から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

マクベス 【感想】

2016-12-23 09:00:00 | 映画


新作DVDレンタルにて。
かの有名なシェイクスピアの戯曲の映画化。原作通りのあらすじであり、権力に取りつかれた男の没落劇だが、その世界観を現代の映画でどれだけ再現できるかに賭けた映画と思えた。俯瞰して見れば面白みのないストーリーであるが、脚本、演出、撮影、キャスティングのあらゆる面が最上級の作りだ。その重厚なドラマにすっかり魅せられた。
戦争で武勇を上げたマクベスは、自身が仕える王様から褒美をもらうが、それに飽き足らず、王を殺して自分が王になろうとする。妻の悪魔の助言がきっかけとなるが、彼の支配欲は留まることを知らず暴走を始める。権力の頂点に立つことは同時に、その立場を下から揺るがす者への脅威を増幅させる。マクベスを狂わす要因として大きく作用するのが魔女からの予言。自身の滅亡を占った予言にマクベスが抗ったことで、逆に運命の術中から逃れなくなる悲劇。シェイクスピアならではの独特な詩的表現も、違和感のない感情表現として聞こえてくるから不思議だ。スコットランドの荒涼で雄大なロケーションを活かした映像美も見どころ。
マクベスとその妻を演じたマイケル・ファスペンダーとマリオン・コティヤールが、演技派の本領を発揮する。喜怒哀楽を超えた感情の中に見せる涙が神々しくもあり怖くもあり、シェイクスピアの世界で圧倒的な存在感を放っていた。
【65点】
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