日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

社長の孤独を癒やす人・ヒト・女(ひと)?

2008-02-15 | その他あれこれ
〈経営のトリセツ~番外編〉といったノリでひとつ。話半分程度に聞いてもらってけっこうです。

今も昔も「社長は孤独」です。周囲から気を遣われ、持ち上げられて、でも周囲の本音は分からない。悩んで悩んで、役員に相談したり、部長の意見を聞いたり…。でも、決して彼らに弱いところは見せられませんし、すべてを見せてすべてを相談することはできないのです。

それは、取締役や部長の肩書きはあくまでひとつのポジションですが、社長の肩書きは「役柄」だからです。そしてその「役柄」をうまく演じなくてはいけません。会社をうまく成り立たせていくためには、役員はじめ全社員を安心させついて来させなくてはいけないからです。組織がしっかりして社長の役割が明確になっている大企業のサラリーマン社長は別ですが…。

孤独に「社長」役を演じる中小企業のトップには、相談相手が不可欠です。時に的確なアドレスをくれたり、時にヒントとなる情報を与えてくれたり、時にはジッと相槌を打って話を聞いてくれたり、また時には愚痴に付き合ってくれたり…。相談相手、それがいるかいないか、社長が成功するか否かは、意外なほどその点にかかっていると言っても良いのです。

相談相手がいない社長は、次第に周りの言葉の何が本当で、何が嘘かは分からなくなり、いつしか「裸の王様」になっていくのです。社長の誤算、社長の失敗は、こんなことから生まれてしまうのです。

私が知る成功した社長方は、形は違えど本音で話せる相談相手を持っています。一番わかりやすい相談相手はコンサルタントです 。社長方は、なぜあんなにコンサルタントが好きなんだろうかと思いませんか?同じ目線で問題を共有してアドバイスをくれるコンサルタント。孤独な社長の一番の相談相手を、コンサルタントに求めるケースは意外に多いのです。

だからなのですが、私は新規のお客様からお声掛かりをいただいた際には必ず、「コンサルタントを決める際の判断基準は、仕事のできるできない、知識のあるなし以上に社長との相性ですよ」とお話します。我々中小企業コンサルタントの役割の大部分は、社長の悩みにお応えすること、悩みの解決のヒントを提供すること、時には社長の悩みや愚痴を聞いてあげることだからなのです。

「コンサルタントは何の役に立っているんだ?」と思っている社員の方も、間々いらっいしゃいますよね。私は、中小企業コンサルタントは、改革プロジェクトの運営や改善策の提示以上に、社長が気兼ねなく何でも相談できそれを返す相手でありさえすれば、最終的には企業経営の舵取りに大きく役立っているのだ思います。だからこそ、社長との相性が大切だと思うのです。

とまぁ、ここまではコンサルタントの宣伝文句みたいになってしまいましたが、コンサルタント以外にも成功した社長は相談相手を持っているケースが多いのです。

例えば飲み屋のママ。「あんな若い娘もいない飲み屋に、なんで社長はいくんだろう」「なんであんな高い店にしょっちゅう行くんだろう」「酒が好きな訳でもないのに、なぜかあの店には通ってるんだよな」と疑問を持つような社長の夜の行動ってありませんか?こんな場合、たいていは決まって下心よりも“聞き上手なママ”相手の会話目当てなんです。つまりは「夜のコンサルタント役」を彼女たちはしてくれているのです。

最近もてはやされているコーチングなるビジネス。コンサルとは似て非なるもので、どちらかと言えば有料の“聞き役”です。専門的な領域には入り込まないものの、上手に相手の話を引き出して「気づき」を与える役割なのです。どうも考えようによっては、「聞き上手なママさん」と共通する役割がありそうです。人気の秘密は、「聞き上手なママさん」を探して飲み屋街を夜な夜な俳諧する手間が要らないことと、“相談”しにお店に足繁く通うより経済的なことかもしれません。

「社長の孤独」は時代は変われど、永久不滅の摂理です。我々コンサルタントも、コーチング・ビジネスのコーチも、“聞き上手”な飲み屋のママも、「孤独な社長」の相談役という意味では同業者と言ってもいいのかもしれませんね。