日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

AKBの販売戦略を批判せず「革命」として受け入れたいと思う件

2013-06-11 | ビジネス
昨年はAKBの総選挙を「音楽界をダメにする」と痛烈に批判した私ですが(ありがたいいことに、AKBファンの皆さんからの抗議メッセージも多数頂戴しました)、今回は少し違う観点からこのイベントに密接にかかわるCD販売戦略を捉えてみたいと思います。
◆「AKB総選挙が音楽界をダメにする」
http://blog.goo.ne.jp/ozoz0930/e/0add36edfac3f423e32d97d4f2d01667

論点となるのは引き続き、「一人の人間に同じCDを何枚も買わせることでCD売上の底上げをはかる販売手法」の是非です。一年間落ち着いて考えましたが(というのはウソ)、これはスゴイ戦略です。逆転の発想と言うべきか、コロンブスの卵と言うべきか。これまで音楽ソフトは一人に一枚を売るのが常識であり、いかに多くの人に売るか(買ってもらうか)に知恵を絞ってきたわけですから、この発想の転換はある意味音楽CD販売に革命的な変革をもたらしたと言ってもいいのかもしれません。

似たような売り方は、オヤジ層ターゲットでのCD商売にも存在します。60~70年代の名盤を、未発表の制作途上の音源やライブ音源をセットして「デラックス版」などと称して商品企画をしたり、昔のジャケットを紙製でまんまミニチュア化して「紙ジャケ版」などとして再度買わせる手法がそれです。私あたりも、この手にはついつい乗せられて同じタイトルの「デラックス版」「紙ジャケ版」をけっこう買わされております故、この手法の有効性は十分理解できるところであります。

しかし、AKBの販売戦略はこの比ではありません。一人のファンに買わせる数が半端なく、しかも買わせるものが全く同じ商品であるという異常さ。やり方の良し悪しの議論を超えて、この破壊的な新手法を定着させたところにAKB販売戦略の革命性があると個人的には思うわけです。何と言っても過去のこの販売手法への批判を乗り越えて、全く反省の色など見せることなく今年はすでに5回目。得票数も着実に増え、同じものを一人のファンに何枚も買わせることの批判も徐々に聞こえなくなってきているようで、もうこの手法そのものが社会的認知を得たと言ってもいいのではないでしょうか。

「一人の人間に同じCDを何枚も買わせることでCD売上の底上げをはかる」という戦略。過去の音楽業界で誰一人として気がつかなかったこと、あるいは気が付いていたとしてもタブーとされていたことだったわけで、これを打ち破った事実はやはりスゴイと絶賛すべきなのでしょう。現実にAKBの総選挙がらみのCD売上があって、音楽業界全体としてもCDの販売数減少に歯止めがかかってもいるのですから。

これがまた今後、総選挙が年2回だ年3回だと増えてくるようなら、それはそれで問題多しなわけですが、ニーズがあって購買意欲が減じることがないのなら、それはそれでアリなのかなとも思うのです。いかに過去の常識からは邪道と言われるモノが助長しようとも、それを支持する層が厚いままならそれは新たな常識になるわけで、「革命」とはそういうものなのですから。

とは言いつつも、旧人類の私は一音楽ファンとしてやはり「一人の人間に同じCDを何枚も買わせることでCD売上の底上げをはかる販売戦略」そのものには納得しておりません。買っている人間が音楽を買っているのではなく、投票権を買っているという事実がまだわずかな救いではありますが…。音楽業界は、より多くの音楽ファンに1種類1枚ずつのCD買わせることで総体の売り上げを伸ばすような、魅力あふれる音楽ソフト販売戦略をぜひとも打ち出して欲しいものだと切に思うところです。

結局結論は昨年と同じものになってしまいました。AKBファンの熱い思いも認めますが、これが一音楽ファンの熱い思いでもあるのです。

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1 コメント

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AKB・・・ (60歳男性@バンコク)
2013-06-11 15:33:32
私は、AKBには全く興味がないのですがバンコクより日本の芸能界を見ていると一言言いたくなってメールしました。
日本は、AKBに代表されるように年端も行かない子供をおもちゃにしている一億総ロリータ趣味ではないかとあきれています。彼女らは、一番勉強しなければならない時期に中途半端な仕事をしている。漫才師も漫才を極めるのではなくさんまやたけしのように芸のない芸人になってお金さへ儲かれば良いという似非芸人ばかりです。こんなことをしているから本物の歌手、俳優、漫才師などが育たず米国から見たらレベルの低い芸人ばかりが生まれている。AKBなど本当の大人がプロデュースするような仕事ではない、女衒まがいの仕事です。それをもてはやすマスコミも本当に猛省すべきです。世界に出して恥ずかしくない本物の芸人をどうやって育てるのか真剣に考える時です。

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