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トップ・ファイブ 【感想】

2015-06-12 11:00:00 | 映画


昨年、北米で賞賛を浴びた映画。非常に面白い映画なのだが、本作に限ってはDVDスルーで納得。

コメディアン出身の人気俳優が、自身のイメージを払拭するために挑んだ新作映画のプロモーションで、奔走する1日を追っかけた物語。主人公の男を通じて描かれるのは、現代のアメリカエンタメ界の盛況と、その裏側にある本音だ。主人公はスタンダップコメディ出身者。そんな彼をスターダムに押し上げたのは、熊(着ぐるみ?)と人間のコンビで事件を解決していくB級コメディ映画だ(どっかで観たことあるような。。。)。その映画は批評家からのブーイングをよそに映画は大ヒットし、シリーズ化までされている。ジャンクフードを美味とするアメリカ人の性質か。彼が演じていたのは熊役の「ハミー」で、そのイメージが定着してしまっているため、どこに行っても町を歩けば「ハミー!」と声をかけられる。「コメディ映画はもう嫌だ」と抗う主人公に対して、世間は「ハミー」の4作目を期待するのだ。主人公が製作まで担い、意気込んで作った新作は、その才能のなさを露呈するものであり、当然ごとく興行は失敗する。また、新作映画の公開と同時に主人公はリアリティーショーのスターとの結婚式を翌日に控える。リアリティーショーが大好きなアメリカ人、キム・カーダシアンが真っ先に頭をよぎる。結婚相手は「あなたとのキスはカメラが回ってないと意味がない」と、私生活を金と人気に換えることに躍起になっている。周りに振り回 され、自身も空回りする主人公。「自分がどうあるべきなんだ?」と、映画はいつしか主人公の自分探しの様相になっていく。

監督、脚本、主演はコメディ俳優のクリス・ロック。皮肉と下劣で積み上げた展開の中に鋭い考察が見え隠れする、コメディ映画としては、なかなかの完成度だ。クリス・タッカーとの違いが今でもよくわからないほど、印象の薄い俳優であったが、こんな才能があったとは驚く。会話劇が中心であり、そのセンスの良さはウディ・アレンを彷彿とさせる。全ロケがニューヨークであるが、華やかな商業エリアだけでなく、公営住宅エリアも網羅しているのが新鮮だ。そこに住むのは中間、あるいは低所得層だが、コメディ映画やリアリティーショーの人気の背景にはこうした人たちが 沢山いるのだと実感する。主人公は当然架空のキャラであるが、周りの同業セレブの実名はバンバン出ており、ジョークのネタにする。大いに笑える映画であることは間違いないが、タイトルにもなっている「トップファイブ」のトークしかり、そこに出てくる固有名詞のほとんどがわからない(笑)。ここまでドメスティック(米国内)な映画も珍しい。

惜しむらくは主演のクリス・ロック本人の演技の下手さ(笑)。演技力がないのは明らかであり、シリアスな場面だったり、ロマンスを感じさせる場面が、彼の身構えた演技によってどうにもバシっと決まらない。コメディに終始する映画ならまだしも、ドラマの要素が入った映画に関しては、脚本・監督に専念したほうが良いと思われた。

【70点】
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