日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

経営のトリセツ27~的確な目標設定の裏に「仮説」→「検証」あり!

2008-04-24 | 経営
「仮説」→「検証」はコンサル手法の基本中の基本です。本日は、実は「仮説」→「検証」の活用は会社経営においても大変重要だというお話です。

ロジカルシンキングの手法として、「帰納法」と「演繹法」という考え方ご存知かと思います。「帰納法」は複数の事象や事実を集めて、その中から共通項や因果関係を調べて結論を導き出す方法。「演繹法」は、まず目先の事実を元に「仮説」を立てて、その「仮説」を検証していく過程で問題点の究明や解決策を見出していく方法です。

コンサルティングの世界では、「帰納法」的分析は比較的実務経験の浅いスタッフでもできるのですが(これすらできないと問題外です)、「演繹法」は最低限ある程度の実務経験が必要と言われる比較上は“高度”なテクニックです。あえて“高度”と言ったのは、適正な「仮説」をたてられるかどうかの部分にかかっています。さらに“最低限”と言ったのは、実務経験があれば誰でも的確な「仮説」がたてられるかと言うと、そうとも限らないからです。

的確な「仮説」を立てるには、経験が必要なことはもとより、より核心に近く正解に近いものを提示できる「センス」が必要です。この「センス」がくせ者で、他人の会社を調査・ヒアリングした段階で、どこまで感覚的に内情を掴めるか、まさしく「センス」が問われる訳です。コンサルタントに不可欠なものは、実は知識以上に「実務経験」に加えて「センス」なのです。

さて、ここからが本日の本題です。
会社経営においても、実は知らず知らずに「仮説」を立てつつ業務に臨んでいることにお気づきでしょうか。実は、年度計画、計数目標等はまさに「仮説」に基づく立案作業なのです。すなわち、今の情勢、現有スタッフの能力、商品の競争力や当社の技術力等を勘案して、「仮説」として作り出されるのが年度計画や計数目標なのです。コンサルの「仮説」との大きな違いは、「経験」のある方が立てていることは間違いないこと、自社のことですから「センス」はあまり要求されないことです。

「仮説」計画が立てたれると、普通その「仮説」計画を実現するために、何をどれだけ頑張るのか個別目標を制定する作業がその次にきます。それはすなわち、コンサル作業になぞられて言うなら、「仮説」の的確さを立証するためのチャート分析に位置するものであると考えられます。目標がとんでもないものになっているケースや、その目標に向かって何をするべきなのかが明示されていないケースという会社も、よく見かけるのですが、それはすなわち「仮説」の立て方が間違っていたり、「仮説」は思いつきで立ててみたものの、それが正しい「仮説」の立て方であるかどうかの検証がなされていないのということになるのです。

これではもう「仮説」でもなんでもなく、単なる経営者の「希望」や「要望」や「夢」に過ぎなくなってしまうのです。例えば年度の目標計画を立てるときには、目標を「仮説」として捉えて、それを実現するために何をどれだけがんばれば「仮説」は実現できるのか、必ず適正な「仮説」であるかどうかの「検証」を、チャート分析的にしていただきたいと思います。

「P-D-C-Aサイクル」で言えば、「仮説」→「仮説正当性の検証」までできて初めて「P」が完了する訳です。正しい「P」が設定されていなければ、「実行(D)」以降は全く無意味になってしまいます。前回、「P-D-C-Aサイクル」における「チェック(C)」の重要性をお話しましたが、それも正しい「P」の設定があって初めて生きてくるのものですから。

年度初めに際して、今一度自社の計画・目標は的確であるか、「仮説」→「検証」の考え方で再確認されることをお勧めします。

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