現場に行ってみる。凄く大事なことだと思う。
税理士としての仕事の一つに、相続財産の評価査定がある。昨年、民主党は税制改正法案のなかに相続税の増税を組み込んでいた。
もともと、日本では相続があっても、相続税を納めるような相続は100件に4件程度しかない。そこで財務省は、100件に7~9件程度は、相続税の納付があるように法改正を望んでいた。つまり非課税枠を引き下げる法案であった。
だが、如何なる経緯か知らないが、平成23年度の税制改正では、相続税の増税案は継続審議とされていた。別に財務省が諦めたわけではなく、継続審議なのだから、いずれ復活して国会に提出される可能性はある。
そのせいで相続税を心配する方々からの相談は増えた。おかげで、昨年から相続税の試算の依頼が少なくない。相続税を心配する方の多くは、所有する不動産の評価額が高く、納税資金に不安を感じる場合が多い。預貯金ならば取り崩せばいいが、不動産は簡単には換金できない。だから、予め納税すべき相続税額の概算を知っておきたいそうだ。
それほど難しい仕事ではないが、油断できない仕事でもある。基本的には路線価で評価するので、その土地の謄本や地形図などがあれば、概算でならば簡単に出来る。資料さえ揃っていれば半日程度で出来る仕事だ。
しかし、ここに落とし穴がある。不動産、とりわけ土地という奴は地図をみただけでは分らない。例えば傾斜地にある土地とか、あるいは土地の上に高圧電線が通っていたりといった評価減額の要素があることもある。これは現地に行ってみなければ分らない。
実際、行ってみて現場を見てみて初めて分り、慌てて評価のやり直しをした経験は何度もある。現場に行くことは、極めて大事だと思う。
昨今、インターネットなどで現場に行かなくても、かなり詳細な情報が入手できるようになったのは事実だ。でも、やっぱり現場に行かねば分らないことは少なくない。
これは土地評価の仕事だけではなく、様々な場面で起こり得ることだと思う。だから私は自ら足を運び、自分の目で見て、話を直に聞くように心がけている。
先月のことだが、ある方からの紹介があり、北関東にある某避難所にボランティアに行って来た。主に福島からの避難している方々が滞在している避難所で、放射能のために帰郷が叶わぬため、震災後一年以上たっているにもかかわらず、未だ避難所暮らしを続けている人たちだ。
私は実質ドライバーの立場でボランティアの人たちを運ぶだけだったが、それではなんなので、スーパーで駄菓子などをダンボール3箱につめて持参した。多分、生活必需品は足りていると思うので、必需でないものが喜ばれる気がしたからだ。
私の予想は大当たりで、駄菓子の段ボール箱には人が集まり、午前中で空っぽになってしまった。高齢者が多く、懐かしい味だと喜ばれたので、私も嬉しかった。やはり予想通り、生活必需品はとりあえず足りているようだ。
暇になってしまったので、周囲を見てまわり、避難者の方数人と話をしてみた。長い避難生活に疲れたのが、諦め気味の感じを強く受けた。同時に鬱積している不満が多いことも分った。
不満はいろいろあったが、目だったのは将来への不安だ。行政の手助けや、民間のボランティアなど様々な助けがあるが、この先どうなるのか分らない不安が、心も身体も蝕んでいるようだ。
多少でも元気な人たちは、政治に対する不満をぶちまける。とにかく現場の声が政府に届いているとは思えないことに、どの避難者も強く不信感を抱いている。
当然だと思う。今の与党民主党は党内のことばかりに目が行って、肝心の国民のことがなおざりになっている。いや、民主党ばかりではない。次の政権を担えるとほくそ笑んでいる自民党も似たり寄ったりだ。
だいたい復興プランの呈示が遅すぎる。慎重ならばまだいいが、実際のところは意見聴取不足であり、根回し不足でもある。官僚不信が根強い管・前首相が役所をうまく使いこなせなかったことも大きく響いている。
また後任の野田首相は、財務省の強い後押しがあってこその政権だと自覚しているので、霞ヶ関の意向にきわめて忠実だ。今に始まったことではないが、現在の霞ヶ関には、地方の実態が上手く伝わっていない。
官官接待を廃止して、非公式な折衝の場をなくしたため、現場の本音が霞ヶ関に伝わっていない。おまけにキャリア官僚たちが、現場に出向くのを厭う傾向が近年強く見受けられる。
霞ヶ関のお偉いさんたちは、現場の情報ではなく、よく書かれた、上司に煙たがれない報告書だけを頼りに政策を立案している。だから現場の本当の需要を把握していない。
だからこそ、せっかくの復興予算も空回りしている。政治家に現場に出向いて陣頭指揮をとれるような力量のあるものがいないことも大きい。今の二世政治家たちは、育ちも良く、スーツに泥が跳ねて汚れ、革靴が泥まみれになるのを厭わなかったドブ板選挙とは無縁のスマートな方ばかりで、ますます現場の知識に乏しい。
おかげで現場の人たちは欲求不満がたまるばかり。これは避難者ばかりでなく、村役場や町役場の役人たちからも共通している不満でもある。現場の困惑と不満を知らずして、復興を語るなと言いたい。
現場の実情に合わない政策の齟齬は、民主党政権に限らず近年目立つ悪しき傾向でもある。政治家や官僚は空調の効いた快適なオフィスで、イエスマンに囲まれた安直な仕事に安住するな。現場に出向いて、胸襟開いて市井の声を拾い上げろ。
政治ってやつは○×式の答案用紙を埋める作業ではない。前例を真似れば済む問題でもない。向かい風を浮黷驍ネ、国を支えるのは自分たちだとの気概をもって現場に臨んで欲しいものだ。
税理士としての仕事の一つに、相続財産の評価査定がある。昨年、民主党は税制改正法案のなかに相続税の増税を組み込んでいた。
もともと、日本では相続があっても、相続税を納めるような相続は100件に4件程度しかない。そこで財務省は、100件に7~9件程度は、相続税の納付があるように法改正を望んでいた。つまり非課税枠を引き下げる法案であった。
だが、如何なる経緯か知らないが、平成23年度の税制改正では、相続税の増税案は継続審議とされていた。別に財務省が諦めたわけではなく、継続審議なのだから、いずれ復活して国会に提出される可能性はある。
そのせいで相続税を心配する方々からの相談は増えた。おかげで、昨年から相続税の試算の依頼が少なくない。相続税を心配する方の多くは、所有する不動産の評価額が高く、納税資金に不安を感じる場合が多い。預貯金ならば取り崩せばいいが、不動産は簡単には換金できない。だから、予め納税すべき相続税額の概算を知っておきたいそうだ。
それほど難しい仕事ではないが、油断できない仕事でもある。基本的には路線価で評価するので、その土地の謄本や地形図などがあれば、概算でならば簡単に出来る。資料さえ揃っていれば半日程度で出来る仕事だ。
しかし、ここに落とし穴がある。不動産、とりわけ土地という奴は地図をみただけでは分らない。例えば傾斜地にある土地とか、あるいは土地の上に高圧電線が通っていたりといった評価減額の要素があることもある。これは現地に行ってみなければ分らない。
実際、行ってみて現場を見てみて初めて分り、慌てて評価のやり直しをした経験は何度もある。現場に行くことは、極めて大事だと思う。
昨今、インターネットなどで現場に行かなくても、かなり詳細な情報が入手できるようになったのは事実だ。でも、やっぱり現場に行かねば分らないことは少なくない。
これは土地評価の仕事だけではなく、様々な場面で起こり得ることだと思う。だから私は自ら足を運び、自分の目で見て、話を直に聞くように心がけている。
先月のことだが、ある方からの紹介があり、北関東にある某避難所にボランティアに行って来た。主に福島からの避難している方々が滞在している避難所で、放射能のために帰郷が叶わぬため、震災後一年以上たっているにもかかわらず、未だ避難所暮らしを続けている人たちだ。
私は実質ドライバーの立場でボランティアの人たちを運ぶだけだったが、それではなんなので、スーパーで駄菓子などをダンボール3箱につめて持参した。多分、生活必需品は足りていると思うので、必需でないものが喜ばれる気がしたからだ。
私の予想は大当たりで、駄菓子の段ボール箱には人が集まり、午前中で空っぽになってしまった。高齢者が多く、懐かしい味だと喜ばれたので、私も嬉しかった。やはり予想通り、生活必需品はとりあえず足りているようだ。
暇になってしまったので、周囲を見てまわり、避難者の方数人と話をしてみた。長い避難生活に疲れたのが、諦め気味の感じを強く受けた。同時に鬱積している不満が多いことも分った。
不満はいろいろあったが、目だったのは将来への不安だ。行政の手助けや、民間のボランティアなど様々な助けがあるが、この先どうなるのか分らない不安が、心も身体も蝕んでいるようだ。
多少でも元気な人たちは、政治に対する不満をぶちまける。とにかく現場の声が政府に届いているとは思えないことに、どの避難者も強く不信感を抱いている。
当然だと思う。今の与党民主党は党内のことばかりに目が行って、肝心の国民のことがなおざりになっている。いや、民主党ばかりではない。次の政権を担えるとほくそ笑んでいる自民党も似たり寄ったりだ。
だいたい復興プランの呈示が遅すぎる。慎重ならばまだいいが、実際のところは意見聴取不足であり、根回し不足でもある。官僚不信が根強い管・前首相が役所をうまく使いこなせなかったことも大きく響いている。
また後任の野田首相は、財務省の強い後押しがあってこその政権だと自覚しているので、霞ヶ関の意向にきわめて忠実だ。今に始まったことではないが、現在の霞ヶ関には、地方の実態が上手く伝わっていない。
官官接待を廃止して、非公式な折衝の場をなくしたため、現場の本音が霞ヶ関に伝わっていない。おまけにキャリア官僚たちが、現場に出向くのを厭う傾向が近年強く見受けられる。
霞ヶ関のお偉いさんたちは、現場の情報ではなく、よく書かれた、上司に煙たがれない報告書だけを頼りに政策を立案している。だから現場の本当の需要を把握していない。
だからこそ、せっかくの復興予算も空回りしている。政治家に現場に出向いて陣頭指揮をとれるような力量のあるものがいないことも大きい。今の二世政治家たちは、育ちも良く、スーツに泥が跳ねて汚れ、革靴が泥まみれになるのを厭わなかったドブ板選挙とは無縁のスマートな方ばかりで、ますます現場の知識に乏しい。
おかげで現場の人たちは欲求不満がたまるばかり。これは避難者ばかりでなく、村役場や町役場の役人たちからも共通している不満でもある。現場の困惑と不満を知らずして、復興を語るなと言いたい。
現場の実情に合わない政策の齟齬は、民主党政権に限らず近年目立つ悪しき傾向でもある。政治家や官僚は空調の効いた快適なオフィスで、イエスマンに囲まれた安直な仕事に安住するな。現場に出向いて、胸襟開いて市井の声を拾い上げろ。
政治ってやつは○×式の答案用紙を埋める作業ではない。前例を真似れば済む問題でもない。向かい風を浮黷驍ネ、国を支えるのは自分たちだとの気概をもって現場に臨んで欲しいものだ。