谷山浩子さんのコンサートに大槻ケンヂがゲスト、という異色の組み合わせ。
周囲に谷山さんを好きな人が多く、CDを借りたりしているうちに私も結構ファンになっていたので楽しみだった。
と言ってもオーケンは2、3曲歌って終わりなんだろうな、と思っていたのが、なんと。
コンサートの2/3は出ずっぱり。
アンコール入れて全17曲のうち7曲はオーケンがらみ(筋少、特撮、ソロ)。
自分の曲と谷山さんの曲と合わせて、オーケンが一人で歌ったのが7曲。
みっちりお喋りもして、ゲストじゃなくて二人のビッグショー状態。
嬉しかったけど、はたして谷山ファンはこれでいいのだろうか!?と、途中から心配になってしまった。
会場は全労済ホール/スペース・ゼロというところで、去年、ステーシーのミュージカルをやったところだそう。
ホールの中心に演者がいて、四方向にファンが座る形。
見やすくてよかった。
ローリーさんからお花が。
初めて生で見た谷山さんはニコニコしてて、四方向全部のファンにペコっとお辞儀してて、可愛い!
演奏は石井AQさんという方がシンセサイザー、谷山さんがピアノ、オーケンがギター(でも音出さない)で。
最初の5曲は谷山さんとAQさんのお二人で。
テーマは"白から黒へ"だそう。
真っ白な『ナヌーク』から始まり、『まっくら森の歌』を真ん中に、『卵』の黒へ。
『そっくりハウス』『まっくら森の歌』みたいなメジャー(?)曲をぽーんとやっちゃうんだと、少し驚いた。
オーケンを呼び込み。
谷山さんのラジオなんかも聞いてたというオーケンは、若干緊張気味。
椅子に座って猫背のオーケンと、背筋伸ばして立ってる谷山さんがだいたい同じ高さなのが微笑ましかった。
歌う前にかなりのんびりお喋り。
二人とも、子供の時から歌が苦手だったと(笑)
以前ゲストで出たというみのすけさんやケラさんの話もしていた。
1曲目は『あのさぁ』
オーケンが歌った曲はだいたい谷山さんのリクエストによる物だったよう。
これもかな?
オーケンからの「谷山さんはこれまでのライブ人生で、ツーバスの曲はありましたか!?」という質問がおかしかった(無いそう)。
ツーバスは疲れる、特撮には『ヘドバン発電所』なんて曲まであるんだと"知られざるロックミュージシャンの世界"を説明。
オーケンがここだけはちゃんとギターを弾いて『猫のおなかはバラでいっぱい』。
このイベントに合っているんじゃないかと言ってた。
沼の女のところは谷山さんが歌。
そして『香菜、頭をよくしてあげよう』。
これも「あたしってバカなの 犬以下なの」は谷山さんが。
サブカル少年が女の子を教育しようって悪癖の歌なんですよ~というオーケンに
「じゃあカナちゃんの方はすっごい迷惑かもしれないんだ!」って谷山さんの返しが斬新。
谷山さんは先日、オーケンの弾き語りのライブを見に行ったんだそう。
その時に心をつかまれた、半分くらいこの曲のために大槻さんを呼んだ!という、『ノゾミ・カナエ・タマエ』。
これが本当によかった。
改めてこんな格好良い曲だったかと。
もう何度目か、またまた大槻ケンヂに心を打ちのめされた、圧倒された。
なんか、この人のファンでい続けたことは正解だった!と思った。
すべて終わる、無くなる、変わらない物なんて何も無いという諦観と、それでも今、という勇気みたいな物。
もともと私の持っていた人生観にオーケンがはまったのか、オーケンにはまったからそういう人生観を持つようになったのかはもう覚えてないけど。
引き続きオーケンが歌うのは、谷山さんの曲『お早うございますの帽子屋さん』と『ボクハ・キミガ・スキ』。
この数週間、ジョイサウンド(カラオケ)でめちゃくちゃ練習してきたらしい。
帽子屋さんは、不思議なほど違和感なかった。
ボクハ・キミガ・スキの方は、ドキドキしてしまった。
オーケンの普段の歌詞と全然違うので、なんか照れるというか、ときめいた!
歌い終わってから、難しい!これはプログレ!と苦情(?)を述べていた。
しかしオーケンの谷山さん曲カバーも良かったんだけど、この後!
谷山さんによる『蜘蛛の糸』『機械』『ヌイグルマー』のカバー。
これとんでもなかったわ。仰天。聞いてる間、口ぽかーんとなった。
谷山浩子は凄い!!!
いや、それで何が凄いってうまく説明はできないのだけど、谷山さんの声の、思いつめたような、切羽詰まった感じが歌詞にはまってるのかな。
谷山さんの曲を谷山さんが歌うと、しっくりきすぎて気付かない物が、他人の歌の違和感でかえって浮き彫りになったというかな。
歌詞の中に見える、弱さ、純粋さ、怖さ、憎しみ、不安、愛情深さ、悲しみ、希望みたいな物が、鮮やかに現れているように感じた。
楽器演奏を含めた曲丸ごとで聞いたら筋少や特撮バージョンもいいんだけど、あんなに歌詞が生きたという意味では大槻verより谷山verの方だったかも。
大槻ケンヂの文才に、大槻ケンヂの歌唱力って追いついてないんだなーって初めて思っちゃった。
CDだしてよー!「谷山浩子、筋肉少女帯を歌う」だしてよー!(無茶)
猫森集会はDVD化してないのですかね。
谷山さんの歌詞は筒井康隆や諸星大二郎の影響を受けてるんですか?とオーケンより質問。
どちらも好きだそう。
「この歌、ネットで怖いとか不気味とか言われてるけど、諸星さんだと思うと普通じゃん!なんだか自信が持てた!」
と、谷山さんが不思議な喜び方をしていたのは『まもるくん』。
これはオーケンが歌って、違和感なし。
高さは違うけど、柔らかい声質が似てるのかなー。
「弾き語りで歌ってください」と谷山さん直々の許可が出たから、オーケンのレパートリーに入るのかも?
そしてこれもわけわからん歌詞の「かおのえき」を二人で。
お互いの曲を歌うとすごくいいんだけど、どうも二人で歌うと今一歩な気がした。
お互いに遠慮しちゃうのかな。
声が弱弱しくなるみたい。
アンコールにもばっちり出てくるオーケン。
告知や、谷山さんは物販の宣伝。
谷山さんがやるとAKB商法まで可愛いふしぎ。
最後は二人で楽しく『フィンランド』。
『ナヌーク』で始まり『フィンランド』で終わり。
オーケンが出るプログラムBは2日連続。
曲変わったりしたのかなあ。
もう2日ともチケット買えばよかった!
やー、しかし素晴らしい物を見せていただいた。
曲ものほほんとしたお喋りも、楽しかった。
また一緒にやってくれたらいいな!