ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

顧客第一

2012-05-02 12:58:00 | 経済・金融・税制
過ぎたるは、及ばざるが如し。

先だってテレビ東京の「ガイアの夜明け」を見ていたら、サムソンやLGといった韓国企業に圧唐ウれるアジア市場に挑むパナソニックの苦闘が放送されていた。

ウォン安を武器に輸出を飛躍的に増やす韓国企業は、かつての日本企業のように世界各地の家電市場を制覇していく。ただ、安いだけではない。現地のニーズを的確につかみ、それに応じた商品を提供するからこそ売れる。

番組では、パナソニックの現地責任者がインドの実情にあった製品の開発を行い、ようやく売れるまでを報じていた。日本では絶対に売れないような簡素なエアコンだが、膨大な下位中産階級にも買える値段設定が受けて、売れるに至ったようだ。

番組でも何度も触れていたが、未だ貧困層が多いアジア、アフリカには今後の成長が見込める国が少なくない。ただ、一部の富裕層を除けば、その大半が家電製品などの恩恵にあずかっていない。ここの膨大な需要がある。

ただ、日本企業はこの膨大な需要を取り込めずにいた。韓国や中国の企業に市場を独占されるばかりで、気がついたら日本企業の製品は、家電売り場に並ぶことさえなくなっていた。

自らも先進国トップクラスの豊かな生活を実現した日本には、これらの発展途上の国々の人々が、本当に欲しがるものを分らずにいた。そこを新興の韓国や中国の企業につけこまれた。

考えてみれば、世界に冠たる日本の家電製品は、性能が高すぎる。使いもしない余計な機能があふれている。欲しくもない機能まで付けられた高付加価値商品ばかりだ。

実際、私自身が日常で使う家電製品には、買って以来一度も使っていない機能であふれている。使いこなしていないというより、使う必要がない機能ばかりなので、完全に無駄となっている。この使いもしない数多の機能が、その値段に含まれていると思うと、正直腹が立つ。

使わない機能にあふれた日本製品が、アジアアフリカ市場で売れないのも当然だと思う。

率直に言って、日本市場は独特だ。多機能製品が良いものだと思われてきた。無駄な機能でさえ、付いているだけで製品の価値が上がると考えられてきた。

メーカーは、その多機能さを求めるニーズがあるからだとしてきたが、本当にそうなのか疑うべきだ。少子高齢化社会は、多機能な高性能よりも、優しく使える安心さを求めると思う。

まして、これから電化製品の恩恵を受けようとするアジア・アフリカ諸国では、消費者が求めるものは日本的な多機能高価格な製品ではあるまい。

顧客が何を求めているか、顧客に何が必要とされているのか、それを日本企業はないがしろにしてきたのではないか。だからこそ、世界市場のシェアを落とし続けているのだろう。

もう一度、初心にかえって顧客が欲するものを作って売る。この基本を大切にして欲しいものだ。そうすれば、再び日本企業は復活すると思うな。
コメント (6)
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