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預言者伝47

2013年07月04日 | 預言者伝関連

146.ヘラクルとアブースフヤーンのやり取り(続き):
  ヘラクルは通訳に言いました:次のように彼(アブースフヤーン)に言いなさい:私はあなたに、彼(預言者ムハンマド(平安と祝福あれ))の血統について尋ねたところ、彼は由緒正しい血筋の主だと言った。使徒たちも、民の中の良い血筋の中に遣わされてきた。また、このような言葉を、あなたたちの間から言う人間はいたかとの問いには、いいえ、とあなたは答えた。もし、彼以前に同じことを言ったことのある人間がいたなら、昔言われた言葉で自分を鼓舞(こぶ)しているにすぎないと思ったのだが。また、彼(預言者ムハンマド(平安と祝福あれ))の祖先に王はいたか?との問いに、あなたは、いいえ、と答えた。もし彼の祖先に王の類の人物がいたのなら、彼はきっと祖先の王権を求めているのだろうと思ったのだが。また、彼が今主張している言葉を言う前に、あなた達は彼を嘘つきだと疑ったことはあるか、との問いに、あなたはいいえ、と答えた。私は、彼が人に嘘をつかずにアッラーに嘘をつくことはないと確かに知っている。また、人々のうちの高貴な出の人たちか、それとも立場の弱い人たちが彼に従ったか?との問いに、あなたは、弱い人々が彼に従った、と言った。彼らは使徒たちの追従者たちだ。また彼らの数は増えているのか、それとも減っているのか、との問いに、あなたは増えている、と答えた。信仰の事柄も完結するまで同様である。教えに入って、捨てる者はいるか、との問いに、あなたはいいえと答えた。純粋さが心に混じる時、信仰心も同じである。また、彼は裏切るか、との問いに、あなたはいいえ、と答えた。使徒たちも同じく裏切らない。何をあなた達に命じているか?との問いに、アッラーを崇め、彼に何ものも配せず、多神崇拝を禁じ、礼拝と正直であることと貞操を守ることを命じているとあなたは答えた。あなたが言っていることが真実なら、彼はこの二つある私の足を置いている場所を所有することになろう。私は彼(預言者)の出現を知っていたが、彼があなたたち(アラブ)から現れるとは思わなかった。私が彼に到達できると分かっていたら、彼を見るために赴いたことだろう。もし彼のもとに私がいたら、私は必ずや彼の両足を洗ったことだろう(尊敬の表れとして)…そしてヘラクルは、ローマの強人たちを城に呼び、そのドアを閉じて、言った。ローマの人々よ!あなたたちの権力が保たれ、この預言者に皆で従うことに、成功と正しさはあると思うか?その途端、人々はドアの方へと逃げ出したが、それが閉じていることに気付きました。ヘラクルは彼らが逃げるのを見ると、信仰を諦め、言いました:彼らを私のもとに連れ返しなさい。先ほどの言葉は、あなた達の教えに対する忠誠心を試みたにすぎない。そして私はその結果を見た。すると、人々は彼に跪拝(きはい)し、彼は人々に満足しました。

  このようにして、ヘラクルは導きよりも権力を優先しました。後に、彼とムスリムたちの間に、アブーバクルとウマルのカリフ時代に数々の戦が起り、その中でヘラクルの権力と王権は消えて行きました。

147.アラブ諸太守(しょたいしゅ)への書簡:
  預言者(祝福と平安あれ)は、バハラインの主であるアル=ムンズィル・イブン・サーワーに、オマーンの二人の主であるジャアファル・イブン・アル=ジュランダーとアブドゥ・イブン・アル=ジュランダー・アル=アザディーン、ヤマーマの主で
あるハウザ・イブン・アリー、そしてハーリス・イブン・シャマル・アル=ガッサーニーに書簡を送りました。

  アル=ムンズィル・イブン・サーワージャアファルとアブドゥ・イブン・アル=ジュランダーが帰依しました。ヤマーマの主ハウザ・イブン・アリーはアッラーの使徒(祝福と平安あれ)に何か命じてほしいと申し出たところ、彼は断りました。ハウザはその直後に亡くなりました。

(参考文献:「預言者伝」、アブー・アルハサン・アリー・アルハサニー・アンナダウィー著、ダール・イブン・カスィール出版、P302~303、308~309)

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