かつてのひまな野球人の記

野球が好きだった医者が書きたいことを書き散らすブログ。今は保健センター教員をしつつ神経内科医と研究者もやっています。

ダメなものはダメです

2006年09月29日 20時29分26秒 | 一般
今日のチュートリアルでの1コマである。脳死と臓器移植をテーマにロールプレイをやらされたのだが、いろいろと家族が要求するパターンに対していかに説得するかということで、ダメと決まっていることに対して深みをもたせる返答はまずいということだった。政治家のような答えをしてはいけないらしい。家族は好意的にしかとらないからね、というコメント。藁をもすがる気持ちであれば確かにそうだろう。何とかしてそれこそ一縷の望みにすがろうとするのであれば、だ。そういうときには非情に思えてもきっぱりと伝えなければならない。
説得というのは難しいものである。殊にこういう問題においては。もっとも、主導権は医者の側にないので、あくまでできるのは参考意見を述べるのみであるが。もしかたくなに拒まれたなら、それで終了である。
そう考えると、いかに脳死下の臓器移植が難しいかもうなずけよう。実際これまでに日本でも50件に満たないのだから。この1年ではなく、これまで全てを合わせてこの数字である。
やはり、ダメなものはダメである。