そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

祖父の残した手紙

2007-05-27 13:18:21 | Diary
昨日、実家で母から一通の手紙を見せられた。
1月に90歳で他界した祖父の書斎を整理していたら、本の間から見つかったという。
戦時中に、祖父の弟(すでに他界)から祖父に宛てた手紙。

男ばかり7人兄弟の四男である祖父は戦争当時20代の後半で独身。
小石川区丸山町(現在の文京区千石のあたりらしい)に家族で住んでいた。
兵隊に行っていた時期もあったが、小学校の教員をしていたので戦争末期には生徒たちを引率して群馬県に集団疎開していた。
手紙の差出人である大叔父は兄弟の六男で、体が弱かったため徴兵検査に合格せず、東京で暮らしていた。

手紙は、空襲により家が焼失したことを報告し、祖父に宛てて送ろうと準備していた荷物が焼けてしまったことを詫びる内容のもの。
幸い皆無事ではあったが、防空壕に隠していた食器や衣類などわずかなものを残し、ほとんどすべて家財が焼けてしまったこと、近所の人たちも大きな被害を受けているがなんとか助けあって避難生活を送っていること、焼夷弾が落ちてきたときの熱さは尋常ではなく眉毛が焼けてしまったことなどが、冷静な筆致ながら生々しく書き記されている。
日付は明記されていなかったが、昭和20年の大空襲の頃のものだろうか。

紙は多少変色しているものの、万年筆か何かで書かれた文字ははっきりと判読することができ、「速達」のスタンプも、3枚合計40銭の切手も綺麗に保存されていた。

疎開先で、祖父はどんな気持ちでこの手紙を受け取り読んだのだろうか。
やがて戦争が終わり、家族が再会したときの気持ちはどのようなものだったのだろうか。
今となっては、その話をきくこともできない。
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