POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 タイの英字日刊紙“THE NATION”(オンライン版)が、7月30日、“H1N1 may have hit half a million Thais”という記事を載せ、タイにおける「インフルエンザA(いわゆる「新型インフルエンザ」)」の感染拡大の深刻さを伝えています。このインフルエンザの流行はタイの日本人社会にも影響を与え、バンコク日本人学校(泰日協会学校バンコク校、“โรงเรียนสมาคมไทย-ญี่ปุ่น”)の3クラスが8月6日(水)からの夏期休暇を前に学級閉鎖中です。バンコク日本人学校は、1クラス35名前後のクラス編成で小学部が60クラスほど、中学部が20クラス弱あります。2,500名ほどが通学しています。



 タイでは、2009年7月30日の時点で、8,877人がインフルエンザAに感染し、そのうち65人が死亡しました。タイの保健衛生当局は、50万人以上がインフルエンザA(H1N1)のウイルスに感染している可能性もあると考えています。(The number of flu deaths and reported infections has risen to 65 and 8,877 respectively - but, in an alarming development, health authorities are estimating that more than half a million people might have contracted the type-A (H1N1) virus.

 タイの人口は、6,800万人ほど。この数字によれば、人口に占める感染者の割合が0.007%ほどになります。日々増加していますから、すぐにでも、100人に1人は感染者という事態になります。この感染者数は累積で、いま他人にインフルエンザAのウイルスを感染させる可能性のある人たちが100人に1人はいることを意味するわけではありません。しかし、人ごみの中に、発症者や不顕性感染者がいて、感染を拡大させている可能性は高くなっています。インフルエンザAに感染し、免疫を獲得した人たちが増えて、およそ2という「再生産数」(1人の感染者から平均何人感染するかを意味する。季節性インフルエンザは1強)を発揮するインフルエンザAに対する人の壁(集団免疫)が出来上がるまで、この感染拡大は続くのかも知れません。

 亡くなった人々(65人)のうち、「ハイリスク群」に属した人たちは41人でした。慢性肺疾患、心疾患、癌、糖尿病、腎不全などの疾患を持った人たちと肥満の人たちでしたが、妊娠をしていた人も3人含まれます。(Among those who have died, 41 suffered from health complications such as heart and blood vessel diseases, cancer, diabetes and kidney failure, three women were pregnant and some others were obese.)残りの24人は、健康に問題がなかったことから、治療が遅れたことが死亡につながった、と考えられています。(The other 24 fatalities did not have health complaints, but received delayed medical treatment, deputy permanent secretary for public health Paijit Warachit said.

 「世界的大流行(パンデミック)において、死亡者を出さないようにすることは不可能です。重要なのは、できる限り死亡者を減らすことです。」("In a time of pandemic, it is impossible to stop deaths. What's important is to reduce the number of deaths as much as we can.")ウイルスに対して最も効果的であると考えられている抗ウイルス薬オセルタミビル(タミフル)5万錠が医療機関に配布されるのですが、タミフルが濫用されて、ウィルスが「薬剤耐性」を獲得する(developing resistance to oseltamivir)ことのないように、監視が行われるようです。

 タイの私立アサンプション大学(ABAC)が7月20~25日に行った世論調査(タイの主要17県で実施し、約4,000人から回答)で、タクシン元首相の支持率は3月の調査では23.6%だったものが34%と、アピシット首相の32.9%(3月の調査では50.6%)を上回ったそうです。アピシット政権が経済危機による景気低迷に対して即効性のある対策を打ち出せずにいることが大きな要因ですが、このインフルエンザAに対する対応の遅れも影響しているのではないかという観測もあります。

 タクシン(タクシン・チナワット、ทักษิณ ชินวัตร、Thaksin Shinawatra)氏とアピシット(アピシット・ウェーチャチーワ、อภิสิทธิ์ เวชชาชีวะ、Abhisit Vejjajiva)首相の地域別の支持率で、タクシン氏の支持基盤である東北部が44.5%対18.4%というのは理解可能なのですが、バンコクが41.4%対36.2%というのは政情不安の深刻化をみてとれます。(北部:32.9%対28.8%、中部:32.9%対36.5%、南部:8%対66.3%)

 タクシン元首相支持派団体UDDは、きょう7月31日午後から深夜にかけ、バンコク都内の王宮前広場で集会を開き、タクシン氏の恩赦を求める署名活動(RED SHIRTS' SIGNATURE CAMPAIGN)の結果を発表します。UDD幹部は「300万人の署名を集めた」としており、8月7日にプミポン・タイ国王に提出する予定といいます。

 "The issue of a royal pardon has caused so much confusion, and organisers of the signature campaign have been flouting the law," PM's Office Minister Satit Wongnongtaey said yesterday. (THE NATION, July 31, 2009)

 インフルエンザAといい、政情不安といい、微笑みの国「タイ」は旅行の目的地からは遠い存在となってしまいました。

               (この項 健人のパパ)

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