スノッブなM氏が、自分のパソコンが壊れたたと言っ
て、音楽用の、ウォークマンか何かのUSB接続の記
憶媒体(なんて言うのか知らないので)を持ってきた。
どうやら充電してほしいらしい。
こちらのウォークマンの知識は、カセットテープの時
代で停止しているので、最近の状況は全く判らない。
言われたとおり、自分のパソコンに接続した。
すると、今充電してますよマークのようなものが表示
され、「ということは、充電が終わるとこの表示が消
えるかするわけね」とM氏に聞くと、「さあ多分」と
とぼけた返事をした。
自分のものなのに、良く分かっていない。
ったく、とっつぁんしっかりしてくれよ、という気分
だ。
更に「時間はどのくらいかかるの」と聞くと「さあ四
五十分くらいかな」と同じような心もとない返事。
「まあ、やってみれば分かるからいいか」とこちらも
それ以上は追求しなかった。
それにしても、今はこんなUSBメモリーのようなも
ので音楽が聴けるのか。
しかも、テープなんか比べものにならないほどの長時
間の音楽が。
と、現物を見ると驚きの一言だが、正直なところ、こ
れで外で聴きたいとは思わない。
満員電車などで、自分だけの世界に浸っている光景を
良く目にするが(本当は良く見ているわけではなく、
典型的な光景としての情報として植えつけられている
に過ぎないのだが)、昔、カセットテープの頃これは
良いと思って何回か試みた事があったが、全く没頭で
きなかった。
ヘッドフォンでも同じだが、どうも音がでかすぎるの
だ。
耳に心地よくないのである。
例えば一度、立川競輪場に持って行った時、レースと
レースの合間(結構長い)に聴けばちょうど良いなど
と思っていたのだが(因みにそのテープにはレッドツェッ
ペリンのⅠとⅡが入っていた)、実際やってみるとど
うにも落ち着かず、それ以降は止めた。
やはり、その場の雰囲気を味わうのが良いようだ。
満員電車も、その満員電車の雰囲気を味わう、これが
正しい態度なのである、ということでは全くないが、
感覚的に、外での音楽は駄目な様である。
それでM氏はどこで聴いているかというと、パチンコ
屋だ。
おいおい、スノッブな人間がすることか、ということ
はこの際置いといて、その喧騒の中でジャズを聴くの
である。
こちらとしては、難聴の道まっしぐらだね、或いは、
痴呆の道への一里塚だね、と馬鹿にするだけであるが、
本人は一人ジャズを聴いて悦に入っている。
ったく、阿呆か。