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ムスリムの子ども教育1~家庭の土台の作り方(1)~

2018年07月01日 | 預言者の教育方法

ムスリムの子ども教育1~家庭の土台の作り方(1)~

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)子どもの教育(~18:10)https://www.youtube.com/watch?v=1oJ2IfRLFXU 

 

家を建てる時に、どんなにすばらしい建物をデザインして、内装を美しくしても、土台の基礎工事をしていなかったら、雨が降っただけで屋根も壁も崩れ落ちてしまうかもしれません。家庭も同じです。すべての行いの土台は何でしょうか。家庭の土台は、ニーヤ(意思)です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はおっしゃいました。

 

《行為とはニーヤ(意思)にもとづくものであり、人はみな自らのニーヤ(意思)した事柄の所有者です。

したがってアッラーとその御使いのためにヒジュラ(聖遷)に参加した者は、アッラーとその御使いのために

聖遷(せいせん)を行なったのであり、現世の利益、結婚相手の女性のために聖遷に加わった者は、

それらのためにヒジュラ(聖遷)を行なったにすぎません。》 ブハーリーとムスリム伝承

 

ムスリムの子どもの教育において、まずは、その土台となる結婚について気を付けるべき点をお話します。

 

1.     結婚、出産において正しいニーヤ(意思)を持つこと:

  昔の敬虔な方は、結婚しようと決意したら、まずイスラームの知識のある先生のところに行き、「私は結婚したいと思いますが、結婚に際して行う正しいニーヤ(意思)を教えてください。」と先生に尋ねました。なぜなら、そのニーヤ(意思)こそが、その後の結婚生活すべての土台となることをよくわかっていたからです。ニーヤ(意思)を正しく持つことで、その後の結婚生活がアッラーによって守られます。「アッラーのご満足を求めて、結婚します。」というニーヤ(意思)です。

 

クルアーンの中には、マルヤム様のお母様(ハンナ様)が出産に際して、ニーヤ(意思)をするところがあります。

 

【イムラーンの妻がこう(祈って)言った時を思え、「主よ、わたしは、この胎内に宿ったものを、あなたに奉仕のために捧げます。どうかわたしからそれを御受け入れ下さい。本当にあなたは全聴にして全知であられます。」】クルアーン イムラーン家章3-35.

 

このハンナ様の誠実なニーヤ(意思)によって、アッラーは彼女に預言者イーサー様(平安あれ)の母親のお母様になるという栄誉をお与えになられました。イーサー様(平安あれ)の誕生から2000年以上経った現在でも、世界中の人たちがイーサー様(平安あれ)の復活を待っています。この栄誉はどこから来ましたか?母親の誠実なニーヤ(意思)からです。またハンナ様は、出産後にアッラーにこうドゥアーをしています。

 

【それから出産の時になって、かの女は(祈って)言った。「主よ、わたしは女児を生みました。」アッラーは、かの女が生んだ者を御存知であられる。男児は女児と同じではない。「わたしはかの女をマルヤムと名付けました。あなたに御願いします、どうかかの女とその子孫の者を、呪うべき悪霊から御守り下さい。」】クルアーン イムラーン家章3-36

 

ハンナ様がアッラーに捧げたニーヤ(意思)の成果は、何だったでしょうか?

 

それで主は、恵み深くかの女を嘉納され、かの女を純潔に美しく成長させ、ザカリーヤーにかの女の養育をさせられた。】クルアーン イムラーン家章3-37

 

ハンナ様のニーヤ(意思)によって、【恵み深くかの女を嘉納され】、つまり、その子をアッラーが受け入れてくださったという成果です。私たちは、結婚が「崇拝行為」だということを知っているでしょうか。結婚がアッラーへと近づくための崇拝行為だと知っていたら、結婚においても、アッラーが受け入れてくださるかどうか、と考えることができるでしょう。アッラーに受け入れられた結婚は、アッラーによって守られます。

 

アッラーが与えてくださったこの人生は、すべてがイバーダ(崇拝行為)になることを、ムスリムは知っています。崇拝行為というのは、ただ、礼拝することや断食すること、クルアーンを詠むこと、ズィクルをすることだけでしょうか。それらは人生の中のほんの少しの時間だけです。私たちの人生は、すべてが崇拝行為です。アッラーはクルアーンの中でこうおっしゃっています。

 

【ジンと人間を創ったのはわれに仕えさせるため。】クルアーン 撒き散らすもの章51-56

 

私達ムスリムにとっては、食べることも、眠ることも、結婚も、出産も、すべてがアッラーへと近づくための崇拝行為となります。それを行う時の誠実なニーヤ(意思)によって、アッラーに受け入れられる崇拝行為となります。

 

誠実なニーヤ(意思)を持ち、夫が妻と子どもを扶養し護ることで、アッラーに近づくことができ、誠実なニーヤ(意思)を持ち、妻が家庭を守ることでアッラーに近づくことができます。ですから、まずニーヤ(意思)が何よりも大切です。誠実なニーヤ(意思)によって、ご家庭が、アッラーの元で認められ、アッラーからの平安が降りる場所となり、アッラーの元から安心と祝福が降りてきます。

 

私達は家を建てる時に、お金があれば、自分の家をできるだけ美しいデザインになるよう、また訪れる人にセンスがいいと言われるような内装や家具を選ぶよう、いろいろ考えるでしょう。しかし預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、私達の家を輝かせる方法をこうおっしゃっています。

 

《その中でクルアーンが詠まれる家は、天上の住人たちに(光り輝いて)見えます。

星が地上の住人たちに(光り輝いて)見えるように。》バイハキー伝承

 

誠実なニーヤ(意思)によって築かれた家庭は、天使たちの間で光り輝いています。天使たちはその家を指して、「これは○○さんの家ですね。」と言い合います。私たちが夜空を仰ぎ、星を見て、これは北極星、あれはカシオペア、と言うように、天使たちは地上の家々を見て、その中の光り輝く家をよく知っています。

 

子どもの教育を考える時に、まず最初に考えることは、家の土台、ニーヤ(意思)を誠実に正すことです。ニーヤ(意思)が誠実であれば、アッラーがその結婚を受け入れてくださって、そこに誠実な子どもたちをお授けくださいます。

 

マルヤム様の父親亡き後、父親の兄であり、後見を任された預言者ザカリーヤー様(平安あれ)が、彼女のところに行くと、彼女の部屋には、不思議なことに夏には冬の果物が、冬には夏の果物がありました。

 

【ザカリーヤ一が、かの女を見舞って聖所に入る度に、かの女の前に、食物があるのを見た。かれは言った。「マルヤムよ、どうしてあなたにこれが(来たのか)。」かの女は(答えて)言った。「これはアッラーの御許から(与えられました)。」本当にアッラーは御自分の御心に適う者に限りなく与えられる。】クルアーン イムラーン家章3-37

 

アッラーの、マルヤム様への寛大さを目にした彼は、こうドゥアーします。

 

【そこでザカリーヤーは、主に祈って言った。「主よ、あなたの御許から、無垢の後継ぎをわたしに御授け下さい。本当にあなたは祈りを御聞き届け下さいます。」】クルアーン イムラーン家章3-38

 

このドゥアーによって、預言者ヤヒヤ―様(平安あれ)が産まれます。ハンナ様の誠実なニーヤ(意思)によって、マルヤム様は預言者イーサー様(平安あれ)をアッラーの奇跡によって身ごもり、アッラーからの啓示を人々に伝える息子を育てる母親という栄誉を得ました。すべては、母ハンナ様の誠実なニーヤ(意思)によって、アッラーがお与えくださった恩恵です。

 

私達の家庭はどうでしょうか。私たちムスリムは、アッラーが地上で最も良いウンマ(共同体)と名付けたムハンマド様(アッラーの祝福と平安あれ)のウンマの一員です。もし私たちが誠実なニーヤ(意思)を持って、アッラーゆえに家族を大切にし、誠実なニーヤ(意思)によって夫は妻に接し、妻は夫に接するならば、それぞれの家から信仰の光り輝く子どもたちがこの地上に広がり、アッラーが最も愛しておられたムハンマド様(アッラーの祝福と平安あれ)のウンマの一員として、アッラーが、ハンナ様に与えた以上のものを与えてくださるでしょう。

 

ニーヤ(意思)による大きな成果が、私達を待っています。もしすでに結婚している方は、今からでも遅くはありません。今から、家族に接するニーヤ(意思)を正しく持ちましょう。ご主人に対するニーヤ(意思)、子どもたちに対するニーヤ(意思)を誠実に正しく持ち直すことから始めましょう。「アッラーのご満足を求めるために」という正しいニーヤ(意思)を立て直しましょう。

 

アッラーが私たちの家族とムスリムの子どもたちをお守くださいますように。

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