日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

“国母選手~オリンピック代表の品格”議論に大いなる疑問!

2010-02-14 | その他あれこれ
オリンピック関連の話題をひとつ。

スノーボード、ハーフパイプ代表の国母和宏(21)選手の“アスリートの品格問題”、なんかすごい騒ぎになっていますが何なんでしょう?そもそもは「バンクーバー入りする時の服装がだらしない」という事が発端で、その後の記者会見で「態度が悪い」と。確かに記者会見でマスコミの質問に「ちっ!(うっ)せーな」というのは、二十歳を過ぎた大人としてどうかという問題はあるでしょう。本人にはその点は大いに反省をしてもらいたいと思います。がしかしそもそもの服装の問題で、「オリンピック代表の品格が問われる」というのはいかなる世間の(マスコミの?)見識でしょうか。

まず何より、服の着こなしというものは文化であって国によっても違いますし、同じ国でも年代によって違ってしかるべきと思います。もちろん、皇室行事等に招かれてドレスコード的な注意文言が言い渡される場面において参加者がそれに従う事は必要な対応であります(たとえばエグザイルがサングラスをはずすとかです)。しかし今回のような場合、オリンピック選手団としてのユニフォーム(ブレザー、スラックス、シャツ、ネクタイ等)が配布された際に着こなしのルールが伝達されたか否かですがそれは恐らくない訳で、だとすれば、着こなしの部分は各自の判断に委ねるべきであり、それをあれこれ言うのは昭和の頑固ジジイ・うるさ方ババァたちのいちゃもんであるとしか私には思えません。

歩行煙草で出てきたとか、唾を吐き散らしたとか公共マナーに反するものは別ですが、今回の国母選手の服装は全く今の若者の着こなしな訳で、それ自体を問題にするなら、今の若者の着こなしそのものを公共マナー違反であると言っているようなものなのです。好き嫌いはもちろんあります。私も若者のズボンのずり下げスタイルは決してカッコいいとは思いませんし、できれば「それ俺らの世代から見るとカッコ悪いよ」言ってやりたい口ですが、でも公共マナーに違反しているとは全く思わない訳です。好みはそれぞれですからね。

百歩譲って、あの国母選手の服装が「誰が見ても不愉快で品位を欠く」ものであったとしても、「オリンピック代表選手の品格を問われる問題である」というトーンはいかがなものであるかと思います。大相撲朝青龍関の“横綱の品格問題”というのは、横綱の資格要件としても「ふさわしい品格ある者」であること的なモノが盛り込まれていたから焦点となったのであり、オリンピック代表選手って選考の際に「品格」も基準になっていたんでしたっけ?論点が全然、間違っていると私は思っています。戦前派が指導者に残っていた昭和の時代には、そんな価値観もあったとは思いますが、今の時代にはとんだお笑いぐさではないでしょうか。むしろ“今の日本の若者のスタイル”を伝えているという意味では、よっぽど日本代表らしいとさえ言えるのではないかと思えるほどです。

全日本スキー連盟は「出場自粛だ」、橋本聖子団長も「私の責任問題だ」と大騒ぎしています。一方の国母選手本人は開会式も出席自粛を命ぜられて、マスコミに叩かれ放題の上に今度は謝罪会見だとまぁ競技どころじゃない様子です。JOCもスキー連盟も何を考えているのだか…。選手のコンディションづくりを守りベストな状況で競技に向かわせることがJOCやスキー連盟の役割なのではないのですか。橋本団長も含め揃いも揃って大人たちは自己の「保身」の集まりな訳で、こんなくだらないことで選手に余計な動揺を与えている有様で選手がまともにメダルを取れる訳ないじゃないですか。「日本のメダル数を減らしているのはあんたらだよ」と、声を大にして言ってやりたいとこです。

国母選手本人は雑音が多くて大変でしょうが、とにかく競技本番でメダルを取って狭い見識の世間を見返してやって欲しいですね。ただし先の記者会見での「無礼」に対する謝罪は、メダルをとった暁にしっかりすることも忘れずに。