馬越え峠エイドで補給した時には
「さぁ、後半も行くぞ!」
と思っていましたが、後半を歩き始めて体の変調に気が付きました。先ほどまでのようには力が入らない!
ここでの補給も簡単に済ませたのでいっ気に20人ぐらいエイドで抜かしたのですが、抜かしたその人たちにじわじわと抜き返されました。
去年のようなのろのろあるきになり、結果60勝60敗ぐらいのイーブンに。(抜かされ始めるともうどうでもいいやみたいな心境にはなっていましたが)
馬越え峠が終わると、100キロコース最後の激下りが待っています。高低差表によると2キロちょっとの距離で320mも下ります。
ここは一度勢いが着いたら止まらなくなってしまう所です。のぼりのあるきで体が冷えて関節もかたくなってしまっている私はゆっくりゆっくりとリズムを取りながら下り始めました。一気にギアを上げて抜き去っていく人をうらやましく思いながらも、数年前の大会で得た教訓
「人と比べない」
というキーワードを胸に自分の体と対話しながら少しずつ少しずつテンポを上げていきます。
基本下りは苦手なので快走ということはないのですが、以前に比べ抜かされることも少なく、走れています。ただ、
全身には激痛が走っています。
特に腹筋・大胸筋・股関節回り 弱いところに出てきます。(膝が痛くないのが救いです)
山の中を下っていくと少しずつ視界が開けてきます。くだりも終わりが近づいてきます。カーブに番号が振ってあるので、
「あと20個だ。」「あと10個だ。」と心の中でカウントダウンしていきます。
ものすごい激下りなので気温の上昇も感じます。320mというと約2℃あがる計算です。
暑さを感じながらフラットな80キロ地点にたどり着きました。
T字路で右折しますがその直前に施設エイドがありました。おばちゃん手作りの梅干しがありました。
「これは酸っぱいよ!」
という梅干しに挑戦しましたが、一口食べて
「これは食べられないですよ。」
と口に出してしまうほどの酸っぱさでした。(今思い出しても口の中に唾液があふれてくるほどです。)
水で流し込むようにしていただきました。
さぁ、待ちに待ったフラットなコース。80キロから90キロにかけては全体を通して最も緩やかな傾斜、緩やかなくだりを基調としたコースです。それでも今年は調子に乗ってげき下ってきた反動か体がうまく動くまでに時間がかかりました。ゆっくりとゆっくりとペースアップしていきます。この80キロから87キロのエイドまではキロ6分ぐらいで走っているんじゃないでしょうかね?誰一人として抜かされませんでした。何人抜いたのか数えるよりもうれしくてうれしくてにやにやしながら幸せをかみしめながら走っていたのではないでしょうか?私が一番楽しいと感じる区間です。
さぁ、河川敷も終わりいよいよ87キロのエイド。残り13キロで2時間残っていれば完走を確信できます。今年は、
「2時間15分」
の余裕がありました。
「ふ ふ ふ 完走できそうだな。」
という確信にも似た感情と、
「この先でトラブルが発生するかもしれない。」
という不安が襲ってきたのも事実です。何しろ12時間近く走ってきたので自分の体が今どうなっているのか把握しきれていないのではないか?という気持ちもあったからです。
ここのトイレが2つしかなかったのも不安をあおりました。4人しか並んでいなかったので最後尾に着きました。さくっとトイレを済ませたかったのですが、結構並んでいる時間が長く感じました。
アミノバイタルのジェルとエイドのそばを補給して、再び走り始めます。
進んでいくとテントが見えます。
でも、ここにたどり着くのは5回目なので私は知っています。あれは、エイドではなく、90キロ地点の計測ポイントのテントなのです。近づいてエイドではないと知って落胆したことが何度かありましたが、今年はもう大丈夫です。(って、2回目からは気づけよって話ですが、90キロ地点てもう理性的な判断ができにくくなってますからね)
さぁ、ここから、コース最後の難関
「だらだらのぼり」
です。
我々レベルの完走が目標のランナーにとっては、
「走るのか? 歩くのか?」
選択に迷うだらだらとした上り坂です。
目測では9割以上の人が歩いています。でも、残り10キロを全部歩くと2時間半以上3時間近くかかる計算なので完走できません。10キロの半分ぐらいは走らないと間に合わないのです。私は、
「走るほうが速ければ走る。」
という基準でここまで来ていますから、走り続けます。
どんどん抜かしていきます。とはいえゆっくりですよ。ゆっくりとではありますが
「歩いている人を」
抜かしていきます。
つらいです、きついです。90キロ以上走ってきて楽な人なんていないと思うけど、本当にきついです。
「ここで歩いても、許してくれるよね。」(だれが?)
という思いと、
「走れるんだから走る。自分にできることがあるうちは手を抜かない。」
という気持ちとが入り乱れ後者のほうが勝っていたから走り続けました。
95キロまでは。
このあたりでいよいよ心と体のスタミナが切れてしばし歩きました。
でも、今までの経験で知っているのです。
「歩いていることも、戦っていることだ。」
大切なことはあきらめないことだということも。
少し歩けば、また走り始められることも知っています。そうやってきました。そうやって生きてきました。ウルトラマラソンはいたるところで自分の生き方を考えさせてくれます。だから、やめられません。
まだかまだか?と待ちわびた97キロのエイドで補給し、あとはゴールに突き進むだけです。
制限時間まであと1時間ぐらい、残り約3Km。ここまでくれば、全部歩いても時間内完走はできます。でも、歩きません。なぜなら、
「まだ、走れる。」
からです。
走ったほうが速いから走っていたのではありません。
走れるのだから走ろう。
素晴らしい100キロの大会があと3キロで終わってしまうことをかみしめながら最後まで走ろう。
2キロ 1キロ と減っていくのはさみしい。でも、早く終わらせてくれ。そんな思いを込めてペースアップ。
数年前にお猿さんとデットヒートを繰り広げたときほどはラストスパートできませんが、気持ちよく上げて最終コーナーを曲がります。
例年のように歩道ではなく、広い車道が最後の花道でした。遠くに電光掲示板が見えます。
「13時間36分18秒」
が見えます。
「37分切れるんじゃないか?」
13時間30分の自己記録には届かないけど、なぜか37分切りに闘志を燃やしてしまいラストスパート。
そう思っているのは自分だけで周りにはそうは見えなかったかもしれないけれど。
ゴール!
タイムは
「13時間36分59秒」
この「59秒」に自分の負けず嫌いさが表れているなぁと苦笑い。
今年は初めて「一人」で参加した大会。
でも、一人で走っている気はしなかった。
ゴールでは知り合いは誰も待っていてはくれなかったけど、
野辺山は温かかったよ。
これで5回目の完走。デカフォレストまでの半分来た。道は遠いけど、来年も走るぞ!
「さぁ、後半も行くぞ!」
と思っていましたが、後半を歩き始めて体の変調に気が付きました。先ほどまでのようには力が入らない!
ここでの補給も簡単に済ませたのでいっ気に20人ぐらいエイドで抜かしたのですが、抜かしたその人たちにじわじわと抜き返されました。
去年のようなのろのろあるきになり、結果60勝60敗ぐらいのイーブンに。(抜かされ始めるともうどうでもいいやみたいな心境にはなっていましたが)
馬越え峠が終わると、100キロコース最後の激下りが待っています。高低差表によると2キロちょっとの距離で320mも下ります。
ここは一度勢いが着いたら止まらなくなってしまう所です。のぼりのあるきで体が冷えて関節もかたくなってしまっている私はゆっくりゆっくりとリズムを取りながら下り始めました。一気にギアを上げて抜き去っていく人をうらやましく思いながらも、数年前の大会で得た教訓
「人と比べない」
というキーワードを胸に自分の体と対話しながら少しずつ少しずつテンポを上げていきます。
基本下りは苦手なので快走ということはないのですが、以前に比べ抜かされることも少なく、走れています。ただ、
全身には激痛が走っています。
特に腹筋・大胸筋・股関節回り 弱いところに出てきます。(膝が痛くないのが救いです)
山の中を下っていくと少しずつ視界が開けてきます。くだりも終わりが近づいてきます。カーブに番号が振ってあるので、
「あと20個だ。」「あと10個だ。」と心の中でカウントダウンしていきます。
ものすごい激下りなので気温の上昇も感じます。320mというと約2℃あがる計算です。
暑さを感じながらフラットな80キロ地点にたどり着きました。
T字路で右折しますがその直前に施設エイドがありました。おばちゃん手作りの梅干しがありました。
「これは酸っぱいよ!」
という梅干しに挑戦しましたが、一口食べて
「これは食べられないですよ。」
と口に出してしまうほどの酸っぱさでした。(今思い出しても口の中に唾液があふれてくるほどです。)
水で流し込むようにしていただきました。
さぁ、待ちに待ったフラットなコース。80キロから90キロにかけては全体を通して最も緩やかな傾斜、緩やかなくだりを基調としたコースです。それでも今年は調子に乗ってげき下ってきた反動か体がうまく動くまでに時間がかかりました。ゆっくりとゆっくりとペースアップしていきます。この80キロから87キロのエイドまではキロ6分ぐらいで走っているんじゃないでしょうかね?誰一人として抜かされませんでした。何人抜いたのか数えるよりもうれしくてうれしくてにやにやしながら幸せをかみしめながら走っていたのではないでしょうか?私が一番楽しいと感じる区間です。
さぁ、河川敷も終わりいよいよ87キロのエイド。残り13キロで2時間残っていれば完走を確信できます。今年は、
「2時間15分」
の余裕がありました。
「ふ ふ ふ 完走できそうだな。」
という確信にも似た感情と、
「この先でトラブルが発生するかもしれない。」
という不安が襲ってきたのも事実です。何しろ12時間近く走ってきたので自分の体が今どうなっているのか把握しきれていないのではないか?という気持ちもあったからです。
ここのトイレが2つしかなかったのも不安をあおりました。4人しか並んでいなかったので最後尾に着きました。さくっとトイレを済ませたかったのですが、結構並んでいる時間が長く感じました。
アミノバイタルのジェルとエイドのそばを補給して、再び走り始めます。
進んでいくとテントが見えます。
でも、ここにたどり着くのは5回目なので私は知っています。あれは、エイドではなく、90キロ地点の計測ポイントのテントなのです。近づいてエイドではないと知って落胆したことが何度かありましたが、今年はもう大丈夫です。(って、2回目からは気づけよって話ですが、90キロ地点てもう理性的な判断ができにくくなってますからね)
さぁ、ここから、コース最後の難関
「だらだらのぼり」
です。
我々レベルの完走が目標のランナーにとっては、
「走るのか? 歩くのか?」
選択に迷うだらだらとした上り坂です。
目測では9割以上の人が歩いています。でも、残り10キロを全部歩くと2時間半以上3時間近くかかる計算なので完走できません。10キロの半分ぐらいは走らないと間に合わないのです。私は、
「走るほうが速ければ走る。」
という基準でここまで来ていますから、走り続けます。
どんどん抜かしていきます。とはいえゆっくりですよ。ゆっくりとではありますが
「歩いている人を」
抜かしていきます。
つらいです、きついです。90キロ以上走ってきて楽な人なんていないと思うけど、本当にきついです。
「ここで歩いても、許してくれるよね。」(だれが?)
という思いと、
「走れるんだから走る。自分にできることがあるうちは手を抜かない。」
という気持ちとが入り乱れ後者のほうが勝っていたから走り続けました。
95キロまでは。
このあたりでいよいよ心と体のスタミナが切れてしばし歩きました。
でも、今までの経験で知っているのです。
「歩いていることも、戦っていることだ。」
大切なことはあきらめないことだということも。
少し歩けば、また走り始められることも知っています。そうやってきました。そうやって生きてきました。ウルトラマラソンはいたるところで自分の生き方を考えさせてくれます。だから、やめられません。
まだかまだか?と待ちわびた97キロのエイドで補給し、あとはゴールに突き進むだけです。
制限時間まであと1時間ぐらい、残り約3Km。ここまでくれば、全部歩いても時間内完走はできます。でも、歩きません。なぜなら、
「まだ、走れる。」
からです。
走ったほうが速いから走っていたのではありません。
走れるのだから走ろう。
素晴らしい100キロの大会があと3キロで終わってしまうことをかみしめながら最後まで走ろう。
2キロ 1キロ と減っていくのはさみしい。でも、早く終わらせてくれ。そんな思いを込めてペースアップ。
数年前にお猿さんとデットヒートを繰り広げたときほどはラストスパートできませんが、気持ちよく上げて最終コーナーを曲がります。
例年のように歩道ではなく、広い車道が最後の花道でした。遠くに電光掲示板が見えます。
「13時間36分18秒」
が見えます。
「37分切れるんじゃないか?」
13時間30分の自己記録には届かないけど、なぜか37分切りに闘志を燃やしてしまいラストスパート。
そう思っているのは自分だけで周りにはそうは見えなかったかもしれないけれど。
ゴール!
タイムは
「13時間36分59秒」
この「59秒」に自分の負けず嫌いさが表れているなぁと苦笑い。
今年は初めて「一人」で参加した大会。
でも、一人で走っている気はしなかった。
ゴールでは知り合いは誰も待っていてはくれなかったけど、
野辺山は温かかったよ。
これで5回目の完走。デカフォレストまでの半分来た。道は遠いけど、来年も走るぞ!