日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

“八百長”相撲協会は、早急に組織運営を“大政奉還”せよ!

2011-02-03 | ニュース雑感
大相撲がまた揺れています。暴力、麻薬、賭博に続いて今度は八百長です。

この問題は今始まったことではなく、かなり昔から言われ続けてきたことではあります。ただ放駒理事長は昨日の会見で「過去には一切なかったこと。新たな問題」と言ったとか。「え~っ?何それぇ」ですよね。今回問題になっているのは賭博問題でのメールのやり取りで発覚した12人ですが、要するにこの12人以外の問題は一切調査しないということの意味のようです。問題の拡大を避けて今問題になっている対象者を処分して、早々に“臭いものにフタ”をしようということなんですねこれは。問題の根深さの究明による根本的な問題解決をはじめから放棄しているともとれる、ゆゆしき発言ではないでしょうか。放駒理事長は学士さんでもありますし、歴代理事長に比べて少しはまともなのかと思っていたのですが、結局は腐ったリンゴの入った箱の中のリンゴには変わりなかったということのようです。

八百長問題の歴史をひも解くと、古くは80年代に千代の富士をはじめ数々の八百長話がマスコミに取り上げられ、90年代には元大鳴門親方が自身の八百長の手配を元前頭の板井関がしたと週刊誌誌上で発言。その当時は沈黙を続けた板井氏が00年以降、会見や週刊誌紙上の連載的企画で幕内力士の付け人たちが水面下で星の貸し借りをやり取りする様子や、番付位置による星の売買の金額相場などの詳細を暴露して一大問題になりました。その後も、横綱朝青竜を含めて八百長疑惑の内部告発や噂は後を絶たず、話題になっては都度協会が本人への事情聴取等をして「シロ」という判断を下すというまさに“八百長”調査で押し切ってきたのです。これほどに八百長の内部告発がたびたび起きていても、今までに八百長でクビになった力士はゼロ。力士の間でも八百長取組のことを一度味を知ると抜けられないという意味で麻薬に例えた「注射」という、れっきとした(?)隠語までまかり通っている訳で、理事長が言う八百長問題をして「新たな問題」という表現がいかにファンをバカにしたものであるかがよく分かると思います。

八百長はこれまでの、暴力や麻薬、賭博と違って法的に罰せられるものではありませんから、極論すれば協会として黙認するというのならそれでも構わない訳です。ただ、国技としてどうなのか、文科省管轄下の公益法人としてどうなのかという問題は残ります。今回の理事長の発言ひとつをとってみても、問題の重大性認識の甘さ、根本的解決に向けた意欲の欠如は明らかに見て取れる訳で、このまま12人の処分で問題を片付け八百長問題を放置するなら、国技返上、公益法人取消の上で一スポーツ振興団体に移行するとういうことにならざるを得ないと思います。それならいっそのこと、毎日指定取組を八百長相撲か否かを当てる相撲TOTOを発売するとか、15日間で一番多く八百長相撲を見破られなかった力士を優勝とするとか、その名も「八百長相撲協会」と改名したらいいのではないでしょうか。

冗談はともかくとしても、相撲界の問題が起きるたびに申し上げていますが、内部出身の相撲が強かっただけの教養の欠片もない力士OBで組織された理事会の管理は結局お手盛りであり、“臭いものにフタ”の繰り返しだけで根本的な組織内部の問題解決にはならないのです。委員会方式の会社運営と同じく、取締役会にあたる理事会は外部の有識者の手にゆだねて抜本的な改革をすすめ、力士OBは企業で言うところの執行役員会として分離し場所運営など現場の管理に専念するというやり方を取らなくては結局何の前進も見出すことはできないのです。今度こそいい加減限界でしょう。相撲界は組織運営の“大政奉還”を一刻も早く決断すべき段階にきていると思います。