ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「ひとりしばい」 さくらももこ

2007-11-13 09:22:55 | 
気持ちがささくれ立っていると、八つ当たりしたくなる。

TVのアニメ番組がうるさい。ピーヒャラピーヒャラと喧しい。元々TVはあまり観ないが、親元で食事をする際は、致し方なく我慢していた。母親はともかく、下の妹が熱心に「ちびまる子ちゃん」を観ていたからだ。

大人な女のくせに、なに子供アニメを夢中になって観ているのだと、文句の一つや二つ言いたかったが、飯が不味くなりそうで止めた。まあ、たしかに懐かしさを感じる絵柄ではあったが、私はそっぽを向いて食べることに専念して、早々に退散した。

そんな訳で、あの人気アニメはほとんど観ていないし、漫画の単行本でさえ読んではいなかった。はっきり言えば、八つ当たりだと思う。当時、長引く病気療養に気持ちがささくれだっていたからだ。とてもじゃないが、あのような和やかなものには反感が募るばかりで、楽しむことなんて出来なかった。

やがて病気も治まりだし、社会復帰を果たした頃には、既に人気も一段落して、今更読む気も失せていた。ところが、その頃から、さくらももこは漫画ではなく、エッセーを書き出していた。これが案外面白かった。作者の人柄がそのままに表れるような文章で、多分漫画もそうなんだろうと推測できた。

表題の作は、さくらももこの思春期を題材にした半生の記だ。読んでみて、つくづく男の子と女の子は違うと実感した。同時に思い当たる節がいくつもあり、なんだか苦く酸っぱい気持ちにもさせられた。あんな理由で嫌われてもなぁ~と、少々複雑な気分でもある。

おそらく、女性の読者は共感したり、懐かしんだりするのだろうが、男性が読むと結構複雑な気持ちにさせられると思う。男の子の思い込みなんて、ホントひとりずもうだと、しみじみ思いましたね。

ちなみに、現在ビックコミック・スピリッツで表題の作の漫画版を時折(毎週ではない)掲載しています。こちらも味があって良いと思います。
コメント (2)
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