フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

9月20日(木) 雨

2018-09-21 11:31:13 | Weblog

9時半、起床。昨日、鎌倉をたくさん歩いて疲れたのだろう、本来の起床時間(とういものが一応私にもあるのだ)を1時間半もオーバー。

昨日とは一転しての雨の一日になる。よかった、昨日、夏を見送りに鎌倉に行っておいて。

トースト、ハム&エッグ、サラダ、葡萄、牛乳、紅茶の朝食。基本5品に今日はフルーツが加わって6品。秋の食卓という気配がただよっている。もっとも葡萄を加えたのは、冷蔵庫を開けたとき、葡萄の房が落下し、8粒ほどが床に転がったのを洗って食卓に出したからである。緊急事故対応の6品なのである。

さて、昨日の『半分、青い』。語りたいことがたくさんある。

日本中が驚いた鈴愛と律のキスシーン。鈴愛の思いが律に伝わったことはいいんです。一昨日の回で「自分の思いを伝えるタイミングは一生ないような気がする」と言っていた矢先ですから。だいたいそういことを口にすると反対のことが起きるのがドラマというものです。社会学ではこういうのを「自殺的予言」と言う(反対に口にしたことでその通りになる予言を「自己成就的予言」と言う)。それはそれでいいんです。鈴愛の思いが律に伝わることは視聴者がみんな望んでいたことですから。びっくりしたのはキスシーンである。キスしているように見せて実際はキスはしていないというのが朝ドラの常套的演出だったのを正面から打ち破った。北川悦吏子すごい。いや、演出陣がすごいのかな。しっかりキスしている。しかも、スタンディングでのキスではなく、同衾(どうきん)でのキスですである。ほとんどベッドシーンである。「ほとんど」と言ったのは、律が寝ていたのはベッドではなくて、ソファーだからだ(仕事場で徹夜したのである)。だからベッドシーンではないのだと。ちゃんと服も着てるし(笑)。たぶんそういう判断でNHK的にはギリギリオーケーだったのだろうと推測する。

で、キスに至る流れだが、まず律の寝顔を見ていて、鈴愛が律の唇にキスをしようと顔を近づける。女性の側からというのは北川悦吏子の本領発揮である。律、気配を察して目を開ける。ちなみに今日の回で「キスしようとしてたでしょ」の台詞を律は言っていた。わかっていたんだね。律と目があって鈴愛はあわてて顔を離す。「おはよう」と律が言う。「おはよう」と鈴愛が答える。「いま何時」と律が聴く。「8時」と鈴愛は答える。私はこのとき思いました。「二人とも朝ドラ観ててないんだ」と(笑)。ちなみに2010年下半期の朝ドラは瀧本美織主演の『てっぱん』だった。私も見てなかったけど。

律が鈴愛の手を握る。いったん引きかけた鈴愛の情動が再びこみあげてくる。さらに律の一言。毛布を上げて「入る?」。私はここがちょっとひっかかる。ここは「おいで」じゃないのか。「入る?」というのは鈴愛の意思を尋ねていることになるが、鈴愛の気持ちが分かった上でそう言っているとしたら、ちょっとずるいんじゃないのか、律。鈴愛は魅入られたように毛布の中に入って行く。この時点では鈴愛は律に背中を向けている。そして「何、これ?」と急な展開に自分でツッコミを入れている。視聴者の考えていることを代弁しているのだ。北川悦吏子が「視聴者のみなさん、なんなの、この展開は、と思っているでしょう。わかってますよ、はい」とメッセージを送っているのだ。

そして鈴愛は例のマグマ大使の笛を吹く。普通こういうときに笛は吹かない(笑)。そして鈴愛は言う。「律の真ん中で、律を呼ぶ。なんちて」。「なんちて」は「なんちゃって」の意味か。自分の名台詞(?)にまたしても自分でツッコミを入れる。どこまでも、コテコテの演出をそれがコテコテであることをちゃんとわかってやっているんですというメッセージである。そういう形で北川は起こるであろう批判をあらかじめ封じているのだ。そのツッコミに律がクスリとする。ここで二人はようやく向き合う。キスの気配に鈴愛はいったんうつむく。でも、すぐに意を決したように顔を上げる。このワンクッション入れた演出は芸が細かい。「キスされちゃった」ではなく「キスするんだ」という主体性・積極性が伝わってくる。5分ほどのシーンだったが、中身の濃い5分間であった。なお、今日の回は、誰かの気配を廊下に感じて、鈴愛がびっくりして2人が離れるという場面で始まった。「2人はキスだけでした」というNHK的メッセージである。

今日のCDはグールドの弾く{平均律クラヴィーア曲集 第1巻」17番から24番。昨日、先走って第2巻を聴きはじめてしまったが、こちらを先に聴くべきだった。やっぱり動揺していたのだろう。今日のCDには第1巻の中でもとくに美しい曲が多かった。曲そのものももちろん美しいのだが、グールドのピアニシモの美しさが際立っている。聴き入ってしまう。ぞくぞくする。もしこれを教室で流したら涙を流す学生が続出するのではなかろうか。とはいえ、講義の内容と関係なく流すわけにはいかないから、何か理屈をつけなくてはならない。「騒音社会とピアニシモ」とかね。なんのこっちゃ(と、自分でツッコミを入れる)。

今日は妻が自宅で講習会の日。雨の中、昼食を食べに外に出る。木曜日は「phno kafe」がランチ営業をしている。 

3つのテーブルのうち2つが埋まっていた。1つは常連のヨーコさん、もう一つはお名前は存じ上げないが常連とおぼしきご婦人二人連れ。みなさんヨーグルトパフェを注文されているらしい。「先生のブログの影響ですよ」とヨーコさんが言った。そ、そうなんですか。

ご飯セットを注文。

「phono kafe」がなくなっちゃったらどうしましょう、とヨーコさんが言った。代わりのカフェを探すという発想は私にはない。だって「phono kafe」=大原さんなので、大原さんの代りになる人はおりません。ただ、大原さんが目の前からいなくなってしまったという事態(「phno kafe」ロス)にじっと耐えるほかはありません。それを埋められるのは、新しいカフェではなくて、過ぎてゆく時間だけです。という話を大原さんに聞こえるようにする(笑)。

トミー君が月曜日に来て、カウンターチェア3脚を引き取っていったそうで、カウンターの前の空間が広くなった。その場所で大原さんとヨーコさんのツーショットを撮らせていただく。

店を出て、駅の方へ。

腕時計が停まってしまったので、「山田時計店」に持って行く。分解掃除をお願いして、まずは費用を見積もってもらうことにする。もう35年も使っている愛着のある時計だ(婚約のときに妻から指輪のお返しにもらったもの)。この辺で2回目の分解掃除をして、人生をまっとうするまで使い続けたい。

床屋へ行く。途中の「鎌倉帽子店」で夏もののバーゲンセールをやっていた。「990円」とはずいぶん安いな。

前回が6月下旬だったから3か月ぶりだ。夏休み中ということもあったが、普段は2カ月くらいで行くところである。

いよいよ秋学期が始まる。

夕食は煮魚(子持ちカレイ)、サラダ、めかぶ、茄子の味噌汁、ご飯。

卵は美味しい。汁も美味しい(ご飯にかけて食べる)。

 3時、就寝。性懲りもなくまた夜更かしである。