のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

ザムザ君

2006-03-06 | 
おりしも 啓蟄でございますから
虫になった男の話でもいたしましょう。

初めて『変身』を読んだときには、全くガキンチョでございましたから
ただただ「な ん ちゅう 暗い話じゃ」と 思ったものでございました。
しかし
のろもそこそこ歳をとり、自分が存在していることを
アタリマエと思って享受することができなくなって参りまして
またスティーヴン・バーコフ↓や
   berkoff hot news archive 2003
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ロバート・クラム↓に
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カフカ作品はブラックコメディーである ということを教えられたのちは
この作品を、自らに引き寄せて、いたって楽しく読むことができるようになっております。

のろは全くのところ
虫男ザムザ君にそっくりでございます。
我が友ザムザ君。笑

もちろん彼は、真面目で 家族思いの 心優しい男ですから
その点では、のろとはちっ とも似てやしませんけれどもね。

しかしのろが思いますに
ザムザ君がどんなに真面目でいいヤツであろうと
彼は、自分が何の役にも立たぬ醜い虫であると判明した時点で
この世を(あるいは家族のもとを)去るべきだったのでございますよ。
彼の妹が言うように、「人間があんな生き物と一緒に暮らせるわけがない」のは明白でございますからね。
家族は、彼の存在をしかたなしに我慢してやり
彼自身もそのこと(我慢してもらっている存在であること)を分かっていたにもかかわらず
その状況に甘えて、どこへも行けず 死にもせず ただ存在し続けたのです。

あわれなザムザ君!
彼の悲劇は、 ある日突然、虫になってた ということではなく
家族が、巨大な虫になった彼を 生理的に嫌悪した(これは人間として全く当然の反応) ということでもなく
自分自身に手を下すことができなかった ということでございますよ。

いなくなった方がいい、ということが分かっているくせに
いなくなることができない、ザムザ君。
あまつさえ------これはもはや喜劇でございますが-------自分がまだ、何かの役に立てる、と思っている!

結局のところ、彼は状況をまずい方向へと向かわせる という役にしか、立たないのでございますがね。
何か しよう というのが、そもそも間違いです。
いない方がいい存在なのですから。

Alas!
愚かなザムザ君!
君は 存在を みんなに 我慢してもらっている だけなのに。
我慢してもらっている という状況に 甘えているんだ。
愚かなザムザ君!
実にまったくのろそっくりだね。
大笑い。


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