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『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』

2015年04月25日 | 韓国文学
康煕奉(カン・ヒボン)『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』(実業之日本社、2013年)

私がこれまで見た韓国の歴史ドラマを思い出す限り挙げてみよう。

『太王四神記』(4世紀後半 広開土王)
『ソドンヨ』(6世紀 武王)
『根の深い木』(第4代 世宗)
『王女の男』(第5代・6代・7代)(視聴中)
『王と私』(第9代・10代)
『チャングムの誓い』(第11代 中宗)
『ファン・ジニ』(第11代 中宗)
『ホ・ジュン』(第14代 宣祖)
『トンイ』(第19代 粛宗)(視聴中)
『風の絵師』(第22代 正祖)
『商道』(1803年~40年)
『済衆院』(開国期)
『太陽を抱く月』(架空の時代)

最初の二つは朝鮮王朝時代ではない。ペ・ヨンジュンで人気を博した『太王四神記』は高句麗、百済、新羅の三国時代の高句麗のものだし、『ソドンヨ』も同じ三国時代の百済の話で、聖徳太子に援助を頼もうなんてセリフが出てくるような時代である。

今見ている『王女の男』は、冒頭で第5代の文宗(ムンジョン)時代だが、これはハングルを作ったことが主題になっている『根の深い木』の第四代の世宗のすぐ後の時代なのだ。この第五代文宗が死んで、まだ11才の第6代端宗(タンジョン)の統治下でスヤンテグンの謀略でキム・ジョンユやその支持者たちが殺され、その2年後には叔父のスヤンテグンに譲位することになり、とうとう第7代世祖(セジョ)の時代になるところまでが描かれている。その時のクーデターの話は相当に有名な話らしく、この本でも絵入りで詳しく説明されている。『朝鮮王朝実録』に書いてあるという。しかしスンユとセリョンの話は、民間伝承が記録された本に、キムジョンユの孫とスヤンテグンの娘がともに逃れて地方で結婚して一緒に暮らしたという逸話が書かれているそうで、それをもとにして、ドラマは作られているという。

この第7代の世祖の次男が第8代王になり、若くして死んだ長男の次男が第9代王になり、その長男が第10代の有名な燕山君になり、クーデターを起こして、異母弟が第11代王中宗になった。このあたりの時代は『チャングムの誓い』で描かれている。ここに至るまでも、ドラマで描かれている通りの陰謀、策略、権力争いがあったらしい。

『ホ・ジュン』にはちょうど秀吉による朝鮮出兵が出てくるので、私たちにも時代の把握がしやすい。そういえば『チャングムの誓い』でもチャングムがチェジュ島に島流しにあって、そこで倭人の武将の病気を治すという場面が出ていたが、日本人がしばしば登場してくるが、どうもその衣装が変な風に見える。これだけ日韓の交流があるのだから、もう少しリアルに日本人を描いてもいいと思うのだけど。

中国の明や清に対しては属国と言っていいほど丁重にもてなすのは、そもそも朝鮮王朝を作った人が中国への出兵を拒否して、高麗の王を逆に討ったことから始まったという。それに何代目かの王の時に土下座までさせられたということもあったらしい。それでどのドラマでも清の使節団は丁重に扱っている様子が描かれている。

この本は、あまり詳細すぎず、勘所を押さえて書いているので、読みやすい。私のように、あれこれ見てきたけど、なんだかどれがどういう時代だったのか混乱している人には、頭のなかをスッキリさせるのに好適な本だ。

今回参考にしたサイトとしては、こちら

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