日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

<音楽夜話>「ロックンロールの未来」と言われた男

2008-02-17 | 洋楽
ひと昔かふた昔か前に、VSOP=ベリー・スペシャル・ワン・パターンという流行語がありました。

音楽界のVSOPと言えば、すぐに思い当たるのは、日本人ならサザン・オールスターズに松任谷由実、吉田拓郎や浜田省吾もそうですね。日本のビッグネームたちには、どうもVSOPが多いように思います。

個人的なVSOPの基準は何かと言えば、1枚アルバムを聞くとすごく良いと思い、もう1枚聞くとなるほどこれも良いなぁと思う。3枚目になると、何となく聞き慣れた気がして、4枚目ともなると「う~ん、これ前に買ってない?」と自問自答します。5枚目以降は買うのを躊躇しつつも買って「また同じだ」とやや後悔、最終的には「中から一番良いアルバムを1枚持っていればいいかな」と思わせられてしまうアーティストです。先のビッグ・ネーム達、なんか分かる気がしませんか?

海外でVSOPなビッグ・ネームと言えば、個人的には何と言ってもブルース・スプリング・スティーン。売れなかったファースト、セカンド、ブレイクした「明日なき暴走」、その次作「闇に吠える街」、2枚組の「リバー」も、もうひとつの代表作「ボーン・イン・ザUSA」も、さらにはその後続々出されるアルバムも、ベスト盤も、結局どれも私にはみ~んな同じように聞こえます。

ファーストもセカンドも出来は良かったのにPR不足で全く売れず。同じような内容でも75年の3枚目「明日なき暴走」が爆発的に売れたのは、批評家ジョン・ランドゥ(後にブルースのマネージメントを担当)の「ロックン・ロールの未来を見た」という名コピーに反応したタイム誌、ニューズ・ウィーク誌が同時に表紙にブルースを使ったことによるのです。コピーライティングひとつで、大ヒットはこんなにも簡単に誕生させられてしまうのだと、“言葉の魔術”には感動さえ覚えます。

A1「涙のサンダー・ロード」こそ、彼のVSOPの原点であると思います。ピアノを機軸にしたシンプルな演奏をバックにワイルドに吠える、そして荒々しくからむサックスの音色・・・、確かに当時としては、ここに「ロックン・ロールの未来」が見えたのかもしれません。当時日本では、佐野元春をはじめとして、そっくりな音づくりでマネをするアーティストが続々登場したのにも驚かされました。余談ですが、この曲私の“空耳ソング”でもありまして、「オー、サンダー・ロード・・・」を連呼する終盤の部分、「オッさんだろ?オッさんだろ?・・・」と聞こえます。

タイトル曲B1「明日なき暴走」についても一言。かっこ良すぎですよね。何がって、演奏とか曲の良し悪しと言うよりも、全体感としてのこの曲が持つ雰囲気っていうのでしょうか。彼がアメリカで「THE BOSS」と呼ばれ、未だに他の追随を許さぬ大ヒーローであり続けるのは、この曲にイメージされる独自のアメリカンでワイルドなスタイルがあるからではないでしょうか。

ジャケットもギター片手のモノクロ写真(裏ジャケに続くブルースが寄りかかる背中は、ビッグ・マン=サックスのクラレンス・クレモンス)は最高のセンスです。
ビデオ・クリップも「なんじゃコレ!」って言うぐらいカッコいいですよ。
↓必見です。↓
★明日なき暴走(ライブ動画)
http://jp.youtube.com/watch?v=aQewwkbrp8o&feature=related