のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

さよならサントリーミュージアム

2010-12-26 | 美術
常々思いますのは、世界がどんなに美しいかということが本当にわかるのは、もういよいよ死ぬというその間際、ワタクシがこの世界に存在する最後の最後の一瞬間なのであろうということ。賢明な皆様におかれてはそんなことはないかもしれませんが、ワタクシはきっとそうですよ。そのときに何かを考えるだけの暇があればの話でございますけれど。


それはさておき
ワタクシを含めた関西の住人に、16年間に渡って良質なアートに触れる機会を提供してくれたサントリーミュージアム天保山が、本日をもって休館(事実上、閉館)いたしました。

最後の企画展は『ポスター天国』。エントランスには今までこの美術館で開催された展覧会のチラシがずらりと並んで、来場者を迎えてくれます。それをひとつひとつ見ながら、ああこれも行かなかった、これにも行かなかった、興味のないテーマだったけれども行っておくんだった、と悔やむことしきりでございました。



ただ作品を並べるだけではなく、いつも展示内容に合わせて素敵な展示空間を演出してくれたサントリーミュージアムのこと、たとえワタクシには興味のないテーマであっても、足を運んでいれば何かしら得られるものがあったはずでございます。そのテーマや作家の持つ新たな魅力を発見することもできたであろうに。そのことに今になって気付くとは。

ロビーやミュージアムショップの壁面にも、制作された時代も場所も多種多様な、色とりどりのポスターが所狭しと展示されておりました。少しでも多くの作品を見てほしいという美術館側の熱意が伝わって来るではございませんか。



建物やコレクションは大阪市に寄託されるとのこと。今後どのように活用されるのかたいへん気になる所でございます。水族館の隣ということで、ファミリー向け(=お子様向け)遊興施設になってしまうのではないかと、うっすら不安を抱いております。そうなったら、のろはもう二度とここには来ないんだろうなあ。



いっそもうずっと「設立準備中」になっている大阪市立近代美術館というやつを、ここに持って来るわけにはいかないんでございましょうか。せっかく展示空間としての空調やら何やらの設備が整っておりますのに、3D映画やファミリー向けアトラクションだけに使われるのはあまりにも惜しい。



ともあれ、サントリーミュージアム天保山さん、今まで本当にありがとう。
また美術館としてのあなたにお目にかかれることを、のろは切に願っておりますよ。

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