日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

東芝HD-DVD「敗北」に至った誤算から学ぶこと

2008-02-18 | ニュース雑感
先週末の東芝HD-DVD業務見直し報道で、次世代DVDめぐるブルーレイ対HD-DVDの主導権争いに終止符が打たれました。意外に早い決着の裏事情を探ってみます。

ご存知次世代DVD、ブルーレイ陣営はSONYを盟主とする松下、シャープ連合、一方のHD-DVDは東芝が開発しマイクロソフト、インテルなどPC関連企業が後押ししていました。これは、特許に固執する東芝を各ライバル家電メーカー達は嫌い、ソニー陣営への結集を促した結果のようです。このこと自体が敗北の原因ではないと私は思いますが、IT産業が東芝陣営に結果集まったことは、決してプラスではなかったことは確かなようです。

一般的に今回の勝敗を決めたのは、ハリウッドの映画会社をどれだけ押さえられたかであり、最終的に1月のワーナーブラザースの、HD-DVD陣営からの脱退ブルーレイ支持が、東芝に引導を渡したと言われています。では、ワーナーはなぜHD-DVDを切ったのでしょうか。

どの映画会社も、商品の一本化は製作コスト面から考えてぜひとも望むところだったでしょう。そして、当初は現DVDプレイヤーとの互換性、ソフト制作コストの低価格化が可能である点などから、HD-DVD優位と伝えられていました。

水面下の転機は、ソニーのトップ交代だったと個人的には思っています。両陣営の規格統一折衝が決裂した05年にハワード=ストリンガー氏がソニーCEOに就任し、ブルーレイはストリンガー人脈を使ったハリウッド攻略に打って出たと聞いています。ディスクの記憶容量等性能で勝るブルーレイですが、過去のビデオ対決で画質で勝りサイズでもコンパクトだった「β」を持ってして、敗れた記憶も未だ生々しいソニーのこと、絶対に二の舞は踏むまいと考えたに違いありません。

ソニーが「β」での敗戦から学んだことは、商品の高性能アピールよりもソフトの大量流通経路を押さえろということ。すなわち当時、雨後の竹の子のように増殖を続けていたビデオレンタルをいち早く抑えたVHSが、高性能の「β」を抑えて勝利を手中にしたことを教訓とすることでした。そして今回、ストリンガーCEOは、元CBSテレビ出身の豊富な米国映画界人脈を駆使して、ビデオレンタルよりもさらに川上である米ハリウッドを抑えにまわり、驚異の引き込み作戦を展開したのでした。

一部ではハリウッドの大手映画配給会社がブルーレイを選んだ大きな理由は、IT配信に対する著作権上の懸念があったようにも言われています。すなわち、はじめに書いたようにブルーレイ陣営は家電チーム、対するHD-DVD陣営は結果ITチームとなってしまい、ハリウッドはITで情報を垂れ流さず、家電としての光ディスク主流イメージの家電陣営により好感を持ったのではないか、という推測。この話、なかなか説得力ありますね。

このような状況が水面下で着々と進行する中、ブルーレイ陣営は、昨年後半から機器の早期市場投入で機先を制し、ブルーレイの優位イメージを戦略的に作り上げる戦術を打って出ました。そしてこれが大成功。年末商戦の雌雄が決した年明け1月、ついに映画ソフト配給最大手のワーナーがストリンガー氏のラブコールに応え、ブルーレイ一本化を決めるに至って、決戦の勝敗は意外に早く決したのでした。

余談ですが、東芝の今回の決断は本当に早かった(正式発表はまだですが)。やはり高度成長の時代とは違う現状の経営環境の中、決して順調とは言い難い東芝家電部門において「キズが深くならないうち」の早期撤退を判断したのでしょう。そして株主重視の経営という現代の風潮も、決断を急がせた大きな要因であると思われます。無用なコストが垂れ流し状態になる争いの長期化は、株主代表訴訟の対象になりかねないとの判断があるのは確実です。

さて今回の一件は、ビジネスにおける沢山の鉄則の中から3つのことを印象的に教えてくれました。
ひとつは、「ビジネスは、より源流を抑えたものが勝利に近づく」ということ。
ふたつ目は、「ビジネスは、あらゆるイメージ戦略が大切である」ということ。
三つ目は、「ビジネスは、商品の価格や性能だけでなく人脈の有無が大きくものを言う」ということ。

あらゆるビジネスにおいて源流を探る探究心を持つこと、自分の見せ方も含めどんな場面でもイメージ戦略を忘れないこと、ヒマがあったらコツコツ人脈をつくること。ビジネス・パーソンは、今回改めて学んだこれらの鉄則を肝に銘じてがんばりましょう!

<音楽夜話>「ロックンロールの未来」と言われた男

2008-02-17 | 洋楽
ひと昔かふた昔か前に、VSOP=ベリー・スペシャル・ワン・パターンという流行語がありました。

音楽界のVSOPと言えば、すぐに思い当たるのは、日本人ならサザン・オールスターズに松任谷由実、吉田拓郎や浜田省吾もそうですね。日本のビッグネームたちには、どうもVSOPが多いように思います。

個人的なVSOPの基準は何かと言えば、1枚アルバムを聞くとすごく良いと思い、もう1枚聞くとなるほどこれも良いなぁと思う。3枚目になると、何となく聞き慣れた気がして、4枚目ともなると「う~ん、これ前に買ってない?」と自問自答します。5枚目以降は買うのを躊躇しつつも買って「また同じだ」とやや後悔、最終的には「中から一番良いアルバムを1枚持っていればいいかな」と思わせられてしまうアーティストです。先のビッグ・ネーム達、なんか分かる気がしませんか?

海外でVSOPなビッグ・ネームと言えば、個人的には何と言ってもブルース・スプリング・スティーン。売れなかったファースト、セカンド、ブレイクした「明日なき暴走」、その次作「闇に吠える街」、2枚組の「リバー」も、もうひとつの代表作「ボーン・イン・ザUSA」も、さらにはその後続々出されるアルバムも、ベスト盤も、結局どれも私にはみ~んな同じように聞こえます。

ファーストもセカンドも出来は良かったのにPR不足で全く売れず。同じような内容でも75年の3枚目「明日なき暴走」が爆発的に売れたのは、批評家ジョン・ランドゥ(後にブルースのマネージメントを担当)の「ロックン・ロールの未来を見た」という名コピーに反応したタイム誌、ニューズ・ウィーク誌が同時に表紙にブルースを使ったことによるのです。コピーライティングひとつで、大ヒットはこんなにも簡単に誕生させられてしまうのだと、“言葉の魔術”には感動さえ覚えます。

A1「涙のサンダー・ロード」こそ、彼のVSOPの原点であると思います。ピアノを機軸にしたシンプルな演奏をバックにワイルドに吠える、そして荒々しくからむサックスの音色・・・、確かに当時としては、ここに「ロックン・ロールの未来」が見えたのかもしれません。当時日本では、佐野元春をはじめとして、そっくりな音づくりでマネをするアーティストが続々登場したのにも驚かされました。余談ですが、この曲私の“空耳ソング”でもありまして、「オー、サンダー・ロード・・・」を連呼する終盤の部分、「オッさんだろ?オッさんだろ?・・・」と聞こえます。

タイトル曲B1「明日なき暴走」についても一言。かっこ良すぎですよね。何がって、演奏とか曲の良し悪しと言うよりも、全体感としてのこの曲が持つ雰囲気っていうのでしょうか。彼がアメリカで「THE BOSS」と呼ばれ、未だに他の追随を許さぬ大ヒーローであり続けるのは、この曲にイメージされる独自のアメリカンでワイルドなスタイルがあるからではないでしょうか。

ジャケットもギター片手のモノクロ写真(裏ジャケに続くブルースが寄りかかる背中は、ビッグ・マン=サックスのクラレンス・クレモンス)は最高のセンスです。
ビデオ・クリップも「なんじゃコレ!」って言うぐらいカッコいいですよ。
↓必見です。↓
★明日なき暴走(ライブ動画)
http://jp.youtube.com/watch?v=aQewwkbrp8o&feature=related

社長の孤独を癒やす人・ヒト・女(ひと)?

2008-02-15 | その他あれこれ
〈経営のトリセツ~番外編〉といったノリでひとつ。話半分程度に聞いてもらってけっこうです。

今も昔も「社長は孤独」です。周囲から気を遣われ、持ち上げられて、でも周囲の本音は分からない。悩んで悩んで、役員に相談したり、部長の意見を聞いたり…。でも、決して彼らに弱いところは見せられませんし、すべてを見せてすべてを相談することはできないのです。

それは、取締役や部長の肩書きはあくまでひとつのポジションですが、社長の肩書きは「役柄」だからです。そしてその「役柄」をうまく演じなくてはいけません。会社をうまく成り立たせていくためには、役員はじめ全社員を安心させついて来させなくてはいけないからです。組織がしっかりして社長の役割が明確になっている大企業のサラリーマン社長は別ですが…。

孤独に「社長」役を演じる中小企業のトップには、相談相手が不可欠です。時に的確なアドレスをくれたり、時にヒントとなる情報を与えてくれたり、時にはジッと相槌を打って話を聞いてくれたり、また時には愚痴に付き合ってくれたり…。相談相手、それがいるかいないか、社長が成功するか否かは、意外なほどその点にかかっていると言っても良いのです。

相談相手がいない社長は、次第に周りの言葉の何が本当で、何が嘘かは分からなくなり、いつしか「裸の王様」になっていくのです。社長の誤算、社長の失敗は、こんなことから生まれてしまうのです。

私が知る成功した社長方は、形は違えど本音で話せる相談相手を持っています。一番わかりやすい相談相手はコンサルタントです 。社長方は、なぜあんなにコンサルタントが好きなんだろうかと思いませんか?同じ目線で問題を共有してアドバイスをくれるコンサルタント。孤独な社長の一番の相談相手を、コンサルタントに求めるケースは意外に多いのです。

だからなのですが、私は新規のお客様からお声掛かりをいただいた際には必ず、「コンサルタントを決める際の判断基準は、仕事のできるできない、知識のあるなし以上に社長との相性ですよ」とお話します。我々中小企業コンサルタントの役割の大部分は、社長の悩みにお応えすること、悩みの解決のヒントを提供すること、時には社長の悩みや愚痴を聞いてあげることだからなのです。

「コンサルタントは何の役に立っているんだ?」と思っている社員の方も、間々いらっいしゃいますよね。私は、中小企業コンサルタントは、改革プロジェクトの運営や改善策の提示以上に、社長が気兼ねなく何でも相談できそれを返す相手でありさえすれば、最終的には企業経営の舵取りに大きく役立っているのだ思います。だからこそ、社長との相性が大切だと思うのです。

とまぁ、ここまではコンサルタントの宣伝文句みたいになってしまいましたが、コンサルタント以外にも成功した社長は相談相手を持っているケースが多いのです。

例えば飲み屋のママ。「あんな若い娘もいない飲み屋に、なんで社長はいくんだろう」「なんであんな高い店にしょっちゅう行くんだろう」「酒が好きな訳でもないのに、なぜかあの店には通ってるんだよな」と疑問を持つような社長の夜の行動ってありませんか?こんな場合、たいていは決まって下心よりも“聞き上手なママ”相手の会話目当てなんです。つまりは「夜のコンサルタント役」を彼女たちはしてくれているのです。

最近もてはやされているコーチングなるビジネス。コンサルとは似て非なるもので、どちらかと言えば有料の“聞き役”です。専門的な領域には入り込まないものの、上手に相手の話を引き出して「気づき」を与える役割なのです。どうも考えようによっては、「聞き上手なママさん」と共通する役割がありそうです。人気の秘密は、「聞き上手なママさん」を探して飲み屋街を夜な夜な俳諧する手間が要らないことと、“相談”しにお店に足繁く通うより経済的なことかもしれません。

「社長の孤独」は時代は変われど、永久不滅の摂理です。我々コンサルタントも、コーチング・ビジネスのコーチも、“聞き上手”な飲み屋のママも、「孤独な社長」の相談役という意味では同業者と言ってもいいのかもしれませんね。

ネットの便利さと危うさと・・・ ~ “誤報”ヤラセ事件の顛末

2008-02-14 | その他あれこれ
本日は昨日の件の、当ブログ緊急修正の顛末と反省の弁を一言。

昨日の件とは、テレ朝の報道が志賀高原のサルを餌付けして町におびき寄せてヤラセ取材した、という一件です。

そもそもこの事件を知ったのは、昨日朝の「ライブドアニュース」TOPの「アクセス・ランキング」でした。私は通常、毎朝新聞の他YAHOO、グーグル、ライブドアそれぞれのニュース面を読んでいます。WEBニュースは活字媒体よりも情報が早いので、HOTニュースを仕入れるのにはもってこいなのです。

昨日の午前9時段階で「アクセス・ランキング」急上昇中。10時には一気に1位になっていたのが、このニュースでした。出どころが、地元ホテルのブログであったということが、情報としてはやや不安な感じもしたのですが、昨日当ブログでも使用した写真まで掲載されていたので、これは大事件と思いました。

しかも調べると、一昨日夜から2ちゃんねるはじめ各掲示板やブログで既に「祭り」状態。先日の倖田來未の「羊水発言」の「祭り」よろしく社会問題化するのは時間の問題と思い、かつテレ朝には年末の「マクドナルド事件」もあって言いたいことがありましたから、迷わず字にしてみたと言うわけです。

ところが、その日のうちにテレ朝の全面否定コメント、ホテル側の「証拠なしにつきお詫びとブログ削除」という展開に。ネタモトのライブドア。ニュースからも当該ページが削除されるという予想もしない事態に陥っていました。私がこの事実を知ったのは今朝のことでした。とっさの判断で、出掛けのわずかな時間にブログの一部を書き換え、「サルヤラセ」に言及した部分は削除または修正させてもらいました。

確固たるウラも取れてるかどうか分からないWEBニュースネタを、安易に取り上げた私の判断ミスと、大いに反省させられた次第です。皆さまにも、確認の取れていない情報を確報であるかの如くお伝えし、大変ご迷惑をお掛けいたしましたこと、お詫び申しあげます。

ただし、昨日のブログの主張、趣旨に関しましては、全く変更しておりません。「マクドナルド事件」におけるテレビ朝日の対応は、昨日の事件の真偽がどうであろうと、責められてしかるべきものであり、過去の朝日新聞グループにおける“ヤラセ取材”の歴史から考えて、その組織風土に反省すべき点が多くあるのだということを指摘することは間違った判断ではないと考えたからです。この点は、改めて強く申し述べさせていただきたく思います。

しかしながら、いわゆる「裏とり取材」を原則とするマスコミの報道に慣らされた自分の、WEB情報収集に対する無防備さに関しては反省しきりであり、即座に正すべき課題として大いに勉強をさせてもらったと思っております。マスコミのような取材のイロハを叩き込まれたプロが取材し伝える情報よりも、一般人のある意味“危うい情報”の方が数段多く溢れかえっているWEBの世界の怖さを垣間見た気がいたしました。

いつ自分が、言われのないことで「祭り」ネタにされ、陥れられるかも分かりませんし、また逆に不用意に自分がネット上で入手した情報を書き連ねることで、他人を陥れあるいは冤罪の片棒を担がされる危険さえも感じさせられる一件でありました。

ネットの便利さを享受するものは、同時にその危うさも背中合わせで持ち込んでいるのだということを、自戒の念を込めて申し述べておきたいと思います。

“ヤラセ発覚?”に思う ~ 朝日新聞グループの病んだ組織風土

2008-02-13 | その他あれこれ
本日はマスコミの報道のあり方に一言。というもの、またもやテレビ朝日が“ヤラセ”をやらかしたというニュースを耳にしたからです。

今回の“ヤラセ”は、志賀高原で野生のサルが山を下りて町に出没し旅館などが困惑しているとの報道が、実はテレ朝がサルに餌付けして町におびき寄せるという“ヤラセ”をしたものであるとのことなのです。当地の旅館のブログで、この事実が書かれ発覚しました。とここまでは、昨日朝の段階のWEB情報。

その後WEBでの“祭り”を受けて、テレ朝が本件を全面否定。ホテル側も、証拠がないとの理由から、一転ブログ削除と言う不可解な展開になってしましました。まぁ、今回の事実関係がどうであれせっかくの機会ですので、昨年の「マクドナルド店長ヤラセ事件」を題材に、朝日新聞グループのマスコミとしての姿勢の問題点については指摘をしておきたいと思います。

朝日新聞系列は以前より“ヤラセ”の宝庫です。古くは85年のテレ朝ワイドショーの暴走族の「やらせリンチ」報道。さらに社会問題化した歴史に残る“ヤラセ事件”、89年のサンゴ事件は朝日新聞本体でした。沖縄のサンゴにイニシャルを刻み込んで、それを「心ないダイバーの仕業」として新聞1面の写真記事で取り上げたものです。この一件以来、ヤラセを平気ですることを「アサヒる」と言われるようになり、「ヤラセ=朝日」のレッテルが貼られるようになったのです。

その後もたびたび“ヤラセ”問題は勃発。記憶に新しい昨年11月には、「マクドナルド店長ヤラセ事件」が起きました。テレ朝系夜の報道番組「報道ステーション」内で、マクドナルドの賞味期限切れ商品改ざん事件に関連して、「元店長代理の証言」として店員の制服を着て店長代理のバッジをつけた元店員なる人物が内部告発の発言をするという行き過ぎた演出が、番組側の「ヤラセ」であったという一件です。

12月に謝罪コメントしたメインキャスターは、番組中、告発発言者に過去の制服や名札を着用させて出演させたことに関し、「これはほんとうに間違ったやり方です。申し訳ありませんでした」と謝罪したものの、「あえて『報道ステーション』は、そのことを報告させていただきました」との発言をしたのです。

疑惑を投げられて、自分たちが間違っていたのなら、お詫びして事情を詳しく答えるのが当然の義務でありながら(彼らはいつも、そういう態度で対不祥事企業取材に臨んでいる側なのです)、「あえて」とは何の思い上がりでしょう。

「あえて」の意味を辞書でひいてみると、「(しなくてもよいことを)強いてするさま。わざわざ。無理に。」とあります。しなくてよいことを無理に…?「ヤラセ」というマスメディアとしてやってはいけないこと、すなわちコンプライアンス違反を犯していながら、この言い草です。本当に「朝日」は勘違いも甚だしいマスコミです。「官系組織」と同じく、「朝日新聞グループ」の組織風土がそうさせているとしか言いようがありません。

これはまさに、朝日新聞グループ内に蔓延する大手マスコミの特権階級的「思い上がり」に他なりません。そして、マクドナルド事件のような「ヤラセ」はイコール「コンプラ違反」であるとしっかり認識したうえで、マスコミとして取り返しのつかない過ちを犯しているのだと言う理解を、グループ全社員に行きわたらせることが必要なのではないかと思うのです。あの「思い上がりコメント」を聞いている限りでは反省の色など全くなく、「ヤラセ事件」は必ずまた起きると断言していいと思います。

先のコメントににじみ出ている、世論という時代の「空気を読めない」ほど思い上がりの激しい朝日新聞グループの体質。思い起こせば、89年のサンゴ事件の時、“ヤラセ記者”が刻んだイニシャルは奇しくも「KY」。なるほど「空気が読めない」のも、その当時から受け継がれた同新聞グループの組織風土のようです。

(本日のブログは、一部掲載情報の真偽につきまして、その後疑義が生じたため、筆者の判断により一部内容を差し替えさせていただきました。14日9:30改訂)

経営のトリセツ19 ~ 中小企業も注目!「内部統制」の重要性

2008-02-12 | 経営
ご無沙汰してます〈経営のトリセツ〉です。

J-SOX法なる法律をご存知でしょうか?正式名称を「金融商品取引法」といい、ライブドアやカネボウ、西武鉄道などの粉飾や虚偽発表事件を受けて、投資家保護を目的に上場企業の虚偽のない経営情報開示を義務づけるべく定められた法律です。米国の同様の法律「サーベンス=オクスリー法(SOX法)」になぞらえて、一般的にこの名で呼ばれています。

「上場企業対象だから、中小企業には関係ないじゃん」とお思いの方、実はその認識は大きな間違いなのです。この法で目指すところは、「ウソやインチキ、違反、ごまかしなどのない企業経営」であり、その意味ではまさにコンプライアンス経営の実現そのものだからです。

それともうひとつ、上場企業に義務づけられたということは、下請けや取引先にも同様の考え方での企業経営を求められていく流れは避けられないものであり、言わば企業経営の考え方のディフェクト・スタンダードになる可能性が高いと言えるのです。

もちろん、中小企業が上場企業と同じ基準で社内整備をしなくてはいけないということを言っているのではありません。ただ、基本の考え方を理解し、経営者が率先して範を示しつつ社内改革を進めることが肝要であると思われるのです。

では、J-SOX法の基本的な考え方って何でしょうか?一言で言うとそれは「内部統制」の構築です。「内部統制」?英語の「インターナル・コントロール」をそのまま直訳しただけの言葉で、至って抽象的で分かりにくいですね。噛み砕いて言うと、「インチキやズルや、さらには違反や犯罪ができないような社内業務体制づくりをする」ことなのです。

対象は社長、役員を含む全社員の全業務プロセス。「えっ?社長も?」とお思いの方もあるかもしれませんが、社長が一番悪いことができる環境にあるのです。社長はすべての権限を握っている立場であり、社長の行動を監視しなければ、内部統制は成立しないのです。

次に「内部統制」とは、具体的に何をすればいいのかですが…
まずすべきことは、すべての業務プロセスの「見える化」です。すべての仕事を白日の下にさらすことで、悪いことや間違ったことをしたら、すぐに分かるようなシステムを作り上げるのです。

どんな組織でも、仕事が人に貼り付いて長く時間が経過すると、その仕事はその人以外何をどうやっているのか分からなくなり、仮に悪いことをしても全く誰も気がつかない、という事態に陥ってしまうのです。そうならないための対策でもあるのが、「業務の見える化」なのです。

次に業務の見える化ができると、他にどんなメリットがあるのかですが…
まずは、業務の無駄が見えやすくなります。第三者が、見えるようになった業務フローの無駄を指摘したり、他の担当者や他のセクションとのダブりを見つけやすくもなります。そして業務プロセスが見えることで、再鑑などのチェックポイントも明確になりますから、相互牽制も働き「事故」の防止にもつながるのです。

こうして見てくると、内部統制は「コンプライアンス経営」そのものであり、また「見える化」そのものであり、まさに今の企業がその規模の大小を問わず求められていること、やるべきことを凝縮したものであると、お分かりいただけると思います。

中小企業の経営者の方も、J-SOX法の基本的理念と「内部統制」の考え方をぜひかじっていただきたいと思います。「内部統制」につきましては、折を見てまたお話させてもらいます。

橋下新知事の「NHK許すまじ!」に強く共感

2008-02-11 | その他あれこれ
前回のブログで、「いけ好かない野郎だと思っていた橋下新知事が、“官”に対してなかなかいいことを言っていた」と書いたのですが、また言ってくれましたね。今度は対NHKです。

知事は8日のNHK関西ローカル番組出演時に、民間ではあり得ない大変無礼な「官僚的行為」があったと怒り心頭です。

事の顛末を「ライブドア・ニュース」を元にまとめると、以下のとおりです。

そもそも橋下知事のレギュラー番組とぶつかる時間帯の出演依頼に、「裏番組に出られるわけがない。民放なら常識ですよ」とやんわり断っていたものの、NHKは「公務を切り上げてでも出ろ。(裏番組は)関係ない。公務外だ」と、尊大な態度で出演を迫ったと言います。

さらに東京から帰阪する新幹線にも、スタッフを同乗させるという徹底管理ぶり。「公務の関係で初めから絶対、間に合わないと言っていた」「出るのが当然だと、あいさつもなくスタジオまで連れて行かれ、最大限に頭に来ていた」おまけに、局に入っても「お疲れさまです」などの、あいさつの一つもなかったとのことです。

こういった伏線を経て「頭にきていた」橋下知事に、番組司会者は開口一番、「30分の遅刻ですね」と悪者扱い。何とかせき止めていた感情が、大噴火したという訳です。「お金が黙っても入ってくる組織は、こういうものかと。民間の企業ではああいう態度はとれない」。9日の会見席上で、NHKもカメラを構える前で同局に対する怒りを抑えきれない様子だったようです。

橋下知事の怒りはごもっとも。まさに、このNHKの対応こそが私がいつも言っている“官系組織”の人を蔑んだ態度そのものです。先日のインサイダー事件の反省が、全く生かされていないの一言です。要は「管理が甘くて悪かったね。インサイダーが起きないようにすればいいんでしょ」的な気持でしか対応していないということが、よく分かりました。私が1月18日のブログで書いたような、組織風土に起因する不祥事であるとの捕らえ方を、全くしてないことの証です。

おそらく、国交省も防衛省も社保庁もJTも、み~んな同じだと思います。不祥事に対してその場しのぎの「言い訳」や「再発防止策」を提示して、他の大事件発生によってマスコミの論調が落ち着くのを待って、何事もなかったかのような態度でやり過ごす…。一連のすべての不祥事は、組織の組織風土にこそ根源の問題があるのであり、それを省みないでやり過ごすことは「再発防止策」が無意味であるどころか、反省すらしていないのと同じであると断言できます。

今回の橋下知事の一件に関し、私は彼を全面的に支持します。徹底的に闘ってもらいたい。「官系組織」のまちがった意識の矯正を、全国的なキャンペーンとして展開する絶好のチャンスです。今回やらなければ、また同じような不祥事や皆の小さな嫌な思いは脈々と続いていってしまうのです。今こそ声を大にして、「官系組織の非常識一掃」を全国津々浦々から口々に訴えていきましょう。

血税でカラオケセット?改めて言おう!「官」は心の民営化を急げ!

2008-02-08 | その他あれこれ
何度取り上げても、何度言ってもまたぞろ出てくる「官系団体」の“親方日の丸”体質に起因する“事件”。今度は、今話題の渦中にある「ガソリン税暫定税率」に係る道路特定財源税収での無駄遣いです。

97万円のカラオケ・セットに20万円のマッサージ・チェア、さらには部活ユニフォームや道具まで…。しかも、指摘を受けた国交省事務次官が一旦は「正当な手続きを踏んだ支出」などと、平気で公言する始末の悪さ。それが「官」の常識ですか。国民をなめるにもほどがあります。会見の原稿を作った官僚も、チェックした管理者も、読んだ事務次官も、皆同じ「官」の“常識”に毒されているようです。

コンプライアンスの意味を、国家上級職キャリア官僚の方々はお分かりなのでしょうか。「法を守っていればコンプライアンス違反ではない」なんて思っているとしたら、とんでもない。それじゃ○○エモン氏と同じじゃないですか。モラルや倫理というものは、どこに置き忘れたのでしょうか。

たまたまガソリン税暫定税率廃止問題で噴出した今回の「事件」。国交省は元より、他省庁も含めて明るみになっていない“コンプライアンス違反支出”は、まだまだ他にもたくさんあるハズです。

民間企業でひとたび不祥事が起きれば、「同じような事例は全部洗い出せ」「これで全部だな?」「嘘だったら会社はつぶれるからな!」ぐらいの勢いで、調査と結果開示を求められます。今回の件に関しても、全省庁は国家行政機関の連帯責任として、最低過去5~10年程度の期間について、同様の物品購入や遊興費用への流用を、調査し開示をすべきであると考えますが、いかがでしょう?

今回の事件のように財源を目的外で無駄に使った分は全額、各省庁管理職全員の今後の給与、賞与から返還をさせるのが筋でしょう。「つぶれない」という危機感のなさ、誰のおかげで自分の収入があるのかという意識のなさ(民間企業は皆、「お客さまのおかげ」と実感しています)が、すべての不祥事の根源にあるのは間違いのないところなのです。

先ごろ当選した橋下大阪府知事。タレントでかつ「士業」のいけ好かないアンちゃんと思っていましたが、就任会見でなかなかいいことを言っていました。

「破綻財政を作った責任を大阪府の職員は当然負わなくてはいけない。破綻組織で給与カット、賞与カットは当たり前。民間企業では皆やっている常識なんだから」というものです。まさに、おっしゃるとおり。公務員と民間ビジネスマンとの意識のずれの最大の原因は、まさにその有無にこそあるのです。

この点は、私がいつも申しあげている通り。民間組織が危機に陥れば、給与・賞与のカットは当然のこと。“親方日の丸”の方々にはそういう危機感すらないから、いい加減なことを平気でして、コンプライアンスだって甘~く見ているわけです。先の事務次官会見が、すべてを物語っています。

国交省も、防衛省も、社保庁も、JRも、NHKも、JTも…、官僚、公務員、現&元の官系企業等少しでも「官」の息がかかった方々は、まず自らを反省し、民間の厳しい現実を知ってください。“官系者”が今後同じような不祥事を二度と繰り返さないためにも、即刻過去の不祥事の一斉洗い出しとその反省を求める罰則の実施により痛みを感じさせ、「官」系の一人ひとりに真の「心の民営化」をおこなわすべきではないかと思うのです。
(写真は、問題噴出で連日不夜城の「国土交通省」)

卓球界の“救世主”!?~四元奈生美オリンピック・イヤーの効用

2008-02-07 | ビジネス
久々にスポーツの話題を。とは言っても、少々マーケティングがらみのお話です。

「地味で暗いスポーツ何だ?」と聞けば、たいていの人の答は「卓球!」。そんな卓球界にあって、そのイメージを変えようとがんばっているひとりの女性選手がいます。四元奈生美。年齢29歳は既にベテランの域ですが、人一倍若々しく、明るく、ファッショナブルなパフォーマンスで、孤軍奮闘しているのです。

彼女の試合の装いは、ほとんどが自身のデザインとのことですが、派手なの髪飾りや明るく既存の卓球のイメージを打ち破るそのウェアで、大会では話題を集め熱狂的な四元フリークたちを魅了してきました。ただこれまでは、実力で今一歩の印象が強く、話題にはなってもやや“キワモノ”的扱いをされることもあって、ちょっと可愛そうな存在でもあったのも事実です。

ところが今年1月の全日本選手権。やってくれました彼女。混合ダブルスで、大金星をあげ、「私卓球も強いんです」を示したのでした。大会初戦から例によって、レインボーカラーのユニフォームや肩出しルックで華々しく登場。準決勝では、パートナーにも自身と同じデザインのウエアを着せ、「ジャンヌダルク」をイメージしたノースリーブ姿で、フルセットの末大逆転勝利をあげたのです。

そしてその破った相手が、あの“卓球の申し子”福原愛ペア。相変わらず“いなたい”福原は、年は若くともさしずめ「卓球界旧勢力」の代表的イメージです。四元にとってはまさに、ユニフォームのコンセプト「ジャンヌダルク=救世主」まんまに、「卓球界の救世主」宣言の舞台として最高のパフォーマンスとなった訳です。

続く決勝であと1点で敗れ惜しくも優勝はならなかったのと、怪我もあってシングルスは棄権と、少々残念な結果ではありましたが、「ツヨカワ・ヒロイン」の誕生と卓球の新たな展開を感じさせるには十分なパフォーマンスであったと思います。

さらに今回、TV界のヒットメーカーで天才ディレクターであるあのテリー伊藤をして、「卓球界のほしのあき(年齢不詳のベテランアイドルの意?)」と言わしめ、「ぽっと出ではない(キャラの)強みがある」と大絶賛させているのです。言ってみれば、プロが認めた“旬キャラ”誕生と言えるのです。

そんな“旬キャラ”の彼女の所属はと言えば、昨秋から契約した「東京アート」なる企業。一般的にはあまり耳慣れない会社ですが、知る人ぞ知る“卓球応援企業”なんですね。これまで、オリンピック代表をはじめ多くの全日本クラス男子選手を輩出している、隠れたスポーツ振興企業なのです。

“卓球応援企業”って、どんな地味な会社?とお思いかもしれません。私はたまたま、個人的な知り合いがいて知っているのですが、当社はメイン業務が高級ブランドショップをはじめとした高級ペーパーバックの製造で、業種はかなり明るめのイメージなんです。他に高級ガラス製品なども手がけ、昨年は水ビジネスにも進出して(四元の胸元に「あずみ野湧水」と書かれてた、アレです)、いよいよ対消費者ビジネスに明るく本格参入、といった感じのようです。

なるほど消費者ビジネス展開となれば、コーポレート・ブランド構築は不可欠ですから、それでファッショナブルで“ツヨカワ”な四元と契約し、対消費者向けブランド構築に動き出したわけだな、と思い知り合いの同社社員に聞いてみると、「いや、特にそういう訳でもないみたいですよ…」。ん???そんな、もったいない…(矢沢永吉風に)。普通、旬なキャラクターとの契約を、自社ブランド構築に活かさない手はないですけどねぇ…。

こりゃブランド・コンサルの「血」が騒ぎます。

「中東の笛」の影響もありますが、“宮崎選手人気”で、ちょっと前まででは考えられないような「ハンドボール・フィーバー」となっている例でも分かるように、オリンピック・イヤーには予期せぬスポーツ・ウェーブが起きるものです。卓球だって、当然何が起こるかわかりません。しかも、四元のような華のある“魅せる”ヒロインがいる訳ですから、支援企業と二人三脚での積極的イメージ展開で、「卓球JAPAN」が大ブレイクする可能性だって大いにありそうに思います。

という訳でただ今、オリンピック・イヤー卓球界の“救世主”となりうる四元奈生美選手と、希少な卓球応援団企業東京アートさんのコーポレート・ブランド構築のコラボレートの行方に、興味津々であります。

大統領選という名のイメージ戦略対決

2008-02-05 | ニュース雑感
アメリカでは、大統領選に向けた共和、民主両党の代表選びを左右する“メガ・チューズデイ”を迎えています。

そもそも前回までは、“スーパー・チューズデイ”だったものが、今回は約1ヶ月前倒しになった上、一気に投票州の集中度も高まって、従来の「スーパー」が「メガ」もしくは「ツナミ」と呼ばれる一大お祭り騒ぎとなった訳です。実にお祭り好きのアメリカ人らしいノリであります。

さてこのアメリカ大統領選ですが、国民が直接選挙で1国のトップを選ぶ訳ですが、その国民性と相まってかなりイメージ対決になる傾向が強いように思っています。その意味では、候補のイメージづくりやブランド化が勝敗を左右するといっても過言ではありません。マーケティング先進国アメリカのイメージ戦略対決という点から、大いに関心を惹かれる「イベント」でもあるのです。

毎回、大物アーテストが堂々と大統領候補の応援宣言をして、応援イベントでテーマ曲を歌ったりは日常茶飯事。有名俳優も軒並み自身の支持を表明、マスコミさえも支持候補を指名して、キャラクター、メディア総出演でイメージ戦略を盛り上げていく独自の盛り上がりが見られるのです。

では、米国大統領候補にもっとも求められるイメージは何か?それは、「世界に冠たる強いアメリカのリーダー」です(子供の頃から、強いヤツのことを「いよっ、大統領!」と持ち上げましたよね。間違っても「いよっ、総理大臣!」とは言いませんでした)。選挙戦に入ってしまえば、政策論争は二の次。公開討論でも、中身はともかく、どれだけ相手を言い負かせられるか、どれだけ「強い」イメージを印象づけられるか、が勝負の分かれ目になるのです。

今回の注目は断然民主党です。どれも小粒で印象の薄い共和党候補よりも、断然イメージ戦略上のインパクトが強く出ています。何よりも、一騎打ちの二人が、どちらが大統領になっても「アメリカ初」という点が、注目を集める理由でもあります。ご存知ヒラリー・クリントン候補が当選なら初女性大統領、バラク・オバマ候補が当選なら初黒人大統領。この二人、ここまでの予備選では、全くの互角と言われています。イメージ戦略では、よりヒラリー陣営の動きが活発で、個人的にもその動向を注目しています。

昨年の段階では、影でホワイトハウスを支えた気丈な前大統領夫人かつ現上院議員としての“強い女性”のイメージづくりが功を奏し、圧倒的にヒラリー優位と言われていたのですが、ここに来て支持率が急降下。その理由は、一部マスコミによれば「時間の経過とともに、庶民派オバマ候補と比較上の強すぎるイメージは米国民が求めるそれとはやや乖離があり、“冷たい”“人間味を感じさせない”などの行き過ぎた印象になってしまったため」とも言われています。

年明けスタートした予備選トップ1月3日のアイオワ州では、下馬評に反してオバマ候補が圧勝。ヒラリー候補は、3位に甘んじる惨敗を喫したのでした。しかしながら、続くニューハンプシャー州では投票直前のヒラリーの「涙」報道が功を奏したとされ、逆転でヒラリー候補がトップを死守しました。戦略的に狙ったものであったかどうか定かではありませんが、まさに「女の涙」がヒラリーの「人間味」をアピールする形になり、「人間味ある強い候補」としてのイメージアップに大きく寄与した結果と言えるようです。

そして迎えた本日メガ・チューズデイ。果たしてどちらが勝つのでしょうか。ここにきて、オバマ候補が初めてヒラリー候補を支持率で逆転したとの下馬評も出て、ヒラリー陣営は投票前日、再度の“涙作戦”を決行したとの報道もされています。

そして投票直前、敵陣の追い上げに窮した結果なのかそれとも計算の上なのか、天王山を前に自身が「白人候補」であるとの、米国ではタブーとも言えるイメージ戦略に出たのです。WEB情報によれば、クリントン夫妻がオバマ候補を“黒人代表候補”と発言し、終盤戦各地で“差別的批判”を展開しているとの報道もされています。

この発言は、単に「白人候補」のイメージづくりにとどまらず、「横暴」「冷酷」さらには「非道」と言ったイメージにもつながりかねない危険な賭けであると言わざるを得ない感じがしています。私個人の見解としては、差別発言は「強い」人物のすることではないと、やや首をかしげたくなる印象ですが、アメリカの有権者たちは果たしてこの言動をどう受け止めるのでしょう。

本当に“強いアメリカ”のイメージにふさわしい人物として、民主党代表になるのはどちらの候補なのか。ここまで優位に選挙戦を進めてきたヒラリー陣営のこの“最終兵器”が、イメージ決戦天王山の雌雄を決する“自爆弾”になってしまうのではないかと、思えてならないのですが…。今日の午後にも判明する、イメージ戦略における“危険な賭け”の行方を見守りたいと思います。