POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 サイゴン(ホーチミン市)での宿泊ホテルは、「ボン・セン・アネックス」。そのホテルから歩いていけるところに「チャン・フン・ダオ像」があります。メリン広場がロータリーに中心にあり、そこに立っています。それを見に行くと言って、夫はひとりで出かけていきました。



(健人のパパの注)
 チャン・フン・ダオ(Trần Hưng Đạo、陳興道(功績を讃えて与えられた称号)、本名は陳国峻(Trần Quốc Tuấn))は、ベトナムの英雄です。1257年にモンゴル軍(Mông Cổ)が侵攻してきたとき、将軍としてベトナム軍(陳朝、Nhà Trần)を率いて、これを撃破しました。さらに、1282年のモンゴル軍(元朝、Nhà Nguyên)の侵攻に際しても、総司令官としてゲリラ戦を指導し、1288年モンゴル軍を撤退に追い込みました。

 元軍の侵攻と聞けば、私たち日本人は、「元寇(中国の呼称、「元軍侵日戦争」)」を思い出しますね。1274年の文永の役(中国の呼称、「第一次入侵」)、1281年の弘安の役(中国の呼称、「第二次入侵」)で元軍の侵攻を撃退していますから、同時代のことです。

 このベトナムの国民的英雄の像が、このロータリーの中心に立っているのです。
(注の終わり)



 しばらくして、夫が帰ってきました。

「どうだった。」
「私は日本人に見えるのかな。」
「見えるわよ。」
「韓国人や中国人には見えないのかな。」
「どうして?」
「いや、ホテルを出て、通りを渡ろうとしたら、道端のおじさんに「アジノモト」って呼びかけられたんだよ。」
「へ?」
「「ホンダ」や「ヤマハ」ならバイクのメーカーだから、わかるけどね。「味の素」ってのは、ベトナムでよく使われているのかな。」
「まだベトナムの食べ物をあまり口にしていないけど、バンコクやバリの経験から言えば、東南アジアではよく使われていると思うわよ。」
「そうなのかな。」
「化学調味料を使えば、安く味付けできるからよ。私は絶対に使わないけどね。」
「私もいやだな。あの舌に残る後味が好きじゃない。」
「私は口に含んだらすぐにわかるの。あなたは食べ終わってから、「これちょっと味が変!」だわよね。」
「「アジノモト」って言われるのは光栄じゃないな。」

 日本のイメージは、「アジノモト」なのでしょうか。その製品名で日本のイメージが決まるのは、ちょっと悲しいものがあります。日本文化を評価した呼称なら、まだしもです。

 でも、「マンガ」、「アニメ」、「オタク」と呼ばれたりしたら、これもどうかな。ロンリー・プラネット社の発行するガイド・ブック“JAPAN”を読んでみると、日本における危険という記事の中で、混雑した列車に乗るときは用心することとあります。その中で、“chikan”という単語が出てきます。被害にあったら、“Chikan!”と大きく叫びなさいと書いてあります。これは古い版からそうです。このイメージも悲しいです。

 どんなイメージならうれしいかな。その翌朝、健人を連れて3人で出かけました。通りを渡ろうとすると、背後から「おはよう。アジノモト!」

 出た!「アジノモト」おじさん。おじさん、何の仕事をしているの。いつもそこにいるの。声をかけるのは、日本人に対する親しみの情なの。微笑み返して、その場を去りました。

(追記) ハノイでも、「アジノモト」と声をかけられました。誰からかはわかりませんでしたが、ここでも「日本人」=「アジノモト」ですか。

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