長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

いさぎよくじめじめしたオープニング 『仮面ライダーBLACK』

2010年09月30日 15時41分10秒 | 特撮あたり
 どーっしゃっぶぅりぃーいんの、あんめぇのぉなっかーあぁあ、わったっしっはっなぁーいぃたぁーああーん!
 どうもこんにちは、そうだいです。今日も大雨。もういやんなっちゃう! そりゃあなた、アッコさんの名曲も唄いたくなりますよ。
 じめじめしてますねぇ、暗いですねぇ、ユーウツですねぇ! でも、これも日本のひとつの風景なんです。秋の長雨がなければ、そのあとのあざやかな紅葉もないし、身を切るように澄んだ空気の冬も、その次に来る春も夏も楽しめなくなっちゃうのですよ。雨の日々もあじわって過ごさないといけませんな。外出するたんびに服が濡れるのはヤだけど。
 雨といえば、最近よくyoutubeで、子どもの頃にやっていた特撮ドラマやアニメのオープニング映像を観るのですが、雨がかなりうまく作品のイメージとつながっているオープニングがありました。当時は普通に「なーんか辛気くさい始まりかただな。」と思ってあんまりよくは見ていなかったんですが、今観てみると味わいぶかいんだよなぁ!
 それが、私が小学生だった時にやっていた『仮面ライダーBLACK』(1987~88年)のオープニングです。
1981年に放送が終了した『仮面ライダースーパー1』以来、久々の仮面ライダーシリーズ。正確に言うと1984年に1回だけTVスペシャルで放送された『仮面ライダーZX』が間にあるのですが、連続ドラマとしては実に6年ぶりの新作です。気合い入ってたなぁ!
 『仮面ライダーBLACK』のコンセプトはまさに「原点回帰」! おふざけなしで怖い悪の組織と、異形の身体のために人々に恐れられながらも孤独に戦う仮面ライダー。第1作の『仮面ライダー』の後半から、仮面ライダーは他の同じ境遇に生まれたライダーたちとともに戦っていくという形となり、シリーズが続くたびに仲間が増えていく一方だったのですが、『BLACK』で登場するライダーは、主人公のBLACKと、双子の兄である悪のライダー・世紀王シャドームーンの2人だけ。シャドームーンは悪の組織ゴルゴム最強の大幹部であるため、BLACKは1人で闘います。歴代ライダーも助けに来てはくれない! 次のシリーズの『仮面ライダーBLACK RX』ではみんな来てくれたのに。物語の終盤は全身真っ黒のBLACKと全身シルバーのシャドームーンとの1対1の決闘。シブすぎ!
 前に言ったかもしれないんですが、当時ガキンチョだった私は、『BLACK』のシンプルさと真剣さに完全にビビってしまっていました。あと、同時期に『週刊少年サンデー』で連載されていた石ノ森章太郎ご本人による原作『仮面ライダーBlack』も怖かったんだよなぁ!
 石ノ森先生の『仮面ライダーBlack』は、今になって読んでみるととんでもない名作です。まさにブラック! 実写版以上に怖い悪の組織と変身後のライダー。原作版のライダーを見て「あっ、正義の味方だ!」と思う人はいないと思います。よく見ると血管がういてるし! さすがは石ノ森先生。タイトルの『Black』が、実写版の『BLACK』じゃなくて小文字になっているのもよくわかります。全然違う物語なのね。でも、子どもの頃はまったく意味がわかんなくて怖いだけだったなぁ! 最終回も救いがなかったし。
 話をドラマのほうに戻して、『仮面ライダーBLACK』のオープニングはカッコいいです。ドラマのコンセプトをまさに地でいくシンプルな構成。ひたすら! ひたっすら、バイクをカッ飛ばすBLACKしか映し出されない。この黒いバッタみたいな人が誰で、なんのためにやっぱりバッタみたいなバイクに乗ってどっかに急行しているのか、一切説明されません。しかし、何かの強い意志を持っている「ライダー」であることはビシビシ伝わってくるのです。「仮面ライダーはそれだけで充分じゃないか。それ以外に何がいるんだ!」という制作者の想いが伝わってきて、今観ると感動してしまいます。
 そして、このシンプルなBLACKのスタイルに、映像の中の曇り空と濡れたアスファルトがあうあう! じめじめした空気が似合うヒーローなんだよなぁ、BLACKは。
 『仮面ライダーBLACK』のタイトルのあと。無音の中、港にある暗い倉庫の中を足音だけ響かせて静かに進むBLACK。そこにあった専用のメカ生命体バイク・バトルホッパー(最高時速500キロ)にまたがると同時に主題歌のカックイイ前奏が始まり、バトルホッパーのバッタのような複眼が赤く光り出す!
「時をっ、超ーえーろ 空をっ、駆ーけーろ このほっしー(星)のたっめぇー!」
 ヴォーカルをつとめる主演の倉田てつをさんの、なんともいえない味わいのあるサビシャウトとともに、倉庫の窓ガラスを盛大にバトルホッパーで割って外に飛び出すBLACK。なぜちゃんと入ってきた入り口から出ていかないのかって、そっちのほうがかっこいいから! 新しい仮面ライダーのはじまりを告げる、非っ常にかっこいい主題歌です。それもそのはず、作詞・阿木燿子で作曲・宇崎竜童!

「君は見たか 愛が 真っ赤に燃えるのを
 暗い闇の底で 危険な罠が待つ
 信じる奴がジャスティス 真実の王者
 夢を見続けることが 俺のファンタジー」

 映像の中で、人気のない埠頭をひた走るバトルホッパー同様に、阿木さんの歌詞もブッ飛ばしています。ジャスティス! 曇り空の中を緑のバイクで疾走する真っ黒な人。まぁ、普通のヒーローじゃないね! そりゃ道ばたの鳥もびっくりして飛び立ちます。このあと、

「生きることが好きさ 蒼く浮かぶコスモ」

 の部分で曲がメロディアスに転調して、その時だけ疾走中のBLACKがバイクから身を起こしてしみじみと海のほうに目をやっているように見えるのが、芸が細かくてニクいねぇ! そして曲調はふたたび激しいリズムに戻り、

「時を超えろ 空を駆けろ この星のため
 熱く燃やせ 涙流せ 明日という日に
 仮面ライダーBLACK 仮面ライダーBLACK」

 といくわけで、まぁかっこいいです。ロケ時のお天気事情のせいか、もともと最初っから曇り空だったんですが、バトルホッパーが大きくジャンプして地面に着地すると、BLACKにあわせたかのようにアスファルトも雨で濡れて真っ黒になっています。滞空中に雨が降り出してきたわけね。ものすごい滞空時間!
 最後の「仮面ライダーBLACK」の連呼のタイミングでトンネルに入り、画面がバトルホッパーの赤い2つの眼以外真っ黒になったところでオープニングは終わります。徹頭徹尾、『BLACK』の理念をストレートに伝えている素晴らしい構成です。
 いやぁ、雨が似合うでしょう? 日本ならではのじめじめヒーローですよ。でもちゃんとかっこいい! 『ダークナイト』のバットマンよりも孤独感が伝わってくる、それでいてちゃんとかっこいいヒーローなんです。
 今日みたいな雨の日にも、独りどこかの港町で疾走してるんじゃないかなぁ、仮面ライダーBLACK! そう考えると、この窓の外の風景もちょっとだけ好きになれるような気がしてくる、今日この頃です。

 余談ですが、主題歌の2番もぶっ飛ばしてるんだぜ!
「黒く光るボディ ハートに血が通う
 風が運ぶ歌に 気持ちがふと揺れる
 支配したがるマジシャン 妖しげなエスパー
 闘う時はソルジャー 俺の誇りさ
 この地球(ほし)が好きさ 心許した友
 永遠(とわ)に守れ 若さはじけ この愛のため
 現在(いま)を燃やせ 強く生きろ 今日という日を
 仮面ライダーBLACK 仮面ライダーBLACK」
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雨の日はエロの思い出を 『月刊COMIC Zip』以後

2010年09月29日 05時04分08秒 | マンガとか
 高校時代の下校時の黄金郷エル・ドラドオ発見のことを話す前に、昨日語り忘れたことをちょっとだけ。
 なーんかエロいものはないかと悶々とした日々を送っていた私なんですが(「悶々」の「悶」って字、大好き!)、そういえば、たまに衛星放送の深夜映画枠でエロいやつを放送していたのは、見逃せない大きな獲物でしたね。深夜1時とか2時とかにスタートというハンパないド深夜だったので、『EXテレビ』とか『トゥナイト』をやっている11時台には起きている可能性のあった家族もさすがに眠りについている時間です。「映画だし。エロいの観たいからとかじゃないし!」という自分の罪悪感への言い訳もききました。
 その時期に観たエロい映画の中でも特に、のちのちの自分の趣向や性向に甚大な影響を与えたと私が確信しているものに、『処女の生き血』(あのアンディ=ウォーホルがプロデュースしたホラー映画)と『ベティ・ブルー』(ジャンジャック=ベネックス監督)があります。
 まぁ、中学生の男子には刺激が強すぎるね! どちらも大好きで、いつかちゃんと語る機会をつくると思うので今は詳しくは触れませんが、『処女の生き血』のおかげでホラー映画、特に吸血鬼が好きになり、『ベティ・ブルー』のおかげでエキセントリックでキツめの女性とパーツとしての「くちびる」が好きになってしまいました。ベアトリス=ダール万歳! ただし同時に、「イタリア人といいフランス人といい……ヨーロッパの性事情はいったいどうなってるんだ。そんなに遊んでばっかりで、国家として成立してんのか!?」という余計な心配もいだいてしまいました。あこがれたねぇ~。
 とにかくこういった、不定期に入手できるクジラ漁みたいな大収穫もあったわけなんですが(それだけで1ヶ月は生きのびられる)、安定して確保できる定期的な食糧(おかず)のニーズも高まっていたおりに高校進学。市街地を1人で気がねなく移動できる時間ができたもんなんだから、さぁ大変です。


長老「皆の衆! 今までのように、その時に見つけた動物を狩って食うだけでは急な飢饉に対応できん。そこで、ここから自転車で45分かけていく道の途上にあるどこかから、定期的に手に入れられるというイネのモミを取って来るんじゃ。さすれば、この村はいつでも食糧が手に入る、飢えのない黄金の大地となるであろう。」

子ども「お兄ちゃん、がんばれー。」

長老「そうじゃ、この村の命運は勇者たるおぬしのセレクト眼にかかっておる。立派なイネを取って来るんじゃぞい。」

子ども「あっ、オババが、予言のオババがなにかを言いたがってる。こんなこと何年ぶりかなぁ!」

長老「なんと! これはおそらく吉兆じゃ。勇者、オババの言葉を聞いてゆけ。」

オババ「……大沼デパートの近くにある、舟山書店へゆけ。あそこは一般の本もあつかっているわりにそういう感じの本も豊富であるゆえ、しきいも低くカモフラージュも容易であろう……」


 ありがとう、オババ! そんな感謝の心を胸に、確か高校1年生の冬だったと思うんですが、私はついに生まれて初めて、自らの強い意志で書店からエロい本を購入してきたのです。いやぁ、その時の帰り道ほど、安全運転を心がけた時はありませんでした。このモミをしっかりと村に持って帰らねば……!
 そして、その時に私が選択した食糧(おかず)、それこそが、エロマンガ雑誌の『月刊COMIC Zip』(発行・フランス書院 1995~2003年)だったのです!
 これはねぇ……のちのちの私の人生に多大な影響を与えてくれました。やっぱ最初は肝心だわ。
 マンガじゃなくて写真誌を買うという手もあるし、官能小説という道もある。マンガ雑誌の中でも別の雑誌を買う可能性だってあったんですが、私はロクに立ち読みもせずに、最初に目に入った『Zip』をひっつかんでレジに持っていってしまいました。確か当時は包装も立ち読み防止テープもされていなかったはずなのですが、立ち読みする余裕がなかったのです。こんなところを万が一でもクラスメイトに見られたらおしまいだ……一刻も早くこの場を立ち去らねば!という一心です。人間の方向性なんてものは、こういう偶然的な出会いによって決められていくんですね。
 その夜、勉強と称してこもった部屋の中でついにひもとかれた禁断の果実! そのお味は……
 まぁ、エル・ドラドオでしたね。ガンダーラでしたね。桃源郷でしたね。桃、ももォ~! リリーのもものかんづめェ~!
 青春でした。こんな本を持ってしまい、今に自分は性欲で頭がおかしくなるに違いない。開けてはならないパンドーラの箱を開けてしまった! そんなことを本気で思って悩んでいたんですよ。大げさだねぇ。350円ぐらいの本がパンドーラの箱だからね。それこそが青春というものか。
 この『COMIC Zip』は、他のエロマンガ雑誌と比べてかなり前衛的な執筆陣と内容だったような記憶があります。日常ものもありましたが、どっちかというとファンタジーものが多かったような気が。
 いかにもかわいいアニメ絵といった感じの蘭宮涼(らみや りょう)の表紙イラストにだまされるなかれ。内容はかなりハードなものもチラホラ混ざっています。主人公の美少女がアレからアレまでかんなりヒドい目に遭わされる綾野麗作品。エルフとかが登場するファンタジックな世界なのに、今じゃ出版できなさそうな相当にハードな内容が展開する影虎作品。いやらしさよりも精巧な描線の美しさに感心してしまう果愁麻沙美作品。男女を問わず登場人物全員にそそがれる作者の愛が伝わってくる画風のあるまじろう(現・安藤慈朗)作品。いかにも女性っぽい柔らかいタッチの世界で性別不明の美少年・美少女たちが文字通り入り乱れる悪瑞派武羅雨(あずは むらさめ 読めるかァ!!)作品、などなど……
 普通のマンガ界同様、浮き沈みの激しいエロマンガ界です。あれからおよそ15年。もはや生死すらもつかめない方のほうが多いのですが、私は絶対に忘れません。
 特にアナタ! 上連雀三平(別名・小野敏洋)先生!
 あんたの連載作『***ジャスティス』は確かに大傑作だったよ(こんなブログ『長岡京エイリアン』でも守りたい一線はあるので、タイトルのうちの最初の3文字は自主規制させていただきます。記号の形を見てご想像ください。)。「愛の名のもとでは人間みな平等」という素晴らしいテーマを描ききった至高の作品ではありましたよ。でも、平等だからといって、普通の男女から男男、女女、女装した男と女、はては母子、姉弟、フタ男、フタ女、フタフタまでフル総当たり戦させるのはいかがなものか!? おかげで私も危脳丸の気質を得てしまったような……いや、そんなことはないよ! たぶん……
 ともあれ、あの時の私が必死で持ち帰ったモミ『COMIC Zip』は、村にある田んぼ一面に、極彩色のグミキャンディを咲かせてくれたのでした。あぁ、感謝感謝。

 余談ですが、私のエロマンガ雑誌とのつき合いは、大学進学で独り暮らしを始めた時期にぱったりと終わってしまいました。どうやら、「買ったあとに自転車で急いで家に持ち帰って、家族に見つからないようにしてこっそり見る」も含めての楽しみだったみたい。スリルがなくなっちゃったんですね。
 いや~、人間って、ほんっとに、不思議なもんですねぇ。それじゃまた、次回にお会いしましょう!(便利なしめかた)


 
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雨の日はエロの思い出を 『月刊COMIC Zip』以前

2010年09月28日 09時07分15秒 | マンガとか
 おはようございます、そうだいです。いや~……今朝も私の町は雨。どんよりとしたデイブレイクから始まってしまいました。ちょっと前の殺人的な暑さもイヤだイヤだと言ってはいたのですが、肌寒い雨の日々もイヤですねぇ。ちょうどいい感じの秋はいつ来るんでしょうか?
 同じような雨の毎日が続いてしまうと、なんとなく時間の感覚も狂ってきてしまいますね。あれ、今日は何日? 何曜日? 何月? みたいな「?」がちょいちょい頭の中に浮かんできてしまいます。そんなささいなこともそうなんですが、最近私はどうやら、何かを思い出そうとしている時間が増えてきているような気がします。過去に想いをはせる時間が増えた? うっしろむき~!
 原因はいたって簡単。「TVがなくなったから」!
 いや、ホントにそうなんですよ。私が思うに、現代の文明の中に普及しているいくたの「時間の経過を早く感じさせる」装置の中でも、TVはかなり上位にあるモノなんじゃないでしょうか? それがなくなっちゃったんだからもう大変! 私の部屋の「ワタシ体感時間」は6時間は延びてしまったのです。つまりひま!
 かといって、かわりに時間をつぶす装置になってくれそうなもの(ゲーム)もないし、ネットもすぐに目が疲れちゃう。眠っちゃうのもなんかむなしいから、ボーっとしちゃおう!ってな寸法なのです。だから最近はもう、外出が楽しくて楽しくて!
 余談ですが、今回のTV消失にともなう環境の変化でビックリしたというか、今さらながら発見したのが、ラジオの不思議な「時間の濃密さ」でしたね。ただ私が慣れていないからだけなのかも知れませんが、ラジオを聴いてるとなぜか時間の流れが遅く感じるんですよ! あれ、まだ30分たってないの?みたいな。たぶん、聞こえることをいちいち理解しようとして頭を回転させちゃうから、時間つぶしになってないんでしょうね。TVみたいな「ながら作業」もまだおぼつかないです。まぁとにかく、TV番組はどうでもいいから、DVDが観られる環境に早く戻したいなぁ! お恥ずかしながら、私のパソコンは非っ常にシニアなものなので(機嫌を悪くするといけないので「古い」という表現はしません。言ってるけど)、DVDを読んでくれないのです……

 そんなこんななんで、今回は私の過去の記憶をつづってみたいと思います。個人ブログだねぇ!
 テーマは「エロ」。
 エロ……深いですね。なんてったって、「エロス」とは「生きること」ですからね! そんなもん、考えてわかるもんじゃねぇ! 私の思春期からの10~20年間は、「私にとってのエロとは何か」をまさに体当たりで模索してゆく旅そのものでした。迷い道、戻り道。時には偉大なる先人の記録を地図として、時には同じ道をゆく者たちがいることに励まされながら続けるエンドレスジャーニー。目指すは、世界の果てにあるという愛の国ガンダーラ。ゴダイゴ最高。
 おっさんみたいなことを言うのですが、最近って、子どもでも、ほんの右クリックちょちょいのちょいで「ガンダーラ」の映像が手に入る時代でございましょ? それって、どうなのかなぁ! 「ガンダーラはこんなもんです」っていう映像資料なんか家の中で観ちゃったら、旅に出る気もうせちゃうんじゃないの? 旅の途上で苦労しながら情報の断片を手に入れて、そこから妄想力をきたえていくということは、そのまんま人生の楽しみ方をきたえていくことでもあると思うんですけど。
 私のエロ歴史を思い出すと、小学校高学年~中学生時代はまさに暗黒時代でした。家族の手前、好き放題にエロいTV番組を観るわけにもいかず(深夜の『EXテレビ』はたま~に観てました)、ちょいエロが混ざっている少年マンガ雑誌を毎週買うという習慣もなかったので、基本的に飢えているという江戸時代の水呑み百姓状態だったのです。顔見知りの多い田舎のことですから、手っ取り早く町はずれにある有害図書の自販機を使うわけにもいかない。豪雨の中、自転車で30分かけて知り合いのいる可能性の低い隣町の本屋さんまで行ってエロい本を探し、レジに持っていってお金を払うどたんばになって「やっぱいいです……」とキャンセルしたという苦い思い出もあります。投稿写真ばっかりのやつだったので「今の自分には刺激が強すぎる」と判断したんでしょうね。その日の夜は後悔で寝られませんでした。
 そんな私にとっての転機となったのが、自転車で片道45分かけて通学する高校に入学したことでした。今までのように、知り合いだらけの町の中だけで済んでいた生活サイクルが一変し、人目を気にせず毎日往復90分、市街地で好き放題できる時間ができる……私の中で、何かが歓喜のおたけびをあげていました。

 しょうもなくつづく
 
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はげしすぎる悪の美学 『帝都大戦』 本章

2010年09月27日 05時54分57秒 | ホラー映画関係
 『帝都大戦』の前にまず語らせていただきたいのは、その前作のことです。1988年に10億円もの巨費を投じて映画化されたされたSF伝奇巨編『帝都物語』。
 まぁ豪華絢爛でございます。光学合成、ミニチュア、クレイアニメ、ロボット操作、操演、爆破……CG以外の特撮技術はこの1本でぜんぶ観られます! まさに80年代日本特撮界の集大成的作品。
 しかもキャスティングがさらに豪華! 勝新太郎、平幹二朗、原田美枝子、坂東玉三郎、高橋幸治、桂三枝。オールスターもオールスター。TBSのオールスター感謝祭10回分よりも豪華です。赤坂2丁目マラソンなんてやってる場合じゃないよ! 原作が現実の明治・大正時代を舞台にした大河小説であることもあって、幸田露伴や渋沢栄一、泉鏡花などの綺羅星のごとき実在の著名人がゾロゾロ登場するのですが、それらをいちいち大スターがやっちゃってんだからものすごい。余談ですが、その中で肝心かなめの正義の主人公役をやっているのはなんと!若きころの石田純一さん。別に不満はないけどさ……最終的に魔人加藤を倒すのは、石田さんじゃなくて巫女さんスタイルの原田美枝子さんです。だよねぇ~!!
 そうそう、その魔人・加藤保憲! この悪役キャラクターのインパクトが、それらのカネのかかった背景、映像、そして共演者たちを向こうにまわして充分に勝ってるんですよ。監督や脚本の計算や助けもあってのことなんですが、とんでもないことですよ、これ!
 とにかく外見が鮮烈なんです。あえて真っ黒に染められた帝国陸軍の将校の制服とマント、つねに手にはめている「ドーマンセーマン」の呪文記号・五芒星の染め抜かれた白手袋、そして!決め手となるのはやっぱり、見た人のほとんどが忘れられなくなる、ガチッと張り出たアゴの上に、冷徹さと狂気の両方をそなえた2つの眼が輝く異形の顔ですよ! この男・加藤こそが、帝都東京の壊滅を画策し、その大魔力によってあの関東大震災を引き起こした張本人なのであ~るゥッツ!! オラぁビックラこいたよ、ほんと……
 加藤保憲役を演じられた嶋田久作さんは、プログラマーやバンドマンをへて劇団の俳優をやっていた時に、当時ベストセラーになっていた『帝都物語』をもとにした公演に出演したことがきっかけで映画監督・実相寺昭雄の眼に留まり、映画初出演のこの作品からいきなりほぼ主演格の超抜擢とあいなったのだそうです。実相寺監督はのちに、嶋田さんをあの名探偵・明智小五郎役にすえて江戸川乱歩の作品を2度映画化しています。これもおもしろいですね! っていうかそっちは、中身は大乱歩のものじゃなくてモロに実相寺監督の作品になってるし、明智小五郎じゃなくて嶋田久作が活躍してる映画なんですけど。とにかく濃い~人たちです。
 実相寺監督の『帝都物語』の話もしたくてたまんないのですが、私は実相寺昭雄がほんっっとうに好きなので、あえてここでは深く入り込まないことにします。ただ、公開された当時の結果だけを言っておくと、1988年に公開された邦画での興行成績順位は第8位だったそうです。10億かけて8位。ということは要するに……まぁいいや。とにかく私が言いたいのは、『帝都物語』だ~いすき!!
 前作のことはここまでにしといて、私が語りたいのは、その次に制作された第2作『帝都大戦』のことなんすよ。
 30代なかばの男が、突然映画のスターダムに躍り出た! しかも未だかつてない強烈なインパクトを持った「悪役」として!
 謎の超新星・嶋田久作フィーバーも冷めやらぬ翌1989年、今度は『帝都物語』で倒されたはずの加藤保憲が太平洋戦争末期の東京に復活するという筋の続編『帝都大戦』が公開されました。
 正直なところ、この作品についてとやかく言葉をろうするのはむなしいような気がするんです……とにかくは、ちょっと観ていただきたい。私が言いたいのはただひとつ。
「確実に、観た人全員が後悔する映画」!!
 いや、けなしてるわけじゃないんすよ。観ちゃいけないと言いたいのでも決してありません。つまりね、この映画は「確実に」、「限りなく100%に近い確率で」、観た人をイヤな気分にさせる映画なんです。これ、すごくないですか!? まさに悪夢、目が覚めてもしばらくの間は「……」とうつむいてしまうような体験をさせてくれる。これを観たあと、映画館からスカッとした表情の人が出てくる想像がつきません。
 要するに、「魔人加藤がどんなに怖い人なのか」をわかりやすく説明してみせようとした映像集なんですね、これ。
 話の筋なんかわかんなくても本当にいいです。とにかく、前作『帝都物語』で加藤の帝都破壊計画をくじいた原田美枝子さんの娘という設定の南果歩さんを、戦争で死んでいった人々の怨念を吸い取ってカムバックした加藤がひたすらイビり倒すというだけの作品。それだけ! 気持ちいいまでにそれだけな内容を、いい年した大人であるはずのプロの方々が1時間半分つくっちゃった。
 とにかく、怖さと不快感についてはハンパありません。

 夢の中で、少女時代の果歩さんの髪の毛をつかんで引っ張りまわす加藤。
 B29の突然の空襲に逃げまどう帝都市民を、なぜか電柱のてっぺんにつっ立って眺めている加藤。ほれぼれするバランス感覚。
 果歩さんの養っている戦災孤児の少女を、果歩さんの夢の中で××××にして、その身体を××××ってニヤニヤする加藤。
 夢の中で、果歩さんの慕っているイケメン超能力者の××を突き破ってヌッと顔を出す加藤。
 最後のイケメン超能力者とのサイキック合戦であんなことになっちゃう加藤、などなど……

 よくやるよ……お化け屋敷だって、「楽しい遊園地の中」っていうブレーキはあるでしょ? 「それやっちゃあ、お客さんは楽しめないな」みたいな。この映画、それないもん。
 魔人加藤だけじゃないすよ。

 有名な野沢直子さんの名ゼリフ「大丈夫! 病院は撃たないからっ。」の次の瞬間の救いのない展開。
 加藤の念力で濡れ雑巾のように××られて××れる兵士。
 加藤の念力で飛んできた看板に当たって首がすっ×ぶ兵士。
 そんなかわいそうな兵士たちのリーダーで、投げようとした手榴弾が加藤の念力によって手から離れなくなってしまい、結局はドカンと爆×しちゃう斎藤洋介さん(この映画での斎藤さんの、登場した瞬間の「あ、この人ひどい目にあって死ぬな」オーラは最高です)。
 たいした能力もないのに、超能力を使うたんびにとろろいもみたいな自分のエクトプラズムを××してしまうイケメン超能力者。

 気持ちわりぃ……なんなんでしょ、この映画。前作『帝都物語』の大作らしい格調の高さなんか1ミクロンもありません。『帝都物語』がクラシック音楽ならば、『帝都大戦』はまさにデスメタル? いや、それじゃデスメタルやってる人に失礼よ。インダストリアルパンクかな? チューニングのずれたラジオ? 音楽じゃなくなっちゃった。
 そういえば、『帝都大戦』の音楽はものすごくイイです。もう人を怖がらせることしか考えてません。夏の怪談話のバックに流したりしても使えそうな名品です。
 でも忘れてはいけないのは、こんな作品の中でも、嶋田久作さんの演技だけには『帝都物語』で創造された「加藤保憲」がしっかり残っているところなんです。これは素晴らしいことです。「悪いことの映像化」の暴走しか見えてこないこの作品の中で、その中心にいる嶋田さんだけは、非常に冷静に悪役・加藤保憲らしく筋の通った「悪の道」をひた歩いているのです。カッコいいねぇ、華があるねぇ。

「身のほどを知れェエエエィイ!!」

 最後のエスパー合戦での加藤のこの一喝には本当にほれぼれします。
 それだけに……作品の確信犯的などうしようもなさは本当に惜しいんだよなぁ! 嶋田さん、もう加藤はやらないんだろうな。惜しいな~。
 『帝都大戦』。おすすめです。前作の『帝都物語』を観ておく必要はまったくありません。レンタルDVDショップとかでポイントがたまったりして、タダで何かが借りられるようになったら観てみてください。お金はあんまり出さないほうがいいかと……
 そこだけとってつけたようにキレイなジャニス=イアンのエンディングテーマまで、とにかくムチャクチャな逸品です。だまされたと思ってぜひ! ほんとにだまされるから。 
 
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はげしすぎる悪の美学 『帝都大戦』 序章

2010年09月26日 09時18分59秒 | ホラー映画関係
 おはようございます。そうだいです。昨日も寒かったなぁ! まいったまいった。天気は良くなってたんですけど、空気はすっかり秋でした。

 ぜんぜん脈絡のない話を突然に始めるのですが、最近私は、「悪役」というものについて考える機会が多いです。正義の味方とおんなじくらいに、ある物語を形作る上で欠かせない存在である悪役。でも、現実の世の中にどこからどう見ても真っ白な人がいないように、本当に真っ黒な人もなかなかいないように思えます。だからこそ、物語の中にしか現れない完全無欠のヒーローや極悪非道の悪役に魅力を感じるのかも知れませんね。ヒーローはそのまんま、その物語の主人公だったりもするので語られる機会も多いのでしょうが、そうなっちゃうと私は、ヒーローを引き立てることに徹した末に敗れ去っていく悪役の方をほめたくなっちゃうんですんですよ。絶対に不可欠な役割。まさしく必要悪。
 みなさん、有名な悪役のキャラクターというと、誰を思い浮かべるでしょうか? まず実在&ご存命の人物はさておき、フィクションの中に限定してみるとすると……
 ダースベイダー? まさに悪、世界的に有名なお方です。見た目も真っ黒というわかりやすさ。
 時代劇の悪代官? ある1人の人物でないのが残念ですが、誰でも連想できるくらいに強烈な印象がいいですね。
 フリーザ様? 悪いですねぇ! 数多くの悪役が登場する『ドラゴンボール』の中でも屈指のワルです。
 『燃えよドラゴン』のMrハン? ちょっとマイナーですけど、ふだんの笑顔がかえって悪さに磨きをかけてしまう恐ろしさ。鉄の義手という単純明快な武器もポイント高いです。
 シャア=アズナブル? まず一目見ただけですぐおぼえられる仮面がいいですね。復讐を胸に秘めて暗躍する計算高さも悪い! 時期によってコロコロ変わる立ち位置と外見がおしいか。
 ばいきんまんとドキンちゃん? 悪いですねぇ。正義のヒーローと永遠に戦わなければならないという残酷すぎる運命の無限ループを、2人はどうやって乗り越えてゆくのか。愛と哀しみのは~ひふ~へほ~!

 まぁあげればキリがないんですが、今回私が取り上げてみたいのは、現代に生きる伝奇小説家・荒俣宏が創造した戦後日本を代表する名悪役・加藤保憲(かとう やすのり)です。
 加藤保憲は、荒俣宏が1985年から発表をはじめたSF伝奇大河小説『帝都物語』の中に登場する魔人で、陰陽道に通じて魔術を使ったり自分自身が不死身になったりして東京壊滅を100年以上にわたってくわだて続けているというかなりの悪人です。なぜか東京に猛烈なこだわりを持っています。「加藤」っていう普通の名字と、やる悪事のデカさとのギャップが大きすぎて素晴らしい!
 今なお続編や外伝が執筆され続けているので、魔人加藤はまだまだ現役の悪役なわけなんですが、なんといっても彼が最も注目されていたのは1988年と翌89年に立て続けに映画化された時ではないでしょうか。長い長い『帝都物語』の中の、序盤をあつかった『帝都物語』(監督・実相寺昭雄)と、太平洋戦争末期での加藤の復活をあつかった『帝都大戦』(監督・一瀬隆重)の2つです。
 加藤保憲というキャラクター自体は、90年代と2000年代にもそれぞれ1本ずつ制作された映画にも登場しているんですが、加藤本人がなかなか登場しなかったり、妙にしゅっとした雰囲気だけで全然迫力のないトレンディな豊川悦司が演じていたり(『妖怪大戦争』!)と、あんまり見るところはありません。
 映画の加藤はやっぱり『帝都物語』と『帝都大戦』なんだなぁ。その理由は、どちらも10分くらい観ていれば子どもでもわかるはずです。
「加藤役の嶋田久作がこえぇ~。アーンド、かっこいい!」
 これら2つの映画の見所は、まさに過剰なくらいに嶋田久作さんの存在に集中しているといっても過言ではありません。特に『帝都大戦』が!! こわいよ~、大迫力だけは伝わってくるんだけど、他にはなんにもないよ~。
 観たことない人、どんなにすごいか知りたい? 知りたくなくても

 つづく
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