から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

カプコンカップ2016が激アツだった件。

2016-12-04 23:48:45 | 日記


昨日今日の2日間に渡り、格闘ゲーム「ストリートファイターV」の最強を決めるカプコンカップがアメリカで開催された。自分は今年の夏からハマった、にわか格ゲーファンであるが、この土日、家に引きこもり、ネット中継に釘付けになって観戦した。そして頭が真っ白いになるほど熱狂してしまった。筋書きのないドラマは、他の一般スポーツと変わらないと思った。但し、優勝したアメリカのナックル・ドゥ選手だけは、筋書き「アリ」だった。予想していた通り、別次元に強過ぎたからだ。

自分がよく観るプロテニスツアーと一緒で、毎週のように格ゲーの国際大会(ツアー大会)が催されており、そこで獲得したポイントによってプレイヤーがランキング化されている。年間を通じたこれらのツアー大会は、年末に行われるこのカプコンカップに繋がっており、ツアー大会のなかでも「プレミア」といわれる大会の優勝者、および、世界のブロック別に行われる地区大会の優勝者、そしてそれらを除く、ランキング上位トップ32のプレイヤーに参加資格が与えられる。プロの格闘ゲーマーでも、参加資格を得られない人も大勢おり、プロ、アマ問わず、本当に強い人しか出られない大会だ。その優勝賞金は12万ドルであり、ツアー大会の賞金とは桁が違う高額。このカプコンカップ出場と、優勝を目指すために、すべてのプレイヤーが年間を通じて多くの大会に出場しているといっても過言ではない。格ゲーファンとしては、映画のアカデミー賞と同じくらい重要なイベントだ。

昨日の土曜日にトップ8までを決める予選大会が行われた。ここで予想だにしない波乱が起こる。ランキングのトップ2であり、どの国際大会でも抜群の安定感を見せて勝ち続けていた、韓国のインフィル選手と、日本のときど選手が初戦とその敗者復活戦でも負けてしまった。間違いなく2人は優勝候補の一角だった。しかも負けた相手が出場選手中、最も低いランクの選手だった。では、その番狂わせを演じた相手が勝ち進んだかというとそうでもなく、次の試合であっけなく散っている。いろんな見方ができるだろうが、それだけ出場選手の実力が伯仲する高レベルな大会ということだ。

年間チャンプを決める最大規模の大会とあって、通常の予選大会では2セットマッチであるが、本大会では予選から決勝に至るまで3セットマッチで統一されている。勢いだけでは勝ちにくくなっているのが良い。1日目からフルセットにもつれこむ好ゲームが連発し、めちゃくちゃ面白かった。予選大会の私的ベストバウトは2回戦のももち選手VSシャオハイ選手の試合だった。世界最強の「ケン」VS世界最強の「キャミー」の戦いはギリギリの戦いのなか、「キャミー」のシャオハイ選手に軍配が上がった。

予選の結果は、強豪プレイヤーとして名高い、日本のウメハラ選手やももち選手、ランキング3位のアメリカのジャスティン選手らも姿を消した。決勝進出の8人中、日本人選手が6名、アメリカ人選手が2名となった。

そして今日、朝11時(現地時間では18時)より決勝進出8人による決勝大会がデカい会場で行われた。6人の日本人選手のなかには、自分が勝手に「メガネ三銃士」と名付けた、かずのこ、ふ~ど、GO1選手がもれなく入っていて、俄然、応援にも力が入る。特に、かずのこ選手は昨年のチャンピオン。その後の今シーズンでは、ツアー大会でわずか1勝という満足のいく結果で本調子でなかったと思うが、本大会に照準を合わせ決勝大会まで残っていること自体がスゴいことだ。

決勝大会で目立った動きは2つあって、1つはその、かずのこ選手の快進撃だ。敗者組からスタートしたかずのこ選手は、接戦を繰り返しながら、勝利を積み上げていく。試合中の不利な状況も、ビクともせず我流を通す心臓の強さと、冷静な戦況眼がその勝因にある。「その状況でその技を出すか!」というシーンの連発だった。決勝大会のベストバウトは、キャミー使いのかずのこ選手と、春麗使いのMOV選手との試合だ。大会を通じて最も競り合った試合と思われる。フルセット、フルゲームかつ、体力ゲージの消費も一進一退。文字通りの激戦のすえ、紙一重でかずのこ選手が勝利した。次のハイタニ選手戦では、予選で負けた相手だったが、リベンジ以上の圧倒的な勝利をおさめた。かずのこ選手はゾーンに入っていたと思われる。その勝ち上がりに感動すら覚えた。ネットの書き込みを見ると「アンチ」かずのこファンが多いようだが、彼の実力は疑いようのない事実で超一流のプレイヤーであることを証明した。

決勝大会で印象に残った2つ目は、、、というより、本大会全部を通して感じたのは、優勝したナックル・ドゥ選手の想像を絶する強さだ。直近で彼が優勝したツアー大会、カナダカップと北米地区大会の内容を見れば、彼の本大会での優勝は明白だった。



プロ野球選手の大谷選手の2刀流と同じように、2つのキャラクターを使い分け、格ゲーのセオリーを壊してみせる。しかも、扱う「ガイル」「ミカ」両者ともに彼が世界最強の使い手だ。「ガイル」はもちろんのこと、日本のふ~ど選手が最強と思っていた「ミカ」についても間違いなく彼が世界最強といえる。カナダカップの決勝で、「キャミー」の完成形をプレイするシャオハイ選手を「ミカ」で一蹴してしまった。本大会の2回戦でもシャオハイ選手と当たるが、1ゲームも与えず、6分という大会最速タイムで再び撃破した。シャオハイ選手は日本人選手もなかなか勝てない超強豪プレイヤーであり、本当にあり得ない事件だった。相性の良さではなく、単にナックル選手が強いということだけだと思った。北米地区大会の決勝では「リュウ」を使う、ときど選手と対戦したが、「ガイル」を使って決勝とは思えないほど一方的な展開で勝利した。その後、ときど選手が出演するネット番組で、その敗北を受け「ガイル」対策の練習をしていたが、キャラ対策をしている限り、日本の選手はナックル選手には勝てないと思う。「リュウ」「ケン」が「ガイル」と相性が悪いというよりも、ナックル選手が特別だと思えるからだ。といって、「ナックル選手」対策をすればよいという話でもない。自分はゲームの素人だけど、見たところ、ナックル選手には弱点がなく、変幻自在でプレイパターンもなさそうだ。彼の戦いぶりは、解説実況を聞くところ想像を越えているらしい。「天才」という言葉で終着してしまう。

前哨戦で感じた「確信」のとおり、本大会でのナックル選手のパフォーマンスは凄まじかった。敗者復活戦が存在する格ゲーの大会にあって、32名のなかで唯一、無敗全勝。その試合内容も、接戦が目立った試合が続くなか、彼の試合だけストレートか、1セットを落とすまでだった。最初から最後まで、1人だけ独走状態のまま大会を終えた感じだ。そのプレイスタイルは自由で超攻撃的。観ていて気持ちいいのなんの。特にガイルを使ったプレイがめちゃくちゃカッコいい。「ソニックブーム」を連発する怒濤のコンボに何度も熱狂する。アーケード版コントローラではなく、普通に一般人が使うリモートコントローラを使っているのも彼の特徴だ。繰り出す技が多彩ゆえ、よくあんな小さなコントローラでプレイできるなと感心する。

ナックル選手の年齢はまだ20歳。向こう2~3年は絶対王者として彼の時代が続くと思われる。来年も引き続き、プロ格闘ゲームをウォッチしていきたいと思う。

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湯を沸かすほどの熱い愛 【感想】

2016-12-04 09:00:00 | 映画


寓話の「北風と太陽」を思い出した。北風は風圧で旅人のマントを脱がそうとするが、太陽は暑さで旅人のマントを脱がそうとする。本作について、自分は「北風」と感じた。風圧ではなく涙の圧力だ。感動エピソードのテンコ盛りと、演者たちによる「もらい泣かせ」の嵐。本作の監督は「足し算」で映画をつくる人なんだなーと思う。主人公を魅力的に引き立たせるために、いろいろと後付けで盛っているみたい。序盤の娘のいじめ問題で涙腺が緩むも、以降はどんどん気持ちが離れていった。鼻をすする音がこだます劇場で、居心地の悪さを感じて堪らなかった。映画も嗜好品なんだと改めて実感。自分はとても苦手だった。

末期がんで余命宣告された母と家族の交流を描いた物語。

物語の中心にあるのは宮沢りえ演じる母「双葉」のチャームである。逞しく優しく、家族を超えて周りの人を包み込む度量の大きさがある。その個性を表すのに、最初に用意されるエピソードが娘の高校でのいじめ問題である。いじめに会う子どもに対して「逃げていいんだよ」が、良き親の常とう句だと思ったが、双葉の場合は「戦え」である。一見、乱暴に思える娘へのケアも、娘の勇気を信じてのことだ。同情ではなく、信頼という親子関係は、現実社会ではなかなかハードルが高いが、それを肯定させるほどの力が双葉にはある。「おかあちゃんのDNA」で泣けてしまった。

しかし、本作についていけたのはここまで。

引き取った幼女の涙の吐露は状況達観が甚だしく、ヒッチハイクで知り合った青年と双葉の距離の縮め方が異常に早くて気持ち悪く、娘を会わせたカニの送り主との関係が唐突であり、そこで双葉が繰り出す突然のビンタや、母に会いにいった際の双葉のガラス割りに情緒の不安定さが見え、何だかよくわからないけど知らぬうちに登場キャラ全員が双葉の内に取り込まれ、「ピラミッド」(なんじゃそりゃ~)の涙の絶叫シーンで我慢のピークに達した。もう無理です。。。

エピソードの継ぎ接ぎが目に余る。ストーリーの流れではなく、感動と泣きのシーンを定期的に挿入することが目的と思えてしまう。ヒッチハイクの後日譚は手紙のやりとりくらいで終わらせたほうが味わいがあるし、別母と娘の関係は、双葉と離したほうが自然だ。どちらもガッツリ、双葉のサポートメンバーに加わっていくのが理解できない。

描くべきことが省かれ、描く必要のないことを足しているからだと思う。必要な人間関係のプロセスを省いた違和感と、描きたい欲求が先走って、もれなく表現に移してしまう野暮ったさ。別母に会わせようとする双葉と娘の押し問答の後に、幼女の泣きのシーンを、なんでわざわざ足すんだろう。「あの人はスゴい人だ」「生きたい」とか、なんでイチイチ言葉にするんだろう。監督は観客の想像力に対して懐疑的なのか、それとも単に心配性なのか。「感動してほしい」という監督の熱い思いは、あざとさとしてスクリーンに映し出される。その策略にドラマの描き手としてセンスの悪さしか感じない。最もイタいのは、序盤、あれだけ魅力的だった双葉がどんどん不可解な人間になっていくこと。「聖母」と感じた彼女の個性がブレブレになった。

理解できない脚本と演出のなか、宮沢りえをはじめ演者たちは渾身の演技を見せる。それだけに、泣きの演技に終始させることが非常ににもったいない。双葉の明るい個性が目立つ反面、意外なほど笑えるユーモアがないことに気付く。

タイトルの意味が明らかになるラストが衝撃的だ。リアルな人間ドラマと思っていたが、違法も倫理も関係ない毒っ気のあるファンタジーをもってくるとは。。。見方によっては「サイコ」だ。ラストで観客を迷わせることに狙いがあったか。リアルとファンタジーの間に、作り手の過剰な思い込みが浮わついている。

【50点】
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