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悔い戻る者たちの道しるべ【9】-(2)

2016年01月14日 | 悔い戻る者たちの道しるべ

とある学者が話したお話をこの話題に付け加えます:町中のとある家の扉が開きました。そこから少年が泣きながら出てきました。その後ろからは母親が追いかけてきていて、少年を追い出し、最後にドアを閉めました。母親は家の中に戻り、少年はそう遠くない場所へと歩いて行きました。少年は立ち止まって考えました。彼は、出てきた家以外に逃られる場所がないことと、お母さん以外に受け止めてくれる人がいないことを悟りました。少年は悲しい表情で家に戻りました。震えているドアを枕に、そして頬をドアの敷居に置いて、眠りに落ちました。しばらくすると母親が出てきました。少年がこのような状態でいるのを見つけて思わず駆け寄って、頬に口づけし、涙を流しました。「ぼうや、私から離れてどこへ行こうというの。私の他に誰がおまえをかまってくれるの。私に逆らってはいけないと言ったでしょう。おまえが私に逆らうことで、おまえを慈しんだり、心配したり、良いことをおまえに望んだりすることとは逆のことを私にさせないでおくれ。」そして少年を家の中に入れました。さあ、ここで「おまえが私に逆らうことで、おまえを慈しんだり、心配することとは逆のことを私にさせないでおくれ。」という言葉を熟考してみてください。また、教友イブン・ウマル様(アッラーの御満悦あれ)による預言者様(アッラーの祝福と平安あれ)の次のお言葉も熟考してみてください:《私たちはとある戦でアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)と共にいました。その際、ある集団を通り過ぎて、おっしゃいました:アッラーはそのしもべに対して、母親がその息子を慈しむよりも慈悲深いのではないか…》(イブン・マージャ)

 

あまねくものに行き渡った至高偉大なるアッラーの御慈悲に比べて母親の慈悲はどの位置にあるのでしょうか。

この話題に関連することとして、アッラーに満足していただこうとする者は、誠実な悔悟へと急ぐことが挙げられます。すでに皆さんには、悔悟の特徴に、「知」と「状態」と「行為」があると述べました。ですから、知が深くあるほど、そしてしっかりしているほど、そして強くあるほど、後悔の念は激しく、後悔の念が激しいほど、悔悟は強固でその時間は長くなります。「誠実な悔悟」は非常に容易ですが、それを堅持することが重要です。人生のあらゆる局面でなにかにたどり着くのはとても容易なことですが、そこに留まっていられることが重要なのです。頂点に立つことは容易ですが、頂点に留まり続けることこそが重要なのです。勝つことは容易ですが、勝ち続けることこそが重要なのです。繰り返しますが、本当に容易な悔悟とは、初めに行う悔悟なのです。

 

司会:第二の悔悟というものがあるのでしょうか?

 

先生:罪を犯すと、悔悟を破ったかのような状態になります。その時、再び悔悟することに多々なる困難を見出すことになります。私は、この講義を続けて聴いてくださっている人たちに、誠実な悔悟を決心して行ったならば、それを行ったことが重要なのではなく、それを継続し続けることにあるのだ、ということを忠告したいと思います。

 

聖なるアッラーの館に巡礼を果たした人はどうでしょう。黒石に近づき、「主よ、私は常にあなたにお仕えすることを誓います」と言った後に、今までと同じ状態に戻った場合、まるで彼は誓いを破ってしまったことになります。アッラーは信仰するしもべたちを責め給うかのように仰せになります:

「またわれらは、彼らの大半に約定(の履行)を見出さず、また、彼らの大半がまさに邪な者であることを見出した。」(高壁章102節)

 

誠実な悔悟の基本は、継続と安定です。人間がアッラーと共にいれば、アッラーからの力を感じることができます。アッラーは次のように仰せではなかったでしょうか:

「あなたにこそわれらは仕え、あなたにこそ助けを求める。」(開端章5節)

 

預言者ユースフ様(アッラーの平安あれ)は言われました:

「もし、あなたが私から彼女らの策謀を遠ざけ給わなければ、私は彼女らに心が動き、無知な者(たちの一人)となるでしょう。」(ユースフ章33節)

 

信仰者が正しくアッラーを信仰し、誠実な悔悟を成したのであれば、悔悟した状態で居続けられるためのアッラーからの御援助を求めるべきです。なぜなら、悔悟したのに、悔悟を破った人は信仰者に数えられないからです。

 

司会:先生、人は、罪そのものから悔悟するのですか?それとも、至高偉大なるアッラーに対する不服従から悔悟するのですか?

 

先生:信仰の道を歩んでいるところでふととある罪に足を外してしまった場合はその罪自体から悔悟します。しかし元来からアッラーから遠ざかっている人は、アッラーが禁じ給うたすべてのものからの悔悟を要します。そういった人が悔悟を欲する場合、限定なしにすべての罪から悔悟し、アッラーの御命令に忠実になることが好ましいです。代わって、信仰の道を歩む人の場合で、とある事柄で足を踏み外してしまった時は、その罪だけから悔悟をします。

 

司会:悔悟の構成要素の一つに、他人の権利が絡んだものがある場合、それを実行するか、その人を放免することも述べておくべきですね。

 

先生:過去の講義で、悔悟の構成要素が「知」と「状態」と「行為」であることをお話しましたが、「行為」は3部に分けられます。まず:今後この罪を二度と犯さないという決心と、今現在、この罪から抜け出すこと、そして過去を修正することつまり諸権利をその持ち主に返還することです。

 

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