日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

〈70年代の100枚〉№22 ~ “クイーン・ブランド”を確立した記念碑

2008-05-17 | 洋楽
個人的には決して「大好き」には属さないアルバムですが、全米TOP40的にはナショナル・ブランドとしての「QUEEN」を確立したアルバムとして、「100枚」からはハズせない1枚でしょう。

No.22 「オペラ座の夜/クイーン」

まずこのアルバムを語るには、何をおいても本アルバムからのファーストシングルでもあるB4「ボヘミアン・ラプソディ」に触れない訳にいかないですね。バラード~オペラ~ロックと連なる画期的な名曲であると同時に、ロックやポップと言うジャンルを超越した斬新さと美しさがそこにはあります。リアルで経験したリリース当時の衝撃はかなりのものでした。当時の私などロック小僧は、まだこの曲の凄さも理解できずに、中間部オペラ部分のロックと呼べない展開は「奇をてらいすぎ」「日和見ロック」と批判すらしていたものです。もちろん今となっては、ロックの歴史に燦然と輝く名曲であることに口を挟む余地は全くありません。ビルボード・シングルチャート最高位9位。

まだまだ若さが見られたファーストと「Ⅱ」。「キラー・クイーン」のヒットで人気はメジャー化したものの、アルバム的なまとまり感では課題を残した「シアー・ハート・アタック」。それらに比べて、この75年リリースの第4作「オペラ座の夜」の楽曲の水準の高さと、全体を貫くコンセプチュアルなトーンは、確かに格段のレベルアップを感じされるものでありました。

楽曲的には、「ボヘミアン・ラプソディ」以外でも、A1「デス・オン・トゥ・レッグス」B2「ラブ・オブ・マイ・ライフ」など、フレディ・マーキュリーの作品がとくに秀でているように思います。「デス・オン・トゥ・レッグス」は、「Ⅱ」B1の「オウガ・バトル」にも相通じる不気味さとワクワク感がたまらないオープニング曲です。「ラブ・オブ・マイ・ライフ」は、ライブ中間部のアコースティック・セットで取り上げられた本当に美しいラブ・ソングです。改めてフレディの、尋常ならざる才能に感心させられるとともに、あまりに早いその死を今更ながら残念に思います。

個人的に「大好きではない」と申し上げたのは、アルバムのジャケット・デザインから中身のトータルイメージ構成に至るまで、入念に作りこまれたスキのなさが逆に神経質に思われてしまうのがその理由のように思います。ただ、プログレッシブ・ロックにも通じる「英国的」伝統美を伝える名作であることには、異論のないところです。

でもなぜか“プロの音楽評論家”たちは、クイーンのアルバムを70年代の「名盤」には決して選出しないんですね。アイドル的人気バンドの印象が強いからなのでしょうか、きっとクィーンを選ぶことは「プロっぽくない」「カッコ悪い」とでも思っているのではないでしょうか。その方がよっぽど「カッコ悪い」ですけどね。