この映画は事件だ。
もし凶悪犯罪事件とか起きた時に、
その犯人の自宅にこの映画のDVDとかあったら、
真っ先に販売中止とかになるのかな。。。
こんな映画を作った監督の園子温、
世に出した日活に拍手だ。
エロとグロの極み。もちろん18禁。
絶望をトコトン突き詰めた果ての世界を描く。
2時間半という上映時間は、あっという間に過ぎた。
園子温の前作「愛のむきだし」がツボであったため、
今年の注目作として位置づけていた本作。
単館系映画のため、なかなか観にいけず、
公開終了日の前日にテアトル新宿に観にいく。
観客のほとんどが自分含め1人。
きっと皆、園子温ファンなのだろう。
本作は、1993年に起こった埼玉愛犬家連続殺人事件をベースとした話だ。
細々と熱帯魚店を営む家族(社本一家)が、同じく熱帯魚店を営む夫婦(村田)と
交流していく中で、起こるサスペンス(?)だ。
主人公の社本(吹越満)は、典型的な小市民タイプ。
再婚したであろう妻の妙子(神楽坂恵)は、社本と不釣合いなほど若く巨乳。
地味な日常のシーンでもやたら胸を強調するカットが続き、絵の中の空気が歪む。
社本の娘の万引きをきっかけに、同業の村田(でんでん)と知り合うのだが、
村田の妻、愛子(黒沢あすか)もやたら若くてエロい雰囲気を醸し出す。
強引だが、どこか憎めず人懐っこく明るい村田のトークは、
胡散臭い新興宗教の説法のよう。
冒頭から感じる歪み、早々に発揮される村田の異常性と、
各キャラクターに伝播する負の連鎖が圧倒的エネルギーとなって映画から放たれていく。
村田演じるでんでんが最高だ。
映画やドラマの脇役で、温厚、情に厚いオヤジ役のイメージが強かったが、
本作では結構ヤバイことになっている(笑)
「人間を透明にできる奴が最強なんだよ!」
復習するは~の榎津、羊たちの~のレクター、ノーカントリーのシガー、
ダークナイトのジョーカーとかと並び称されてしかるべきほどの鬼畜っぷりだが、
独特なリズムとユーモアを持ち合わせている部分で、
イングロリアス~のユダヤハンター、ハンスを観たときのインパクトに近いかも。
観終わった後、でんでんを起用した監督のコメントで
「凄みのある役者はいるけれど、どこか軽くユーモアを持った人(でんでん)でないと
キャラクターの幅は出なかった」とあった。大納得。
主役の社本演じる吹越も非常によい。
序盤からひたすら村田に圧倒され、ブルブルと怯える小市民っぷりもよいが、
後半から狂気に目覚め、変貌する姿が鮮やかで、ラストに向かって一気に畳み掛ける。
画期的な補助つきセックス(笑)、生おっぱいの激もみ、
血海の中の泥レスなど、映画史に刻まれる名(迷)シーンの数々。
狂気を単純に恐怖としてみせるだけでなく
笑いをとるためのエッセンスとした脚本のセンスも非常によい。
下手なコメディ映画みるより、よっぽど笑える。
この映画について「人間の業を描いた作品。」とか「人生は厳しいものって言いたいの?」とか、
この映画にメッセージ性を求めるのは無意味だ。
作り手の意図もそこにはないと思われる。
終始一貫、救いのない絶望の世界を、
魅力的なキャラクターたちを通して覗いてみるテイでよい。
それがエンターテイメントとして、楽しかったか、つまらなかったか、
それだけの話。
私は普通に楽しめた。
そして不思議と観た後、晴れやかな気持ちになった。
昨今、ドラマのスペシャル版を映画で見る哀しき邦画の時代。
そのほとんどが映画としての完成度に欠ける。
隣の韓国に映画の質で圧倒的に負けてる中、
これほどチャレンジングでニュータイプの邦画が生まれたことは実に有難く、
邦画の未来を多少なりとも楽観することができた。
【90点】
もし凶悪犯罪事件とか起きた時に、
その犯人の自宅にこの映画のDVDとかあったら、
真っ先に販売中止とかになるのかな。。。
こんな映画を作った監督の園子温、
世に出した日活に拍手だ。
エロとグロの極み。もちろん18禁。
絶望をトコトン突き詰めた果ての世界を描く。
2時間半という上映時間は、あっという間に過ぎた。
園子温の前作「愛のむきだし」がツボであったため、
今年の注目作として位置づけていた本作。
単館系映画のため、なかなか観にいけず、
公開終了日の前日にテアトル新宿に観にいく。
観客のほとんどが自分含め1人。
きっと皆、園子温ファンなのだろう。
本作は、1993年に起こった埼玉愛犬家連続殺人事件をベースとした話だ。
細々と熱帯魚店を営む家族(社本一家)が、同じく熱帯魚店を営む夫婦(村田)と
交流していく中で、起こるサスペンス(?)だ。
主人公の社本(吹越満)は、典型的な小市民タイプ。
再婚したであろう妻の妙子(神楽坂恵)は、社本と不釣合いなほど若く巨乳。
地味な日常のシーンでもやたら胸を強調するカットが続き、絵の中の空気が歪む。
社本の娘の万引きをきっかけに、同業の村田(でんでん)と知り合うのだが、
村田の妻、愛子(黒沢あすか)もやたら若くてエロい雰囲気を醸し出す。
強引だが、どこか憎めず人懐っこく明るい村田のトークは、
胡散臭い新興宗教の説法のよう。
冒頭から感じる歪み、早々に発揮される村田の異常性と、
各キャラクターに伝播する負の連鎖が圧倒的エネルギーとなって映画から放たれていく。
村田演じるでんでんが最高だ。
映画やドラマの脇役で、温厚、情に厚いオヤジ役のイメージが強かったが、
本作では結構ヤバイことになっている(笑)
「人間を透明にできる奴が最強なんだよ!」
復習するは~の榎津、羊たちの~のレクター、ノーカントリーのシガー、
ダークナイトのジョーカーとかと並び称されてしかるべきほどの鬼畜っぷりだが、
独特なリズムとユーモアを持ち合わせている部分で、
イングロリアス~のユダヤハンター、ハンスを観たときのインパクトに近いかも。
観終わった後、でんでんを起用した監督のコメントで
「凄みのある役者はいるけれど、どこか軽くユーモアを持った人(でんでん)でないと
キャラクターの幅は出なかった」とあった。大納得。
主役の社本演じる吹越も非常によい。
序盤からひたすら村田に圧倒され、ブルブルと怯える小市民っぷりもよいが、
後半から狂気に目覚め、変貌する姿が鮮やかで、ラストに向かって一気に畳み掛ける。
画期的な補助つきセックス(笑)、生おっぱいの激もみ、
血海の中の泥レスなど、映画史に刻まれる名(迷)シーンの数々。
狂気を単純に恐怖としてみせるだけでなく
笑いをとるためのエッセンスとした脚本のセンスも非常によい。
下手なコメディ映画みるより、よっぽど笑える。
この映画について「人間の業を描いた作品。」とか「人生は厳しいものって言いたいの?」とか、
この映画にメッセージ性を求めるのは無意味だ。
作り手の意図もそこにはないと思われる。
終始一貫、救いのない絶望の世界を、
魅力的なキャラクターたちを通して覗いてみるテイでよい。
それがエンターテイメントとして、楽しかったか、つまらなかったか、
それだけの話。
私は普通に楽しめた。
そして不思議と観た後、晴れやかな気持ちになった。
昨今、ドラマのスペシャル版を映画で見る哀しき邦画の時代。
そのほとんどが映画としての完成度に欠ける。
隣の韓国に映画の質で圧倒的に負けてる中、
これほどチャレンジングでニュータイプの邦画が生まれたことは実に有難く、
邦画の未来を多少なりとも楽観することができた。
【90点】