日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

経営のトリセツ14 ~ 今日からできる「社長必須の三原則」

2007-11-28 | 経営
世に社長と呼ばれる人はあまたおりますが、成功する社長、そうでない社長はどこで分かれるのでしょうか?もちろん、「こうすれば絶対成功する」と言った万能な正解はあろうはずもないのですが、私が見聞きしてきた成功を手にした社長方には、それなりの共通点が見出せるように思います。

その共通点は、「成功するか否か」のポイントと言うよりは、「社長がビジネスパーソンとして成長するか否か」のポイントであるのかもしれません。もっと言えば、サラリーマンでいづれ独立を考えている人たちにも、今から始められる「成功する独立」への指針となるものかもしれません。

そのポイントはズバリ、「読む」「書く」「会う」の三原則です。

「読む」はまさに本を読むことです。
活字情報は、活字になった段階ですでに「情報」としての価値は低いのかもしれませんが、「ヒント」や「ノウハウ」には満ちあふれています。特に知恵の宝庫と言えるのがビジネス書です。ビジネス書は、成功体験を積んだ先人たちが、その数十年分の知恵や経験を惜しげもなく教えてくれているのですから、読まない手はないのです。
レバレッジシリーズの著者本田直之氏も、「レバレッジ・リーディング」の中で「ビジネス書は、1冊1500円の仕入れ値で、15万円の利益が生まれる魔法の原材料である」と言っています。
また、近年感性工学の分野では「センスは情報量に比例する」ことが立証されているそうです。なるほど、読めば読むほど、経営や商売のセンスが磨かれるってことでもあるのです。

「本なんか読む時間ないよ」とおっしゃる社長方もいらっしゃるかもしれませんが、先の本田氏はこの点についても、「本を読まないから時間がないのであって、一流ビジネスパーソンは見えないところで皆驚くほど本を読んでいる」「本を読まないのは、ビジネスチャンスを放棄すること」「本を読まないビジネスパーソンは、練習をしないスポーツ選手と同じ」と言っていますが、私も全く同感です。

「口コミ伝染病」の神田昌典氏も「非常識な成功法則」の中で、「大成功した社長の共通点は大量に本を読んでいることだ」と言っています。松下幸之助もウォルマートのサム・ウォルトンもユニクロの柳井氏も和民の渡邉氏も、皆人一倍読書家なのです。
社長だからこそ読書の時間は意識的につくるのです。朝の1時間、移動の1時間、帰ってからの1時間…、どこかで必ず時間はあるはずです。ポイントを捉える読み方さえできれば、月に10~15冊のビジネス書は読めると思うのです。読めば読むほど時間が生まれる、不思議に思いますが本当です。ぜひ試してみてください。

次に「書く」。
「書く」ことは、脳を活性化してくれます。目標を文字にする、アイデアをペーパーに落としてみる、ブログで自身の意見や考えを書いてみる(私の当ブログはまさにその類です)、どんな形でもいいので書いてみることは、考えの整理や論点の明確化に必ず役に立ちます。1日最低1ペーパー。箇条書きでもいいです、パソコンでも鉛筆でもOK。テーマを決めて文字にしてみることです。

私が以前よりよく知っているある社長は、私と話をしていてひっかかりのあるテーマに出会うと、その場ではキーワードとしての単語だけをメモにして、家に帰ってからかあるいは翌朝始業前か、自分のなりに分析をしたりイメージマップを作ってみたり、あれこれめぐらせた考えを文章にしたり箇条書きにまとめたり、次回私と会った際にいろいろな“成果物”を見せてくれました。

もちろん、それがすぐにビジネスにつながった訳ではありませんが、その会社はみるみる成長して10人規模の会社から数百人規模の会社に。私が社長と話しをしていて感じたのは、社長の「とっさの判断力」、「緻密な分析力」、「的確かつ迅速な決断力」こそが会社を成長させたのだということと、それらを支えるロジカルな思考の数々は、まちがいなく日々の「書くこと」で鍛えられてきた訓練の賜であるということでした。

「書く」については、1番目の「読む」を「書く」に転換させることも有益であると考えます。読んだビジネス書を、読みっぱなしにするのではなく、自分なりの言葉で整理したりまとめたりして「書く」に転換すれば、まちがいなく「読む」はさらに大きな力になるハズです。

三つ目の「会う」。
「会う」は、人と会うことです。この「会う」相手に仕事の関係者は含みません。仕事の関係者や同業者と会って話したところで、「愚痴言い合い」ならまだいい部類。「根回し」に終止したり、下手をすれば「談合」なんて展開にもなりかねません。こちらは、必要最小限に。
「会う」対象は、仕事での利害関係のない人。それと、こちらが「主に聞く」「主に話す」「聞いたり話したりする」の3パターンをバランスよく織り交ぜるのが理想です。

別の分野や業種で活躍する人たちが、「何を考え」「何を悩み」「何を得ようとしているのか」を聞くこと、また自分の考えやプランを別の分野や領域の人たちは「どう考え」「どう意見するのか」を聞くことは大変有益です。「読んだり」「書いたり」だけでは、得られない大きなものが「会う」からは得られるはずです。

書籍があらゆる読者を対象に「書かれた」ものであるのに対して、「会う」の中の「聞く」は、相手があなたに対してオーダーメイドで話してくれる知恵や知識を得るチャンスなのです。相手が一流であろうがなかろうが、他の分野や業種であることできっとあなたにとって貴重な視点や目線での話のひとつやふたつは得られるのではないでしょうか。また、書店であなたが決して手に取らないであろうジャンルの話が聞けるチャンスでもあるのです。

「会う」の中の「話す」は、「書く」と同じように自分の考えをまとめる絶好のチャンスです。会って「話す」ことで、他の分野や業界の人の反応を見ながら自分の考えのまとめ方を変更したり修正したり、疑似プレゼンの場としても大いに活用したい場面なのです。

自社の社員とばかり酒を飲んでいる社長さんや家族とばかり食事に出ている社長さん、社員とのコミュニケーションや家族との会話も大切なことですが、社長として自分をもっと成長させたいなら、外の人間、異業種の人たちと最低1日一人、週に10人は会って話しをしたいところです。何も会食はしなくてもOKです。目的は「話」ですから。
それと、電話やメールは、話はできても会ってませんからダメ。会って相手の顔を見ながら話すことが大切なのです。

「会う」ための人脈づくりも大切です。商工会の集まりや、セミナー、パーティ…、声掛りがあればとにかく顔を出してつながりをつくることも大切です。そして魅力のある経営者との出会いがあれば、そこにはまた太いつながりが必ずあるはずで、そうなれば人から人へ人脈が果てしなくつながっていくのです。でもそのプラスの連鎖を手に入れるためには、自身が相手にとって魅力的でなくてはいけませんから、先の「読む」「書く」が日常からできていないと良い「会う」にはつながらないのです。
逆に良い「会う」があれば、その後の「読む」から得るものも大きくなるでしょうし、「書く」内容も濃くなっていくに違いありません。好循環にはまればはまるほど、社長として成長できる無限連鎖になっていくのではないでしょうか。一流のビジネス・パーソン同士が、なぜか以前から知り合いであるというケースもよく聞く話ですが、「会う」を重ねる中でごくごく自然につながりが生まれるものなのです。

そんな訳で、私も一流のビジネス・パーソンをめざす身として、社長必須の三原則「読む」「書く」「会う」を心がけ、日夜努力しておる次第です。


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