
ネット上で絶賛レビューが飛び交う海外ドラマ「ブレイキング・バッド」。
昨年末、huluの2週間お試し視聴をした際に「ブレイキング・バッド」の最初の2話を観たが、
年明けに放送が終了。悲嘆に暮れていたが、最近、再放送されるようになったので、
再入会し、今更ながら「ブレイキング・バッド」を観進めている。
現在シーズン3を観終わったところ、シーズン5で終わりなので、もう終盤である。
尋常じゃないくらい面白い。格が違うドラマだ。
聞きしに勝る、いや、それ以上のドラマだ。
その完成度は、自分の知るドラマの域を超えた。
脚本、演出、キャスト、撮影(カメラワーク)、どれをとっても完璧。
続きモノのドラマだが、次回次回を煽る脚本ではなく、
1話1話でちゃんと転結させる印象が強い。
末期がんに侵され、余命わずかと宣告された高校の化学教師「ウォルター」が、
残された家族に遺産を残そうと、覚せい剤の製造に乗り出すという話。
突拍子もない話なのに、浮き足立つことのない脚本だ。
鋭く現代社会の闇を突き、生身の人間の生き様を深く活写する。
観ているこっちは夢中にならざるを得ない。
白ブリーフが似合う冴えない中年男が生み出す覚せい剤。
それは99%の最高純度を誇る「クリスタル・メス」だ。
彼が持つ化学の知識と、化学への誠実さの結晶である。
その品質は他の追随を許さず、裏社会に名を轟かすことになる。。。
圧倒的な競争力を持つ商品を生み出したはいいが、
それをどう売るのか、どう効率的にお金に変えるのか。
犯罪に手を染めたことで、警察の手からどう逃れるのか、家族にどこまで隠し通すのか。
アメリカ本国のマフィア、メキシコの麻薬カルテルとどう共存、あるいは対立し合うのか。。。
ウォルターがビッグマネーを手に取る過程はスリリングでダイナミック。
いくつもの局面を彼が持つ知性と人間性で突破する過程は痛快。
半沢直樹なんぞ、足元にも及ばない。
但し、扱うのはあくまで人を破滅させる覚せい剤だ。
覚せい剤をネタとして面白がる風潮は断じてない。
覚せい剤を扱うという責任をしっかりと受け止めている作りだ。
そして一環しているのは、家族への愛だ。
これは主人公に限った話ではなく、脇を固める多くのサブキャラも同じ。
このドラマが面白いのは、シリアスな部分だけではない。
「ホームランド」等、同様に完成度の高いサスペンスドラマはあれど、
本作の毛色が違うのは、アイロニック、ブラック、シュールといったユーモアを
ギリギリの匙加減で放り込んでくることだ。これが絶妙。
「緩急自在」という言葉がハマる。キレキレの演出に毎話毎話唸る。
主人公のウォルターだけでなく、脇を固める登場人物たちも実に興味深い。
ウォルターの相棒で元教え子のジェシー。義理の弟で麻薬取締局のハンク。
饒舌で凄腕弁護士のソウル。元刑事で裏の掃除屋(?)をしているマイク。
そして、アメリカ南部のマフィアのボスであるガス。
いずれのキャラも多面性を持ち合わせている。
今月から、最終シーズンであるシーズン5がhuluで放送開始された。
月額1000円で全エピソードを見られることに感謝である。
また観終わったら感想を残そうと思う。
ブレイキングバッド 最高のドラマです