日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

私の名盤コレクション9 ~ The Eyes Of An Only Child/Tom Jans

2011-08-21 | 洋楽
★The Eyes Of An Only Child/Tom Jans

1 Gotta Move
2 Once Before I Die
3 Where Did All My Good Friends Go?
4 Inside of You
5 Struggle in Darkness
6 Out of Hand
7 Lonesome Way Back When
8 Lonely Brother
9 Directions and Connections
10 The Eyes of an Only Child

アメリカのシンガーソングライター、トム・ヤンス75年のセカンドアルバム。雑誌のリトル・フィート特集などでエグゼクティブ・プロデューサーがフィートの故ローウェル・ジョージであると知って、以前から聞きたいと思っていた1枚です。紙ジャケで再発されてようやく聞くことができました。と言う訳でリアルタイムでは全く聞いていなかった作品ですが、とにかく1回聞いただけでゾッコン惚れこんでしまい、即「私の名盤」入りです。

メンバーがスゴイ(あくまで個人的価値観ですが)!まずリトルフィートから、上記ローウェルと私が最大級に賞賛するピアノのビル・ペイン、さらにパーカッションのサム・クレイトン、再結成フィートでギターを弾くフレッド・タケット、孤高のスワンプ・ギタリスト、ジェシ・エド・ディヴィス、ジャクソン・ブラウンの片腕であるスライドの名手デヴィッド・リンドレー、さらにベースにチャック・レイニー、ドラム陣にはジム・ケルトナーにジャズ畑からハービー・メイスン、さらに当時新進気鋭のセッションドラマーであった故ジェフ・ポーカロ(彼だけは南部臭が薄い分、やや浮いて感じます)…、とにかく一般的にスゴイと言えるか否か分かりませんが、私には確実に物凄いメンツが集まったアルバムです。ちなみにローウェルはミュージシャンとしては、控えめにアコーステック・ギターのみで参加しています。

音楽的ルーツは、ところどころにR&Bの影響は感じられるものの、スワンプと言うよりはカントリー。聞くところによればファースト・アルバムは、カントリーをベースにしたかなりフォーキーなノリとか。対してこのセカンドは、もろカントリーではなく先の一流のミュージシャンで上下左右をがっちり固めて“フィート的”を基本とした、本当に素晴らしい作品に仕上がっています。1「旅に出よう」はタイトルナンバーの10「子供の目」と対をなすローウェルと共作のハイウェイ・ソング。佳曲揃いの10曲中でも白眉の1曲です。「子供の目」とともに、シンガーソングライター、トム・ヤンス面目躍如のメロディーと風景が浮かんでくるような表現が見事な旅路へ誘う歌です。このあたりは、同時期にローウェルが共作した、ジョンBセバスチャンの「タザナ・キッド」の中の名曲「フェイス・オブ・アパラチア」とも共通する世界ですね。

2「死ぬ前に」4「きみの中にいるとき」6「手にあつまって」あたりはメロディは完璧なカントリーでありながら、ベタなカントリーに流れないアレンジが実に冴えています。8「孤独な兄弟」はAOR的名曲。3「死ぬ前に」5「暗闇での苦しみ」9「間違った方向」あたりはイメージ的には「ラスト・レコード・アルバム」あたりのフィートの演奏に近く、共に演奏面で聞きどころ満載。特にビル・ペインのピアノ、キーボード類とスライド・ギターのデヴィッド・リンドレーのスゴイこと。ビル・ペインのキーボード・アレンジはこの先フィートで爆発し、解散の一因ともなった前衛的な匂いも漂わせています。ローウェルが敢えて自分でスライドを弾かずにやや手癖の違うデヴィッドに任せた意図は何だったのでしょうか。人の手を借りた強烈な自己主張に何か深い含みを感じさせられもしますが、本人亡き今では知る由もありません。ちなみに当のトム・ヤンスも84年、35歳の若さでローウェルの後を追うようにドラッグのオーバードースでこの世を去っています。

ローウェルのソロ作よりもよほどフィートっぽい、フィート・ファン必聴の名盤です。

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