日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

経営のトリセツ39 ~ EQ①  「自己認識力」を高める3要件

2008-09-05 | 経営
間が空いてしまいましたが、「EQマネジメント」に関して前回(8月19日「経営のトリセツ」)の続きです。その中身について…

「EQマネジメント」は、「自己マネジメント」と「対人マネジメント」に分けられ、それぞれ一言でいうと「己を知り制御すること」と「他人を思いやりつつ、自己を伝えること」であるとお話しました。さらに「自己マネジメント」は、構成的には「自己認識力」と「自己管理力」に分けられます。

まず今回は、「自己認識力」を見てみます。「自己認識力」は自分の長所、短所、思考や感情の特性、価値観や動機などをしっかりと把握する能力のことです。自分のことは分かっていそうで意外にそうでもないことって多いのです。

「自己認識力」を高める要件としての「力」がいくつかあります。
第一の「力」は「感情抑制力」です。すなわち、自分の感情をしっかり認識して抑制すること。例えば自分が今「怒っている」のか、はたまた「落胆している」のか、これが分かると、自分を客観的に見ることができ感情をコントロールできるようになるのです。この能力に欠けていると、感情を抑えることができずに自己の価値観を忘れて、その時々の感情で行動してしまい、結果失敗したり後悔したりすることになります。

第二の「力」は、「自己評価力」です。自分の強みや限界を過大評価も過小評価もすることなく、理解する力です。「強み=長所」は比較的把握しやすいものの、「短所」さらには「限界」を自身で理解するのはなかなか難しいものです。これができるようになると、自身の「短所」を指摘されても感情的にならなかったり、「限界」を知ることで他者とのコラボレーションの重要性を認識し、抵抗なく人に任せたり他人の力を借りることができるようになり、他者との関係も円滑に運ぶようになるのです。

もちろんこの逆のパターンもあります。現実以上に自分の「長所」を認識していなかったり、自信喪失等で必要以上に「限界」狭めていたり…。一見謙虚そうに見えるこのケースですが、実は「他人依存」に陥り、自分を見失っていると言えるのです。

第三の「力」は、「自己確信力」です。これは自己の価値観に基づいて正しいと信じることをしっかりと表現できる「力」です。与えられた状況の如何にかかわらず、納得性の高い決断ができ、その決断に責任が持てるという「力」でもあるのです。この「力」があれば、周囲が皆誤った判断に陥りそうな事態に置かれても、正しいと信じることを例えひとりであっても主張することができるのです。

こうやって見てみると、「自己認識力」を高める3つの「力」がいかに経営者に必要な「力」であるかお分かりいただけるのではないでしょうか。大多数が反対しても論理的じゃない自分の意見を「社長の俺の言う通りにしろ!」と無理に通そうとしたり、逆に自分の意見を持たずに「皆に何任せるよ」と周囲の言いなりになる人は、まさに「自己認識力」が低い人です。こんな経営者の下では、会社経営はおぼつかないわけです。