待ちに待ち焦がれた園子温の新作「ヒミズ」を見た。
感動し、打ちひしがれた。
3.11を経験した日本。
これまで人間の心の闇、欲望から派生する絶望を突き詰めた映画の多かった、
園子温だったが、3.11以降「希望を無視できなくなった」とした監督の、
本作で描いたものは「未来への希求」だった。
本作はボート屋の息子である中学男子の住田と、
その住田に恋焦がれる同級生の中学女子、茶沢の青春映画だ。
これは古谷実の原作、そのままの設定っぽいのだが、
主役2人の家庭内での父母から受ける虐待っぷりが悲惨。
「ごめんな、俺、ホントお前いらねーんだよ」と住田を殴り倒す父親。
その父親を演じた光石研、戦慄が走るほどの異常な悪役がハマっていてよい。
中盤での事件をきっかけに絶望の渕から抜け出せなくなる住田と、
そんな住田と共に生きることを唯一の希望とし、
住田と衝突しながらも寄り添おうとする茶沢。
その2人の姿が痛々しく、切ない。
主演を演じた染谷将太、二階堂ふみの名演は日本映画史において事件に近い。
これを目撃することは映画ファンにとっては必須科目といえる。
終盤、2人の想いが重なり合い、未来を語り合うシーンに、
こみ上げるものを抑えきれず。。。
徹頭徹尾、魂を揺さぶる演技とはマサにこのこと。
2人ともまだ若いのにホントすごいわ。。。
大いなる感動を与えてくれた2人、そして2人をオーディションのうえ、
起用した園子温に大きな拍手を贈りたい。
ニュースにもなったが、本作での演技が評価され、
2人はヴェネチア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した。
同賞は過去に、自分の好きなガエル・ガルシア・ベルナルや
ジェニファー・ローレンスらが受賞するなど、
結構名誉ある賞なので非常に嬉しい。
これから大きな飛躍を遂げるであろう2人の「若き日」となった本作。
そのパンフレットは結構な完成度で、彼らのみずみずしい演技風景も
余すところなく収められていて、永久保存版な一品だ。
住田の絶望と、震災という出来事をリンクさせた脚本、演出も秀逸。
映画という普遍的な映像世界に被災地の風景を
勇気と誠意をもってきちんと取り込んだ園子温はエラい。
今日は公開初日とあってか、満席に近い盛況ぶりだった。
これまで単館扱いが多かった園子温映画にあって、今回の配給は大手のギャガ。
近くのmovixとユナイテッドシネマの両方で上映されている。
リアルな暴力描写、家庭内の絞首刑台などの飛躍した描写、等々
園子温ワールドも健在であるため、万人の評価を得ることはまだ難しいかもしれないが、
彼のファンとしては配給を強化されることで観られる映画館が増えることは実に嬉しいことだ。
物語のラストは、自分の想いが届いたような展開になってホントよかった。
表層的で嘘っぽい「ガンバレ」という言葉。
ココまで真に響いたのは久しぶりだった。
【85点】
感動し、打ちひしがれた。
3.11を経験した日本。
これまで人間の心の闇、欲望から派生する絶望を突き詰めた映画の多かった、
園子温だったが、3.11以降「希望を無視できなくなった」とした監督の、
本作で描いたものは「未来への希求」だった。
本作はボート屋の息子である中学男子の住田と、
その住田に恋焦がれる同級生の中学女子、茶沢の青春映画だ。
これは古谷実の原作、そのままの設定っぽいのだが、
主役2人の家庭内での父母から受ける虐待っぷりが悲惨。
「ごめんな、俺、ホントお前いらねーんだよ」と住田を殴り倒す父親。
その父親を演じた光石研、戦慄が走るほどの異常な悪役がハマっていてよい。
中盤での事件をきっかけに絶望の渕から抜け出せなくなる住田と、
そんな住田と共に生きることを唯一の希望とし、
住田と衝突しながらも寄り添おうとする茶沢。
その2人の姿が痛々しく、切ない。
主演を演じた染谷将太、二階堂ふみの名演は日本映画史において事件に近い。
これを目撃することは映画ファンにとっては必須科目といえる。
終盤、2人の想いが重なり合い、未来を語り合うシーンに、
こみ上げるものを抑えきれず。。。
徹頭徹尾、魂を揺さぶる演技とはマサにこのこと。
2人ともまだ若いのにホントすごいわ。。。
大いなる感動を与えてくれた2人、そして2人をオーディションのうえ、
起用した園子温に大きな拍手を贈りたい。
ニュースにもなったが、本作での演技が評価され、
2人はヴェネチア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した。
同賞は過去に、自分の好きなガエル・ガルシア・ベルナルや
ジェニファー・ローレンスらが受賞するなど、
結構名誉ある賞なので非常に嬉しい。
これから大きな飛躍を遂げるであろう2人の「若き日」となった本作。
そのパンフレットは結構な完成度で、彼らのみずみずしい演技風景も
余すところなく収められていて、永久保存版な一品だ。
住田の絶望と、震災という出来事をリンクさせた脚本、演出も秀逸。
映画という普遍的な映像世界に被災地の風景を
勇気と誠意をもってきちんと取り込んだ園子温はエラい。
今日は公開初日とあってか、満席に近い盛況ぶりだった。
これまで単館扱いが多かった園子温映画にあって、今回の配給は大手のギャガ。
近くのmovixとユナイテッドシネマの両方で上映されている。
リアルな暴力描写、家庭内の絞首刑台などの飛躍した描写、等々
園子温ワールドも健在であるため、万人の評価を得ることはまだ難しいかもしれないが、
彼のファンとしては配給を強化されることで観られる映画館が増えることは実に嬉しいことだ。
物語のラストは、自分の想いが届いたような展開になってホントよかった。
表層的で嘘っぽい「ガンバレ」という言葉。
ココまで真に響いたのは久しぶりだった。
【85点】
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