から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

トランス 【感想】

2013-10-14 02:25:41 | 映画


映画館で映画を観ることが好きだが、それは良いことばかりではない。
見ず知らずの人と一緒に観るので、当然周りに気を使わなければならない。
自分自身が周りに気を使うことは面倒じゃない。当たり前のことだし。
だけど、特におっちゃんたち。。。
姿勢良く深く座ってもらうとシネコンの座席でも、頭部がスクリーンに被る。

日本での公開を楽しみにしていたダニー・ボイルの新作「トランス」を観た。

真ん前に座っていたおっちゃんが、自分の癖なのか、高揚するシーンで、
腕を上げてスクリーンに被っている後頭部を何度も手で撫でる。。。

どうしても我慢できなかったので、映画の中盤くらいに、
「すみません、腕をこうやって上げるの、やめてもらえますか?」
とお願いする。。。こんなこと初めてだ。

おっちゃんは素直に聞いてくれたが、「言うべきではなかったかも」と、
逆に気にしてしまって、その後も映画にあまり集中できなかった。。。

映画「トランス」を観終わって、まず思ったのは「ひぃー難解っ!!」。

ハッピーエンドなのか、デッドエンドなのかすらもわからなかった。

面白いと感じたが、咀嚼できない気持ち悪さは「裏切りのサーカス」に近かった。
自分の想像力の無さと、前席のおっちゃんのせいだ。(笑

物語は、オークション会場で40億の名画を盗んだものの、
名画を隠した男の記憶が喪失し、名画が行方不明になるという話だ。

名画を見つけ出すためには、男の記憶を呼び覚ます必要があり、
その手段が催眠(トランス)療法なのだ。

近年傑作を創出し続けているダニー・ボイルは本作でもキレキレだ。
彼の代名詞とも言えるスタイリッシュな映像と音楽の幸福な融合は本作でさらに進化。
魅せ方のテクニックに踊らされず、登場人物の確かな心情を掴み取りながら、
展開のウネリを力強く鮮烈に描き出す演出に何度も唸る。
「あぁダニー・ボイル、やっぱ好き」。

本作では、これまでのダニー・ボイル映画にはなかったアプローチをしている。
描かれる登場人物たちの脳内攪拌を、観客側にも体感させる点だ。

登場人物は主に3人。3人の記憶と現実が交互に照射される。
どこまでが現実で、どこまでが虚構の話なのか判別しにくい構成にしている。
「ということは、これはこういうことなんだな」という先読みが尽く潰される。
いや、それが正解なのかもちゃんと分かっていないのかも。
ちゃんと理由付けがなされているストーリーであることはわかるのだけれど。。。

主演のジェームズ・マカヴォイのパフォーマンスが光る。
「ラストキング・オブ・スコットランド」や「ウォンテッド」と同様、
ボコボコにヤられるのがよく似合う。ヘタレのようで芯に強さがあるので絵が悲惨にならない。
感情的になれる引き出しも含めて、本作のキャラにとてもフィットしている。
そして、ジェームズ・マカヴォイ同様、同級生であるロザリオ・ドーソンだ。
随分と老けた印象だが、衰えを知らないグラマラスバディにトランスする。
本作をきっかけに交際していたダニー・ボイルに嫉妬する。。。。

前作「127時間」同様、美しさと(半端ない)グロさのコントラストあり。
抜群のロマンスを感じる脚本は感動的で秀逸。傑作なのだと思う。

ただ、自分はよくわからなかったというのが事実。
おそらく「裏切りのサーカス」同様、2回目以降で好きになるのだろう。

【60点】



















コメント
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