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ヴェノム 【感想】

2018-11-10 08:00:00 | 映画


ヴェノムは愉快なお友達だった。

"最も残虐な~"というフレコミから、まさかの安心安全仕様。見所という見所もなく、サクサク進んでサクサク終了。主人公を筆頭にキャラクターがみんな単純過ぎて空笑い。愛すべきお馬鹿映画にすらならない。一番のネックは、ヴェノムが人間と同じ知性と価値観を持ち得た経緯がバッサリ省かれているということ。「負け犬同士の共鳴」とか、観客に委ねるのは雑。CGで固められたアクションに驚きはなく、残酷描写は不自然なまでに隠される。クライマックス、夜の闇の中で、黒と黒がぶつかるのは画ヅラは普通に見えなくて、自らアクション殺し。前評判で抗体はできていたので過度な落胆をしなくて済んだ。

トム・ハーディ演じるジャーナリストは正義の存在として、扱われているようだが、馬鹿にしか見えない。あんなことやったら、愛するフィアンセに大迷惑がかかるのは必至。無鉄砲で回りが見えない男というだけ。彼のフィアンセも、変わり身があまりにも早すぎる(笑)。とりあえず、余計な人物描写は端折って、さっさっと「ヴェノム」が登場させる算段かと冒頭から切り替える。

スパイダーマンシリーズで登場した「ヴェノム」は明らかなヴィランだった。ヴィランを主人公に据えた映画は難易度が高く、周り回って人間にとって善なる「正義」として安易に着地する。そして、本作も同じ道のりをたどる。地球外生命体が主人公に寄生するが、支配に至らず、共存を選ぶ。お行儀よく二人三脚。乱暴をしようとするも、主人公の静止に素直に応じる良いコだ。あぁ勿体ない。好きにやらせればよいのに。

前半からことごとく血を見せない様子から、予想はできた。敵と見せかけて味方。ありがちな展開に加えるスパイスはユーモアだ。寄生した怪物は脳内で主人公と掛け合い漫才をかます。人体を破壊するほど、相容れない地球外生命体が、なぜか主人公とのっけから同じ視点で話をし出す。本作を見た翌週早々、楽しめたという会社の同僚とその謎を探りあったが、「よくわらかない」が結論。ロジックが重要ではなく、希代のヴィランを、安易に身近なキャラに変換させたことがつまらない。

残虐描写をひたすら避ける「マイルド」アクションの窮屈なこと。粘質体なヴェノムによるアクションは当然CGが多用される。中盤のカースタントシーンも、もはやよく見る画で、CGヴェノムの登場により映像加工の範囲が一層広がる。すっかり主人公と仲良くなったラスト、悪人だけを懲らしめる。「悪いことをしちゃダメよ」というお子様メッセージがトドメを刺す。

【55点】
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