読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『原節子の真実』

2020年06月08日 | 作家ア行
石井妙子『原節子の真実』(新潮社、2016年)

原節子は1920年生まれで、2015年に95歳で亡くなった。1965年頃には引退を東宝に告げているので、45歳で引退し、残りの50年間を、鎌倉の姉夫婦が借地に住んでいた家で過ごしたことになる。

私にとって原節子といえば、黒澤監督の『わが青春に悔いなし」に出てくる女優で、たしかに黒澤監督の映画だと思って見たせいもあるかもしれないが、終戦直後にGHQから民主主義を啓蒙するような映画を作れと言われて作ったという映画の最高傑作だけのことはある。自らの信念のために節を曲げることなく夫を信じて生きた主人公の凛とした生き様を原節子が体現していたように思った。

これで原節子のイメージができてしまったので、その後に小津映画に出ていた原節子を見ても、なんか煮え切らない、曖昧な、パッとしない立ち居振る舞いに、何なのこれという印象を持って見たものだ。小津映画は世界的にも評価されていたので、なんでこんな作品が面白いのか分からないと、原節子も一緒に否定していたように思う。

だから世間が原節子、原節子と持ち上げても、たいして美人でもないし、それほどの役者でもないしという感じで見ていた。

そういうわけで、2015年に原節子が亡くなったという報道を見ても、別に何も思わなかった。結局この本を読むきっかけになったのは、著者の石井妙子が、新作の『女帝 小池百合子』のことで近藤という人のインタビュー*を受けていて、その中で、この著作が大変な評判を呼んだという話をしていたので、本当は『女帝 小池百合子』のほうを読みたいのだが、とりあえずこれを読んでみたということにすぎない。
*このインタビューは面白い。これを読んだだけで小池百合子のことがよく分かる。必読と言っていい。インタビューはこちら

最後まで我慢して読み通したけど、原節子という女優のどこがすごいのだかわからずじまいで最後まで来てしまったというのが正直なところである。
原節子の真実(新潮文庫)へはこちらをクリック

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『蒐める人』 | トップ | 『流浪の月』 »
最新の画像もっと見る

作家ア行」カテゴリの最新記事