フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

2月11日(火) 晴れ

2020-02-13 19:00:06 | Weblog

10時半、起床。

トースト、ハム&エッグ、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

金柑は先日、福引でもらったものの。実よりも皮の方が甘い。

午後2時を回った頃、散歩に出る。どこかで昼食を食べたいが、この時間にしっかり食べると夕食の時間になってもお腹が空いていない可能性がある。朝食や昼食の時間は自分で決められるが、夕食は妻が作ってくれて、妻と一緒に食べるので、7時半前後と決まっているのである。

そうだ、これにしよう。「吉野家」の新商品、ライザップ監修「牛サラダ」である。

たっぷりのキャベツン千切りの上に牛肉、鶏モモ肉、アボカド、海老、玉ねぎ、ブロッコリー、そして半熟玉子が載っていて、専用のドレッシングをかけて食べる。これで600円。ちょっとこ洒落たレストランで食べたら千円以上するだろう。

電車で1つ隣の大森まで散歩の足を延す。お目当ては「sanno2198」だが、その手前にある評判のパン屋「BAKE MAN」で食パン(全粒粉)、練乳クリームパン、クロワッサンを買う。

大森駅から「sanno2198」までは徒歩で7分ほど(駅前から上池上循環(上回り)バスに乗って「山王二丁目」で下車という手もある)。「2198」は「二丁目19番地8号」の意味。

リースのあるドアからではなく、

横の細い通路の方から入る。

客は私だけだった。本日のケーキはバナナタルト。

珈琲はその日のケーキに合うマダムお薦めのものを注文することにしている。

今日はバナナケーキとトラジャ。

後から来た女性客がアイスコーヒーを注文した。氷で冷やすんですか!

その女性客とは初対面だったが、当然、おしゃべりをした(ここはそういうカフェである)。その後に男性客、男性客、女性客、女性客がやってきた。みなさん常連さんのようである。最後の方が入ってきたときに満席状態(カウンターは5人が限度)だったので、私が手を上げて、「いま出るところです」といって席を立つ。ところてん方式である。

この後、ジャーマン通りでもう一軒、寄りたいところがあるのである。

古書店「あんず文庫」である。

金沢の出版社「亀鳴屋」から出ている室生犀星関連の本が並んでいる(写真はお店のツイッターから拝借)。犀星は金沢の出身だが、馬込文士村に長く住んでいた。大森ゆかりの作家であると同時に「あんず文庫」主人の加賀谷さんの大好きな作家でもある。

珈琲を注文し(バーカウンターがあるのだ)、加賀谷さんと本の話や古本屋という商売の話をたくさんした。

加賀谷さんの一番好きな作家は太宰治だが、「彼の作品の中でとくにお好きなものを三点あげるとするとなんですか?」と質問したところ、しばらく考えてから、次の三点を挙げられた。

(1)「畜犬談」

(2)『正義と微笑』

(3)『津軽』

う~ん、と思わず唸るチョイスである。「畜犬談」は犬をめぐるユーモラスなエッセイ(ちくま文庫版全集の第3巻所収)、『正義と微笑』は二番目の長編小説(第5巻所収)、『津軽』は故郷の紀行文(第7巻所収)である。よほど太宰に惚れ込んで全作品を読破した人でなければ挙がって来ないベスト3であろう。

ちなみに清水幾太郎は太宰の作品をよく読んでいた。彼に「太宰治と私」という短い文章がある(亀井勝一郎に頼まれて1951年に創元社から出た『太宰治作品集』の付録として書いたもの)。そこにはこう書かれている。「私は太宰君の作品を読む度に、隅から隅までよく判るだけでなく、ひとごとではないぞ、といふ気がしてならなかつた。交際がなかつたのに、私が彼の告別式へ出かけて行つたのも、きつと、そのためであらう。河盛好蔵氏に言はせると、太宰君は不良少年で、私は優等生、といふことになるさうであるが、併し、太宰君を読む人と、私を読む人とは、かなりの程度まで、重なり合つてゐるのではないかと思ふ」。清水の文体には戦後数年を経た頃からある変化が見られるのだが、そこには太宰の影響があると私は考えている。

3冊の本を購入した。

室生犀星『動物詩集』(亀鳴屋)

伊藤人誉『馬込の家 室生犀星断章』(亀鳴屋)

高橋源一郎『ニッポンの小説 百年の孤独』(文藝春秋)

たくさんお話ができて楽しかったです。また参ります。

店を出るとき、「これから『昔日の客』さんへ行かれるのですか?」と聞かれる。カフェ『昔日の客』では今夜、関口直人さんのギター弾き語りのコンサートがあるのだが、残念ながら今夜は家で明日(文化構想学部の入試)に備えてあれこれすることがあるのだ。

7時、帰宅。

ほどなくして夕食。ラムチョップ、明太子、卵と玉ねぎの味噌汁、ご飯。

デザートは苺。

さらに「BAKE MAN」で買って来たパンの中から練乳クリームパンを妻と半分個して食べる。

「sanno2198」のマダムも「あんず文庫」のご主人もこの練乳クリームパンが美味しいと言っていたが、確かに!

カレーパンも美味しいらしい。今度行ったときに買おう。

深夜、「あんず文庫」のご主人がツイッターでつぶやいていた(下の写真も)。

「一週間が終わりました。 散歩中や、スーパーの袋をさげたお客さま。そして、お出かけ帰りのお客さま方。ふらん、と皆さま本や珈琲、ちょっと一杯のお酒をもとめに来て下さいました。 生活のすきまにわずかでも寄り添えて光栄な日々です。 今週もご来店下さいまして、誠にありがとうございました。」

「あんず文庫」は23時閉店。水木は定休。

1時、就寝。私にしては早寝である(明日は6時半起きなのである)。