日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

卓球界の“救世主”!?~四元奈生美オリンピック・イヤーの効用

2008-02-07 | ビジネス
久々にスポーツの話題を。とは言っても、少々マーケティングがらみのお話です。

「地味で暗いスポーツ何だ?」と聞けば、たいていの人の答は「卓球!」。そんな卓球界にあって、そのイメージを変えようとがんばっているひとりの女性選手がいます。四元奈生美。年齢29歳は既にベテランの域ですが、人一倍若々しく、明るく、ファッショナブルなパフォーマンスで、孤軍奮闘しているのです。

彼女の試合の装いは、ほとんどが自身のデザインとのことですが、派手なの髪飾りや明るく既存の卓球のイメージを打ち破るそのウェアで、大会では話題を集め熱狂的な四元フリークたちを魅了してきました。ただこれまでは、実力で今一歩の印象が強く、話題にはなってもやや“キワモノ”的扱いをされることもあって、ちょっと可愛そうな存在でもあったのも事実です。

ところが今年1月の全日本選手権。やってくれました彼女。混合ダブルスで、大金星をあげ、「私卓球も強いんです」を示したのでした。大会初戦から例によって、レインボーカラーのユニフォームや肩出しルックで華々しく登場。準決勝では、パートナーにも自身と同じデザインのウエアを着せ、「ジャンヌダルク」をイメージしたノースリーブ姿で、フルセットの末大逆転勝利をあげたのです。

そしてその破った相手が、あの“卓球の申し子”福原愛ペア。相変わらず“いなたい”福原は、年は若くともさしずめ「卓球界旧勢力」の代表的イメージです。四元にとってはまさに、ユニフォームのコンセプト「ジャンヌダルク=救世主」まんまに、「卓球界の救世主」宣言の舞台として最高のパフォーマンスとなった訳です。

続く決勝であと1点で敗れ惜しくも優勝はならなかったのと、怪我もあってシングルスは棄権と、少々残念な結果ではありましたが、「ツヨカワ・ヒロイン」の誕生と卓球の新たな展開を感じさせるには十分なパフォーマンスであったと思います。

さらに今回、TV界のヒットメーカーで天才ディレクターであるあのテリー伊藤をして、「卓球界のほしのあき(年齢不詳のベテランアイドルの意?)」と言わしめ、「ぽっと出ではない(キャラの)強みがある」と大絶賛させているのです。言ってみれば、プロが認めた“旬キャラ”誕生と言えるのです。

そんな“旬キャラ”の彼女の所属はと言えば、昨秋から契約した「東京アート」なる企業。一般的にはあまり耳慣れない会社ですが、知る人ぞ知る“卓球応援企業”なんですね。これまで、オリンピック代表をはじめ多くの全日本クラス男子選手を輩出している、隠れたスポーツ振興企業なのです。

“卓球応援企業”って、どんな地味な会社?とお思いかもしれません。私はたまたま、個人的な知り合いがいて知っているのですが、当社はメイン業務が高級ブランドショップをはじめとした高級ペーパーバックの製造で、業種はかなり明るめのイメージなんです。他に高級ガラス製品なども手がけ、昨年は水ビジネスにも進出して(四元の胸元に「あずみ野湧水」と書かれてた、アレです)、いよいよ対消費者ビジネスに明るく本格参入、といった感じのようです。

なるほど消費者ビジネス展開となれば、コーポレート・ブランド構築は不可欠ですから、それでファッショナブルで“ツヨカワ”な四元と契約し、対消費者向けブランド構築に動き出したわけだな、と思い知り合いの同社社員に聞いてみると、「いや、特にそういう訳でもないみたいですよ…」。ん???そんな、もったいない…(矢沢永吉風に)。普通、旬なキャラクターとの契約を、自社ブランド構築に活かさない手はないですけどねぇ…。

こりゃブランド・コンサルの「血」が騒ぎます。

「中東の笛」の影響もありますが、“宮崎選手人気”で、ちょっと前まででは考えられないような「ハンドボール・フィーバー」となっている例でも分かるように、オリンピック・イヤーには予期せぬスポーツ・ウェーブが起きるものです。卓球だって、当然何が起こるかわかりません。しかも、四元のような華のある“魅せる”ヒロインがいる訳ですから、支援企業と二人三脚での積極的イメージ展開で、「卓球JAPAN」が大ブレイクする可能性だって大いにありそうに思います。

という訳でただ今、オリンピック・イヤー卓球界の“救世主”となりうる四元奈生美選手と、希少な卓球応援団企業東京アートさんのコーポレート・ブランド構築のコラボレートの行方に、興味津々であります。