ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

スティームタイガーの死走 霞流一

2012-05-21 11:59:00 | 

残念ながら、はずれ。

私がわりと当てにしているのが「このミステリーが凄い」のランキングだ。その2002年の第四位が表題の作品。昨今、やたらと長編が多いミステリーに挑むがごとき短さで、これはこれで評価できる。

問題は中身だ。アイディアてんこ盛りなのは間違いない。幻の蒸気機関車に、密室殺人、風水に、政治家と企業家と材料は多彩にそろえている。しかも、ミステリー・ファンならにやけずにはいられないほど、いろんなアイディア、パロディが組み込まれている。

だからこそのランキング4位だと思うが一つの小説としてみると、物足りなさが強い。アイディアの一つ一つに必然性が薄くて不満を抑えきれない。章を短く区切り、読みやすいのは確かだが、その掘り下げが不足していて、印象が薄すぎる。

本当に多彩なアイディアを盛り込んでいるだけに、この物足りなさは致命的といっていい。ライトノベルだって、もう少し掘り下げるぞ。

そんな訳で、今年一番の「がっかり賞」なのです。だからお奨めはしませんが、読みやすいので時間つぶしには役立ちます。

コメント (2)
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