ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

ビデオの日

2008年01月31日 | 映画


見られるときにビデオと思い、久しぶりにビデオ三昧の
日を過ごす事となった。
世の中の動きとは時間差があるが、徐々にビデオから
DVDに移行しつつあるので、ビデオも後どれほどの命か
分からない。
存命中に多くの時間を。

まず一本目は「アンダルシアの犬」。
これはかなり短い作品なので、あっという間に見終わ
る。
しかし、有名な眼球を剃刀で切るシーンは、後半にあっ
たかと記憶していたが、冒頭にさっさと出てきて、自
分の記憶力の曖昧さを思い知ることとなった。
前回は(何十年か前)、なんだか訳の分からない映画
だと思っていたが、今回改めてみると、全くそんなこ
とは無く、ある種の連想ゲームだなと納得しながら見
た。
グリーナウェーの「Zoo」は、この映画をヒントに
したのではないかとか、いろんな発見もあり、まずは
ダリとブニュエルという二人の才能の奇跡的な出会い
に感謝した。

そして次はジョン.ウォータースの「セシルB.ザ.シネマ
ウォーズ」。
商業主義のハリウッド映画を徹底的に糾弾する映画で、
その変態的パワーが全編に充溢している。
その徹底した馬鹿振りは、感動すら覚える。
メラニー.グリフィスもよく出演したものだ。
見ようによっては、カルト集団のテロリズムであるが、
つき抜けた世界がむしろ清清しい。
バタイユの「青空」を思い出してしまった(ちょっと無
理無理ではあるが)。
となると「アンダルシアの犬」は「眼球譚」である。

そして三本目は、たけしの「ドールズ」。
ずっと前に録画して、そのまま放置されていたビデオ
で、やっと日の目を見ることになった。
前評判は良くなかった。
しかし、思ったよりは悪くはなった。
宣伝に使われたシーンが、菅野美穂が紐でつながれな
がら歩くシーンで、ある種のわざとらしさを感じて手
をつけてなかったのだが、実際見てみると、あのシー
ンは、現実的な場面というよりは、冒頭に出てくる人
形浄瑠璃の人間版として見るべきものだったのだ。
つまり、近松の心中ものだ。
だからドールズか。
人形浄瑠璃が近松か本当のところは知らないが、そう
ではないかと思った。
映画の、他の挿話も、心中ではないがある種の純愛物
語で、全て最後は悲劇。
ハッピーエンドにすれば、ちょっと良い話としてそれ
なりに受けたと思うが、たけしの映画は、常に一般受
けから遠く離れて、である。

と、色の違う映画を三本見て、最後はサッカーのボス
ニア.ヘルツェゴビナ戦だ。
結果快勝だったが、今回の相手は、ちょっと緩かった。
崩して得点とはなっていない。
まだまだこれからだ。
それにしても、疲れた。

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