日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

〈70年代の100枚〉№40 ~ ジャケット・アートも歴史に残る逸品

2008-09-13 | 洋楽
ジャケットの記憶が、あまりにも鮮烈なアルバムってありますよね。そんなアルバムの代表格が、スーパートランプの「ブレックファースト・イン・アメリカ」です。

No.40      「ブレックファースト・イン・アメリカ/スーパートランプ」

スーパートランプは70年代初頭から地道な活動を続けて来た英国のロックバンドです。中心人物は、ロジャー・ホジソン(Vo.G.Key)とリック・ディヴィス(Vo.Key)。この二人がビートルズのレノン=マッカートニーよろしく、ソングライト・チームを組んでリードボーカルを分け合っていたのが特徴です。初期は、どちらかというとややプログレッシブ・ロック的な要素も強く今ひとつバッとしなかったのですが、ロジャーとリック以外のメンバーが刷新された74年以降、次第にポップさも身につけ英米でコンスタントなセールスを記録するようになっていきます。

そして彼らが大ブレイクしたのが、79年リリースのこのアルバム「ブレックファースト・イン・アメリカ」でした。従来以上にポップに作られた中にも、英国らしい気品を漂わせる独自の雰囲気がアメリカでバカ受け。全米チャートで6週連続No.1を記録。全世界で1800万枚を売り上げ、70年代のアルバム売上順位でも、並み居る“名盤”たちを押しのけて、TOP20に入るほどの大ヒットを記録したのでした。

なんと言ってもイカしているのが、初めにお話したジャケット・アート。飛行機の窓越しに見たニューヨークを、ハデハデ・ファミレスコスチュームのおばちゃんと食器の山でイメージされたものですが、おばちゃんのポーズは自由の女神、食器の山はマンハッタンを見事にモチーフしているのです。特に、おばちゃんのカメラ目線とその表情がサイコー!どこにでもいる若い美人モデルじゃなく、あえておばちゃんを使ったのがミソですね。一度見たら忘れられないジャケット・アートになりました。グラミー賞のベスト・アルバムカバー賞受賞も納得の名ジャケットです。

アメリカでは、A2「ロジカル・ソング」がTOP10ヒット。A3「グッドバイ・ストレンジャー」、B1「ロング・ウェイ・ホーム」がTOP20ヒットを記録しています。日本でも、CMソングに使用されたタイトルナンバーA4「ブレックファースト・イン・アメリカ」が、ジャケットの話題性と相まってかなり売れたという記憶があります。何故か、ジャケットのおばちゃんがプロモ来日するとかいう、妙な盛り上がりもあったような…。

個人的には、哀愁漂うタイトルナンバーも好きですが、イチオシはB4「カジュアル・カンバセーション」。同時期の、イーグルスの「サッド・カフェ」同様、フェンダーローズとサックスの絡みに出始めAORの影響がモロって感じで、70年代の終わりと同時に80年代への橋渡しを感じさせる佳曲です。

スーパートランプはこの後、ロジャー・ホジソンの脱退を受けてジリ貧状態が続き、80年代に一度解散。近年再結成されたようですが、ホジソン抜きのままで持ち味の高音ボーカルは聞かれないようです。どこか寂しさを禁じ得ない、本アルバム後の彼らですが、このアルバムが70年代に残した足跡の大きさが決して色々あせるものではなく、近年の国内音楽ジヤーナリズムの低評価には納得しがたいものがあります。

折も折、今月本アルバムが紙ジャケット盤でリイッシューされました。この機会に、同じ時代を過ごした全米TOP40フリークたちには是非とも聞き返して欲しい一枚ですね。同時リリースのベスト選曲「ライブ・イン・パリ」もオススメです。