読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

「ククーシュカ」

2006年06月21日 | 映画
『ククーシュカ・ラップランドの妖精』(2002年、ロシア)

第二次世界大戦のラップランドで、敵対するフィンランドの兵士とソ連の兵士が、そこに住む女性のアバラ小屋で共同生活をする、しかも三人とも別々の言語しか話せず、会話はまったく成立しないという、一種の喜劇だけど、ほのぼのとしたものが漂っているところが、とてもいい。

フィランドの学生だったヴィレ(役の上での名前は覚えてない)は、ナチスドイツに占領されて強制的に徴収され、ラップランドに出兵するが、ちょっとよく分からない事情で、森林地帯にくさりつけにして放置するという処刑を受ける。なんとかして鎖を外さなければ寒さで死ぬか、飢え死にするかのどちらかだ。彼は一生懸命岩の上でたき火をしては水をかけて岩を割ろうとする。そんなことをしているうちに、ソ連兵で捕虜になったヴィクトルが運ばれてきた所へ戦闘機が飛んできて爆弾を落とし、吹き飛ばされてしまう。それを見ていたラップランドの原住民のククーシュカがやってくると、ヴィクトルだけがまだ生きていたのでアバラ小屋まで連れて帰る。ククーシュカが彼の手当をしているところへ、ヴィレが鎖を抜いてやってくる。そこで三人の共同生活が始まる。ククーシュカは二年ぶりの男(夫は2年前に出兵していらい戻ってこない)なので、うれしがっている。ラップランド語(?)しか話せないので、だれも分かってくれない。ヴィレは戦争はもういやだ、自分はもう戦争はしないとフィンランド語で言うがだれも通じない。タクシーの運転手だったが、ムヌーシュキンという詩人を乗せたときに、自作の詩を見せた所、この詩人からよい出来だと言われたことを自慢するヴィクトルもロシア語しか使わないので二人の言っていることがよく分からない。

ククーシュカはたまらずヴィレを寝床に誘う。ヴィクトルはいたたまれず逃げ出そうとするが、また戻ってきてしまう。ある日、近くに飛行機が墜落する。それを見に行った先でヴィクトルがヴィレに発砲してしまう。ククーシュカが必死でヴィレを看病し、死の旅からヴィレを呼び戻す。生き返ったヴィレを見てホッとしたククーシュカは、思わずヴィクトルを寝床に誘う。しばらくして二人はやはり祖国が懐かしくなって、ここを立去る。そして後に残ったのがククーシュカと二人の息子というわけ。

三人が三人とも互いの言葉がわからないという状況で、ククーシュカがずいぶんあけすけにセックスへの欲望を口にしても、二人の男はどちらも分からないで真面目な話だと勘違いしているというようなところが、喜劇的で面白かったね。ただ欲を言うと、ラップランドの人たちが自然の中でどんな料理、裁縫、狩猟をして暮らしているのか、もう少し細かく描写してほしかったな。

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