日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

経営のトリセツ40 ~EQ③ 「社会認識力」=“脱自分勝手”ということ

2008-09-18 | 経営
EQ解説、EQを構成する2大要素のうちまず「自己マネジメント」を2回に分けてご説明しましたので、次は他方の要素「対人マネジメント」に入ります。

「対人マネジメント」は、2要素「社会認識力」と「人間関係管理力」から構成されます。まずは、「社会認識力」から。「社会認識力」は、相手の表情や声話しぶりなどから相手の感情を把握する力のことです。コミュニケーションは、相手があってはじめて成立するものです。いかに自分が論理的で正しい道筋で話をしていようとも、相手の感情を理解しないで一方的に話をすることは、場違いな発言をしてしまい感情を逆なでするようなことに陥ってしまうのです。

「社会認識力」のポイントとなる具体的「力」は、①「共感力」②「組織感覚力」③「奉仕能力」です。

「共感力」は、常に相手の対応に注意を払い細かな感情の変化を言葉尻や表情の変化から読み取りながら話す方にバリエーションを持たせる力です。例えば、同じことを伝える場合も、相手の口調や表情を勘案して表現尻を変えてソフトに話をしたりあるいは強く話しかけたり、予定を変更して話す内容を変えて分割したり、あえて他の話をセットしたり…。より円滑に自己の主張を相手に理解させることができる「力」であるとも言えます。

「組織感覚力」とは、集団の中での自己の立場や相手の立場、あるいは上下関係での地位的発言力と現状の政治的ポジショニングを認識して発言の仕方にバリエーションを持たせられる「力」です。集団におけるしきたりや組織風土、社風、業界風土、暗黙のルールなどを理解し、自己の発言や意思表示、主義主張が及ぼす影響や評価に関して事前に想定しながら、失敗のない進め方ができるかどうかです。いわゆる「KY」と言われる「空気が読めないヤツ」は、まさにこの「力」に欠けているのです。

「奉仕能力」は、相手が望んでいることへの理解をして、相手に一定の満足感を与えながら上手にコミュニケーションをとる「力」です。すなわち、「相手の立場でものを考える力」、言い換えれば「マーケティング力」と同じものです。この「力」に優れている人は、対顧客サービスにおいても上質なサービス提供の実現により顧客から高い評価を得られるでしょうし、組織内での部下とのコミュニケーションにおいても、信頼感を得られ人望を集めることにつながります。「サーパント・リーダーシップ」はまさに、この部分を前面に押し出した管理手法です。

EQマネジメントにおける「社会認識力」を一言で申し上げれば、「自分勝手に陥るな!」ということです。“脱自分勝手”のポイントは、常に社内でも社外でも、仮に自分が経営者で相手よりも立場が上であっても、自分自身と同様に相手も尊重してあげる気持ちを忘れないことです。それが下手だとお思いの方は、いきなり「相手の望むことを施す」まではできなくても、「相手の望まざるを施さず」からはじめてみてはいかがでしょう。それだけでも、効果テキメンであると思います。