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アデル、ブルーは熱い色 【感想】

2014-04-10 23:12:53 | 映画


レズビアンの人は、どんな感覚で同性である女性に惹かれるのだろう。
柔和な顔立ち?肌の質感?肌の柔らかさ?匂い?雰囲気?・・・・
いずれにせよ、女性でないと愛せない理由があるはずだ。

昨日の水曜日、仕事帰りに「アデル、ブルーは熱い色」を観る。
昨年のカンヌ映画祭で「そして父になる」とパルムドールを争い、
本作品と主演女優2人に同賞が贈られたという注目映画だ。

フランスを舞台に主人公の女子高生アデルが、
美術学生のエマに出会い、激しい恋に落ちる話。

2人が女性同士であることを除けば、新鮮味のある話ではない。
同性愛に対して寛容になっている現代においては、
同性愛自体も特異な話ではないので、面白いドラマも生まれにくい。
実際に観てみてそうだった。

上映時間は3時間。個人的にカットしても良いと思うシーンが
多く盛り込まれ、冗長さも否めなかった。

本作がこれほどまでに評価されたのは「セックス」を正直に描いている点だと思う。

そのセックス描写が徹底した写実によるものだった。、
その事前情報を知らなかった自分にとってはかなりの衝撃だった。

冒頭からアデルとエマの肉体に惹きつけられる。

アデルの肉体は、若さに甘えたような無防備さに溢れる。
ボサボサ頭にねぼけた目つき。半開きの口からビーバーのような可愛い前歯が見える。
10代特有のふくよかさを隠さない。頬はパンパンで愛らしい顔立ちだ。
スキニーパンツから、健康的に隆起した臀部が見える。
血色のよい肌色に、弾けんばかりのハリのある肉体だ。

エマの肉体は、白く無機質な印象だ。
男性的な服装に、青く染めた髪が鮮やかに映る。
脱ぐと痩せ細った外見からは、予想できないほどグラマラスな肉体がある。

2人とも女性の肉体をしている。意外だった。
同性愛といっても、どっちかが、男性寄りで、どっちかが女性寄り、
といった勝手な先入観があったからだ。

「あなたが欲しい」と、
その肉体が劇中何度も何度も激しく重なり合う。

女性同士のセックスは「終わりがない」と聞いたことがある。
果てる男性に対して、女性は果てることがないのでエンドレス。。。確かに。。。

エンドレスな肉体の交わりと、男性器を持たない女性同士特有の愛し方を見せる。
肉体の繋がりだけではなく、感情の繋がりがあって悦びとなる様が良く分かる。

本作のカメラは、その風景を執拗に舐めまわすように追っかける。
局部への愛撫を含めて、2人がオーガズムに達する終始を長尺で見せるのだ。

割引デ―の水曜日。満席の客席。大勢で一体何を観ているのか。。と、
目の保養を通り越し、その恥ずかしさに、スクリーンから何度も目を逸らした。
周りを横目で見渡す。あのシーンで釘づけになる人は何を考えるのだろうか。。。

愛の姿をセックスシーンを通して見せるのはアリだ。
但し、ここまで執拗に見せる必要はあるのか?と疑問。
女性同士の性行為だから、映画作品として生理的に成立するようなもので、
異性間、ましてや男性間の性行為描写であれば成立しないものだろう。
普遍的なドラマとして見せたいというメッセージが見える一方で、
狙いにいったようなあざとさを感じてしまう。

そこの違和感が大きかったため、アデルが少女から大人になる成長物語としても
味わいが薄く感じてしまう。残念だった。

しかしながら、セックスシーンに留まらず、
監督によって追い込まれながらも、それに体当たりで応える主演女優2人の、
熱を帯びたパフォーマンスは見ごたえ十分だ。すっかり魅了された。

アデル演じたアデル・エグザルホプロスと、
エマを演じたレア・セドゥに大きな拍手を贈りたい。

アデル・エグザルホプロスはまだ20歳で本作が本格映画デビューとのこと。
少女から大人に移りゆく過程を切なく、しなやかに体現してみせた。
今後の彼女の活躍を応援したい。

【65点】
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