長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

ついにゲット! My Favorite 八つ墓村  ~1991年版『八つ墓村』~ やっときたきた感想編

2016年02月18日 22時16分15秒 | ミステリーまわり
≪前回の資料編は、こちら!

 そんでまぁ、『八つ墓村』1991年版のお話なんですけどね。

 2016年現在の時点で、映像作品化された『八つ墓村』は全部で9バージョンありまして(その他に舞台版やラジオドラマ版もあり)、今のところ、うろ覚えであっても私が視聴した経験のあるバージョンは、1977年渥美清金田一版、78年古谷一行金田一版1、95年片岡鶴太郎金田一版、96年豊川悦司金田一版、2004年稲垣吾郎金田一版、そして今回とり上げる91年古谷一行金田一版2の6つとなります。1951年片岡千恵蔵版や69年テレビ朝日版、71年NHK 版もいつかこの目で観てみたいのですが、叶いますかね……

 そんで、このようにかなり豊富な『八つ墓村』の映像化作品の中でも、私そうだいが一番大好きなのが、他でもなく91年版なわけなのです。しかしこれは、なにぶん TVドラマの2時間サスペンス枠で放送されたものなので、今なお絶大な知名度と人気を誇る77年版や、あの巨匠・市川崑がついに手がけたということで当時大いに話題となった96年版といった映画作品に比べると、視聴する機会が少ないということで分が悪い部分もあったのですが、ななんとなんと先日、古谷一行金田一シリーズの全作品 DVD化という偉業に挑んでいる『横溝正史&金田一耕助シリーズ DVDコレクション』さまから、ついにこの91年版がリリースされましたので、これ幸いにとさっそく購入してみたわけだったのです。長い! 一つの文章がムダに長いよ!! でも、これも愛あればこその長さ。

 ということですので、どうせならば今回 DVDをじっくり観て、どうして私がこのバージョンを好きなのかを考察してみようと流れになったのでございました。そこで、我が『長岡京エイリアン』で過去にやった「1977年版『八つ墓村』をちゃんと観てみよう」企画の手法を踏襲して、前回に91年版の簡単な概要と、ざっくりした本編内容のタイムスケジュールをあげた訳です。いつか、78年版とか2004年版のタイムスケジュールもやってみたいですねぇ。96年版だけは絶対にやらないと思います。横溝正史ファンを自称する私としましては、原作小説に1ミクロンも出てこないアイテムを勝手に持ち込んで、作品の推理要素を金田一さんとこのお孫さんやコナンくんレベル以下に幼稚にしてしまった96年版だけは、許すわけにはいかないのです……あんなの、ちゃんとした警察が捜査したら辰弥くんが脅迫状を提出した時点で犯人逮捕ですよ!

 ただ、本編の内容に入るまでにこれは言っておきたいのですが、私がこの91年版を偏愛する理由については、多分に「思い入れ補正」が含まれていることも白状しなければなりません。

 1980年代に生まれた私にとっての生涯初の「金田一体験」は、いうまでもなく当時全盛期を迎えていた TBSの古谷一行金田一スペシャルドラマシリーズとフジテレビの片岡鶴太郎金田一シリーズでして、具体的には、初めて断片的にテレビで見て恐れおののいたのが古谷金田一の『薔薇王』(1989年10月放送)で、テレビ放送でちゃんと最初から最後まで観たのが鶴太郎(千恵蔵さんがいるので「片岡」とは表記しません)金田一の『獄門島』(1990年9月放送)ということになります。人を殺す機能のついたからくり人形、こえぇ!! 鶴太郎さんとフランキー堺さんのペアは、私の生涯で最初にハマった NHK大河ドラマが『太平記』(1991年放送)だったこともありまして、このバージョンの『獄門島』も大好きですね。ちなみに、私が映像化金田一作品の決定版とも称される石坂浩二の金田一シリーズを観るのは、96年前後の映画『八つ墓村』の公開に伴うブーム再燃の中でテレビ放送された『悪魔の手毬唄』だったので、石坂金田一よりもだいぶ早く古谷金田一の洗礼をじゃぶじゃぶ浴びていたということになります。テレビの力は強かった……

 そして今回の91年版『八つ墓村』はと言いますと、私が生涯で初めて「ビデオで録画した金田一作品」ということになるのです。これは大きいですよ……小学校とか中学から帰ってきたら、なんべんも繰り返し観て脳裏に焼き付けることができるんですからね! たぶんベータビデオ。
 いや~、21世紀現在に比べて映像化基準のハードルがだいぶゆるい平成初期の2時間サスペンスドラマですからね……大金持ちのき〇がい息子が村のかわいい娘さんを拉致監禁するんですからね……アラフォーの夏木マリさんなんですからね!! わたくしめのその後の性格形成に、この91年版が与えた影響は甚大なものがあったかと思われます。完全に、親に見られてはいけない部類のアイテムですよ。わざとラベル貼らないで、『ウッチャンナンチャンの誰かがやらねば!』とかの録画ビデオの中にまぎれ込ませてたもんね。バレてたろうけど。

 ただ、今回そういった補正抜きでちゃんと映像本編だけを観てみますと、実はこの91年版って、殺人などのグロテスクきわまりない犯罪行為も、男と女のどろどろした愛情関係も、一部以外はどちらもかなり淡白な描写にとどまっているんですよね。ただ前回の資料編でも言及しましたが、その反動であるかのように、回想シーンにおける多治見(本バージョンでは田治見じゃない)要蔵の井川鶴子に対する蛮行の数々だけがかなりねちっこく描かれているのが非常に印象的です。小中学生が観るべき作品じゃあ、ないよね……

 そういった部分も含めて、この91年版は、あの伝説の77年版をかなり意識して制作された、「77年版の完全反転ネガバージョン」とみることができるのではないでしょうか。であると同時に、おなじく強大な77年版に果敢に挑戦した古谷一行金田一シリーズにおける78年版『八つ墓村』の、「原作小説に忠実であること」を目指したリメイク作品であるとも言えると思います。

 78年版に限った話ではないのですが、特に昭和における推理小説を原作とした映像化作品は、その原作が有名であればあるほど「小説をまんま映像化しても、ねぇ。」という制作側の意図が働き、「犯人が原作小説と全く違う」といったサプライズ展開が用意されるのが日常茶飯事となっていたようです。まぁそれ自体は、お客様に新鮮に作品を楽しんでもらいたいという映像集団のプロ意識の表れとも言えると思うのですが、それはとりもなおさず「推理トリックのプロ」たる原作者と真っ向から対決することを意味しているので、大体の場合は「原作通りに映像化してればよかったのに……」という残念な結果をもたらしてしまうような気がします。

 そういった意味で、まず77年版は犯人こそ原作と変わっていないものの、作品全体の雰囲気は推理小説というジャンルからかなり乖離したホラー映画となっていますし、犯人の犯行動機もだいぶ違った単純明快なものになっていました。そして、77年版の大ヒットを意識していることは間違いない78年の古谷金田一版1も、それこそテレビを見る日本人の多くが77年版を観たばっかなのですから、新規に何らかのサプライズ要素を加えんとしたがために、結果ああいった驚天動地のオリジナル展開を加えることになったのだと思うのです。いや~まさか、あの人があんな役割を担うことになるとは……それはそれで視聴者を十二分に驚かせる効果はあったでしょうが、その犯行動機があまりにもストレートというか、お涙頂戴でわかりやすいものなので、ある意味で原作小説以上に古臭い印象を残すものになっていたかと思います。ま、この因果応報的な多治見家崩壊のプロセスは、91年版でもしっかり継承されているんですけどね……

 ともあれ、77年版、78年版ともに、およそ原作小説に忠実とは言い難い映像化作品になっていたわけだったのですが、そこで満を持して世に出たのが、われらが91年版だったというわけなのでした。きたきた~!

 ここで91年版に課された使命は、「77年版に無い推理小説的要素」と、「78年版に無い犯人の孤高の魅力」の復権! これに尽きていたかと思います。すなはち、原作小説『八つ墓村』の忠実な映像化ですよね。そして、ベテラン関本郁夫監督の手によって完成された91年版は、その任を十二分に果たした出色の仕上がりとなっていたと思います。

 まずは何と言いましても、本作最大のトリックスターこと久野恒実によるはた迷惑きわまりない「殺人メモ」がフル活躍していることと、視聴者の疑惑の目を集めるサスペンスドラマ恒例の「怪しい人物」として麻呂尾寺の英泉ががっつり登場していること。これはポイントが高いと思います。これによって、本作の連続殺人事件は推理小説としてのレベルと面白さが格段にアップしているからです。ここらへんをしっかり押さえているのは素晴らしいですね。久野医師に英泉、夜中にウロウロしまくる里村慎太郎に小竹・小梅ペア、そして「あやしい」を絵に描いたような謎の妖婆・濃茶の尼と、まるでワールドカップ決勝進出レベルのサッカーチームのように、ほんとうの犯人から視線を反らさせるディフェンダーがひしめいているのがたまりません。守りが手厚いな~!! 双子がいるのが、なんか『キャプテン翼』みたい。

 ただ、そういった面白過ぎる要素がわんさとあるということは、それらをうまくさばいて93分の枠に納めなければならないという難題も控えているわけです。すなはち、原作小説『八つ墓村』は、角川文庫版にして約500ページ! この長編の、どこを残してどこをカットし、どことどこをつなげて簡略化するのか。この取捨選択を間違えれば、96年版のように惨憺たる結果を招くことは間違いないわけです。浅野ゆう子と宅麻伸のロマンスなんて10年遅いんじゃ!!

 その点、91年版のハンドルさばきはかなり神がかった名采配だったのではないでしょうか。
 具体的に見ていきますと、91年版はまず諏訪弁護士という、事件と金田一耕助をつなげる役割を持った重要人物を丸ごとカットして、多治見家が直接金田一を雇うというバイパス手術を行っています。これはまぁ、78年版でがんばってもらっちゃったし……というメタ的な配慮もあっての諏訪弁護士のベンチ入りかもしれませんが、何と言っても「名探偵金田一耕助の傑作推理シリーズ」と標榜している以上、原作以上に金田一耕助を手早く八つ墓村連続殺人事件に連結させる意図もあったでしょうし、何よりも金田一にとってはみすみす重要関係者(井川丑松)を目の前で死なせてしまったわけなので、事件解決への執念に火をつける発奮要素になったと思います。かといって、タイムトラベラーでもない限り丑松の死を回避させることは不可能なので、丑松が死んだからと言って金田一の名探偵としての資質を損なうものにはギリギリなっていないという深謀遠慮がすごいです。さすがは古谷金田一……

 また本作は、原作小説においてロマンたっぷりの恋愛関係におちいる主人公・寺田辰弥と里村典子の若々しい関係を、典子の存在をそっくりカットして森美也子に移し替えることで、登場人物の整理以上に、事件の展開と主人公の愛の行方を一本化させるという策も採用しています。ただ、これ自体は77年版、78年版の脚本もそうなっているのでさして新鮮でもないのですが、やはり本作でくだんの美也子を演じているのが異様に赤いルージュと衣装が目にささる熟れたてフレッシュ夏木マリさんということもあって、かなりエグみの強い恋愛関係になっている気がします。典子さんもビックリ!
 ただそれだけに、稀有壮大な犯行をなんとしても遂行させなければならないと暴走する復讐心と、若い辰弥くんをゲットして幸せになりたいという儚い孤独な心とが、同じ犯人の中で交錯し破滅するという、原作小説に無かった「犯人の人間的な苦悩」要素が過去作以上に強調される効果を生んでいるので、91年版の犯人は77年版ほどコワくはないのですが、その弱さ、もろさが非常に味わい深い魅力になっているのです。実にサスペンス劇場っぽいんですよね!
 原作小説の犯人にとっては犯行の動機そのものだった愛欲が、91年版では他ならぬ犯行意志(復讐心)のブレーキになっているという点が非常に興味深いです。さぁ、あなたはどっちのタイプがお好き!?

 そして、何と言っても本作最大の成功ポイントは、冬枯れの山なみを背景とした凄惨な連続殺人事件の、要所要所に哀しく響き渡る『アルビノーニのアダージョ』!! これに尽きるのではないでしょうか。これは本当にすばらしい。
 映画ファンにとっては、あのオーソン=ウェルズ監督の『審判』(主演・アンソニー=パーキンス!)で印象的に使用されたことでも有名な『アルビノーニのアダージョ』なのですが、これは1958年の発表当初は17~18世紀のヴェネツィアのバロック作曲家トマゾ=アルビノーニの新発見の楽曲として世に出ていたのですが、実は発表者のレモ=ジャゾットがアルビノーニに仮託して作曲した擬古体の完全新作であったことがのちに判明しているという、非常にミステリアスないわくつきの曲です。でもどっちにしろ、悲壮感に満ちた世紀の名曲であることに変わりはありません。

 91年版『八つ墓村』の中でこの『アルビノーニのアダージョ』は、「尼子の落ち武者の最期」、「多治見要蔵の邪恋と32人殺し」、「亀井陽一と井川鶴子の龍の顎での逢瀬」、「真犯人と辰弥の対峙」、「真犯人の告白」、そして八つ墓村の遠景をバックに流れるエンドロールの、都合6回もの頻度で使用されます。回想シーンがあると必ず流れるといってよろしいヘビーローテーションなのですが、聴いていても全く飽きがこないほど、セピア色に彩られた八つ墓村の悲劇にフィットしているのが、この曲のものすごさです。また、「多治見32人殺し」と「鍾乳洞内での真犯人の恐怖の追跡」という、77年版では芥川也寸志の迫力たっぷりの音楽が大音量でジャンガジャンガ流れていた2大名シーンさえも、哀切きわまりない『アルビノーニのアダージョ』一本で通しているところに、91年版のメガホンを執った関本監督の薩摩示現流にも似た武骨一徹の精神を感じずにはいられません。漢だ!!
 まぁ、ここには BGMに新曲を用意できないという裏事情もあるような気はするのですが、それだとしても、これ以上ないくらいに作品の悲劇性に合致した既成曲を発見して、しつこいくらいに投入する関本監督のこだわりと確固たる自信は、ここ91年版ではバッチリ成功していたかと思われます。それに、ふつうこの2時間サスペンス時代の古谷金田一シリーズの使用音楽といえば、シンセサイザーを多用した渡辺岳夫による楽曲の数々が挙げられるかと思うのですが、この91年版『八つ墓村』に関しては、1977~78年に放送された連続ドラマ『横溝正史シリーズⅠ・Ⅱ』で使用された真鍋理一郎による楽曲が復活登用されています。これも、使い古した BGMの再利用と言ってしまえばそれまでなのですが、人懐っこい笑顔が特徴の古谷一行さんに合わせたあたたかみのあるナベタケサウンドではなく、おどろおどろしさのある真鍋サウンドをあえて選んでいるところに、78年版のリベンジとしての91年版『八つ墓村』に賭けた関本監督の気合のほどを感じますね。古めかしくて、いいんです!!

 エンドロールもダメ押しと言わんばかりの『アルビノーニのアダージョ』で涙を絞りまくるわけなのですが、ここも、まかり間違っても古谷一行さん歌唱の『糸電話』とかは死んでも流さんぞ、という関本監督のこだわりを感じますね。古谷さんのボヨ~ンとした歌声は、確かに陰惨な金田一耕助シリーズの物語をおだやかに締めくくるには良い手かと思うのですが、この91年版の救いのない寂寞たる終幕にはまったく歯が立たないと思いますよ。いや、古谷さんの歌声も、いかにも古谷金田一の個性に合っていていいんですけどね!

 ちなみに古谷金田一シリーズにおける既成曲の使用という観点から見ますと、『薔薇王』におけるサン・サーンス作曲によるヴァイオリンの名曲『序奏とロンド・カプリチオーソ』の使用も非常に印象的でしたね。実はちゃんと見るとムチャクチャな内容の物語を、ゲスト出演の榎木孝明さんの容姿とも合わせてなんとな~く高貴な雰囲気に押し上げているグッジョブな選曲だったかと思います。これもいつか記事にしたい~!

 とにかくこの91年版は、ともすれば凄惨な殺人のジェットコースターになりがちな『八つ墓村』の物語に、きわめて理性的なブレーキをかけつつ煩雑な諸要素を論理だてて整理しながら進行させていき、それでも「愛欲の導き出す悲劇」という部分は一貫して描写し続けるという芯を忘れてはいない大傑作になっていると思います。他の歴代映像化作品に比べて、77年版のようにここがものすごいゾという特化したシーンこそないのですが、あくまでも職人的に、冷静なタッチで原作小説の一部の要素を抽出して一貫性のあるエンタメ作品に仕上げているテクニックは、さすが名匠・関本監督の本領発揮といった感じですね。

 このような感じで、91年版『八つ墓村』は、よくよく観れば原作小説に忠実というわけでもない、原作小説と77年版・78年版の映像化作品のいいとこどり、中間的な位置にあるバージョンと言えるかと思います。それでも、あの名探偵・金田一耕助の頭脳をもってしても容易に解決できなかった複雑な事件の経緯(だいたい久野医師のせい)を可能な限りわかりやすく再現した脚本の功績は、大いに評価すべきものなのではないでしょうか。それに、里村兄妹の存在や尼子の落ち武者の隠し財宝など、まともに映像化すると本編時間の長大化と人間関係の煩雑化をまねいてしまいかねない原作小説の要素をバッサバッサと切り捨てているのは、単純明快を旨とする2時間サスペンスドラマとしては大正解だったかと思います。またしてもカットされてしまった里村典子さんにとっては恨み骨髄以外の何者でもないでしょうが……八つ墓明神以上に、出番のない典子さんが怨霊化しそうで怖いですね。

 ただまぁ、ここまでベタ褒めしておいてなんなのですが、やはりこの91年版においても「これはどうなのかな~?」と感じてしまう残念ポイントはあるわけでして。あくまでも本作が非常に優秀な作品であることは前提としつつも、私が観たところは2点になるかと思います。

 まずはやっぱり、「落ち武者の隠し財宝」と「辰弥と典子の未来明るいカップル」がカットされてしまったことで、全体的に救いのないダークな物語になってしまった、ということです。横溝先生も、田治見要蔵(原作なので「田治見」です)という異常な人物によって、その後20年経っても一向に消えない暗い影を村に落とす陰惨な大量殺戮事件が引き起こされてしまったという、80作以上ある「金田一耕助シリーズ」の中でも屈指の憂鬱きわまりない設定を背景にしたこの『八つ墓村』の物語を、少しでも未来に希望を残すエンターテインメントにしたいと苦心して、主人公の辰弥と里村典子という行動的で利発なキャラクターを造形したのだと思います。そこには、田治見32人殺しに実在の事件のモデルがあるという事実も関係していることは間違いなく、その事件の影響をじかに受けている人々や集落を、当時岡山県に疎開していた横溝先生が実際に見聞きしていることから、プロの小説家としてなんとかこの世界犯罪史上に残る悲劇を大団円のある物語に変えたいという想いがあったのではないでしょうか。決して、好奇心とか事件のインパクトだけで作品の材料にしたわけじゃないと思うんですよね。
 ところが、そういった横溝先生一流のロマン性が反映された要素が、91年版ではそこに限って抜け落ちているような扱いを受けているので、結果として、多治見要蔵の身勝手な凶行の犠牲者である井川鶴子をはじめとする多くの村人と、今回の改変でそういった犠牲者の一人となった真犯人の、やり場のない悲しみだけを残す結果となってしまっているのです。特に、予算の都合なのかもしれませんが割とあっさり目に描かれている多治見32人殺しに対して、これでもかというほどにネチネチと映像化されている要蔵の鶴子・辰弥母子に対する暴虐の数々はひどいとしか言いようがなく、今作で鶴子を演じた小沢幹子さんの迫真の演技もあいまって、視聴者に強烈な衝撃を与えるシーンとなっています。これはちょっと見る人によっては、かなりの嫌悪感を抱いてしまうのではないでしょうか。また、多治見要蔵を演じるのがジョニー大倉さんという、それは線の細い娘さんが抵抗できるはずがないよなぁという体格の絶妙な人選になっているので、非常に生々しいんですよね。そりゃ見た目のインパクトでは過去の要蔵役の俳優さんがたに一歩遅れるかもしれないのですが、ストーカーには一番なってほしくない要蔵だと思います、91年版は。
 あと、そういった作風に引っ張られてなのか、鶴見辰吾さんが演じる辰弥も、なんだか陰というか、険のある不良っぽい若者になっているのもちょっと作品全体の印象を重くしていますよね。まぁ、これはしょうがねっか、見るからに妖しさムンムンの夏木マリさん演じる美也子を見て即、八つ墓村行きを決めるような辰弥なんだもの、そりゃ危険な香りもしますよ。

 つまり、91年版『八つ墓村』の脚本は、ミステリーとしての精度を上げている代わりにエンタメ作品としての視聴後の爽快感をかなり捨てているところがあると思うんですよね。そりゃまぁ、93分におさめなきゃいけないんだから、どっちもいいとこ取りってわけにはいかないやねぇ。難しいもんだなぁ~!!

 あと、私が感じた第2の残念ポイントというのは、まぁそんなに目立つ点でもないのですが、久野医師と、重病ということで劇中にいっさい登場しない西屋の森荘吉の2人が、多治見要蔵の弟(久野は要蔵の次弟、荘吉は末弟)という設定になっている点です。つまり2人とも辰弥の叔父にあたる、かなり近い親戚になっているんですね。もともと原作では久野医師は辰弥の「また叔父(久野の祖父と要蔵の祖父が同じ)」で、野村荘吉は田治見一族とは血縁関係がありません。
 この改変はおそらく、久野医師と森荘吉を事件の重要な容疑者にするための簡略化かと思われるのですが、だとしたら、「多治見家の財産を春代、辰弥以外の親戚に相続させて没落させる」という犯行動機のためならば、別に相続者が里村慎太郎じゃなくても良いという理屈になってしまうのです。そしてその場合、普通だったら原作小説のように特段の恋愛感情を抱いているわけでもない慎太郎よりも、相続した瞬間におっ死ぬ可能性もある病身の荘吉に相続させようと考える方が、真犯人にとっては一石二鳥の策なのではないでしょうか。どういうふうに一石二鳥なのかは、具体的に説明するとネタバレになるので詳しくは申せませんが……でもコレ、真犯人の名前を伏せる意味、あるかぁ!?
 ましてや、真犯人にとって荘吉は天涯孤独の身となった自分を救ってくれた大恩人なのですから、殺したくはないという感情は残っていたと思います。そして、慎太郎に相続させるためには、いずれ荘吉も殺さねばならなかったわけなので、今作のように改変された多治見一族の家系設定では、「最後に慎太郎を残す」という犯行計画は、いたずらにハードルとリスクをあげる下策としかなっていないような気がするのですが、どうなのでしょうか。
 う~ん、百歩譲って久野医師が辰弥の叔父になった改変はわからんでもないのですが(それにしても、そんなに近い血筋の人間が自分以外の相続候補者を全員殺そうとするか?という疑問は残ります)、荘吉を多治見家の一族にするというのは、その意図をつかみかねますね。だいたい、多治見32人殺しの時に真犯人は6歳だったということなのですが、いくらなんでも多治見家の人間や、今作で要蔵の弟となってしまっている荘吉が、真犯人の家族を根絶やしにされた復讐心を知らないまま一族に受け入れるということが果たしてありうるのか?という大疑問が残りますよね。せまい村の中だからさぁ……
 クライマックスでの真犯人の告白の口ぶりでは、少なくとも荘吉は真犯人が要蔵によって孤児にされたという素性は知っているようなのですが、小竹・小梅がそれを知っていたら、今回の連続殺人が発生した瞬間に真犯人を疑わないはずがないので、荘吉は知っていても多治見本家の人々は真犯人の素性を知らなかった、という感じになるでしょう。ましてや本作では、資金援助の願いをにべもなくはねつけて荘吉の長男を自殺させてしまっているわけなのですから、そんな険悪きわまりない関係にある真犯人を、警戒しないわけがないと思うのです。
 でも、まだ幼いとはいえ、事件の被害者の生き残りのその後を小竹・小梅ペアが知らないなんてこと、あるのかな……多治見家とその他の村人たちとで生活環境が全く違うといっても、あんなに広大な多治見邸に通いで下働きに行っている村人だっているはずですしね(作中ではお島という女中さんが登場している)。麻呂尾寺の英泉さんなみの容貌の変化がないと、すぐ怪しまれてバレると思うんですが。
 余談ですが、回想シーンで6歳の真犯人の役を演じている子役さんが、かわいいのにものすごい目つきで、家族を皆殺しにする要蔵を見ているんですよね! ただ恨むでなく、絶対に復讐してやるという念のこもったまなざし……かなり腕のたつ子役ちゃんとお見受けした! 顔立ちは成人した真犯人とは似ても似つかないのですが、その演技力はのちの真犯人の凶行を十二分に予見させる名演になっていたと思います。エンドロールのクレジットに名前が出てこないのが惜しすぎる! 今現在は30代なかばくらいにおなりんさっとるかのう。

 まま、ともかくこのように気になる点もあるにはあるのですが、ちょっとしたキズといった程度で、今作の魅力を減じるものではないでしょう。


 まとめますが、91年版『八つ墓村』は、世間に77・78年版の記憶もまだまだ根強く残っている平成初期に、満を持して発表された「ミステリーとしての原作に忠実な映像作品」となったかと思います。これを成功させるためには、原作のある程度の部分をカットするという勇断も必要となったわけですが、今作はだいたいにおいて理想的なスリム化を経て、古谷金田一シリーズ内ではもちろんのこと、金田一映像作品史上でも歴史に残る大傑作となったのではないでしょうか。全国の金田一耕助ファンにぜひとも一度は観ていただきたい、哀切きわまりない『八つ墓村』になっていると思います!

 だいいち何がいいって、本編時間93分ですから! 忙しい人のための『八つ墓村』としても、一番に推せるバージョンだと思いますよ。手っ取り早くミステリー作品『八つ墓村』のすごさを知りたいのならば、やっぱりこの91年版でしょう。まぁ、短いわりにズンとくる重さはありますが。

 さ~て、というわけでありまして、1977年の映画版に続きまして、今回私が最も好きな91年古谷一行版も記事にすることができました。他にも映像化された『八つ墓村』は7作もありますよ! 今現在、視聴が難しいバージョンがあるのはつらいところなのですが、次はどのバージョンを観ていこうかしら!? やっぱ、「金田一映像史における中興の祖」ともいえる、稲垣金田一シリーズの2004年版を避けて通るわけにはいかないか!?


 最後はやっぱり、この一言でしめましょうか。いち、にぃ、さん、たたりじゃ~っ☆

 ……91年版の濃茶の尼、けっこうフツーにきれいなおばさんでしたね。
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ついにゲット! My Favorite 八つ墓村  ~1991年版『八つ墓村』~ 資料&毎度おなじみタイムスケジュール

2016年02月16日 22時45分23秒 | ミステリーまわり
ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 八つ墓村』(1991年7月1日放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』 93分)

 監督  …… 関本 郁夫(49歳)
 脚本  …… 関本 郁夫、新津康子(?歳)
 音楽  …… 真鍋 理一郎(66歳 2015年没)
 主題曲 …… レモ=ジャゾット『アルビノーニのアダージョ』(1958年)

おもなキャスティング
 寺田辰弥              …… 鶴見 辰吾(26歳)
 森美也子              …… 夏木 マリ(39歳)
 多治見春代             …… 浅田 美代子(35歳)
 多治見小竹             …… 北城 真記子(73歳 1995年没)
 多治見小梅             …… 高橋 芙美子(76歳 2006年没)
 多治見久弥・要蔵・庄左衛門(3役) …… ジョニー大倉(38歳 2014年没)
 久野恒実医師            …… 戸浦 六宏(61歳 1993年没)
 里村慎太郎             …… 朝日 完記(36歳)
 濃茶の尼・妙蓮           …… 堀 永子(50歳)
 麻呂尾寺の英泉           …… 田中 公行(?歳)
 慶勝院の梅幸尼           …… 楠本 光子(59歳)
 新居医師              …… 西園寺 章雄(44歳)
 15代目・金田一耕助         …… 古谷 一行(47歳)
 12代目・等々力大志警部       …… ハナ 肇(61歳 1993年没)
 岡山県警の銀川警部         …… 石井 愃一(45歳)
 八つ墓村の駐在・今村巡査      …… タンクロー(?歳)
 井川丑松              …… 浜村 純(85歳 1995年没)
 井川鶴子              …… 小沢 幹子(27歳)
 辰弥の下宿先の大家・お島      …… 夏海 京子(?歳)
 ナレーション            …… 城 達也(59歳 1995年没)


 ※日本ミステリー界の巨星・横溝正史による金田一耕助ものの第4長編『八つ墓村』(1949年3月~51年1月連載)の6度目の映像化
 ※TBS 系列で不定期に放映された2時間サスペンスドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理』シリーズ(1983~2005年 全32作)としては第13作にあたり、古谷一行が金田一を演じた『八つ墓村』としては1978年4~5月放映の連続ドラマ『横溝正史シリーズⅡ』版以来2作目となる。
 ※監督の関本郁夫は、『名探偵金田一耕助の名推理』シリーズ中最多登板した監督であり(8作)、本作は監督3作目にあたる。シリーズで関本が監督と脚本を同時に兼任したのは本作のみである。
 ※時代設定が原作の「昭和二十三(1948)年」ではなく「昭和二十八(1953)年」に修正されている
 ※原作での重要登場人物である「里村慎太郎の妹」「諏訪弁護士」らが本作ではカットされている
 ※原作では八つ墓村の有力者一族は「田治見」なのだが、本作ではなぜか「多治見」表記になっている
 ※公式資料によると、原作で「八つ墓村」事件の捜査にあたった時点(1948年5月)での金田一耕助の年齢は「35歳」だった
 ※本作が放映された1991年当時は、市川崑による「東宝金田一耕助シリーズ」の演出法が復活した映画『天河伝説殺人事件』が公開され(7月)、古谷主演の TBS版は年に2~3作の割合で製作されており、そのいっぽうで片岡鶴太郎の主演によるフジテレビ版金田一耕助シリーズ『昭和推理傑作選 横溝正史シリーズ』(1990~98年放映 全9作)も製作されていた。
 ※本作で井川丑松を演じた浜村純は、1977年版の映画『八つ墓村』では森美也子の義父・森荘吉(原作における野村荘吉)の役で出演していた。ここでは死んじゃった……


 そいじゃまぁ~、恒例のやつ、いってみよぉか~!!

≪ドキドキッ☆ 1991年の『八つ墓村』 殺人だらけの本編タイムスケジュール≫
0~45秒 プロローグからタイトル
 いかにも不吉な印象の BGMが流れ、ナレーションによって、岡山・鳥取県境にある四方を山々に囲まれた集落・八つ墓村が紹介される。
 八つ墓村の遠景、稲光が走る暗雲、八つ並べられた落ち武者の生首と短いカットが続き、最後に神社か寺の境内とおぼしき場所に立ち並ぶ八つの石塔の映像を背景にタイトル『金田一耕助の傑作推理 八つ墓村』が大きく表示される。「金田一耕助の傑作推理」は白字の明朝体、「八つ墓村」は大きく赤字の筆書き。
 ※抑制のきいた城達也のナレーションと、『横溝正史シリーズ』時代から使用されている真鍋理一郎のおどろおどろしい音楽とが絶妙なバランスをとり、短いながらも非常にインパクトのある開幕となっている。最後の八つの石塔の手前にある「八つ墓明神」と墨書された木札が、いかにも年月を経て読めるか読めないかギリギリの朽ち方になっているあたり、かなり芸が細かい。
 ※事件も何も始まっていないタイトルの時点で「傑作推理」と銘打たれている点、このシリーズの金田一耕助にかかるプレッシャーはかなりのものであったと思われる。

45秒~1分30秒 東京 尾行される寺田辰弥
 「昭和28年 東京」というテロップが入り、冬場のコートにマフラーをかけた、仕事帰りらしいスーツ姿の青年・寺田辰弥が登場する。
 夜、線路下の地下道らしい場所を一人で歩く辰弥。ふいに後ろをつけてくる足音を不審に感じ、待ち伏せをして「誰だ!」と声をかける。辰弥を尾行していたと思われる、鳥打帽にコートを着た人影は、慌てたように走って逃げ去る。
 ※夜の陰影をうまく使ったこの尾行シーンはスリラーとして非常に面白く、辰弥もそれなりに肝のすわった青年であることがわかる。しかし、1953年の道路にはっきりと視覚障害者誘導用ブロック(ポチポチのある黄色いやつ)が映り込んでいるのは、ちょっと……重箱の隅をつつくようで申し訳ないが、視覚障害者誘導用ブロック(日本発祥)が公道に導入されたのは、1967年の岡山市中区が最初である。岡山すごい!

1分30秒~3分30秒 下宿の辰弥
 下宿に帰ってくる辰弥。迎えた大家との会話から、辰弥が九州地方に数日出張に出かけていたことが分かるが、大家によると、辰弥の不在中に私立探偵の金田一耕助という人物が何度も下宿を訪ねてきたという。
 大家から辰弥の帰ってくる日を聞いた金田一は、辰弥に「翌日の午後6時に喜久井町のよしせいという小料理屋にぜひ来てほしい」という伝言を残していた。
 また大家は、金田一とは別の人物も下宿を訪ねてきて、辰弥のことを根掘り葉掘り聞いていったと語る。
 またまた大家は、辰弥あてに届いた封筒入りの手紙を渡す。辰弥が開封すると、そこには血で書いたような赤い文字で「八つ墓村へかえって来てはならぬ」などと書かれた脅迫状が入っていた。
 ※出張帰りで疲れている上に、尾行されて気がピリピリしている辰弥に対して、何の気遣いもせず新情報をペラペラとまくしたてる大家のおばちゃんの能天気さが実に素晴らしい。それに対して「なんだよ!」とキレる辰弥のほうが大人げなく見えてしまうのは、それを観ている私(そうだい)が大家さんのほうに年齢が近くなってきたからなのか……おせっかいって、いとおしい。
 ※辰弥が九州土産だと言って大家に渡した、うす黄緑色のでっかくて真ん丸の果物が何なのかわからない……カボチャ? 冬瓜?
 ※このシーンでちらっと見えた脅迫状の封筒から、辰弥の下宿が東京都新宿区にあることが分かる。金田一が面会場所に指定した小料理屋のある喜久井町も新宿区なので、そう遠くない場所であることから金田一の気遣いが感じられる。

3分30秒~9分30秒 辰弥と金田一、井川丑松の対面
 翌日、約束の小料理屋で金田一と会う辰弥。面談によって、辰弥が金田一に人捜しを依頼した岡山県・八つ墓村の資産家・多治見家の捜している人物に間違いないことが判明する。その場で、辰弥は多治見家の使いとして東京にやって来た祖父・井川丑松とも面会する。
 丑松は多治見家の人物(久弥、春代、小竹、小梅、いとこの里村慎太郎)に関する説明を始め、辰弥に多治見家の後継者となるために八つ墓村に帰ってきてほしいと話す。しかし丑松は、不意におそった咳をおさえようとしてカプセル剤を飲んだ直後に大量の血を吐いて死亡してしまう(第1の殺人)。
 ※この面談の時に辰弥が見せた母の形見の出生書きから、辰弥は「昭和二年九月六日」に生まれたことがわかるので、本作での辰弥の年齢は26歳ということになる(演じた鶴見辰吾も当時同じ26歳)。ちなみに、辰弥は形見としてこの出生書きの他に、「龍の顎」などと書かれた迷路の地図のような書置きも持たされていた。その他、このシーンで現在の辰弥が化粧品メーカーに勤務している会社員であることも語られる。辰弥の下宿の部屋に貼られていたポスターから推測すると資生堂だろうか(放送当初のスポンサー?)。
 ※井川丑松を演じた浜村純は、1977年の映画版『八つ墓村』にも出演していたが、最終的に死ななかった1977年版よりも、すぐに死んじゃう1991年版のほうが数倍セリフが多いというのは、どういうことなのか……14年ぶりに俳優としての面目を躍如した執念のリベンジであった。ちなみに、本作での「井川」の読みは原作小説通りに「いかわ」である。
 ※このシーンでの丑松の「鶴子は、生まれて間もないお前をつれて多治見の家を飛び出した。もう25年も前になるかのう。」というセリフから、辰弥が1歳前後の昭和三(1928)年に「多治見32人殺し」が発生したことがわかる。ところが、この発言は……
 ※カプセル剤自体は19世紀からある物なのでこの時代に丑松が服用していてもなんの問題もない。でも、飲んだ瞬間に喀血するというのは、いかにもまぎらわしい描写ではある。

9分30秒~11分30秒 牛込警察署の辰弥
 金田一の助言を受けた等々力警部の捜査によって、丑松の死は辰弥に会う数時間前に丑松が服用したカプセル剤による毒殺であることが判明し、丑松殺害の嫌疑をかけられていた辰弥は解放される。
 疲弊した辰弥は八つ墓村へ向かうことを拒否するが、丑松に代わる多治見家の使いとして牛込警察署に現れた、多治見家の遠縁にあたる女性・森美也子と出会う。
 ※つまり、丑松が死亡した原因は辰弥が見ている時に飲んだカプセル剤ではなく「その前」に呑んだカプセル剤であることが判明するわけだが、妙にタイミングが合いすぎていて変ではある。
 ※全身赤のスーツで現れる妙齢の美女・美也子のインパクトがすさまじいが、その一方で誤認逮捕を謝っているとはとても思えない軽さで浅~く頭を下げるだけの、ハナ肇演じる等々力警部の態度のデカさも地味にすさまじい。官憲こえ~!!
 ※牛込警察署の外観を映したカットで雪が降っているため、本事件の発生時期が真冬であることが推察される。

11分30秒~12分30秒 どこかのかなり豪華なレストラン
 優雅に会食をしながら、辰弥の八つ墓村入りを勧める美也子。辰弥は心ここにあらずといったていではあるが、八つ墓村へ行くことを承諾する。同時に金田一も、小竹小梅姉妹の要請によって美也子、辰弥とともに八つ墓村へ同行することになる。
 ※さっきまであんなに八つ墓村行きを嫌がっていたのに……ここの心境の変化から、辰弥が初対面の時点で美也子に特別な感情を抱いていた可能性が示唆されている。
 ※自身の話によると、現在未亡人である森美也子は大学進学から、調布で電気器具工場を経営していた男性(森荘吉の長男)と結婚してその夫が亡くなるまで東京で生活していたという。
 ※話の流れから言うと、原作小説における諏訪弁護士のように八つ墓村へ行く理由が全くない金田一ではあるのだが、辰弥捜索の依頼人である小竹小梅姉妹の要請によって八つ墓村へ行く流れとなる。報酬をもらえる程度の気分で向かったのであろうが、まさか行ったらあんな大騒ぎになるとは、ねぇ。

12分30秒~16分 夜汽車での美也子の話
 東京から岡山県へと向かう夜行列車の中で、辰弥から血文字の脅迫状を見せられる美也子と金田一。美也子は、八つ墓村に伝わる八つ墓明神の由来として、戦国時代の永禄九(1566)年、毛利家に敗れた戦国大名・尼子(あまご)家の落ち武者8人を、毛利家の詮議と莫大な報奨金、そして落ち武者たちが運んできた軍資金3千両に目がくらんだ多治見家の先祖にあたる名主・多治見庄左衛門と村人が皆殺しにしたという凄惨な歴史を語る。
 ※この時の回想シーンをはじめとして、本作では八つ墓村の過去の映像には必ず『アルビノーニのアダージョ』が流れている。予算の関係なのか新規 BGMがいっさい流れていない本作だが、非常に哀切なこの曲の選曲が見事にマッチしているため、音楽的な制限を全く感じさせない、あの1977年映画版における芥川サウンドに比肩しうるジャストフィット感を生み出している。グッジョブ!!

16~18分 辰弥、八つ墓村へ
 国鉄伯備線の石蟹駅(いしがえき 岡山県新見市)を降りた辰弥一行、歩いて八つ墓村へと向かう。八つ墓村を見下ろす峠で、美也子から莫大な山林の権利を所有する多治見家のことなどを聞く辰弥と金田一。
 不穏な空気を感じさせる音楽が流れるなか、多治見家に向かう辰弥たちの前に村の狂女・濃茶の尼があらわれ、「八つ墓明神は八つのいけにえを求めておいでんさる!」と不気味極まりない予言を叫ぶ(第1のたたりじゃ~!)。同時に、殺気に満ちた視線で辰弥を囲み、にらみつける村人たち。
 ※石蟹駅で偶然に辰弥を見かけた博労の片岡吉蔵の反応からも、辰弥の八つ墓村入りが多くの村人にとって相当に忌むべきことであることが強く伝わってくる。
 ※辰弥たちが石蟹駅から車に乗って八つ墓村へ向かった可能性もあるのだが、本作の映像中では車両を使った描写も言及もいっさい無いので、暫定的に石蟹駅から徒歩で行ける距離に八つ墓村があるという解釈にしておく。

18~23分 多治見家
 辰弥は瓦屋根に石垣づくりのいかめしい多治見家の屋敷に到着し、病床の当主・多治見久弥をのぞいた多治見家の面々と顔を合わせる。多治見家の実権を握っている大大伯母・多治見小竹小梅姉妹は、辰弥に多治見家の次期当主になってもらうように強く要請する。
 現在の多治見家には小竹小梅姉妹の他に、辰弥の母ちがいの兄・久弥と姉・春代がいるが、久弥は肺病で瀕死の状態であり、春代は腎臓を患って子が産めないことが原因で嫁ぎ先から離縁されてきていた。

23~24分 謎の来訪者
 その夜。東京で自分を尾行していた人影のことが気にかかる辰弥は床についても眠れずにいたが、そこに不気味な人影が現れ、辰弥の顔をのぞき込む。辰弥は大声をあげて家人を呼び、人影はどこかへ逃げ去っていった。
 ※この場面で、人影が現れる直前に床の間にかけてある般若の面の目の部分が光る描写や、人影がのぞき込んだ時に辰弥の顔に落ちた水など巧みな伏線がしっかりと張られている。

24~29分 多治見家当主・久弥
 翌日。辰弥は多治見家で、多治見家の親族である久野医院の久野恒実医師(多治見要蔵の弟)や、従兄の里村慎太郎らの挨拶を受け、病床の兄・久弥に初めて面会する。
 重い病の身の久弥は健康な弟の辰弥に多治見家の全財産をゆずると宣言するが、叔父の久野医師の処方した常備薬を飲んだ直後に血を吐いて死亡してしまう(第2の殺人)。
 ※周囲からヤブ医者とののしられる久野医師を演じるのは、腕の立つ名医の役もしょっちゅう演じておられる戸浦六宏さん。ここではかなり頼りない久野医師をオロオロと好演している。

29分~31分30秒 久野医院
 金田一、岡山県警の銀川警部が主任となる「八つ墓村殺人事件捜査本部」で、東京から応援に駆けつけた等々力警部と合流して捜査を開始する。
 丑松も久弥も、同じく久野医師が処方した薬に混入された毒(トリカブト由来のアルカロイド系毒物)で死亡していることから、捜査本部は久野医師を第一容疑者として疑うが、久野医院の薬物管理のずさんさから、久野以外の人物が医院に侵入して薬に毒を入れたという可能性も視野に入れる。
 捜査中、金田一たちは八つ墓村の隣村にある麻呂尾寺の住職・長英の使いとして長英の飲む薬をもらいに来た僧侶・英泉に出会う。英泉は礼儀正しい僧であるが、戦争中の爆撃によって顔面に大きな火傷の跡を残していた。
 ※東京で死亡した丑松事件の捜査のためというれっきとした理由はあるのだが……やっぱり等々力警部が岡山にがっつりいるのは違和感が残る。ヒマなのか?
 ※等々力警部と役割を二分する形で、原作小説における磯川警部の立場をつとめる銀川警部を演じるのは、コミカルな演技も得意な石井愃一さん。ここでは石坂浩二金田一シリーズの加藤武ほどのお笑い要員ではないコワモテのキャラクターだが、猪突猛進でどことなくおかしな味わいを見せている。
 ※等々力警部が銀川警部を呼ぶ時に「警部」と言うのは、どんなもんだろうか……いや、あなたも警部ですよね? 仕事 OFFなのか?

31分30秒~40分 多治見春代の告白
 金田一が捜査から多治見家に戻ると、辰弥は姉・春代と美也子を相手に、自分が血文字の脅迫文を送りつけられ、何者かに尾行されるほどに村人に忌み嫌われている理由を話してくれと詰め寄っていた。
 辰弥の気迫に圧された春代はやむなく、自分と久弥の父・多治見要蔵が村の娘・井川鶴子を略奪、監禁して辰弥を産ませたこと、そして鶴子が辰弥を連れて逃亡したために狂乱した要蔵が起こしてしまった「多治見32人殺し」の真相を語る。
 金田一、ふと見かけた辰弥の部屋(かつての鶴子の監禁部屋。多治見家の離れにある)の屏風の中に、鶴子が当時の恋人・亀井陽一にあてて書いたとおぼしき恋文を発見する。この恋文の中にあった「龍の顎」という言葉から、辰弥が母の形見として持っていた迷路のようなものの記された書置きが、八つ墓村の地下にある広大な鍾乳洞の地図であることが判明する。
 小竹小梅姉妹の「そろそろ久弥の初七日の客が来る」という横槍によって、4人の談義は中断となる。
 ※なにかと典型的な巻き込まれ型の主人公に見られがちな辰弥であるが、鉄格子をはめていたとおぼしき跡を発見するなど、本作ではそれなりに行動的な部分も強調されている。でも、ちょっと怒りっぽい危険な雰囲気もあるかも……
 ※春代の告白に合わせて、要蔵の鶴子拉致と32人殺しが回想シーンとして流れるが、意外と短くあっさりしている32人殺し(全体で1分ほど)に比べて、鶴子に対する外道すぎる悪行の数々が異様に詳細に映像化されるために(こっちは約3分)、多治見要蔵の陰湿さがイヤというほど伝わってくる。その一方で、実の父を擁護したくなる気持ちもわからんでもないのだが、この所業を「激しい恋」と表現する多治見春代の言い方もたいがいおかしい。あんた、それで実の母を殺されてんのよ!?
 ※32人殺しの多治見要蔵の扮装は女ものの和服(鶴子に着せていた?)の下に洋ズボンとゲートル、頭にはおなじみのナショナルランプ2本、凶器は日本刀に猟銃というもので、同じ古谷一行金田一による1978年ドラマ版の要蔵の扮装を継承したものになっている。ちなみに、本作の映像の中では要蔵は1発しか猟銃を撃っていない。
 ※春代の話では要蔵は一晩中殺戮を続けて夜明けに失踪したことになっているが、映像では要蔵が最初に多治見家で正妻を斬殺した時点で明るい日中であり、村で暴れているシーンも全て昼間のような明るさになっている矛盾が生じている。要蔵のナショナルランプも煌々と点いているのだが、日中なのでその必要性も不明瞭になっている。
 ※93分というタイトな内容時間のためか、物語の進行がかなりスピーディでシーンごとの時間関係が不明瞭な点も多い本作なのだが、辰弥が八つ墓村に来た翌日に死亡した久弥の初七日が行われるという小竹小梅姉妹の発言から、このシーンの日付が、辰弥が八つ墓村に来て7日目であることがわかる(等々力警部が八つ墓村に来たのも同じ日)。
 ※多治見久弥の初七日は、東日本の慣習でいうのならばその次の日(死亡日から数えて7日目)になるはずなのだが、本作の舞台は西日本であるため、その慣習にしたがって「死亡の前日から数えて7日目」にあたるこの日に行われていると解釈する。ちなみに21世紀現在のご葬儀事情では、いちいち親族に集まっていただく手間をはぶくために、葬儀の日に初七日の儀式もまとめて行う方式が浸透しているそうです。

40分~44分30秒 久弥の初七日の惨劇
 多治見家でとりおこなわれた久弥の初七日の席で、辰弥は参列した慶勝院の梅幸尼から帰り際に「あなたのお身の上に関して大事なことをお話したいので明日、寺院まで来てほしい。」と告げられる。
 初七日の晩の夕食の席で、経をあげた多治見家の菩提寺・蓮光寺の住職・洪禅が食事中に突然喀血して死亡してしまう(第3の殺人)。
 洪禅和尚の死因は調べるまでもなく毒殺だったが、同席した麻呂尾寺の英泉は激高し、食事の膳を運んできた辰弥が自分を殺そうとして間違えて洪禅を毒殺したのだとつかみかかる。
 ※等々力警部も銀川警部も(あと今村巡査も)同席していたというのに、しかも連続「毒殺」事件が発生している最中だというのに、関係者全員が口にする食事を作っている台所に警官の目がじぇんじぇん行き届いていないとは……『ルパン三世』第2シリーズの銭形警部もかくやという無能ぶりである。おまえらクビ!!

44分30秒~46分20秒 謎の地下階段
 その夜。眠れずにいた辰弥は、自分の部屋の隣にある土蔵の隠し階段から、供え用の花を持って地下に降りていく小竹小梅姉妹の姿を目撃する。

46分20秒~47分30秒 森家の前の橋
 翌日(辰弥が八つ墓村に来て8日目)。梅幸尼との約束通りに慶勝院に向かっていた辰弥に濃茶の尼が現れ、「おめぇの行く先々には血の雨が降りよる。今度は誰を殺しに来よるんじゃ!?」と詰め寄る(第2のたたりじゃ~!)。怒りに打ち震える辰弥が濃茶の尼を突き飛ばすと吉蔵たち村人が集まって一触即発の空気となるが、森家から出てきた美也子が説得してその場はなんとかおさまる。
 ※この時に美也子が「この方は多治見家の跡取りなのよ? 人を殺すわけないでしょ!」と一喝するが、多治見庄左衛門と多治見要蔵の例を考えると説得力がないことはなはだしい。いや、多治見家の跡取りだから心配してるんですけど……
 ※このシーンから、八つ墓村(というか、そのロケ地)に雪がかなり降り積もっている。物語上、真冬であることに特に問題はないのだが、撮影現場がかなり寒かったせいなのか濃茶の尼役の女優さんの口が回らずろれつが怪しくなっていて、濃茶の尼のヤバさに磨きがかかっているのがイイ感じである。
 ※本作における濃茶の尼は、実はセリフとして「たたりじゃ~!」とは一度も言っておらず、八つ墓明神のたたりを本気で信じているというよりは、明確に多治見家の人間に復讐する目的で、吉蔵ら村人を計画的に扇動しているふしがある。このシーンでも村人が辰弥を取り囲んだ時にニヤリと笑っている表情があり、橋の下に吉蔵たちをスタンバらせた上で辰弥に食ってかかったんじゃなかろうかという知性すら感じさせる部分がある女性である。

47分30秒~50分 慶勝院の殺人
 辰弥と美也子が慶勝院にたどり着くと、そこには昨夜の多治見家の初七日から運ばれてきた夕食の膳を食べて毒殺された梅幸尼の死体が横たわっていた(第4の殺人)。
 金田一と警察の捜査により、現場から八つ墓村における対立もしくは並立する6組12名の名前が書かれたポケット手帳のメモと、濃茶の尼のわらじの足跡が発見される。これまで殺害された人物の名前に斜線が入っていることから、金田一らはそのメモを一連の連続殺人の犯人が残した殺人計画書ではないかと疑う。
 ※このシーンをはじめとして、本作でもたびたび金田一が見せる有名な「頭をワシャワシャとかきむしる」クセであるが、さすがに50代にも近づいてきたベテラン古谷金田一に不潔な雰囲気などあろうはずもなく、フケがいっさい落ちないきれいな髪ツヤなのがちょっと寂しい。そりゃそうですよね~。

50分~51分20秒 捜査本部での金田一の推理
 メモに書かれた名前のリストを見て、金田一は連続殺人の犯人が「ペアになっている2人のうちのどちらかを殺せばよい」という思考をもって殺人を繰り返しているのではないかと推理するが、そうでない可能性も視野に入れる。
 ※今回の連続殺人事件の異常性が明らかになる重要なシーンであり、単なるおどろおどろしいたたりに留まらない、本作の理論ミステリとしての特異性を際立たせるくだりである。

51分20秒~53分10秒 久野医院
 捜査によってメモの持ち主が久野医師であり、筆跡も久野医師のものであることが判明するが、警察が詰問すると久野医師は、メモは3ヶ月前に何者かによって往診鞄ごと盗まれた物で自分は何も知らないと弁解する。駐在の今村巡査は、メモを盗んだのは日頃から盗癖のある濃茶の尼ではないかと推測する。
 警察は連続殺人の犯人が久野医師であるとの疑いを強めるが、金田一は結論を保留し、今回の連続殺人が26年前の多治見32人殺しと関係があると推理し、独自の捜査を進めるために八つ墓村を離れ、岡山市の岡山県警に向かう。
 ※このシーンで金田一は多治見32人殺しが「26年前に起きた」と発言しており、地元の今村巡査(当時6歳)も、それを聞いて特に異を唱える反応はしていない。これは、本作の冒頭で井川丑松が語った「25年前」という鶴子・辰弥母子の失踪年と微妙にずれのある発言であるのだが……1年の差だし、ま、いっか。ていうか、あの風体で今村巡査が32歳なのがビックリ!

53分10秒~54分 岡山県警から八つ墓村役場
 多治見32人殺しの詳しい経緯と、事件の被害者たちのその後を調査するために、岡山市の岡山県警と八つ墓村の村役場を訪ね捜査を進める金田一。 
 ※おなじみの金田一単独行のくだりであるが、本作では八つ墓村から直線距離にして50キロほどしかない岡山市におもむいて、その後すぐに八つ墓村の村役場に戻る流れになっているため、そう長くは離れていなかったようである。岡山県警では、磯川警部に会ったんだろうな~。

54分~57分40秒 洞窟で出会う辰弥と美也子
 夜。辰弥はひとりで土蔵に忍び込んで隠し階段を使い、そこが地下の広大な鍾乳洞につながる入り口になっていることを発見する。
 鍾乳洞をさまよう辰弥は、八つ墓村の濃茶の尼の家に近い出入り口で偶然に美也子と出会い、美也子に対する愛情を告白するが、美也子は「家柄の違いが許さない」と言って拒絶する。
 辰弥と美也子は、濃茶の尼の家の周辺を立ち去る里村慎太郎の姿を見かけるが、鍾乳洞の奥には、その2人を隠れて見つめる麻呂尾寺の英泉の姿もあった。
 ※この1991年版『八つ墓村』最大のアレンジポイントである、「辰弥と美也子の愛」が本格的に語られる重要なシーン。しかし、家の中から成り行きで外に出てしまった辰弥はしょうがないとしても、日中にあれほど雪が積もっている真冬なのに、村の外を歩いている美也子の服装が薄手のスカートにばっくり胸のあいたブラウス姿なのがいくらなんでもおかしい。冬をナメてんのか!?

57分40秒~60分30秒 濃茶の尼の死
 その翌日(辰弥が八つ墓村に来て9日目)。独自捜査から帰ってきた金田一と等々力警部は、自宅で絞殺されている濃茶の尼の死体を発見する(第5の殺人)。金田一は毒殺でなく絞殺であることから、真犯人にとって計算外の事態が発生したために急遽濃茶の尼が殺されたと推理するが、第一容疑者として警察にマークされていた久野医師が前日から失踪していることが判明し、等々力警部は久野医師を真犯人と断定して捜索する。
 ※このシーンでの濃茶の尼の検死は、八つ墓村の疎開医で評判の良い新居修平医師が的確に執り行っている。久野医師、不憫すぎ……

60分30秒~62分45秒 鍾乳洞のミイラ死体
 その夜。前夜に引き続いて鍾乳洞の中を探索する辰弥と美也子は、迷路のように入り組んだ鍾乳洞の一角で、ミイラ化した死体が甲冑を着て祀られているのを発見して驚愕する。その場に多治見家から辰弥を追ってきた春代が現れ、そのミイラが自分たちの父親である多治見要蔵のものであると語り、26年前に村人32人を惨殺して行方不明になった要蔵を小竹小梅姉妹が秘密裏に殺害してここに隠していたと告白する。
 ※ここでも春代が「26年前」と言っているので、やっぱり多治見32人殺しは昭和二(1927)年に発生したってことで、いっか! 丑松さんは勘違いしてたのかな?
 ※ミイラ、ミイラと言っているが、鎧武者姿の死体の顔は面具の中に黒い覆面をかぶったような黒一色の処理がされていて、ミイラらしい表情は全くうかがい知れない。製作する予算なかったんだろうなぁ……

62分45秒~68分 辰弥の部屋にて
 金田一、辰弥に部屋の屏風から鶴子の恋文と一緒に出てきた、鶴子の恋人・亀井陽一の写真を見せる。陽一の顔は辰弥と瓜二つであり、そこから金田一は、辰弥が多治見要蔵ではなく陽一と鶴子との間に生まれた子であると断定する。
 部屋を去った金田一に代わって辰弥の部屋に入ってきた春代、辰弥が美也子に好意を寄せていることを察し、美也子への不信感を吐露する。
 ※この時に見せた亀井陽一の写真の裏には、撮影されたのが大正十三(1924)年の春で、陽一は当時27歳であると記されている。とすれば、亀井陽一は生きていれば56歳ということになる。
 ※またまた重箱の隅をつつくようで申し訳ないが、この写真で亀井陽一は眼鏡をかけている。ということは、現在の陽一も目が悪いはずなので、それこそ原作小説のように眼鏡をかけていた方が物語に整合性はあったかと思われるのだが……まさか、日本では1951年に実用化されたばかりというハードコンタクトレンズを使っていたとでもいうのか(ソフトコンタクトは1961年生まれ)!? 岡山、やっぱりすげぇ!!

68~69分 動き出したミイラ武者
 同じ頃に鍾乳洞に入った小竹小梅姉妹、失踪した久野医師の捜索のあおりを受けて偶然に発見されることを恐れ多治見要蔵のミイラ武者死体を別の場所に移そうとするが、突然動き出したミイラ武者が小竹のみを連れて鍾乳洞の奥へと消えていく。

69~70分 鍾乳洞の2死体
 多治見家の通報を受けた等々力警部らは辰弥と鍾乳洞での捜索を行うが、すでに先回りして鍾乳洞に入っていた金田一は、尼子家の落ち武者が隠したという伝説の小判3千両を探していた里村慎太郎とともに、ミイラ武者の甲冑を着せられた小竹の死体(扼殺)と、毒殺され埋められた久野医師の死体を発見していた(第6、7の殺人)。
 ※本作での里村慎太郎は、まさに視聴者に対する犯人のミスリード要員でしかないといった肩身の狭さで、セリフは少ないわ人相は悪いわ恋人はいないわ……原作小説から見るとだいぶ役割を削られ脇に回ってしまっている。でもまぁ、脇役どころか存在そのものをまるごと消されている妹さん(ほんとのヒロインは私なの!!)よりはマシよね。3千両、見つかるといいですね。
 ※小竹小梅姉妹のうち、原作小説で殺されるのは小梅の方で、ここが事件解明につながる一つのミソとなるのだが、本作では特にそのくだりは無く真犯人の計画通りに小竹が殺されている。

70~70分40秒 暴徒化する村人たち
 翌日(辰弥が八つ墓村に来て10日目)。多治見小竹と久野医師の死が明らかとなった村は大混乱におちいり、たたりの恐怖にかられた村人の一部は暴徒と化して多治見家に殺到し、命の危険を感じた春代は辰弥を地下の鍾乳洞に潜伏させる。

70分40秒~71分10秒 鍾乳洞へと逃げ込む辰弥
 辰弥は単身で鍾乳洞に逃げ込むが、辰弥を心配して会いに来たという美也子と合流して、ともに奥の「龍の顎」を目指して進んでいく。
 暴徒と化した吉蔵らは鍾乳洞にも入ろうとするが銀川警部らに制止され、金田一と等々力警部は鍾乳洞に潜入していく。

71分10秒~73分15秒 龍の顎の2人
 辰弥と美也子は鍾乳洞の最奥部にある「龍の顎」にたどり着き、かつて辰弥の両親(鶴子と陽一)が結ばれた同じ場所で愛しあう。
 ※ここで流れる、井川鶴子による恋文の朗読が非常に哀切で艶っぽい。出番は少ないが、鶴子を演じた女優の小沢幹子さんは本作の MVP!!
 ※いや~、『アルビノーニのアダージョ』は、どこで使ってもいいなぁ。

73分15秒~75分30秒 春代の死
 村の様子を見てくると言って美也子が去った後、辰弥は鍾乳洞に響きわたる叫び声を聞き、駆けつけた辰弥は倒れている瀕死の春代を発見する(ナイフで刺された?)。春代は鍾乳洞で辰弥に食料を運ぶ途上で何者かに襲われて重傷を負ったが、その人物の指を強く噛んで撃退したと語る。
 春代は辰弥に、実は辰弥が多治見家の血を引いていない子であるということを自分も兄・久弥も知っていたが、「呪われた多治見家の血は自分達の代で終わりにしよう」という強い意志があったために辰弥を後継者に選んだという真実と、血のつながっていない辰弥への愛を告白して息絶える(第8の殺人)。

75分30秒~78分50秒 真犯人
 春代の死にうちひしがれる辰弥は、その後ある人物と出会うが、偶然に決定的な証拠を発見して、その人物が一連の事件の真犯人であることを悟る。
 態度を豹変させてナイフを振りかざす真犯人に辰弥は追い駆けられるが、寸前のところで麻呂尾寺の英泉に助けられ、さらにたどり着いた金田一と警察に真犯人が取り押さえられて事態は収束する。英泉は真犯人にナイフで腹部を刺されて負傷するが、辰弥はなぜ自分を犯人だと疑っていた英泉が助けてくれたのか不思議に思う。
 ※鍾乳洞内での真犯人の豹変は、多治見要蔵の32人殺しと並んで、『八つ墓村』の映像化における大きな見どころであるのだが、本作でも1977年の映画版に比べればだいぶ地味ではあるものの、ちょっとだけメイクがキツくなって低音の唸り声をあげながら襲ってくるナチュラル野獣スタイルな真犯人がなかなか怖い。
 ※1977年映画版ではえんえん10分ものあいだ真犯人に追いかけられ続ける辰弥だったが、本作ではわずか1分弱で英泉さんの助太刀が入っておしまいとなる。ショーケンはひとりでよくがんばったなぁ!
 ※この後のシーンでも何度も画面に映る、真犯人が指に負った傷の特殊メイクがかなりリアルで痛々しい。すごく上手!

78分50秒~83分30秒 金田一耕助の解明
 八つ墓村の事件捜査本部内で、警察陣と真犯人、辰弥を集めた上で、金田一が今回の連続殺人事件の犯行の経緯を説明する。
 ※内容時間の関係なのか久野医師がかなりの推理小説マニアだったという言及がカットされているため、久野医師が手慰みに殺人計画書を作成したというくだりが少々突飛に聞こえる。
 ※このシーンで久野医師の毒殺のもようが流れるのだが、久野医師を演じる戸浦さんが、おにぎりを食べた直後に血を吐く一連の流れをワンカットで映す演出上の都合で、口に血のりを含みながらおにぎりをほおばっているため、かじりついたおにぎりが真っ赤に染まっているのがチラリと見えてしまっている。食べる前から血ィ出ちゃってんじゃん! 戸浦さんも関本監督もよくやるわ……

83分30秒~86分40秒 真犯人の告白と最期
 金田一の推理を受けて、真犯人は犯行の動機を語るが、突然容体が悪化して重体に陥る。
 ※ここで真犯人が語る犯行の理由は原作小説には無い本作オリジナルの設定であるが、多治見32人殺しとからめてそれなりに説得力のある動機となっている。ただ、真犯人にそんな経歴があったのならば多治見家がそれを知らないはずがなく、相当に警戒するはずであるのだが……
 ※本作オリジナルの設定が効果的であるだけに、事件の真相に深く関係しているはずの森荘吉が登場しないのが非常に惜しい。病床に伏していると語られているので仕方ないのだが、同じ事情で登場しない麻呂尾寺の長英和尚もあわせて、「あんたらがちょっとでも出てきてしゃべってくれたら、ここまでひどくはならなかったのに!」と悔やまれてならないものがある。
 ※特に関係ないのだが、回想シーンで真犯人の子供時代を演じている子役さんが非常にかわいい。元℃-ute の中島早貴さんみたい!

86分40秒~89分30秒 辰弥と金田一の別れ
 八つ墓村のある日(辰弥が八つ墓村に来て11日目か、それ以降)。東京へ帰る直前の金田一は、辰弥を隣村の麻呂尾寺へ連れて行きながら、英泉の正体と、その日の朝に岡山市内の病院で真犯人が死亡したことを告げる。
 金田一に今後の身の振り方を尋ねられた辰弥は、多治見家の権利を里村慎太郎に譲渡する一方でとりあえずは英泉を看病したいと語り、金田一と別れて麻呂尾寺へと入っていく。

89分30秒~92分30秒 金田一と等々力警部~エンドロール
 東京へ帰る金田一と等々力警部が、途上の橋の上や石蟹駅のホームでしみじみと事件の感想を語る。そして八つ墓村の遠景を映しながらナレーション「それから一年後。この世にも恐ろしい伝説を持つ八つ墓村は、町村合併してその名を永久に消した。」が入り、最後の『アルビノーニのアダージョ』が切々と流れて、おっしま~い!!


 いや~、すみません、今回も長くなった長くなった!! ほんじゃま、そんななわけで具体的なあれこれは、まったじっかい~!!
 やっぱ大好きだな~、このバージョン。
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最近の悪いもんは、どうなっとるのかねぇ~チミ!  ~オール仮面ライダーシリーズ復習、8時間目~

2016年02月04日 22時54分11秒 | 特撮あたり
映画『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』(2015年3月公開 95分 東映)

 東映の『仮面ライダー』シリーズと『スーパー戦隊』シリーズのクロスオーバー作品である『スーパーヒーロー大戦』シリーズ』の第4作。前作『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』に引き続き、仮面ライダーを物語上の主軸にしており、当時の最新ライダーだった仮面ライダードライブが主演。過去の『スーパーヒーロー大戦』シリーズで仮面ライダーと共演していたスーパー戦隊は、ドライブと同時期の『手裏剣戦隊ニンニンジャー』のゲスト出演に留まっている。
 本作のタイトルにもなっている「仮面ライダー3号」は、映像作品としては初登場のライダーであるが、その存在自体はシリーズ第1作『仮面ライダー』(1971~73年)の放送中に新キャラクターとして考案され、1972年10月に雑誌掲載されたコミカライズ版で初めて世に出たものであった。だが、最終的に3号ライダーは次作『仮面ライダーV3』(1973~74年)の主人公・仮面ライダーV3に変更された。本作の3号はコミカライズ版の3号とはデザインも設定も異なる新キャラクターであり、V3とも対決する。
 物語のクライマックスで展開される、仮面ライダーたちによるレース対決「仮面ライダーグランプリ」は、『仮面ライダードライブ』の「車に乗る仮面ライダー」という要素が強調されたもので、その撮影は栃木県茂木町のツインリンクもてぎで行われた。
 春の東映ヒーロー映画の恒例となった、歴代仮面ライダーに変身する人物の出演は、本作では仮面ライダーBLACK/仮面ライダーBLACK RX役の倉田てつを、仮面ライダー555役の半田健人、仮面ライダーギャレン役(『仮面ライダー剣』より)の天野浩成、仮面ライダーゼロノス役(『仮面ライダー電王』より)の中村優一などが顔を揃えた。また、物語の中心人物となる黒井響一郎(仮面ライダー3号)役は、及川光博が担当する。

 全国307スクリーンで公開され、2015年3月21・22日の初日2日間で興行収入1億8千万円、動員14万人を記録し、映画観客動員ランキングで初登場第6位を記録した。


あらすじ
 1973年2月10日、秘密結社ゲルショッカーの大首領は仮面ライダー1号と仮面ライダー2号に追い詰められて浜名湖の基地と共に爆死し、世界には平和が戻ったかのように見えた。だがその直後、ゲルショッカーが最後に生み出した最強の戦士・仮面ライダー3号が現れる。1号と2号は最後の力を振り絞り立ち向かったが、3号の圧倒的な力には敵わず戦死してしまう。その後、ゲルショッカーは総力を挙げて再びショッカーとして復活し、ついに世界征服を達成してしまった。
 時は流れて2015年現在。地球はショッカーによって依然として完全に支配された世界となっており、1号と2号の亡き後に誕生した仮面ライダーたちは「正義」と「悪」の二派に分かれ、正義のライダーたちは残り少ない人類を守るために、悪のライダーたちはショッカーの大幹部ショッカーライダーとして人類と正義のライダーたちを完全抹殺するために戦い合う状況を呈していた。
 ショッカーの支配する世界の中で、仮面ライダードライブこと泊進ノ介はショッカーライダーとなっており、「すべての仮面ライダーは自分が倒す」と息巻いていたが、正義のライダー・仮面ライダーBLACK こと南光太郎の「子供たちの未来を守る」という叫びを聞いたことに加え、それとは対照的に平然と子供を盾に取るショッカーの姿を見て、「間違っているのは自分たちではないか」と疑念を抱くようになる。そして、進ノ介の同僚である詩島霧子が負傷した光太郎を匿ったことによって進ノ介もショッカーへの反逆者とみなされてしまい、一転してショッカーに追われる身となってしまう。
 絶望にうちひしがれる進ノ介の前に黒井響一郎と名乗る男が現れる。「正義に目覚めた者同士、協力してショッカーを倒そう」と提案する響一郎に進ノ介も同意するが、響一郎こそが、この狂った歴史を生み出した元凶である仮面ライダー3号その人であることに、進ノ介はまだ気づいていなかった。


主な登場キャラクター
黒井 響一郎 …… 及川 光博(45歳)
 本作のもうひとりの主人公。ゲルショッカーによる改造手術を受け、ショッカー史上最強の戦士となった青年。
 勝利に対して異常なまでに執着しており、すでに戦闘不能になった仮面ライダーに対しても、完膚なきまで攻撃を加える。また、歴史については「勝てば『正義』、負ければ『悪』」という考えを持っている。
 1973年にて仮面ライダー1号と2号を倒し、ショッカーの世界征服を確実なものにしたが、実は脳改造を受けておらず、彼らを倒したことを後悔しており、自分たちに敵対したギャレンやゼロノスを諭した。最終決戦ではショッカー大首領の電子頭脳に取り込まれ、ライダーロボに変形し歴史改変ビームを放ち多くの仮面ライダーを歴史から抹消する。
 脚本を担当した米村正二によると、黒井は過去に妻子をショッカーに殺害されており、それを仮面ライダー1号と2号のせいだと誤解しているという裏設定がある。

仮面ライダー3号
 黒井響一郎がベルトのタイフーンによって変身する改造人間。変身時には仮面ライダー1号・2号・V3と同様にジャンプする。
 基本的な外見は1号や2号に似ているが、全体的にかつての仮面ライダー旧1号を連想させるダークトーンで複眼はイエロー、コンバーターラング、クラッシャー、グローブやブーツは青緑色、肩から脚にかけて伸びる3本のラインとマフラーはゴールド。クラッシャーは上下に鋭い牙が覗く形状となっている。手首と足首には引きちぎられた鎖がつながったショッカーの手枷・足枷がついている。

ショッカー
 本来の歴史においては、仮面ライダー1号と2号によって1973年の時点で壊滅したが、改変された歴史においては、仮面ライダー3号によって1号と2号が倒されたことを機に勢力を再び拡大させ、世界を手中に収めた。
 正義の仮面ライダーの大半を倒し、ショッカー大首領の電子頭脳(歴史改変マシン)によって洗脳し大幹部ショッカーライダーにしている。街中ではショッカーの監視隊員が市民の言動に目を光らせており、ショッカーの支配に反発する者、仮面ライダーを「正義」の象徴と唱える者などに対しては、たとえ子供であっても容赦の無い処分で応じ、反対勢力を倒すためなら子供に刃を向けることも辞さない。

追田 現八郎 / チーターカタツムリ …… 井俣 太良(39歳)
 本作オリジナルのショッカーの新改造人間。カタツムリの粘液で敵の動きを封じ込め、チーターの速度で電光石火の攻撃を仕掛ける。本来の歴史ではうっかりした一面を持ちつつも正義感に溢れる刑事だったが、改変後のショッカーの世界ではその面影が全く見られない冷酷非情なショッカーの手先となっている。

ショッカー大首領 …… 関 智一(42歳 声の出演)
 シリーズ第1作『仮面ライダー』最終話と同様にゲルショッカーと共に滅びるが、仮面ライダー3号が生まれたことで歴史が狂い、ショッカーは復活して2015年の時代にも健在である。後に大首領自身も、電子頭脳を利用することで生き延びていることが明らかになる。
 映画本編のクライマックスでライダーロボの破壊と共に消滅したかと思われていたが、映画の続編である dビデオスペシャル『仮面ライダー4号』で実は倒されていなかったことが判明する。再起動した歴史改変マシンから現れたその姿は、『仮面ライダー555』の乾巧と瓜二つであった。

ライダーロボ
 最終決戦でショッカー大首領により、電子頭脳が仮面ライダー3号を吸収して変形した巨大ロボ。歴史改変マシンの力で発射する歴史改変ビームで相手を歴史から消し去る。

ブラック将軍 / ヒルカメレオン …… 高田 延彦(52歳)
 ショッカー最高幹部として登場する。本作でも用意周到な面は健在で、立花藤兵衛に化けて正義の仮面ライダーたちに罠を張る。

立花 藤兵衛 …… 井手 らっきょ(55歳)
 本作では TVシリーズ版のキャラクター設定はなく、石ノ森章太郎によるコミカライズ版と同じく本郷家の執事として登場する。本郷邸に立ち寄った桜井侑斗に地下室を見せるが、そこにあったのはショッカー大首領の意識が宿った電子頭脳であり、立花もショッカー最高幹部ブラック将軍が化けた姿に過ぎなかった。なお、コミカライズ版では本郷邸の地下には本郷猛の電子頭脳が設置されていた。

ショッカーグランプリの出場者(ナオキ、ミツル、シゲル)
 ショッカーグランプリのレースに優勝した3人の少年。
 なお、少年たちの名前はシリーズ第1作『仮面ライダー』や映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』(2011年)に登場した少年ライダー隊の少年たちと同名である。

ショッカーライダー
 ショッカーに負けた正義の仮面ライダーたちが洗脳されてショッカー大幹部となっている姿。
 2015年の時点ではほぼ全てのライダーが洗脳されており、洗脳されていないのは仮面ライダーBLACK、ファイズ、ゼロノス、マッハのみとなっている。
 BLACKなどの正義の仮面ライダーの説得で洗脳が解ける者も存在し、ドライブといった一部のライダーは自力で洗脳を解いた。

桜井 侑斗 / 仮面ライダーゼロノス …… 中村 優一(27歳)
 黒井響一郎(仮面ライダー3号)の行動に疑念を抱き監視する。

乾 巧 / 仮面ライダーファイズ   …… 半田 健人(30歳)
 ショッカーの支配する世界で、ショッカーライダーとして正義の仮面ライダーたちに襲いかかる。
 しかし実際にはショッカーに洗脳されておらず、守るべき対象の存在しない戦いに疑問を感じており、独自の考えを貫いていた。

橘 朔也 / 仮面ライダーギャレン  …… 天野 浩成(36歳)
 ショッカーライダーである仮面ライダーレンゲルの配下だったが、レンゲルの「アンデッド開発」に異論を持って仮面ライダーブレイドと共に妨害を図ったため、ショッカーに対する反逆者の烙印を押される。しかし実はこれらはショッカー大幹部になるためにゼロノスたちを欺く演技だった。

仮面ライダーレンゲル …… 北条 隆博(28歳)
 ショッカー大幹部となっており、仮面ライダーブレイド、カリス、ギャレンを配下として従わせている。変身後の姿のみでの登場だが、声は変身前の上城睦月のままとなっている。ショッカー開発部門の指揮者として不死生物「アンデッド」の開発を研究している。

仮面ライダーブレイド …… 椿 隆之(32歳)
 変身後の姿のみでの登場だが、声は変身前の剣崎一真のままで、橘からも「剣崎」と呼ばれている。仮面ライダーレンゲルの配下だったがギャレンと共に妨害を図ったため、ショッカーに囚われの身となっている。しかしこれらは正義のライダーたちをおびき出す演技だった。

仮面ライダーカリス …… 森本 亮治(32歳)
 変身後の姿のみでの登場だが、声は変身前の相川始のままで、仮面ライダーレンゲルの配下としてショッカーの敵になる者を薙ぎ払う。

仮面ライダー1号 …… 稲田 徹(42歳 声の出演)
 常に仮面ライダー2号とともに行動する。1973年2月10日にゲルショッカーを壊滅させるが、その直後に現れた仮面ライダー3号に倒されたことで2015年はショッカーに支配された世界になってしまう。しかし、倒された際に密かにショッカーの電子頭脳に自分たちの意識を移植しており、電子頭脳が変形したライダーロボを利用して新たな肉体を得て復活し、ショッカーライダーの洗脳を無効化した。

南 光太郎 / 仮面ライダーBLACK …… 倉田 てつを(46歳)
 子供たちの夢を守るために、ショッカーに対して反旗を翻し仮面ライダーBLACK として戦っていた。この行動が歴史改変を受けショッカー大幹部となっていた泊進ノ介(仮面ライダードライブ)がショッカーに反逆するきっかけとなった。

その他のキャスティング
泊 進ノ介 / 仮面ライダードライブ …… 竹内 涼真(21歳)
詩島 剛 / 仮面ライダーマッハ   …… 稲葉 友(22歳)
詩島 霧子             …… 内田 理央(23歳)
仮面ライダー2号          …… 河本 邦弘(39歳 声の出演)
ライダーマン            …… 石川 英郎(45歳 声の出演)

主なスタッフ
監督      …… 柴崎 貴行(36歳)
特撮監督    …… 佛田 洋(53歳)
アクション監督 …… 宮崎 剛(51歳)
脚本      …… 米村 正二(51歳)
音楽      …… 鳴瀬 シュウヘイ、中川 幸太郎(46歳)
クリーチャーデザイン …… 竹谷 隆之(51歳)

主題歌
『Who's That Guy』(歌・及川光博)


dビデオスペシャル『仮面ライダー4号』(2015年3~4月配信 全3話計78分)
 NTTドコモの動画配信サービス「dビデオ」で配信されたスピンオフ作品で、映画の後日談にあたる。映画の入場者プレゼントとして先着100万名に本作品第1話の DVDが配布された。
 本作オリジナルの仮面ライダーとして、作品タイトルにもなっている仮面ライダー4号が登場するが、本格的に登場するのは第2話からである。

あらすじ
 世界征服を企むショッカーによる仮面ライダー3号にまつわる事件は解決し、世界は平和な日常を取り戻したはずだった。
 4月4日、特状課で居眠りをしていた泊進ノ介は詩島霧子からの電話で叩き起こされる。霧子とその弟である剛と共に映画を見る約束を忘れていた進ノ介は、腑に落ちない様子でドライブピットに向かうが、そこへ乾巧(仮面ライダーファイズ)と桜井侑斗(仮面ライダーゼロノス)が現れ、進ノ介に「街でショッカーが暴れている」と告げる。しかし、進ノ介はショッカーという名前にも、そもそもこの2人にも見覚えがない。釈然としないまま街へ駆けつけた進ノ介の目の前には、まさしく人々を襲う改造人間たちの姿があった。仮面ライダーに変身してショッカーと戦う巧と侑斗の姿を目にした進ノ介は妙な頭痛を感じると同時に、彼らが共にショッカーと戦った仲間であることを思い出し、すぐさま仮面ライダードライブに変身する。進ノ介と合流した剛(仮面ライダーマッハ)を加えた4人の活躍でショッカーの改造人間チーターカタツムリは倒されるが、チーターカタツムリの自爆の道連れで剛が命を落としてしまう。悲しみに暮れる進ノ介と霧子たち。すると世界を謎の緑の光が包む。
 そして、再び霧子の電話によって、特状課でどこか既視感を覚えつつ目覚める進ノ介。目にした時計には、4月4日の表示が。そして再び現れ増えるショッカー、剛の死、巻き戻る時間。ショッカーの陰謀はまだ終わっていなかったのだ。
 はたしてショッカーが進める「4号計画」とは一体何なのか。進ノ介たちはこの世界の謎を解き明かし、ショッカーの企みを再び阻止することができるのだろうか。


主な登場キャラクター
仮面ライダー4号 …… 松岡 充(43歳)
 ショッカーが仮面ライダー3号に続いて新たに創造した4人目の仮面ライダー。空軍のパイロットを思わせるボディの他、顔やタイフーンの形状は1~3号に近いが、クラッシャーはバッタではなく、本来の仮面ライダー4号であるライダーマンのように人間の口を模した形状となっている。
 他の仮面ライダーたちのような特殊な能力こそないものの格段の防御力と攻撃力を持ち、ドライブ・ファイズ・ゼロノスの仮面ライダー3人を同時に相手にしても圧倒する実力を持つ。また、専用マシンのスカイサイクロンから飛び降りる際には、ムササビのように飛行服を広げて滑空することができる。

アリマンモス …… 関 智一(声の出演)
 本作オリジナルのショッカー改造人間。
 アリの俊敏さとマンモスのパワーを併せ持つと自負するが、野太い声と高い声の別々でしゃべるという、どこかコミカルな面も持ち合わせる。パワーを活かした突進攻撃と分身能力を用いる。

ショッカーライダー
 歴史改変マシンの繰り返しによって、ショッカーの配下となった仮面ライダーたち(王蛇、サソード、ダークキバ、バロンの4人)。
 いずれも「変身者が死亡もしくは怪人」、「時間に関係している」、「ショッカー怪人とモチーフが同じ」、「怪人を部下にしている」、「王という地位やキーワードに関わっている」などの共通点がある。

海堂 直也 / スネークオルフェノク …… 唐橋 充(37歳)
 ショッカーの陰謀に翻弄される乾巧たちの前に現れ、ショッカーとの戦いから身を引くことを要求し、巧たちに拒まれつつも警告を重ねる。

主なキャスティング
泊 進ノ介 / 仮面ライダードライブ …… 竹内 涼真
乾 巧 / 仮面ライダーファイズ   …… 半田 健人
桜井 侑斗 / 仮面ライダーゼロノス …… 中村 優一
詩島 剛 / 仮面ライダーマッハ   …… 稲葉 友
詩島 霧子             …… 内田 理央

主なスタッフ
監督      …… 山口 恭平(34歳)
脚本      …… 毛利 亘宏(39歳)
特撮監督    …… 佛田 洋
アクション監督 …… 宮崎 剛
クリーチャーデザイン …… 竹谷 隆之




《言わずと知れた本文マダヨ》
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