに、そうして古いものが消えていけば、新しいものがまた生まれるんだよ。」 by 横溝正史(映画『病院坂の首縊りの家』に出演した時のセリフ)

 シネマックス千葉さーん、どうもありがと~う!!
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桜木町恨道中(さくらぎちょううらみのみちゆき)

2011年01月24日 15時50分16秒 | 日記
 どうもーん、こんにちは。そうだいです。今日もいいお天気ですねぇ。
 昨日は久しぶりに東京に出て舞台を観てきました。4人組の演劇ユニットTHE REDCARPETSの第4回コント公演『意地悪』(作・演出 金房実加)です。
 はい、コント公演ですね。およそ1時間半のうちに10個ほどのコントが詰まっているというお得な内容だったのですが、全体的にある1人の登場人物の脳内情景になっている?ともとれる構成になっていて、ひとつのまとまったお芝居としても楽しめました。
 中心になっているのは4人の女優だったのですが、その他にも客演の女優が11人。え、11人!? 総勢15人の女優だけが織りなす濃厚な時間を目の当たりにしました。お客さんも、100人ほどが定員の会場だったのですが週末ということもあって満員になっていました。そりゃねぇ、コント公演はお客さんがいっぱい入ってて活気がなきゃ! やっぱりテンションが上がってる人を観るのは健康にいいやね。

 どーでもいいことなんですが、その中のあるコントに、ルパン三世の一味が出てくるというものがあったのですが、それを観ていて少なからず感じいったことがありました。
「ルパン一味は、ファッションが命。」
 そのコントに登場したのは、ルパン三世と次元大介、石川五右ェ門に銭形幸一警部といったおなじみの取り合わせ。全員の役を女優さんが演じていたわけなのですが、なぜか今回ふ~じこちゃ~んは不在でした。やっぱコントでも三次元化はムリなのか!?
 さてその4人組なんですが、観ていてなんだかどうしようもなく違和感があったんだなぁ! いや、女優さんが男装しているからとかいうことなんじゃありません。別に姿形が似てないからでもない。とにかく、なーんかヘンなんです。
 それで気がついたんですが、ルパン一味って、キャラクターにたいして衣装イメージの比重がものすんごくでかい!
 そのコントのルパン一味は、ルパンが赤のロングジャケット、次元が黒っぽいスーツ、五右ェ門がハカマといった、もっとも有名な『ルパン三世 第2シーズン』のファッションを踏襲していたのですが、それぞれがビミョ~に違和感がある!
 おおまかなところはアニメどおりなんですが、ルパンのパンツが黒、次元のシャツが茶色、五右ェ門の着物もハカマも黒っぽい灰色だったんだなぁ。全体的に明るくない……

 ダミダミ! 明るい『第2シーズン』をやるんだったら、ルパンのパンツは白に近いくらいのうっすいグレー、次元のシャツは空色、五右ェ門の上下も白じゃなきゃいけないの!
 すなおにコントに集中しておればよいものを……なまじ『ルパン三世』にいらなすぎるこだわりを持っていたために、気持ちが変なところに引っかかりっぱなしになってしまいました。そんなこと言われてもしょうがないよねぇ! 演じてる女優さんたちも早着替えとかしなきゃいけなかったんですから。
 でも思わぬタイミングで、ルパンにすりこまれたイメージ演出の強固さを認識してしまいました。やっぱ、子どものころに見たものの印象ってのは大きいわ!

 ちなみに、わたくしが最も好きなルパン一味のファッション組み合わせは、映画『ルパン三世 ルパン対複製人間』(1978年)のパターンです。ルパンのシャツの色が真っ黒だったりしてね、全体的に配色がダークなんですよ。お~れ~ェはル~パン~んだぁあぞォ~。

 とかなんとか、それ以外にもいろんなことを考えることのできた今回観たコント公演だったんですが、会場は西武新宿線の下落合駅の近くにある劇場でした。あいかわらずシブチンの私は、高田馬場駅からひと駅分歩いて下落合に向かったのですが、あのへんの町並み、いいですねぇ!
 高田馬場駅はやっぱり東京らしいにぎやかさがあったんですが、駅を離れるにしたがってだんだん閑静な住宅街といった感じになっていって、下落合についた時には、すでに町は大型スーパーや有名コンビニよりも八百屋さんや魚屋さんの似合う、昭和のかおりを色濃く残した風景に。細い道をちょっと歩いてみると、つき当たりに町工場のガレージがあったりしてね。西武新宿線じたいもまさにコンパクトな市電といったおもむきで、すぐに下落合の空気が好きになってしまいました。また行きたいんだけど……用事あるかなぁ。

 そんな感じでしみじみニヤニヤしていたのですが、それと同時に私の心には、下落合のひなびた風景によって引き起こされたもうひとつの決意が浮かんでいました。

「そろそろ、桜木町に行く季節がちかづいてきたなぁ。」

 桜木町。そうです、横浜の桜木町。
 駅でいうとJR線の、東京側から見て横浜駅のひとつ向こうにある駅です。繁華街も近いですね。
 私は毎年春ちかく、2月の恒例行事として、「JR横須賀線の新川崎駅あたりから桜木町駅まで歩くハイキング」というものをやっているのです。

 「新川崎から桜木町まで」と言われて、みなさんはどう思われます? え、「なんで?」ですか。やっぱそうですよねぇ。
 JR新横浜駅から桜木町駅までの、地図で見たごく簡単な直線距離は15キロあります。

 実は、私はこの道のりに非常に強い思いを持っているんです。わかりやすく言っちゃえば、一方的なうらみです。しかも、完全に私のバカな失敗が原因のやつあたり! ほんとにバカなんです、わたし……

 数年前のまだ肌寒い2月、私は桜木町で人と会って遊ぶという用事があったため、JR横須賀線にゆられて一路、横浜方面に向かっていました。
 しかし当時の私は、おりあしく非常におサイフがスッカラカンなすかんぴんWalk状態におちいっていたため、「なにか支出をおさえられる節約法はないものか?」とハイエナのような眼をしじゅう光らせていた男だったのです。あれ、あんま今とかわんねぇか。
 そんな私の脳裏によぎってしまったのが、「たっぷり桜木町まで電車に乗っていくんじゃなくて、途中の駅から歩いていって電車賃を節約する」という作戦だったのです。バカ……

 そこで、せっかく乗っていた横須賀線を降りて死の行軍を開始してしまったのが、あの新川崎駅……

「大丈夫だよ、だって集合時間まで3時間もあるんだぜ! 新川崎、新子安、東神奈川、横浜、んで桜木町だよ。たった4駅ぶん歩くだけじゃ~ん。」

 あの時、私は若かった……知らなかったのです、実際の距離が15キロもあったことを。途中で諏訪坂という山と言っちゃっていいようなアップダウンがあったことを。4駅ぶんは4駅ぶんでも、私鉄の4駅ぶんなんかじゃなくて「快速電車通過駅」の4駅ぶんだったことを……

 リアルに「足が棒になる」とはどういうことかを、骨の髄まで思い知らされた1日になりました。血まめが、血まめが……また、おしゃれ気どっちゃって、持ってる中でいちばん重いブーツはいてっちゃったし……ギャー!!
 所要時間、途中で道に迷ったこともあって5時間。
 道のりの配分としては、最初の新川崎~新子安駅(途中でJR京浜東北線の鶴見駅を通過します)の、高架線とだだっぴろい平野だけが広がる風景が2時間。新子安~東神奈川駅の、予想外の山登りとはるかふもとに見える横浜の夜景を見て絶望的な気持ちになるくだりが2時間。そして、東神奈川からいっきに桜木町まで横浜の大都会をフラフラとさまよい歩く感じが1時間といったところでしたでしょうか。Oh!That's じごく。
 当然ながら、その日の予定は泣いて断ることとあいなりました。

 それでも悔しかったので、私はずいぶん遅れた時間にたどり着いたJR桜木町駅をまぶたに焼き付けてから引き返したのでした。もちろん、また新川崎駅までね……お金、なかったから!!
 私、体調の悪い時には、この新川崎~桜木町のどっかの風景をランダムで夢に見ることがあります。まぁ……そりゃナイトメアにもなりますよ。

 それからというものの、私はそんな「自分のバカさ加減」や「あの時のくやしさ」を再確認するためにも、毎年おなじ時期に「新川崎~桜木町ウォーク」を必ずやることにしているんだとさ。チャンチャン。

 あと、楽しいハイキングをして、この道のトラウマな感じをさっさと取り払ってしまおうという魂胆も見え隠れしています。地獄の思い出は楽しさで上書き消去だ!
 ほんとバカ……さーて、今年はいつ行こうかナ~。
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